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※カップの音
突然の訪問、申し訳ありません。
いてもたってもいられず、お尋ねいたしました。
昨日のパーティーにはいらっしゃいましたよね。
……では、私が婚約破棄されたのもご覧になられていましたね。
単刀直入に申し上げます。
私と婚約してください。
……あら、聞こえませんでしたか?私と婚約して欲しいのです。
……ふふっ、いい反応ですね。そんなに驚かれるなんて嬉しいです。
……あなたが申されたいことはわかります。どうして自分なのか。それに、昨日の今日なのにどうしてと。まぁ他にもあると思いますが。
元々私は、両親にあなたとの婚約を進めていただきたいとお伝えしておりました。
……驚かれるのも無理ありません。私と貴方は接点がほとんどありません。なので、これは私の一方的な想いにすぎません。
しかし、結果としてその想いはかないませんでした。
第一王子との婚約が知らないうちに進んでおり、貴方との婚約がなくなったのですから。
全くあの男は……私の人生を全て台無しにして……あれが無能なせいで、しわ寄せが私の方にきて、婚約者がいながら別の女性と二人っきりになったり、どう考えてもあちらが悪いのに周りが私のせいだとなんだと……
はっ……すみません、取り乱しました。
とまぁ、そんなことを言っても、もう私には関係ことないことです。それに、無事に婚約も破棄されたので、心置き無く貴方との婚約を進められます。
まぁ、わかっていただけましたか。では、私と婚約していただけますね。
……好きになった理由、ですか?
ふふっ、女性にそのようなことをお聞きになるなんて……
冗談ですよ。まぁそうですね……覚えていないかと思いますが、随分と昔、とある屋敷でのパーティーの日。そのとき私は、大人たちへの作り笑顔に疲れて人がいないところに足を運びました。
そのとき貴方は、屋敷にあった動物の死体を見つけて、埋めてらっしゃいました。そして、涙を流されてました。
その動物がどう言った理由で死んでいたかはわかりません。でも、その動物を思い、涙を流すその優しさに酷く胸を打たれました。
それだけではありません。パーティーでも、ご令嬢が恥ずかしい思いをしないように、そっとフォローされていたり、目立ちはしませんでしたが、貴方の行動のおかげで、騒ぎが起きることなく、パーティーが終わりました。
その日から、私は貴方のことを忘れることができずにいて、気づいたんです。
私は、貴方が好きなのだと。
貴方にとっては大したことではないかもしれませんが、少なくともそれに心引かれた人間がいることは忘れないでください。
過去話をして少し冷静になりました。
婚約についてはすぐに返答は求めません。考えていただいて、それで出た結果であれば、私は諦めます。
それに、もし貴方が私と婚約すれば良くない噂が流れます。
婚約破棄された女性をもらう物好き。
婚約破棄されて傷ついた心に漬け込んだひどい男。
くらいの差もあるので、うちより下である貴方は散々言われると思います。
好きな人がそう言われるのは、私としても心苦しいですので。
それでは、私は失礼いたします。
良い返事をお待ちしております。
※引き止め、腕を掴む
え……あ、いえ。驚いただけです。
握られたところはなんともありません。
それで……なんでしょう……
……婚約して、くださるのですか?
わ、私は嬉しいですがいいのですか?よくない噂が立ってしまいます。
……それでも、構わない……本当に、貴方はお優しいですね。
……もちろんです。週一とは言わず、毎日でもお茶会を開いて、私のことをたくさん知っていただきたいです。
婚約後の噂については私に任せてください。
貴族の中では王族の次に権力のある家系です。私の言葉は、真実と同じです。
……ん?ふふっ、私が何をしようとしてるかは内緒です。
ではすぐに貴方のご両親にもお話ししないとですね。
もちろん今からです。1秒でも早く、貴方と婚約したいのですから当然です。
ふふっ、さぁ行きましょう。
【完】
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