困っちゃう

  失礼を承知で言うが、ここは本当に戦うのが嫌になる。

  

  チームを指揮するのは、元チームメイトの同級生。打撃センスは素晴らしく、左打ちの選手には真似させたくなってしまう。

  

  彼は去年『超変革』とスローガンを掲げ、若手をどんどん使い、戦力をつけていた。

  

  

  開幕して早々、5時間以上にも及ぶ延長戦を戦ったりもした。

  

  勝つのが難しかった。3タテもされた。

  

  

  ちょっぴり不安な思いを抱きながら、澄んだ青空を見上げる。

  

  

  今日は、甲子園での阪神戦。

  

  [newpage]

  

  

  C79「さあ、今日も頑張るぞ~。」

  

  C72「そうですね、監督。」

  

  独り言で言ったつもりが、思った以上に声が大きかったようで、コーチの東出に声を掛けられた。

  

  C79「うわっ!?ひ、東出!」

  

  C72「そんなに驚きましたか?逆にこっちがびっくりしますよ…。」

  

  C79「ご、ごめん…。」

  

  C72「先に準備をしてきますね。ほら、監督、笑ってください(^-^)」

  

  そう言ってグラウンドに行った。

  

  

  次に後ろから走ってきたのは、先発の大瀬良だった。

  

  C14「監督!!」

  

  C79「お、気合い入っているな。その意気だ!」

  

  C14「はい!今日こそ、鳥谷さんから三振を奪います!」

  

  「だーれから三振取るって?」

  

  背後から声がし、肩を叩かれた。振り向くと、

  

  C14&79「「と、鳥谷(さん)!!!?」」

  

  そう、立っていたのは阪神の名ショートの彼だった。

  

  T1「若い子にこんなこと言われたら、おじさんたちも、負けてられないな~~。」

  

  C14「何言ってるんですか!!鳥谷さんは、おじさんじゃないですよ!」

  

  C79「そうだよ!そんなこと言ったら、俺の方がおじさんだし!」

  

  すると、鳥谷の顔が歪んだ。納得のいかない様子で緒方に近づいた。

  

  T1「緒方さん、あなたの口からおじさんなんて言葉を出しちゃダメですよ。そんな口は、封じた方がいいですね…。」

  

  鳥谷は、緒方の顎をくっと上げた。

  

  拒もうにも、その瞳に目を奪われ、声が出せない。

  

  C79(ど、どうしよう…!)

  

  [newpage]

  

  すると、遠くからボールが飛んできて、鳥谷の頭に当たった。

  

  T1「いっ!?だ、誰だ?」

  

  そこにいた人物に、誰もが驚いた。

  

  広島で、メジャーで活躍し、去年、背番号が永久欠番になったピッチャーである。

  

  C15「おい、緒方さんに何をしてる。」

  

  C14「黒田さん!!!!Σ(゜Д゜)」

  

  C15「俺の緒方さんを奪おうとは、相変わらずの度胸だな、鳥谷。」

  

  低い声が廊下に響く。余計に恐怖感が増していたが、鳥谷は全く気にしていない。

  

  T1「あ~、邪魔が入ってしまいましたね…。でも、せっかくなんで見せびらかすのも、ありですね♪」

  

  C79「な、な、何言って、ん!?」

  

  その隙に、緒方の唇を奪った。

  

  C14「か、か、…。(//0//)」

  

  C15「…お、お前は…(#`皿´)」

  

  ぱっと離して黒田の方に向いた。

  

  T1「じゃ、そういうことなんで。今日は緒方さんにパワーをもらえたので、頑張れそうです。それと黒田さん、俺も緒方さんが好きですから。」

  

  そう言って、足早に去って行った。

  

  廊下に残された3人は、それぞれの心境が入り交じっていた。

  

  C14(すごい現場に遭遇してしまった…。でも、動揺しないように!!)

  

  C15(おのれ鳥谷…。絶対に渡すものか!!)

  

  ただ、緒方だけは複雑な気持ちになっていた。

  

  C79(なんで、何でこんなにドキドキしてるの?どうしよう…。これじゃあ試合に集中できないよ~~!)

  

  

  この後の試合は、何があったのか。

  それはまた別の話。