「ふう」
一息つく女性。
後藤吉子は部屋を見回す。
一人暮らしにしては少し広い空間。
家具も何もない。
これから揃える必要がある。
実家からの引っ越し。
急な引越しだったため、このアパートの契約も慌ててした。
相場よりも随分と安かった。
人間限定、という文章は気にしなかった。
新しい生活。期待に胸を膨らませる。
そこに予定していない来客が。
「ちょっとええかあ」
「はいっ!」
思わず跳ね飛ぶ。
誰かがいるとは思っていなかった。
吉子が振り返ると、そこには人影が。
正確には獣人だったが。
「あんたが吉子さん、でええんか?」
「あっ、はい、そうです、けど」
「あたしはマンゲツっつう者や。ここの大家さんやっとる」
あっさりと話すマンゲツ。
小柄な吉子と比べるまでもなく、大きな体格をしている。
ふっくらとした毛並み。
大きく、柔らかそうな乳房。
無論、吉子と同じように服は着ている。
「ふーん……何もないな」
「はい。近くのお店で買おうと思ってて」
「あー、そんなんええよ。あたしが見繕うわ」
少し悩んだ素振りをしてから、マンゲツが話し出す。
「前にあたしが使ってた家具でええなら直ぐに融通きくけど、どうする?」
「いいんですか?」
「ええよ。どうせいつかは捨てる予定だったもんだし。ほな今すぐ持ってくわ」
そう言い残すと、マンゲツは部屋から出ていった。
いつの間にか吉子の手には部屋の鍵があった。
「これがテーブル。冷蔵庫。テレビに洗濯機、それからタンスと」
次々と運ばれてくる家具。
使用感こそあるが、特に大きな破損はない。
重い物まで軽々と持ち上げ、持ってくるマンゲツ。
吉子は見ているだけ。
勢いに押され、手伝う暇もない。
「配置は適当でええか?」
「お願いします」
ぽんぽんと、専門の業者以上の手際で部屋が整えられる。
(やっぱり力凄いんだなー)
あまり獣人を見た経験のない良子には新鮮だった。
次々と家具の配置が決まっていく。
「ふー、こんなもんでえっか」
一通り家具を置き終えたマンゲツ。
殺風景だった部屋は今や生活感に満ちていた。
恐らくはマンゲツが自分の部屋と同じような配置。
迷う素振りがない。
「何か不満あれば後は自分で頼むわ」
吉子が頷くと、マンゲツはさっと部屋から出て行った。
「あれが大家さんか。独特だなあ」
ぼそっと呟くが、そこに嫌悪感は含まれていない。
それよりも、と吉子は慌ただしく準備を始めた。
用意してくれた家具の中身を見る暇はない。
[newpage]
一週間後の金曜日。
「はぁー、疲れた」
新しい環境。慣れない仕事。
特に大きなトラブルもなく終わった。
安堵しながら部屋でくつろぐ。
貰った家具も問題ない。
「ん、そういえば」
ごそごそと冷蔵庫を探る。
野菜室に残った野菜を確認しようとしていた。
「……なにこれ」
その奥から。
吉子の知らない物が出て来た。
瓶のような何か。
傾けてみると、液体が中に入っているのが分かる。
文字が書かれているが、難解で読めない。
「大家さんの?」
よく考えてみると、貰った家具はそこまで見ていない。
配置されるままに、そのまま使っている。
奥の奥まで確認していない。
マンゲツの忘れ物が入っているかは見ていない。
吉子は好奇心に駆られ、蓋を開けてみる。
中には白く濁った液体が入っていた。
匂いを嗅ぐために、軽く手で扇ぐ。
「んひぃっ♡♡」
びりり、と脳に響く。
生臭さこそあるが、腐敗とは違う。
嫌な感じはしない。むしろ、もっと嗅ぎたくなるような。
もっと、もっと。味わってみたい。
得体のしれない液体なのは分かっている。
それなのに。
「んくっ、んくっ、んくっ♡♡」
気が付けば瓶を傾け、その中身を口に流しこんでいた。
一滴一滴が、口内の細胞を破壊するかのような衝撃を与える。
液体のはずだが、どろりと喉の全てにへばりつく。
痛みではない。気持ちいい。
体の芯から満ちていく。
「っはぁぁ♡♡」
わずか数秒ほどで飲み干してしまう。
じんわりと、奥に染みていく感覚。
それだけの量しか入っていなかった。
だが、酒やエナジードリンクとも違う味が吉子を惑わせた。
「……どうしよう」
中身の無くなった瓶を見て正気に戻る吉子。
流石にまずいと思う。
ひとまず大家に事情を話す必要がある。
そう思い、スマホを探した。
[newpage]
アパートの一室。
マンゲツもそこに住んでいた。
後日、連絡を入れた吉子はマンゲツの元を訪れていた。
飲み干した空の小瓶と一緒に。
「あー、こんな所にあったんか」
マンゲツは吉子から渡された瓶を軽く放り投げながら言う。
「あのー、すいません。その中身なんですけど」
「あー、構わん構わん。別に」
気安く言うマンゲツに心を撫でおろす。
「あれって、何なんですか」
「中身か? ほれ、耳を貸してみい」
言われるままに耳をマンゲツに向ける。
「普通のお酒と、あたしのザーメン♡♡」
ぐっ、と腰を掴まれる。
獲物を狩る獣の目。
「たっぷり用意したから、味わっていきい♡♡」
ぐぐ、と押し付けられる下腹部。
吉子は分かってしまった。
マンゲツの身体の異変を。
不自然な膨らみ。
それは、女を孕ませる器官。
男性器だと。
「は、はい♡」
思わず頷いてしまった吉子。
扉は閉められ、鍵の締まる音が響いた。
漬物を入れるような瓶が一つ。
陶器のようで、中は見えない。
「元々差し入れするつもりやったんよ♡」
近くで座るマンゲツ。
その対面に座る吉子。
「その前に飲み干すなんてなあ♡」
「も、申し訳ないです」
「ええよ。そん代わり、あたしの前でも飲んで♡」
にまにまと笑いながら言うマンゲツ。
瓶の蓋を開ける。
中からは小瓶の中身と似た臭いが放たれる。
違いは量。
小鬢の数倍以上の量が入った液体は、吉子の嗅覚を占領する。
(しゅごい♡♡)
アルコールの揮発に乗るように精液の臭いが香る。
精液は子どもをつくるための分泌物であり、食べるものではない。
嫌悪感を示してもおかしくないが、吉子はこの臭気の虜となっていた。
「冗談半分で作ったんだけど、凄い好いてくれとるな♡」
ゆっくりと、確かめるように。
「あたしの、ちんぽから出した、精液を♡♡」
「♡♡♡」
その事実に赤面する吉子。
「獣人の精液はな、相性ええ女にはかなり効くらしいからなあ♡♡」
マンゲツは瓶の中身を透明なグラスに注いだ。
ほぼ黄色のゼリーめいた液体。
どろりとした半固体。
中身を見る前に飲み干してしまった吉子は初めて見た。
「ささ、ぐいっと一杯♡♡」
「……はい♡」
あの感覚が忘れられない。
飲み干した後の、感覚が。
グラスを傾け、口に入れる。
「んぐっ、んぐっ、んぐっ♡♡」
飲む度に、どんどん、どんどん。
欲しくなる。
体の芯が疼く。
欲しい。欲しい。もっと欲しい。
「んぐっ♡♡ んぐっ♡♡」
渇きが満たされる。
生きてきた中で、知らない感覚。
自慰では満たされない性の欲情。
汚れたい、汚されたい。
染まりたい、染められたい。
「んぐっ、はぁぁ♡♡ 」
「まだあるぞ♡♡」
置いたグラスに注がれる瓶の中身。
吉子は気を抜いた。
「は、はい、んぐぇぇふぅ♡♡」
油断から、品性の無い曖気が出てしまう。
童のように、我慢できずに出て来たゲップ。
飲んだばかりの精液の臭いと混じった気体。
マンゲツの目が変わった。
「……もう腹いっぱいか?」
「い、いいえ、そんな」
「だったら本物、飲ませたるわ♡♡」
「んひぃ♡♡♡」
座っている吉子の肩を掴む。
そして彼女の顔面に向けて。
獣の巨竿を見せつける。
圧倒的な重厚感。
孔を突くため、ではなく壊すためだと言われても納得する。
そして雌にも関わらず生えている雄の性器。
その異質さを示すような臭い。
吉子の口から鼻に伝わっていた精液の臭いを押しつぶすような。
女を犯す魔羅の臭い、熱。
吉子の雌の本能を強制的に掻き立てる。
言葉よりも先に、吉子のは縦に振られた。
大家であるマンゲツの部屋。
彼女の所有する数々の物件の事務所も兼ねているため、マンゲツの私物などは少ない。
職場としての側面が大きい。
しかし現在は。
マンゲツの欲望の発散に使われていた。
「あーあ♡ 人間の喉マンコ柔らかぁ♡♡」
「んぐぅ♡♡」
マンゲツが腰を振りたくり、吉子の喉奥を突く。
どちゅ、どちゅ、と粘膜が揺れる音が響く。
吉子は未知の快楽に翻弄されるばかり。
マンゲツに主導権を握られていた。
「あーあ♡ もうたまらん♡ もっと汁飲ませたる♡♡」
ぶるり、と震え、精が吐き出される。
どろりとした白濁の生命を感じる液体。
吉子の口腔を埋め尽くし、味覚を破壊せんばかりの刺激。
獣人の精液の量や濃さは、人間の数倍。
全てを飲み干すと、吉子は酸素を求めて必死に呼吸を再開した。
吐息は胃から昇る獣の精臭が大半を占めている。
「ああ、もう我慢できん♡ ええよな♡ ええよな♡♡」
マンゲツは獣人の力で、吉子に気を配りながらも押し倒す。
吉子の秘部は自慰の直後のように濡れていた。
「責任なら取ったる♡ 一度獣人ザーメン飲んだらもう他じゃあ満足できんからなあ♡♡」
吉子は黙って頷く。
それを同意と受け取り、マンゲツは自身の巨根をねじ込む。
「んひぃぃ♡♡ 駄目っ♡ だめっ♡♡」
「今更遅い遅い♡♡」
予想以上の異物感に拒絶の言葉が出る。
だが、身体は雄の侵入を察し、迎え入れるように汁ばむ。
マンゲツもまた、一切緩める気配はない。
ずぶずぶ、と雄槍は入りこむ。
「んぎぃぃ♡♡」
「はぁぁぁ♡人間まんこやばっ♡♡想像超えてる♡♡」
腰を叩きつける。
吉子の口からは喘ぐ声が止むことはない。
マンゲツは容赦することなく肉棒を出し入れする。
「ああぁぁ♡♡ もう、もうええな♡ 出すで♡♡♡」
腰をぴっちりとくっつけた中出し。
どくん、どくん、とポンプのような吐精。
吉子の声とは呼べない快楽の絶叫。
数分の射精を終え、引き抜く。
そこには蕩け切った牝の人間がいた。