悪を制裁するダークヒーロー

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  「ひっ!やめろ!やめてくれ…!」

  真夜中の満月が昇る町の路地裏で一人の狼獣人が震えて目の前に現れた黒いラバースーツを纏い顔は白と赤の半分に染まった仮面をつけ赤いマントを纏った者に追い詰められていた。

  「お前はなんも罪のない者に手をかけた…その罪を命と共に散れ」

  その者が狼獣人に近づく。

  「ち、近づくな!わ、悪かった!許してくれ!!」

  懇願する狼獣人にその者の手には銀色に輝く剣が。

  「もう遅い」

  そう言うと剣は振り下ろされた。

  「ぐわあぁ!!?」

  狼獣人は斬られ身体から赤い飛沫がまるで薔薇のように散っていきそのまま壁を伝ってゆっくりと倒れていった…壁は赤く染まる。

  「罪ある者に制裁を」

  そう言いその者はマントを翻して去っていきそこから薔薇の花びらが数枚舞っていき斬られた狼獣人の身体に張り付く…罪を犯した者の刻まれた末路となって…。

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  『では次のニュースです。緋色町の路地裏にてヴィランであった狼獣人が何者かによって亡くなってしまう事件がありました、その狼獣人は……』

  「まさか亡くなるとは…マスターはどう思う?」

  町の中にあるカフェのカウンターでテレビを見ていた虎獣人がマスターと呼ばれた黒い体色の狼獣人に尋ねる。

  「どう思うと言われてもね、まあ誰がやったのかどうかはわからないし後はヒーローや警察に任せるしかない」

  マスターと呼ばれた白いしっかりとした服装で灰色のエプロンをしてコーヒーを入れながらそう答える。

  「どうぞ」

  「ありがとな!ん~マスターのコーヒーおいしいな!」

  淹れたコーヒーを虎獣人が飲む、味は苦みもあるがほんのりとした酸味があり飲みやすくマスターのコーヒーを入れる腕前がいいと見えるしかしマスター自体はまだ若くして店を開いている。

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  「ごちそうさん」

  「ご来店ありがとうございます」

  扉についていたベルが鳴り虎獣人は去っていき辺りは暗くなっていた。

  「さてと…」

  客はいなくなりマスターである狼獣人は片づけをして終わった後エプロンを脱ぎ店の中にある部屋に入っていく。

  中は更衣室となっていて着替える場所だった…しかしマスターは着替えをせずロッカーの奥に手をかざすとロッカーは自動的に下にしまわれ代わりに大きなエレベーターが現れマスターはそのままエレベーターへと乗り下へと降りていった。

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  エレベーターを降りたマスターはそのまま通路を歩き広げた場所についたが辺りは暗く数秒後辺りに明かりがつき部屋はモニターがあり周りは機械が多く中央には白いデスクが置かれていてデスクの上には何かの資料やパソコンが置かれている。

  「……」

  マスターは無言のままパソコンを起動してキーボートを打ちながら画面を見る、画面にはヴィランの情報など様々な情報が載っていた。

  「次の標的は決まったのか?」

  マスターの隣に来たのは黒い狼獣人だ、いつの間にかいたようだ。

  「あぁ…次の標的は」

  と、画面を見ると桃色の体色をした化粧が濃い猫獣人とガタイのいいサイ獣人の二匹が映し出されていた。

  「それじゃあ仕事と行こうか相棒」

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  「あ~ん!マジムカツクんですけど~!」

  「落ち着け、任務は完了だ…撤退だ」

  イライラとしている桃色猫獣人と宥めるように呟くサイ獣人が逃げるように走っていく。

  「うるせぇな~!あ~あ!なんでこいつといつも組まなきゃなんねぇんだよ!」

  「仕方ないだろ…」

  と、こういうやり取りをしていた、仲がいいのか悪いのかわからない二匹だ。

  「!?」

  「なんだよ!?急に止まるなって!」

  サイ獣人は何かに気づき動きを止める、猫獣人も急な反応にサイ獣人にキレてしまう。

  ふと二匹の前に黒いラバースーツに白と赤の仮面をつけ赤いマントを纏った者が現れた。

  「なんだお前は?」

  「なんだテメェ?」

  二匹は警戒し構える。

  「貴様らに名乗るつもりはない…なぜなら」

  そう言うと懐から銀色に輝く剣を取り出す。

  「お前達の罪を命もろとも裁くのだからな…」

  二匹にその者が迫る。

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  「チィッ!」

  猫獣人が白赤の仮面が振った剣を避けていく。

  「そこだ!」

  その隙にサイ獣人が白赤の仮面に攻撃を仕掛ける。

  「……」

  しかしまるで見ているかのように避けられてしまう。

  「何故俺達を狙う?目的はなんだ!?」

  サイ獣人が白赤の仮面に問いただす。

  「このやろ!!」

  猫獣人が素早く白赤の仮面に手のひらからなにやら赤い球体を投げつける。

  「……」

  見切ったのか白赤の仮面は後退してかわしていく、白赤の仮面がいたところが爆発した。

  「くっ!余計なことを!」

  サイ獣人は猫獣人の攻撃が余計な事になり白赤の仮面から目的を聞けず悪態をつく。

  「くそっ!避けんじゃねぇ!」

  再び白赤の仮面に赤い球体もとい爆弾を投げつけていく猫獣人、頭にきていて冷静を保てなかった。

  「おい!あまり攻撃を仕掛けるな!」

  「うるせぇ!」

  だがサイ獣人の言うことを聞かずひたすら攻撃を仕掛けてくる。

  「くそっ!なら!」

  「まさか!?よせっ!」

  猫獣人の身体が赤く光りだし白赤の仮面に向かっていく。

  「お前は…」

  すると一瞬で白赤の仮面が姿を消すと。

  「がっ!?」

  猫獣人の腹に白赤の仮面が持っていた剣が突き刺さり身体の光は消えていく。

  「獣人達を裏で薬の売買をして金を騙し取り…力という代償に獣人の自我を失うという危険な物を売り爆弾で暴れたメス猫が…調子に乗るな」

  と、ドスの効いた声で剣を引っこ抜く、猫獣人はそのまま倒れ腹から赤い液が流れていく。

  「くっ!」

  サイ獣人は自分の相棒を止められず一瞬で戸惑うが体制を立て直す。

  「そしてお前は…」

  しかし一瞬の隙を突き。

  「ぐぁっ!?」

  サイ獣人の腹が斬られる。

  「同様の罪そして任務といいながら命令だけにしたがうただの人形だ…」

  そのままサイ獣人も倒れ二匹は起きることはなかった……二匹の周りには赤薔薇の花びらが地面に落ちていく。

  『終わったな相棒』

  どこからか声が聞こえる。

  「任務完了だ…」

  そして倒れている二匹を見る。

  「お前達のような悪はこうなる運命だ、自分の運命を呪え」

  そう言い去ろうとしたその時。

  「グリストフレイム!!」

  背後から炎が来て咄嗟に白赤の仮面は避けるそこにいたのは緑色のヒーロースーツを来た竜人だった。

  「遅かったか…だがようやく犯人を見つけた!」

  すると竜人は白赤の仮面に攻撃を仕掛ける。

  「くっ!まさか厄介なヒーローに感づかれたか!」

  まさか二匹を倒したのを見られてしまい動転はしていたがすぐに切り替え素早く後退していく。

  「逃がすか!」

  竜人は白赤の仮面に殴りかかり動きを止めようとする。

  「くっ!邪魔をするな!」

  白赤の仮面も対抗して剣を振り竜人のヒーローを斬りつけようとする。

  「甘い!」

  しかし竜人は避けて反撃に出る。

  「ぐっ!」

  『相棒!?』

  かすったのか竜人の拳が僅かに仮面をかすり一部が割れる。

  「もう一度!」

  「そうはいくか!」

  ふと白赤の仮面は懐から何かを地面にたたきつける、すると地面から白い煙が立ち込める。

  「くっ!煙幕か!」

  竜人は後退して煙幕から離れる。

  「グリストドラゴン、俺をここまで追い詰めるとは…だが覚えておけ!こいつらのような獣人の心がない悪が存在するかぎり俺はこいつらを裁く、お前達のような悪を存在自体消せない英雄など必要ない!我…いや我らダークヒーロー『グラッドローズ』が貴様達の代わりに悪を制裁してやる!この世の悪を全て!」

  どこからか声が聞こえそして煙幕が晴れると。

  「消えた…」

  白赤の仮面は姿を消していてその代わりに一凛の赤い薔薇が置かれていたのであった。

  「あいつは一体?ダークヒーロー…グラッドローズ…か」

  竜人…グリストドラゴンは赤い薔薇を拾いながらそう呟いた…彼の言葉の重みを倒れた二匹を見つめて。

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  『最初のトップニュースです。昨日緋色町の路地裏にて薬物の売買に関わっていた二匹のヴィランが何者かの手によって〇されたという事件がありました、グリストドラゴンが犯人を見つけましたが犯人は逃走、犯人はヴィラン達から恐れられているダークヒーロー『グラッドローズ』による犯行によるものだと判明しました』

  「ダークヒーローか~こりゃ本格的になりそうだな、マスターコーヒー…ってなんか右瞼の下少し傷ついているけどどうしたの?」

  「あ~ちょっとカップを勢いよく落としてしまいその時に傷ついてしまったんだ」

  虎獣人がいつものようにコーヒーを注文する。ふとマスターの右瞼の下に傷があることに気づき聞くとカップを勢いよく落として傷ついたようだ。

  「そっか」

  「コーヒーだね、今入れてくるよ」

  そう言いマスターはコーヒーを淹れに移動する。

  表ではカフェのマスターをしている黒い狼獣人…しかし彼にはもう一人の狼獣人である相棒…彼は狼獣人ではなく謎の生物、彼と共に悪を裁くダークヒーロー…その名は『グラッドローズ』彼らは闇に潜み…そして悪に制裁を与える。

  この世に心ない悪がある限り……。