松竹梅畜生。それがこの世界における世の理。人口は雄で十割を占めており雌はいない。いや言い方を変えればいる、と言った方が正しい。
ともかくこの世界では雄しかおらず、細分化すると3つの性別がある。
これはその中でマツ型と呼ばれる、世界で最も希少なテイルタイプであり、社会的地位が勝ち組を約束されているほどの存在の一端のお話。
そしてこの物語の主人公、獅子牙 玲央。経済界でその名を知らぬ者はいない大御所。たった一代で大企業レオンコーポレーションを築き上げた敏腕の経営者であり、その本人もこの世界では希少な存在であるマツ型の獅子獣人だ。
本人はすでに50を超えた近々引退が噂される年齢だが、未だ彼の手がけた商談は相手に弱みを握らせず、不利な条件を掴ませながら首を縦に振らせる。
そんな彼だが、誰にも言えない秘密を隠し持っていた…。
午後11時54分。社内には残業する者や警備員すらもあまり残っていない時間に、獅子牙はどこか神妙な面持ちで一人エレベーターに乗る。
すぐに操作盤には手を触れず、懐から一枚のカードを取り出して操作盤の一番下にある一筋の隙間に読み込ませる。
ピコンと心地よい音がエレベーター内に響くと機会音声が行き先を告げた。
『カードを読み込みました。シークレットフロアへ参ります』
レオンコーポレーション程の世界を股にかける大企業ともなると、抱える秘密は常人が思い描くスケールとは大きくかけ離れていく。このレオンコーポレーション本社の地下フロア、通常は物資を格納する大倉庫やこれまでの商売が記録された台帳がある資料室があるが、それよりもさらに深く…CEOである獅子牙本人と一握りの大幹部しか存在を知らされていないうえに、先程のように専用のカードキーがないと辿り着けない仕掛けになっている。
そこまで周到にして隠しもつ秘密が、この会社にはあった。
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エレベーターに乗ってからかれこれ数分ほど経過した頃、ようやく到着した本社より地下50mに位置する通称シークレットフロア。そこでは獅子牙 玲央が“あること”をするためだけに存在する部屋。その広さは全体でサッカーコートほどの規模。部屋はこのエレベーター前の広場と目の前の扉の先の部屋しかない。
その部屋を、獅子牙は扉を開けると…驚愕の光景が待っていた。
部屋を開けると始めに感じるのは鼻が曲がるほどに蓄積された雄の体臭。部屋の中には雄獣人が拘束椅子にて目隠しに口枷を掛けられて拘束され、口やチンポ、乳首、アナルにチューブに繋がれていた。拘束されている当人らはまるで何日もお預けを食らっている犬のように、何かに対して声にならない声を挙げながら必死になっていた。それがこの部屋全体に何十人も同じ状態にされている。
しかし獅子牙がそんな被人道的な光景を目の当たりにしても、怒りや驚きも沸いてこなかった。それもそのはず、この何十人もの雄獣人を拉致してこいと部下に命令したのは獅子牙本人なのだ。
話を一旦変えて、この世界の雄獣人は一定期間ごとに発情期がやってくる。この発情期が厄介極まりなく、どのテイルタイプの獣人でも一度発症してしまえば解消するまで交尾のことしか考えられなくなる。
発情期は通常、遅くとも30代頃には自然に発症しなくなる。だが獅子牙の場合、50を超えてもなお発情期が訪れることが発覚した。医者に聞いても原因不明と診断され、獅子牙本人もほとほと困っていた。
匿名性欲処理サービスを利用するという手もあるが、獅子牙は古いタイプで誇り高いの思考の獣人だからか、そういった類の手段は使うことを躊躇った。それと過去に一度秘書から薦められて利用したことがあるが、担当した獣人が逃げ出すほど完膚なきまでに抱き潰したことがあった。獅子牙のセックスは老いてなお盛んと、歳を重ね修羅場を潜り抜けるたびに凶暴化していった。相手が行為の最中で生命の危機を感じるほどに。
レオンコーポレーションのトップとして。また一人の父として、いい年してこうして密かに性処理をしているどうしようもない男としての自分を、日の元に晒される訳にはいかなかった。
故に獅子牙は発情期が来るたびにこの部屋へ赴き彼だけの、規格外の性行為が始まるのだ。
部屋を一通り一瞥し、気に入った雄はいないかと見回っていると、周りの拘束されている屈強な雄と比べて小さな体格が目立つ鼠獣人がいた。鼠獣人といっても彼の有する体格は平均よりも軽く越しているが。
彼の姿には見覚えがあった。側の端末に名前が表示されていた。江走 斗鼠(えはしり とそ)と
「そうか…貴様は確か、ウチをしつこく嗅ぎ回っていた三流のブン屋か。どこで“ここ”の存在を聞きつけたか知らないが、お目当てのモノを見つけた感想はどうだ?」
そう問いかけたところで、この地下室で今日一日中絶頂を迎えられず、生殺しの状態で放置された彼にとって、獅子牙の声は聞こえず、姿も見えない。
彼は獅子牙が壮年を超えても発情期が訪れる噂を聞きつけ、このスクープを掴むために獅子牙の周囲を張っていたのだ。しかし運悪く獅子牙の蜘蛛の巣に引っかかってしまい、こうして今宵発情期の獅子牙の手によって雌にされてしまう運命にあった。
「貴様のような、私のことを精液をコキ捨てたゴムよりも酷い記事を書く記者など、居なくなっても誰も困らないからな。マツ型である私の性処理に貢献できる事を光栄に思いながら…」
「イキ狂いながら、その所業を後悔するがいい…♡」
獅子牙は椅子の側にある端末を操作して拘束を解除し、自由の身になった鼠獣人を抱き止めて、彼の口に思いっきりディープキスをした。
ブチュ〜〜〜ゥ!ジュルルルルル!ベロンベロンヌロヌロヌログチャングチャン、ブ〜〜〜ッチュ!
「ーーーーーッ!♡♡♡」
獅子牙にキスをされた鼠獣人は、目を見開きながら夥しい量の射精をする。これが彼の雄としての最後の射精だった。マツ型の獣人にキスされた獣人は、問答無用であらゆるテイルタイプの雄を孕めるウメ型に変化する。そして、たった今鼠獣人にとって獅子牙 玲央は心から絶対従順を誓う天上の存在として認識する。
雌化した際に精子はもう2度と子宮には着床出来ないほどの雑魚雑魚ミクロおたまじゃくしと化し、以降チンポと金玉は当人にとって無意味な飾りとなる。
「あ〜、あへぇ…♡獅子牙さまぁ…今まであなた様の根も葉もない誹謗をネタに小金稼ぎしてた哀れな私めを性処理に選んでくれて、ありがとうございまひゅぅ〜♡」
「ふん、私は慈悲深いのでな。斯様な生かす価値もない畜生風情にも利用価値を最大限見出し、活用していく。これが私の世の中を動かすポリシーだ」
「では今から貴様を思う存分ぶち犯すが、異論はないな?」
「はひぃ〜♡!獅子牙様に頂いたせっかくのチャンスを…イカせてみせますぅ〜♡!」
「ククク、いい子だ…♡」
獅子牙はスーツ、Yシャツ、ズボンと順に脱ぎ去っていく。獅子牙の肉体は50を超えているにも関わらず筋骨隆々でアスリートを彷彿とさせる肉体美。そして脱いだ衣服は鼠獣人に向かって乱雑に放り投げる、すると。
「スゥ〜〜〜ッ♡ハァ〜〜〜ッ♡獅子牙様の汗の匂いっ♡たまんないぃ〜♡!」
「当然だ、その汗は貴様ら凡人が掻く汗とは違う。世界を動かす雄の働きの汗だ、存分に味わって良いぞ」
許可を得た彼は獅子牙が脱いだ衣服に飛び入るように食いつき、汗や体臭が多く蓄積しているであろうYシャツ脇の下の部分やズボンの股間に当たる部分を鼻息を荒くして嗅ぎまくる。
そして、もう存在価値がなくなった股間のチンポをガシガシと扱き、この地下室で溜まったフラストレーションを発散させ、その様子を獅子牙は嘲笑しながら見守る。
もう鼠獣人の脳内は目の前の獅子に抱いてもらうことしか無く、その妄想で自慰をして。
「ぬおぉぉぉ!獅子牙様の匂いだけでっ!イグゥゥゥッ!♡イきます!」
プシュ〜ッ!プシャーーーッ!
江走の逸物から再び精液が射出されるも、その粘度や量は雄のそれでは無く、子を成すことは皆無な程。だはそれも成分がほとんどが潮であり、江走に残った『自分はまだ雄であると』僅かな理性が起こしたものであった。
獅子牙は恍惚状態の江走の側まで寄って、最後に残ったパンツに手を掛ける。江走の視線の先で獅子牙の履いているパンツが少しづつ中の膨らみの正体が明らかになっていくと。
突如江走の意識が一瞬朦朧した。先ほど以上の濃い雄の匂いが江走の鼻にダイレクトに襲いかかってきた。
姿を現したのは恐ろしいまでに天高く聳え立った獅子牙の巨大な肉棒。考えなくても、アレが今から自分の尻穴を犯し尽くすのだろうと理解する。しかし理解したところで、今の江走には抵抗も拒否も許されない。マツ型の雄の接吻によってウメ型の雄に変えられた江走は、ここで獅子牙に犯して貰わなければ、一生発情の苦しさに苛まれる。そうでなくとも逃げることなど彼自身も獅子牙も選択肢に用意はしていなかった。獅子牙は逸物を江走の顔の側まで寄せて…。
「しゃぶれ」
と威圧感を孕んだ低い声で命令する。江走も喜んで出された肉棒を口一杯に頬張る。体格差のせいで肉棒の全体の7割程度口に含むので江走は精一杯だ。それでも獅子牙のことを想えば江走の嫌悪や苦しさは無かった。久々の他人からの奉仕の快楽に酔いしれた獅子牙は江走の頭を掴んで腰を少し引いて口から肉棒を離すと。
「フンッ!フンッ!フンッ!」
容赦も慈悲もない相手を屈服させるイラマチオ。江走の小さな鼠の口に巨躯な獅子の逸物によって蹂躙される。突然の攻勢に江走はえずくも、本能的に喉を間隔を広げ、少しでも快楽を感じやすい環境に整う。
「うぐっ、おごっ、えぐぅっ」
「ハハハ、いい子だ。ようやく私の雌としての自覚を持ったか」
江走が涙を流し、苦悶の表情を浮かべながらながら痛みや僅かな嫌悪に耐えている様子を獅子牙は歪に笑い、容赦のない責めを続ける。獅子牙にとってウメ型やタケ型の獣人など単なる平凡な有象無象、手駒、性処理道具に過ぎない。そんな有象無象など自分の役に立ち、自分に付き従えばそれでいいというスタンス。
一歩間違えれば暴君そのものだがマツ型の獣人として生まれた境遇、驕り、周りからの畏怖すらも確かな富、名声、権力に変えてきた。
「まずは上澄みだ…しっかりと味わうのだぞ♡?イグッ!射精るっ!」
ドプッ!ドピュルッ!ドピュルルルルルーーーッ!
「んぐぅ!んっぐ!んんんーっ!」
子作りも遺伝子も優秀な獅子精液が江走の口内に濁流のように侵入していき、その勢いは数秒程度で終わるはずもなく、10秒、20秒、30秒…。この瞬間のために溜まった未だ現役バリバリのザーメンが江走の体内を占領する。そして江走の体内が満杯になると、獅子牙は口から肉棒を引き抜いて次は体全体にぶっかける。
一方江走は緊張のほぐれた下腹部からチョロチョロと暖かい液体が漏れているが、気にせずだらしない顔を浮かべ人生最高の悦に浸っていた。
「ふむ、もう壊れたか。まだ下が控えていると言うに、肉の具合がいいだけに勿体無い」
「まあいい、こいつは記憶を改ざんして元に戻しておくか。これだけ具合がいいなら体を売る方が彼にとって天職だろう」
獅子牙がグッタリと倒れた江走を再び椅子に戻して横の端末を操作する。すると江走に初めのように椅子に拘束され、口やチンポ、乳首、尻穴に液体を通すチューブが伸びてきて、それぞれに装着される。そして仕上げにもう一つ別の処置が施される。
半円形状のヘッドギアが降りてきて江走の頭に装着される。これはレオンコーポレーションで密かに開発した、人の記憶に干渉出来る装置。もちろん獅子牙の手の者によって拉致されてきた人々の“都合の悪い記憶”を消去するために作られた代物だが。
『装置の装着、並びに被験者の体調、意識レベルが処置可能内を確認』
『これより規定時間内の記憶の消去及び改ざんを行います』
規則正しい機械音と共に江走の脳内は今獅子牙の都合の良い内容に書き換えられていく。
今宵を以てこれまでの江走 斗鼠という獣人はこの世から消え去り、明日からは新たな江走 斗鼠としての人生を歩むだろう。偉大なる存在の逆鱗に触れた罰として…。
[newpage]
「ふむ…ここら一帯の雄はあらかた抱き潰したな。そろそろメインディッシュと行こうか」
あれからこの地下空間にいた十数人の雄獣人たちは獅子牙の手によって、全員根っからの淫乱なマゾメスに変えられ、一生ウメ型以上の雄の逸物無しでは生きられない体となった。
現在時刻は午前2時12分。ここまで休憩無しで大勢の雄獣人と性行為をした獅子牙は疲れるどころか、やっとウォーミングアップが終わったような清々しい表情をしていた。
そして獅子牙は、部屋の一番奥の一枚の扉に目を向ける。まるでスパイ映画に出てきそうな厳重なロックが掛けられた扉。だがその奥にあるのは会社の所有する資産でもなければ、技術の特許書や土地の権利書でもない。それ以上の危険と価値を秘めたモノがそこにある。獅子牙は計3つあるセキュリティを解除して中へと入っていった。
その中には…。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ!」
中はあるモノを除いて何も無い金属の床と壁に囲まれた殺風景な部屋。そして中央には同じく椅子に拘束され口や恥部にチューブが繋がれた雄の狼獣人がいた。狼獣人は獅子牙の姿が見えるなり血相を変えて、憎悪に満ちた眼差しで睨みつける。
「やあ、気分はいかがかな、ウルフカンパニーのお坊ちゃん?」
彼は名は大神 狼八(おおかみ ろうや)。獅子牙と同じマツ型のテイルタイプの雄獣人。
ウルフカンパニーは20世紀初頭に彼の祖父の大神 駿が創設した自動車の製造会社で、その息子である狼八の父が今まで培ったコネやノウハウ元に手広く展開し、世界に誇る大企業となった。
しばらくして父が亡くなり、マツ型として生まれ周りから大いに期待されていた狼八が受け継いだまでは全てが順調だった。彼が後を継いでからしばらくして、彗星の如く頭角を表したレオンカンパニーに押され気味である。
しかし、そのことで獅子牙は狼八を侮辱するつもりはない。
「はぁ、はぁ、どういうつもりです…?獅子牙 玲央…さん」
「どうにもこうにも、あなたは自分の置かれた状況はご存知ですか?」
「まあ無理もないでしょうが、一言で言えばあなたは売られました。あなたが日頃、信頼と敬愛を向ける部下にね」
「バカな、そんな筈は…!それに、ここは一体なんなのだ…。外にいる連中といい、貴方は獣人にこんなことをしてなんとも思わないのか!?」
「もしこの所業が公に明るみになったら、貴方は失脚では済まない筈だ」
「ふふふ、温室育ちのお坊ちゃんには少々刺激が強すぎましたかな。ですがご安心を、今宵私めと交尾をすることで、貴方を自然と雄の逸物をねだる立派な雌に仕立て上げて見せますよ…♡」
「ふざけるな!僕は貴方の思い通りにはならない。いや、二度となってやらない!」
「今頃僕が行方不明になって警察も動いているだろう。それに万が一のために、僕の体内にはGPS付きの発信器が埋め込まれてある」
「ここが発見されるまで時間の問題だろう。その時は獅子牙 玲央、貴方の快進撃も夢と潰える…!」
勝った!狼八の表情には王手を決め、勝利を確信した武将の顔をしている。
だが、当の獅子牙は狼八の勝ちへの算段を聞いても眉ひとつ動かさず、むしろ狼八の余裕を嘲笑っていた。
「いやぁ結構結構。まさかそこまで周到に用意がされているとは思わなんだ。貴方はただ甘やかされて育った俗物ではないのですね」
「ちゃんと自分の立場を弁え、自分の命の価値も理解している」
「だからこそ、屈服のし甲斐があるんだよ」
「なんだと!?…ともかく貴方は終わりだ。ここで僕を殺そうとも、貴方の罪がさらに重くなるだけです、諦めて僕を解放して…」
「ハハハ、私は昔から諦めの悪いタチでね。それに、発信器は今の君の体にはないぞ。嘘だと思うなら埋めた場所を当ててやろう。右耳の裏の辺りだ」
「なっ!?」
どうしてそれを、と言いかけたがそれは敗北宣言に等しいセリフであった。狼八は歯を食いしばって、まだ負けていないぞと獅子牙を睨み続ける。
「我々レオンカンパニーを侮らないでいただきたい。今や世界中の最新鋭の技術が結集しつつある会社です。発信器などの電子機器を事前に発見したり、それを本人に気づかずに外科手術で取り除く方法だってある」
「貴方のように生まれにあぐらをかいて上から指図しているだけではありません。自分が扱う牙はちゃんと理解しているさ…ククク」
「くっ…だが、たとえ次に発信器を無力化したとでも言うだろうが、まだ誰かが僕の不在に気づいて警察が動く可能性が残っている。いくら貴方でも警察の捜査は無視できないでしょう?」
それまでに僕が耐えれいれば良い。権力者の理不尽に勝った僕は、人々から英雄と呼ばれるに違いない!生まれに甘んじてあぐらをかいていたのは貴方もだ、獅子牙 玲央!
「…な〜んて、考えてはいないでしょう?」
「なっ!?」
「最初にも説明したでしょう?貴方は売られたと。もっとも、私が用意した間者によって、ですが」
「どういうことだ…?」
「ふっ、簡単なことだ。貴方の作った派閥があまりにもお粗末だったのでな、少し小突いただけで皆こっちに靡いてきたよ」
「う、嘘をつくな!あの人たちは、僕が長い間努力と説得を重ねて、ようやく僕に舵取りを任せてもらえたんだ!そんな、簡単に…」
「私は如何なる場合にも嘘は言わない。この世界は信用が大事だが、同時にそれを確約する証も必要なのさ」
「君が今味方だと思っている連中は、全て私の掌の中にある。たとえこうしている間に君が地上で行方不明になっていようと大事にはせず、大病を患って入院してるとでも世間に広める手筈になっている」
その言葉を聞いて、狼八は急に魂が抜けたように狼狽する。あらゆる手が目の前の男に悉く覆された以上、抵抗することも喚くことも一銭たりとも価値は無い。大人しく、獅子牙の思惑通りなるしかない…それが、今の自分にできる最善の努力だった。
「安心しろ、何も君を殺すわけじゃない。君の命も、ウルフカンパニーの命運も、全てはレオンコーポレーションという捕食者に喰われるだけだ。永久にね」
大神狼八は絶望した。そんな彼に、獅子牙は狼八の顔に触れて優しく口付けをする。今でも僅かに憎しみの炎がメラメラと燃える相手だが、突然の優しい愛撫に絆されて、憎しみは反転して愛情へと変わってしまった。
それは狼八にとって、同じマツ型の雄獣人でも、生まれ持った格の違いという物をひしひしと感じた瞬間であった。
先ほどまでの野獣のような接吻と違って、初心者を優しく指導するようなベテランのテク。相手の調子に合わせて相手の舌を舐め取り、時折隙を与えてお互いに楽しもうという大人の余裕が感じられる時間。このようなキスを経験してこなかった狼八は、獅子牙に完全に惚れてしまった。
「(経営者としても、ヒトとしても、キスだけでここまで違うなんて…僕…♡)」
狼八がキスの余韻に浸る暇もなく、獅子牙はすっかり解れて開発されきった狼八のアナルに指を突き入れる。マツ型として、生まれてこの方一度も後ろを使ったことのない狼八の尻穴はぽっかりと雄を悦ばせる極上の名器になっていた。
「ほゎ…なにこれ…お尻イジられただけのこんな気持ちいいの、なんで…」
本人にとっていつの間に尻穴が開発されていたことに疑問は浮かばず、全くの未経験の快楽に恍惚の表情を浮かべる。狼八の心にウメ型の雄としての心や本能が生まれつつある瞬間だった。
「大丈夫だ。私に体を預けて、さあ…」
自身が変わっていく不安を覚え、思わず獅子牙に抱きつく狼八。獅子牙もそれに対して優しく微笑みながら抱きしめ返し、背中をゆっくりポンポンと叩く。それに対し狼八は、涙をポロリと流した。
狼八にとって父とは将来越えるべき存在だと言い聞かされ、決して愛情を求めていい相手では無かった。それは狼八も承知の上であった。が、それでも心のどこかで狼八は父からの目に見えた愛情も受けてみたかったと密かに想っていた。
だが今や商売敵に屈辱の数々を受けながらも、こうして「父に愛してもらう子」というものを擬似体験してもらっている。けれども狼八にとって、こんな結果であろうとも悪い気はしなかった。獅子牙は昨日までの狼八にとってかつての父と同じ、心から尊敬できて、越えるべき存在であるからだった。獅子牙の御眼鏡にかかるなら自分はどうなっても良かったと、最初から望んでいた。
それは獅子牙 玲央という雄が自分とあまりにも月とスッポンであると理解したから…。
「獅子牙、さん…」
「ん、いかがしたかな?お坊ちゃん」
「もっと…もっと僕をメチャクチャに犯してください!」
「そんな事をおっしゃらなくとも、私は貴方を二度と歯向かうことのできないように躾けてあげますので…ふふふ」
「ああ…」
その言葉を聞いて口元が綻ぶ狼八。獅子牙は次に少し体を屈め、ぷっくりと勃起した狼八の左乳首を咥え、ちゅうちゅうと吸う。もちろん雄なので乳は出ないものの、最大限まで敏感になった狼八の肉体には、この上ない快感が走る。
「はぁ…!うん…!ああ…乳首がぁ!」
「なんか…来るぅ♡!」
ぷしゃあ!ぷしゃわわわ〜…
狼八の体がビクビクと痙攣すると、鈴口から透明な潮を吹いてメスイキを果たす。
「ああ…ごめんなさい、かかっちゃって。汚いですよね…」
獅子牙は自身にかかった潮を軽く拭い取り、不敵な笑みを浮かべて。
「いい、気にするな。ただ、覚悟はしておけよ?」
と狼八の耳元で囁く。獅子牙は狼八の体を持ち上げて、ぽっかりと広がったピンク色の初々しい穴に歴戦の逸物を当てがい、そのまま挿入した。
「ーーーッ♡!」
暴力的なまでの質量の肉棒が、狼八のヴァージンロードを通過していく。ようやく待ち侘びた強い雄による陵辱。たった今挿れられただけで今までに経験してきた性行為が全部児戯に思える快楽が狼八を支配していく。
「動くぞ、ちゃんとしがみついとけ。少し、激しくイクぞ。お前のナカが、思ったよりも具合がいいのでな…♡!」
グゥッ!パン、グゥッ!パン、グゥッ!パン、グゥッ!パン、グゥッ!パン…
ゆっくりであるが着実に下腹部から相手の急所を突く、相当な数をこなしてきた熟練者の抽送。かつての自分のように、自分だけが気持ちよくなるための独り善がりなセックスとは大違い。獅子牙が狼八の様子を逐次確認しつつ、ピストンのスピードや抽送の強弱を上手く調整している、まるで愛のあるようなセックス。もちろんそれは獅子牙の策であり、狼八はその術中に文字通りハマっている。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ!全く、大神家では長子に雌の性教育を行うのか?これだけ激しく抱いても、ナカが締め付けてきて中々離してくれん♡」
「あっ、あぅ、ちが…う♡」
「違わないさ。お前を囲っていた部下たちも皆尻の具合が良かったぞ?」
「諦めの悪いとこは一緒だったが、どいつも最終的には私に媚びる根っからの雌になったさ!」
「ふっ、ふははははは!」
「あぁ…あ…」
狼八の脳裏に一瞬、苦労して自身に信頼を寄せてきた部下の浮かない顔を思い出す。訳を聞いてもどこか上の空で、のらりくらりと答えて、なぜか股間が隆起していた。
そうか、あの時すでに、もう…。
そうなれば、自分がこの後迎える結末は分かりきっていた。その上で、大神 狼八は……。
「出すぞ!私の子種を孕み雌となり、手駒となれ、大神 狼八ぁ!」
「は、はいぃ〜〜〜♡!」
ブピューーー!ドピュ〜ルルルルルッ!ブクゥッリュリュリュリュリュ〜〜〜ッ!
「お〜っほぉ〜♡!?あちゅいのがキターッ♡!」
「うぉぉぉ!孕めやぁ!これが、本物の雄のザーメンだぞぉ!」
狼八の腸内の最奥で、全く濃さ、勢い、量が変わらない獅子牙の精液が奔流し、内部を埋め尽くしていく。そうして獅子牙のマツ型の強雄ザーメンと、狼八の完膚無きままに打ちのめされた心が彼の身体構造を静かに変えていく。
何億年も昔の時代から、『種』全体が生き残る為にご先祖様達が遺伝子施してくれた仕掛け。身体構造の一部を子を孕み産める雌の体に変える本能。
そしてたった今…狼八の腹の中に、新たな命が宿った。
「うぅ…あぁ…あ…」
薄れゆく意識の中、狼八は丸みと温かみを帯びた腹を優しく摩った。その表情は憑き物が取れたような安らかであった。
[newpage]
『…次のニュースです。先日にウルフカンパニー本社で開かれた臨時会見にて、代表取締役の大神 狼八氏がレオンコーポレーションの傘下に入ると発表されてより3日が経ちました』
『突然の両社による衝撃発言により、各界は未だ混乱が続いていますが、レオンコーポレーションの獅子牙 玲央会長は…』
「社長…これでよかったのでしょうか」
「よしてくれ。僕はもう、社長じゃない。これでよかったんだ、僕の会社は社内であちこち派閥ができてたようだし、あの人に目をつけられた以上どの道長くはなかっただろうし」
あれから一週間余り。狼八のウルフカンパニーは獅子牙の言う通り、レオンコーポレーションに傘下に入るという形で、喰われた。
喰われた、というのは何もかもを獅子牙に合法的に奪われたとも言えた。つけていた味方、手塩にかけた人材、築いてきた信用そして…祖父の時代から受け継いできたウルフカンパニーの看板。
明日からこの会社は、獅子牙の手のものによって自分が仕切っていた時よりも上手く回ることだろうと、狼八は考えた。
狼八は不甲斐ないと思いつつも、その顔に後悔はなかった。今自分の腹中には、新しい命が宿っている。自分の波乱な人生の中で唯一自分と真摯に向き合い、愛してくれたあの人との子が…。
「それに…君もあの人のことが忘れられないんだろう?」
「ええ、その通りです。まさか貴方があの方からの子種を恵んでくださって、その上子供まで…羨ましい限りです」
そう言う猫獣人の秘書。もとい元秘書も、聞けば狼八の知らない間にあの地下空間へ拉致されて獅子牙に犯されて、獅子牙に忠誠を誓ったとの話した。彼だけじゃない、自分のために集めてきた仲間までもあの獅子によって都合の良い雌、手駒になっていた。
「悪いね。彼が真に愛したのはこの僕だったようだ。でも、望めば彼はいつでも抱いてくれると言っていたよ。まだまだお盛んなんだな…ふふふ」
膨らみ始めた腹をゆっくり撫でながら狼八は微笑む。これから自分は獅子牙家の獣人に、何もかもを奪われ利用される人生が待っている。けれども狼八をはじめとした彼の手によってウメ型に変化した雄獣人たちは獅子牙家の雄に心身ともに奉仕することを最高の栄誉と感じながら生き続けるだろう。