AdAd
  
エッチな動画を投稿してる猫の獣人、大好きな狼の幼馴染にバレたと思ったら相手もすけべ野郎だったので結果的に全てが丸く収まる話。

  ※繰り返しますがサンプルです。

  「ん、ンッ……」

  両足を開き、お尻に突っ込んでいるディルドをずぽっずぽっ♡と抽挿を繰り返す。

  「あ、ン、ぁ、あ〜〜っ♡♡きもちいぃっ♡♡」

  毛をビチャビチャに濡れているのを気にせず、激しく手を動かす。

  ゴロゴロと喉が鳴る。

  気持ちがいいところに繰り返し当てていると、勃起してるちんこからダラダラと精液が溢れ出てくる。

  「はあ、あ、あ、あっ♡だめ、あ、アっ♡♡もうい、イく、いっちゃうっ♡♡あ、にゃ、アあっ♡♡ぃ、いく、イくぅぅっ………ッ♡♡」

  ビュッ♡♡

  ビュルルッ♡ビュッビュッ♡

  ガクガクと腰を痙攣させながら、絶頂をむかえる。

  手でこちゅこちゅと擦り上げて最後の一滴まで出し切る。

  「はーっ♡はぁっはぁ……♡」

  ディルドを抜いて、テーブルの上にある教科書に立てかけてあるスマートフォンを掴む。

  ピ、と画面をタップして録画を止める。

  しっかりと保存されているのを確認して、ごろりとベッドに寝転ぶ。

  「はあ、はあっ、あっつ……」

  全身の毛が汗で湿っている。

  全裸のまま上を向いた──猫の獣人である聡実は、射精後の気怠さのなか最近動画がマンネリ化してるよなあ、と思っていた。

  聡実はSNSでエロい動画をアップしている。

  誰かと会っているわけでもなく、ただ動画をあげて、反応やコメントをもらってるだけ。時々DMでオナニーしてる動画を送られてくることもある。聡実は気持ちいいことが好きなうえにSNSにあげてしまうド変態なので、それをみながらシコることも普通にある。もちろん、DMは誰からでも受け取るが反応しない。贔屓しない。とても大事なこと。

  そんなアカウントにあげている動画がマンネリ化している気がする。そういう声は今のところ届いてはいないが、聡実もそろそろディルドをつっこんだオナニー以外の気持ちいいことに挑戦してみたい。

  ウーン、と悩みながら体を横向きにしてスマートフォンを手に取る。

  アカウントを開いて、「最近動画同じのばっかりでマンネリ化してる気がする。なにかしてほしいことある?」と書き込む。

  返信はすぐ来る。

  フォロワーだってそろそろ一万人になる。

  一年前から始めたアカウントだが、聡実のビッチで変態っぷりが多くの人のツボにささっているようだ。

  動画だけじゃなくて学校に行く前にオナニーしたとか、学校でムラムラしちゃったとか日常の投稿をしているが、日々コツコツとフォロワーが増えていっている。

  多くの人は聡実が本当に学生だと思っていない。リアルタイムAVみたいな感覚で、そういう設定だと思い楽しんでるのだろう。

  残念、聡実は正真正銘、十八歳の白と黒の猫の獣人だ。

  「学校のトイレか……恋人とセックスするならまだしもひとりはなぁ……」

  いいアイディアないかな、と送られてきたコメントを見ていく。

  学校でオナニー、女装してほしい。セックスしてるのが見たい、外でオナニー、ディルド突っ込んだまま散歩、エトセトラ。

  さすが聡実をフォローしてるやつら。みんなちゃんとイカれた変態だ。

  この中で一番簡単にできるのは女装だろうか?

  忙しくてあまり家に帰ってこれないがデロデロに溺愛している父からのお小遣いで財布は潤っているし、一式揃えるのは簡単だろう。なにより今の時代ネットでなんでも買える。

  気分転換にいいかも、と聡実は決めて「変態ばっかり」と書き込むと同時にぽんっ! と軽快音。画面の上にメッセージが届いた知らせだ。

  「み、湊ッ!?」

  送られてきた名前を見て、聡実は大きな目をさらに大きく開いて勢いよく起き上がる。

  久々のメッセージにテンションがあがる。

  SNSを閉じて、ぷるぷる震える指でメッセージアプリを開いた。

  「明日、暇……」

  ゴロゴロと喉を鳴らしながら聡実は、暇だよ、と返事をする。それなら映画でも見に行かないかとお誘いの返事が返ってきた。その後にURLも貼られる。それに飛んでみると聡実が好きな俳優が主演のアクション映画だった。

  答えは一択だ。

  見るか迷っていた映画だった。

  いや、まあ、たとえ変な映画だろうと湊から誘われるなら、聡実の答えはイエス以外ないのだが。

  「湊とでかけんのひさびさだ……二年生になってからは、二回目……?」

  神宮寺 湊。

  聡実の幼馴染であり、聡実が小さいときから恋をしているとても格好いい灰色の毛並みの狼の獣人だ。

  凛々しい顔をしていて、本当に本当に格好良くて、小さい時からのみんなの人気者だ。

  あの大きな口で食べられたい、毛繕いしてほしい、なんて目をハートにしているクラスメイトにそんなの小さい時から一番思ってるのは僕だ、なんて。

  二人が幼馴染であることは隠していなかったので、一年の時はすごかった。どんな子がタイプなのか教えて、羊は苦手かな、連絡先ちょうだいよ、とか。聡実はプライベートは言えないよごめんねと言い続けた。

  「もちろん、行く、たのしみ……っと」

  湊が九時に迎えにきてくれるらしい。

  聡実はスマートフォンを胸に抱きながら、後ろに倒れ込む。両足をパタパタさせて「う、嬉しい〜!」と言葉にする。

  好きだ。湊のことが大好きだ。

  聡実のことをいつも守ってくれていた、優しい幼馴染。

  父子家庭で家に一人でいることが多かった聡実にのために、休みの日はお泊まりして寂しくないようにと一緒にいてくれた。学校がある日は湊のお母さんが迎えに来るまで公園でたくさん遊んだ。

  ……高校生になって、別々のクラスになっても変わらないと思っていた。しかし、しばらくして湊に恋人ができて呆気なく変わってしまったけど。

  あ、そっかこの狼は幼馴染にだけで僕のじゃないんだ、と突然の現実を叩きつけられた時の衝撃は凄まじかった。

  その恋人とはすぐに別れたとは言っていたけれど、昔のようにずっと二人一緒にとはいかなかった。

  物理的な距離はどうしようもなかったし、聡実にも湊以外の親しい友達ができたから。

  「……」

  それでも優しい湊はすれ違うと声をかけてくれるし、今でも稀にメッセージのやり取りをする。そうして高校二年生になってもかろうじて繋がっている細い糸。聡実はその意図に必死にしがみついていた。

  「……。あ、そうだ。片付けなきゃ」

  ふわふわと考えている場合じゃなかった。

  「……あと一回してから、片付けよ」

  精液を飛ばした床を無視して、ベッドから降りた聡実はローションまみれのディルドを掴んで目を瞑ると「み、湊ぉ……♡」と媚び売った声で名前を呼ぶと、ヒクヒクしている閉じてない穴にゆっくりとディルドを突っ込んだ。

  湊の体を想像しながら、抱かれてる想像をしながら「湊っ♡♡すき、すきぃっ♡♡」と名前を呼びまくる。

  名前を呼ぶ以上これは動画にはならないが、最高に気持ちいいオナニーだった。

  完璧に支度を終えた聡実は、時計をチラチラ確認しながら毛並みを何度も確認していた。尻尾もちゃんと手入れした。

  いつも通り八時ごろに家を出る父は、ソワソワしている聡実に「お前は世界で一番可愛いから大丈夫だよ」と何も言ってないのに物知り顔で頬擦りしてきた。父はいつもこんな感じなのでいまいち信用に欠けるが。

  ピンポーン、とチャイムが鳴り聡実は立ち上がる。

  財布とスマートフォン、鍵をポケットに詰め込む。

  家中の鍵はちゃんと閉めたし、火の元も何度も確認してある。

  お気に入りの靴を履いて、ふーっ、と深呼吸をして聡実は玄関のドアを開けた。

  「おはよう、湊!」

  「おはよ」

  少し眠そうにしている湊に、聡実の心の中はあ〜今日も格好いい〜! と大盛り上がりだ。

  玄関の鍵を鍵を閉める。

  映画館がある大きいショッピングモールは電車に乗って、三つ向こうだ。

  「今日、なんか雰囲気違うな」

  「そうかな。普段は制服だし、私服を見るの久々だからじゃない?」

  「……あー。確かに? そう言われたらそうかもな。いいな、似合ってる」

  「やったー。ありがとー」

  すっと目を細めて微笑んだ湊に胸がドキドキした。

  湊はいつも聡実を褒めてくれる。

  そうやって彼女とかも褒めてるんだろうな、と浮かんだ言葉は追い払い、湊も格好いいよ……と言おうとしたが言葉が詰まる。

  だってそれを言うとまるで恋人同士みたいじゃないか。なんか恥ずかしかった。

  へんな緊張感に言葉を奪われてしまったが、チラッチラッと見上げるように隣を見る。

  身長、また大きくなった?

  それとも久々だからそう思ってるだけかな?

  下から見ても格好いいな。

  「なに? なんかついてる?」

  「あっ、……いや。身長、伸びた?」

  「わかんねえ。今は大体188とか、9とかだった気ぃするけど」

  「たっかぁ……」

  「お前は……変わってなさそう」

  「猫はほとんど小柄だから」

  猫の獣人は全体的に小柄であることが多く、父曰く特に小柄だった母の遺伝子が強いらしい聡実はおそらくもう伸びない。前回測った時は158だった。

  そんな小柄な聡実とははんたいに、湊はぐんぐん背が伸びてる。多分、まだ少し伸びそう。

  「それにしてもマジで久々だよな、出かけんの」

  「うん。高二になってからは、二回目くらいだよね」

  「時間合わねーしなぁ……」

  僕はいつでも暇だけどね、湊は友達と遊びに行ったり恋人とデートしたり楽しい休日を過ごしてるんだろうけど、なんて聡実はちょっと捻くれる。

  でも今日は恋人……今いるかはわからないけどよりも、可愛い女の子や友達と出かけるよりも、自分を選んでくれているので嫉妬心はない。むしろ優越感すらあった。

  聡実も湊の前に立てば、ただその人に恋をしているただの猫なのである。

  ふう、と緊張のため息を無意識についた。

  「どうした? 具合悪い?」

  「え?」

  「ため息」

  「あ、うそ。無意識だったかも。大丈夫!」

  口を抑える。

  こんなに嬉しい楽しい日なのにため息なんてもったいない。

  大丈夫だと言ったのに、湊は心配に足を止めた。

  一歩進んで聡実も足を止める。

  「本当か? 嘘ついてねぇ?」

  「わっ」

  身長差を埋めるように背中を丸めて、覗き込むようにしてくる湊が、狼らしい長いマズルを寄せてくる。さきっぽにある艶やかで黒々とした鼻が触れそうなほどに近づいてくる。

  鋭い双眸を心配に細めた顔が、格好良くて、心の中の聡実は格好いい〜! と両手で顔を覆ってコロコロと転がり悶える。

  顔にでないようにキュッと引き締めた。

  「……家でゆっくりするか?」

  「えっ!? 大丈夫! 心配しすぎ。……湊も言ってたけど、出かけるの久々だから、なんか変に緊張しちゃってただけ!」

  「……はあ? 俺相手に緊張すんの?」

  不思議そうな顔をされる。

  そりゃあ好きな人と出かけるんだから緊張するに決まってるだろ! なんて言えるわけもなく。

  「幼馴染とはいえ、久々すぎる。こんなの誰だって緊張するよ!」

  「俺は緊張してぇけど。そんなもんか?」

  「そんなもんだよ。それにほら一応、学校でたーまに話はするけど、それも授業の内容どこまですすんだーとか、そういうのでしょ? こう……なんていうの? プライベートっぽい感じのってしないから」

  「……クラス別だし、行きも帰りも別だし?」

  「そうそう」

  よくわからない言い訳を言葉にする。湊は不思議がりながらも聡実の必死さに「確かになー?」と納得してくれたうだ。

  いろいろな匂いがする外では、湊自身のにおいはあまり感じない。けれどこんなに近いと、流石に匂う。鼻をひくつかせてかぎそうになるのをグッと堪えて、湊を押して距離を取らせる。

  「電車きちゃうから、歩こ」

  と、いい歩き出す。

  「具合悪くなったらちゃんと言えよ」

  「うん。その時は湊におぶって家まで送ってもらう」

  「お前なんて片手でいけるわ」

  「そんなに小さくないよ!」

  「余裕だって」

  自慢気にフンッと鼻息を飛ばす湊。

  相変わらず世話好きで過保護なやつだな、と頬を緩ませる。まあ、そんなことを考えても……考えるたびに頭にチラつくのは恋人にもそうやって過保護なんだろうな、というどうしょうもない感情だったけど。

  ショッピングモールについて、一直線に映画館に向かう。

  そのままチケットを買うと、席は中央より少し後ろの、一番右側の席だった。ちなみにチケットはちゃんと自分の分は自分で買った。

  身長が小さい獣人用や子どものために、傘増しするための椅子と同じサイズと素材の座布団を受付の人から受け取り、館内に入る。

  席に座り、開演を待つ。

  続々とはいってくる人たちの声が映画館特有の反響の仕方をして、耳をピクピク動かす。

  「楽しみだな」

  「うん。あ、パンフレット買えばよかった」

  「あー、確かにな。買ってくるよ」

  「大丈夫、自分で行く」

  「……なら一緒に行く」

  「あはは、売店でてすぐだけど、もしかして迷子になると思ってる?」

  「ワンチャンある」

  「馬鹿にすんな、馬鹿」

  わざとらしく真剣な顔をして湊に、肘掛けに置いてる手の甲をペチンッと叩く。

  クッと嬉しそうに歯を見せて笑う狼はスマートフォンを預かってもらい立ち上がる。

  「湊はいる?」

  「いや、いい」

  「ちょっと行ってくるね」

  猫らしくするするとすれ違う人たちを避けて、館内から出る。防音生の高い赤いカーペットを踏みながら売店に行く。

  他の公開している映画のグッズもあるし、どこも開演までまだ少し時間があるのでそれなりに人が並んでいた。最近の映画は映画館限定のグッズも豊富だからだろう。

  すいません、とパンフレットの前にいた羊の獣人に声をかけて少し避けてもらい、一冊手に取る。

  やっぱり湊のぶんも買うべきかな、と迷う。でも本人はいらないと言っていたし、買うのは押し付けがましい。それにもし見たかったら自分のを一緒に見たらいいか、と予定通り一冊だけにした。

  会計の列に並ぶ。

  「ねえ、きみ。一人?」

  「……」

  「あれ無視……? ねえ、ねえ」

  「えっ?」

  トントン、と肩を叩かれて耳をピッ! と立てて振り向く。

  誰かに話しかけてると思っていたが自分とは思わなかった聡実は驚く。

  「可愛いね、一人?」

  「……」

  ニコニコ……ではなく、ニヤニヤとしている犬の獣人に聡実は心底嫌そうな顔をして前を向く。不機嫌に尻尾が揺れそうになるのを我慢する。

  中学の頃、湊と遊んでいたときに湊が少し離れるだけで声をしょっちゅうかけられてきた。

  反応するなと言われていたけれど、話しかけてるのに無視するなんてできなかった小さな聡実はついつい返事してしまっていた。湊や父から「反応しないこと、逃げること」を何度も言われ、小さな聡実は無視と逃走を覚えたのだ。

  いまはパンフレットを買うという使命があるので、出来るのは無視すること。

  「遠くで見たら女かと思ったけど、男だよな。俺男でも全然大丈夫だしさ、俺もその映画見るんだよ。一人より二人の方が良くね? あ、もしかして一人でみたいタイプ? それが嫌なら連絡先交換して終わったら、感想言い合おうぜ」

  「……」

  「なあ、無視すんなよ」

  へらへらと笑ってる気配がする。

  これまで出会ってきた変質者の中ではマシな方だな、と聡実は冷静だった。

  前のヤギの獣人が心配そうに振り返ってくるが、聡実は大丈夫だとニコッと笑う。

  背後の奴が「笑った? なあ、顔見せてよ」と隣に並んで顔を覗き込んでくる。

  周りからも心配そうな目線がビシビシ向けられている。

  「すげぇ可愛い。モデルとかしてる?」

  「……」

  「なあ、何歳? 高校生くらい? 俺は高三なんだけど、高一? どこの学校?」

  目を伏せてため息を飲み込む。ため息ひとつにしたって、こういうナンパ野郎からしたら自分に対して反応してくれたと喜ぶのだ。聡実もじゅうぶん変態な自覚はあるが、こういう類の変態の気持ちはわからない。

  まあ、だから聡実は一人で出掛けないで引きこもりになり、挙げ句の果てにはエロい動画を撮ってSNSで発散するようになってしまったのだが。

  出掛けるのは湊に誘われた時や、休みを取れた父と一緒の時だけ。学校の友達と出かけることもないのは、一年から同じクラスで一緒に行動してる羊の獣人がかなりのゲーマーで休みの日はゲーム三昧だからだ。

  心を無心にして、列を待っていると順番が来る。

  店員の目が怖いのかナンパ男は後ろに下がり、静かになる。

  会計を終えてさっさと映画館に戻ろうとすると、「あ、ちょっと!」と腕を掴まれる。

  びっくりして、ゾッとして、ブワッと毛を逆立てさせた聡実は犬の獣人を睨みつけながらシャーッと牙を見せる。

  周囲の気配が動揺し、

  「お客様っ、喧嘩は……!」

  と、店員も慌てる。

  犬の獣人は大人しかった聡実が牙を見せてくると思わなかったのかギョッと目を開いて驚き、手を緩めた。グッと腕を引っこ抜き、触られた部分をパッパッと汚れを払うような仕草をする。

  ナンパ男がそれをみて怒ったような顔をするが、聡実はこれまでの鍛え上げた逃げ足を使って素早くその場から去る。

  吠えるような声と共についてこようとした声が聞こえたけれど「お客様、商品のほうを!」と引き止められていた。

  久々に外に出たら、これだ。

  しかもこんな人目が多い場所で!

  聡実がいったい何をしたというのだ。可愛いから? なんだそれ、知るか、と行儀悪く舌打ちしたくなる。

  イライラしながら席に戻ろうとすると、自分たちの場所に人が二人いた。あ、クラスメイトの兎の獣人だ。もう一人は確か別のクラスの犬の獣人だ。

  「一緒がダメなら、終わったとどう?」

  「そうそう。幼馴染って聡実くんでしょ? あの子も一緒にさぁ。みんなで!」

  テンションが上がっているらしい女性二人の声はよく聞こえたが、湊が何を言ってるのかは聞き取れなかった。

  聡実がナンパされている時に湊もナンパされていたようだ。

  ナンパ男から逃げるように歩いていた足を落ち着かせて、逆立っていた毛を軽く手で整えてから近づくと、クラスメイトが気付いてくれた。

  「あ、聡実、おかえり。え、てか相変わらず可愛いね。羨ましいわぁ」

  「う、うん?」

  「でさあ、映画終わったら一緒に遊ばん?」

  「えぇっと……?」

  話のスピードについていけない聡実がきょとんとする。

  チラッと湊を見る。

  目があった湊は驚いたような顔をしてから、ふぅ、とため息をついた。そして女子たちに「もう始まるから席戻れよ」と聡実が聞いたことない冷たい声で言う。

  「えー、でもお」

  「他の客の迷惑を考えろよ」

  「ご、ごめん。怒らないで」

  「……」

  「ユキ。とりあえず一旦座って、終わったらまた声かけよう」

  「……うん」

  怒られてしょんもりしたクラスメイトの腕をもう一人の友人が引っ張っていった。ごめんね二人とも、と謝られたけど首を振った。

  名残惜しそうに湊を見てるクラスメイトが遠ざかり、聡実はようやく席についた。

  「はぁ……」

  「何があった?」

  「え?」

  座って思いっきり息を吐いて、早々、湊が顔を寄せて囁いてきた。

  「戻ってきた時不安そうな顔してた。あと、毛も逆立ってる」

  「うそぉ。なおしたんだけど……」

  「言って」

  さっきのクラスメイトたちとはまるで違う、優しい声だった。

  パンフレットを膝に置いて「なんていうか」と口をもごもごさせながら毛を整える聡実に、大きな手が落ち着かせるように背中を撫でてくれる。

  たったそれだけで、は、と力が抜ける。

  聡実はそこで自分の肩が強張っていたことを自覚した。

  「たいしたことじゃなくて……」

  「うん」

  「……ナンパされただけ」

  「それだけ? 声かけられて、毛が逆立ったわけ?」

  うん? と続きを促してくる。

  声は優しいけど目は真剣だった。

  これは話すまで一生問い詰められるやつだと、幼馴染なのでよおく理解していた。

  過保護モードが全開だ。このままだと映画は今度にしようかとか……

  「ここで話せないなら、一旦外に出て話聞くけど。どっちがいい?」

  大当たり!

  この映画だってじつはめちゃくちゃ楽しみにしていたし聡実は、ナンパ男のせいで中止なんて絶対に嫌だった。

  「ちょっと腕、掴まれてびっくりしただけ」

  「ハア? 掴まれた? どっち? 右?」

  「左……」

  「見せて」

  「えっ、あ、ちょっと」

  左腕を取られて服を捲られる。

  ふわふわの白に黒模様の毛に変わりはない。

  「なんともないでから、」

  離して、と言い切る前に湊が腕に鼻をグッと押し当て、思いっきり匂いをかいできた。

  大きな目を開いて、耳と尻尾をピンッと今日一番飛び跳ねさせた聡実は、思わず叫びそうになり片手で口を押さえる。

  心臓が口から出るかと思った。

  「な、な、な、なにしてるの」

  「においついてないか確認。いつもしてただろ」

  「そんな昔の話ぃ……!」

  「中学の頃だろ。そんな昔でもない」

  湊はとても真剣な顔で「大丈夫そうだ」なんて言うが、聡実はぐるぐると混乱しながらも映画館では大きな声を出さないと言う理性を働かせて、唇をムギュッとかみながら腕を引き抜いた。

  すんなり外してくれたが体の距離は近いまま。

  「昔だよ。もう高校生だよ? 高二だよ?」

  「そうだな」

  「幼馴染とはいえ、普通、しないよ」

  相手の匂いをかぐ、という行為は恋人同士や家族同士にだけにするスキンシップだ。

  小さな頃は別だが、中学生だって友人の匂いを嗅いだりはしない。

  湊が聡実のことを家族同然に思ってくれてるのはわかってるし、中学の頃はよく二人で出かけていたし、聡実が声をかけられるたびに、触られていないか安全確認で匂いをかがれていたのは事実だ。

  でも、今はもう高校生。

  なにより聡実は繰り返すが、湊が好きなのだ。好きな人に公共の場で匂いをかがれるという行為が、どれほど心臓に悪いか!

  ただの能天気で守られるだけの、ぼんやりした聡実じゃないのだ。

  聡実はふーっと深呼吸して、真面目な顔をする。

  「心配は嬉しいけど、湊の恋人が見たら悲しむよ」

  「いない」

  「じゃあ、湊のこと好きな人が見たら悲しむ」

  「俺は好きじゃないからいいよ、別に」

  「……常識的に考えて、ダメ」

  「……そんなに嫌だったのか」

  普段の様子からは想像できない、くぅんと可哀想な声が聞こえてきそうなほどに落ち込んだ湊に、聡実は心の中でそんなことないよ〜! うれしいよ〜! とゴロゴロニャーニャーして、頬がだらしなく緩みそうになるのを気合いで引き締める。

  まあ聡実が湊のこの顔に弱いのを知って、この顔をしてるので、バレてるのはわかってるが。

  「昔から僕のことを守ってくれてたし、その癖なのはわかるけど、これからは匂いをかぐのは、だめ」

  「聡実……」

  何か言おうとしていたが、タイミングがいいのか悪いのか……聡実からしたら最高のタイミングで館内がゆっくりと暗くなっていった。

  周囲の会話の声も小さくなるので、聡実たちの会話も自然と終わりを迎えた。

  「前見て」

  と言うと、悲しそうな顔をしながらも前を向いた。

  きっと守っていた小さな子供だと思っていた聡実が、手を離れていくのが悲しいのだろう。

  ちょっと違うけれど聡実も、高校生になり湊が恋人ができるまでまるでこの狼を自分のものだと思っていたので、その寂しさはわかる。

  湊も寂しく思ってくれてるんだと思うと、嬉しくなった。

  パンフレット見れなかったなと気持ちで嬉しさや、匂いをかがれたことへの恥ずかしさを誤魔化しながら、映画が始まるのを静かに待った。

  [newpage]

  「楽しかったぁ」

  「想像以上に良かったな」

  映画が終わり、あたりが明るくなるとすぐに「見つかる前に出るぞ」と囁かれて映画館を出てる。

  始まる前の微妙な空気感もなくなっていた。

  ショッピングモール内の飲食店でご飯を食べよう、ということになり色々な飲食店が集まっているスペースに向かう。

  「あとでパンフレット読み込まないと」

  買ったまま開いてないパンフレットを大切に持つ。

  パンフレットでは舞台セットの説明や、俳優陣のコメントが載っていたり、監督たちのおすすめポイントが書いてあることが多い。ネタバレも含んでいる場合があるが、聡実はネタバレをまるで気にしないタイプなので、映画前にパンフレットを読んで「あ、ここ書いてあったところだ!」と楽しんだりする。

  パンフレット読んでまた見たくなったら、父が休みの日に誘ってみようかな、なんて。

  聡実はとても上機嫌だった。

  「俺にもあとでパンフ見せて」

  「うん。一緒に見よ」

  飲食店が並ぶスペースに来ると湊が「あの店にしよ。空いてるし」と言う。

  こういうときパパッと店を決めてくれるのありがたい。聡実は基本的になんでも食べれるし、なんでも好きなので、ある意味では食こだわりがなかった。

  「二名様ですね。ご案内します」

  ニコニコしている店員に席に案内される。

  向かい合って座り、湊がメニューを渡してくれる。

  麺類がいいな、と麺類のページを吟味する。

  聡実は好き嫌いなくなんでも食べるタイプだし、小さな見た目を裏切って結構食べる。あらゆるところが母に似ていると言われている聡実だが、よく食べるところは父にそっくりだ。

  メニューを見て一番最初に目についたカルボナーラにしようと決める。

  目線をあげるとバチッと目が合う。

  「決まった?」

  「うん。カルボナーラにする」

  「飲み物は?」

  「お茶でいいかな」

  メニューを渡すと、湊はパラパラと軽く捲るとチャイムを押して店員を呼ぶ。

  何食べるんだろ、多分肉だとは思うけど、さっきメニューを見た感じだとハンバーグステーキかな。それかドリアとか?

  「カルボナーラと、ハンバーグステーキ」

  「カルボナーラとハンバーグステーキですね。お飲み物はどうなさいますか?」

  「お茶と……あー、お茶二つ」

  「お茶二つですね」

  正解だあ。

  店員が復唱し、しばらくお待ちくださいと営業スマイルを湊に向けて言う。

  店員さえも虜にしてる狼に感心しているが、湊は目線を一切向けず興味なさそうだ。

  「……そうだ。聡実、スマホ」

  「あ、忘れてた。ありがとう」

  「現代人とは思えないセリフ……。友達からの連絡とか、SNSとか、気にならねぇの?」

  「連絡は後で返せばいいし……SNSも……」

  SNSは例のエロアカウントと、誰にでも見られてもいいアカウントの二つだけど、どちらも頻繁に確認したくなるほどじゃない。

  強いて言うなら父に何かあった時にスマートフォンを持ってないとまずい、くらいだろうか。

  スマートフォンを受け取ってテーブルにおく。

  それより、と聡実はパンフレットを広げる。

  目をキラキラさせながら映画の内容を語る聡実に、@湊はうんうんと頷きながらも、ちょくちょく感想を挟んでくれる。

  「あの鷲の俳優さん、めちゃくちゃ格好良かった。この映画がデビューの若手俳優だって」

  「いい演技してたな」

  「ね!」

  鋭い瞳でカメラを睨みつけている顔は勇ましく、光り輝く嘴が最高に格好良かった。

  背中に生えている翼を大きく広げたときの姿は、神々しささえあった。どっしりとした若々しい体躯はきっとこの映画でファンが増えるだろう。聡実は主役の俳優が目的だったが、映画が進むにつれて脇役のその鷲の俳優に目が行くようになっていた。

  聡実は変態なので、ああいうがっしりした体型の男をみるとエッチしたらすっぽり隠れちゃうんだろうなぁと考えてしまう。聡実は、変態だから。

  もっともそういう妄想をするようになったのは@湊の体格が良くて、そこから始まっているのだけど。

  「このシーン、良かったな」

  「わかる!」

  映画のワンシーンがのっている写真を指さす。

  美しい綺麗な豹の女の獣人が、鞭のように体をしならせて敵を薙ぎ倒していった。迫力もさながら、獲物を睨みつける眼光の鋭さは、映画だと分かっていてもちょっと怖かった。

  お互いにパンフレットをみながらこのシーンがいい、あのシーンが、この俳優がと語っていると料理が運ばれてくる。

  ご飯を食べながらも二人の会話はとても弾んだ。

  ほとんど聡実が喋っていた気がするが。

  食事を終えて会計を済ませる。

  しばらく歩いたところでトイレのマークをみつける。

  「あ、ごめん。トイレいってきてもいい?」

  「おー。待ってる」

  トイレはピカピカで清潔感があった。

  混んでなかったので遠慮なく個室に入る。

  湊と一緒はやっぱり、楽しい。

  高校生になってから昔みたいに一緒にいるのが当たり前ではなくなったけど、その代わりこうやって遊びに出かけると、以前よりも胸がドキドキするし、楽しいし、幸せな気持ちになる。

  用事を済ませてトイレを出る。

  手をしっかり洗って機械で手を乾かし、トイレを出る前にスマートフォンの電源をつける。

  SNSをタップして、エロアカウントを開く。

  今日はいいことあったよ。簡単にできそうな女装してみるからきてほしい服装コメントして、と。

  ポチポチとうち、誤字がないかみて確認する。

  「えー、女装? そういうの趣味なの?」

  「ッ……!?」

  「トイレ入ってくのみえてついてきちゃった。一緒にいたの、彼氏?」

  肩が触れそうなほど近くにいた犬の獣人に、聡実は悲鳴をあげることもできずにビャッと軽く飛び跳ねて距離をとった。

  ドッドッドッ、と心臓が恐ろしいほど早鐘を打つ。

  はくはくと口を動かす聡実に犬の獣人は跳ねた距離を詰めた。

  「そのアカウントみせてよ。女装リクエストされるって、どんな投稿してんの? 俺気になるわ」

  「……どいてください」

  睨みつけて、避けようとしたが前を塞がれる。

  こういう時に限って誰もいない!

  聡実はイライラしながらも、股間を蹴り上げて逃げようかと足に力を入れると「みーせーて」と男が手に持っていたスマホを取り上げる。

  さ、と血の気が引いた。

  「ちょっ、な、なにすんのっ!? 返して!」

  「えーっと……え、なになに……。は? なにこれ」

  「や、やめてください! やめろって!」

  犬の獣人はぐるっと聡実に背を向け、スマホを見る。

  パニックになっている聡実は毛を逆立てながら、前に回り込んで腕を掴むけれど振り払われる。

  「再生していい?」

  「だめ! 返して、かえしてっ!」

  「うっわ、エロ。音小さいな……」

  ニヤニヤしていた犬の獣人が、真面目な顔で言う。

  聡実は確かに変態だし、顔の知らないネット上の不特定多数の人に見られることをヨシとして動画をあげている。しかし悪意を持ってコメントしてきたやつに見られても嬉しくないから即ブロックしてるように、でもこんなナンパ野郎にみられても嬉しくない。

  それにネットで顔が知らない人たちに見られてるからこその興奮するものがあるわけで……とパニックによって訳のわからない言い訳をしながら、聡実は画面を隠すように必死にスマホを掴む。

  「見えねえだろうが!」

  ドン、と勢いよく突き飛ばされた聡実だったけれど、その足をもつれさせることもなく、背中を支えられた。

  そんなことをしてくれるのは、当然、トイレの外で待っていてくれている彼で。

  「遅いと思って見にきたらさァ……お前コイツに何してんの?」

  「んだてめぇ。邪魔すんなよ」

  「あ゛?」

  地鳴りのような低い声だった。

  ものすごく、怒ってる。

  本気で怒ってる。マズルにシワを寄せて鋭い牙を見せつけている。一歩でも動いたらお前を噛みちぎってやる、狼からのプレッシャーに犬の獣人は明らかに怯えているのに、逃げることはプライドが許さないのか狼を睨みつけていた。

  守ってくれている。聡実のために怒りを露わにしてくれてきる。

  しかしそれに安心することはできなかった。

  それどころか、顔を青褪めさせた。

  バレたくない。湊に──バレたら、終わる。

  聡実は変態である。しかしそれ以上に湊に恋している可愛い猫の獣人だ。湊にバレたら、嫌われる。嫌われたら、言葉通りしぬ。

  「なんだよ、お前あれか? もしかして、このアカウントで知り合った系?」

  「うるせぇな。いいからスマホ返せよ」

  「み、湊! も、もう、行こ?」

  「はぁ? スマホどうすんだよ」

  「いらない! いいから!」

  「……? 落ち着けって。どうしたんだよ」

  顔を引き攣らせて犬の獣人を視界から追いやった聡実は、湊の腕をグイグイ引っ張る。

  強い怒りをみせて、今にも噛みついて相手を血だらけにしてやる──くらいの怒りを見せていた湊も、聡実の様子に怒りを納めて困惑を表面に出した。

  その様子に勝ち誇った顔をしたのは、犬の獣人だった。

  「は、ははは! ただの友達? なら動画見てもらえよ! お、ぉ、お前みたいなビッチ、俺のほうがお断りだってんの」

  「ビッチ? ハ? なに、お前」

  ニヤニヤした顔で動画を見ようとしてたくせに、犬の獣人は湊にスマホを押し付けるとギロッと睨みつけられて「きゅうっ」と可愛く鳴いて逃げていった。

  狼のプレッシャーに抗っていたプライドは秒で折れていたらしい。

  「……」

  「……」

  「……。す、スマホ、ありがとう」

  ゆらゆらと尻尾を揺らしながら、聡実はスマホを受け取ろうと手を伸ばした。

  しかし湊は「ビッチって何?」とスマホを遠ざけた。

  「な、なんだろうね? わかんないや」

  「……見ていい?」

  「ダメ! 絶対、ダメ!」

  「あの犬が見て、俺がダメな理由ってなんだよ」

  「……それは、湊だから」

  湊は不愉快そうにグルルと喉を鳴らすと、スマートフォンの画面を聡実に向けた。

  「暗証番号」

  「……見たら嫌いになるよ」

  「俺のこと嫌いになんの?」

  「違う。湊が、僕のこと」

  「何だそれ。ねぇよ。安心しろ」

  「……。なんで見たいの?」

  「気になる。見せてくれないなら、聡実の親父さんに、お前がビッチって言われてたけどって話してもいい?」

  「お、お父さんの心臓止まっちゃう」

  「うん。だから、聡実、暗証番号」

  ぽん、と頭に手を置かれる。

  耳をぺちゃんこにして、両目に涙を浮かべている。

  聡実は絶望して、頭が回らなかった。

  楽しい休みだったのに、どうしてこんな気持ちになってしまったのか。

  「てか、あのクソナンパ犬野郎が動画だとかビッチだとか言ってた時点で、だいたい把握できてる」

  「……じゃあ見なくていいじゃん」

  「は? だからあの犬が見て俺が見ちゃだめなの意味わかんねえだろ」

  「わ、わかんない、意味わかんないってぇ……なにいってんのぉ……」

  「はぁ……自分で言えないなら、やっぱり親父さん巻き込むこうか?」

  どんな動画かだいたい把握したうえで、気持ち悪がるわけでもなくなぜか対抗心を剥き出しにしてくる湊に、また軽くパニックになる聡実は、トイレに入ってきた兎の獣人が二人を見てギョッとしたのを見てちょっと冷静になる。

  父が知ったら失神して、心臓が止まって、母の元に行ってしまうだろう。聡実のことを純粋無垢な天使ちゃんだと思ってるのは父だから。

  聡実はごきゅっと唾を飲んで蚊の鳴くような声で「僕の家……なら……」と言う。

  「よし。じゃあ行こう」

  聡実のスマホ湊のポケットに。

  腕を掴まれる。

  絶対に逃さないと言う意思を感じた。

  どうやって回避するか、考えろ。

  考えろ。

  「すげぇ、簡単にはいったな」

  「……ん、あ゛ッ、あ、んあ〜〜っ♡♡きもちいい、にゃ、ア、あッ、みなと、みなとおっ♡♡」

  「はは、毛えびちゃびちゃ」

  ベッドに寄りかかるようにして、両足を開き、いつもみたいにディルドを尻穴に突っ込んだ聡実はごろごろにゃーにゃー喘ぐ。

  家に着いて、動画を見せて……スクロールして片っ端から動画を見られた。しかも結構大きな音で。

  「実際に見せてよ」

  動画を見終えた湊はギラギラした目でそう言った。どうみても発情していた。

  投稿したオナニー動画をみて、好きな人が蔑んだり罵倒してるんじゃなくて興奮してくれてるなんて………! とはなんて聡実は思わなかった。

  動画を見せた時点で、あーあもうここまできたらどうにでもなーれ! と思考停止して何も考えてなかった。

  何も考えてなかった結果言われた通りに服を脱ぎ、タオルを引いた床の上で、両足を開いて……ベッドの下に隠していたローションをたっぷり使っていつも通り後穴に突っ込んだ。

  今の聡実は思考停止した変態なので、前立腺を刺激し続けてればちんこはいつも通り勃起した。

  夢の中にいる感覚だった。事実、現実逃避している。

  それどころか凝視してる湊のすがたに、興奮していた。

  ぐぽっ♡ぐぽんっ♡

  ぐちゅぐちゅっ♡ぬぽっ♡

  ローションまみれのディルドを一生懸命動かす。

  ぬぷっ♡ぐちゅんっ♡ぐちゅ♡ぐちゅ♡

  「あ゛、オ、おっ♡♡お、ぉッ♡♡あ゛ぁあ〜〜っ♡♡きもちいいとこあたってるっ♡♡ほっ、おっ、お゛っ♡♡」

  「当たってる? 違うだろ。自分でズコズコして当ててんだろ」

  「にゃ、あ、あ゛っ♡♡ちがう、あててないっ♡♡ん、ゥんん゛〜〜ッ♡♡♡♡」

  首を振って違うと言ったところで、聡実の手が動かしてるのは事実だ。

  「なあ、動画見たけどいつもこうやってケツにおもちゃ突っ込んでオナッてんの?」

  「うんっ、ぅんっ♡♡そうだよっ♡♡♡は、はあっ、あっ♡♡このおっきい偽物のちんこいれて、きもちくなってるの♡♡」

  「へぇ……きっかけは?」

  「は、あ〜〜ッ♡♡♡まって♡♡♡はあ、はーっ、だめ、もう、もうイくッ♡♡っ、ん、あ……ッみ、湊っ!?♡♡なんでっ? 手はなしてよ! いくの、僕もうイくからぁっ♡♡」

  腰をヘコヘコさせはじめ、手の動きがより激しさをまし、さあ絶頂……! というタイミングで湊が腕を掴んでしまう。

  びゅっ♡と少しだけ飛び出た精液だったが、その後には続かなかった。

  なんという地獄。

  気持ちいい絶頂をむかえるはずだった聡実はほろほろと生理的な涙を流した。

  「はなして、はなしてよぉっ」

  //

AdAd