人狼シスターに同族化させられる女騎士

  数刻もすれば日が陰りを見せる頃。

  女は村にたどり着いた。

  「こんな所に宿屋なんてねえよ」

  「余所者を泊めるのはねえ」

  「宿? ないない」

  女は宿を探し、ある建物に着く。

  小さな教会であった。

  少し寂れてはいるが、建物自体は大きい。

  「失礼する」

  扉を開き、中を見る。

  一人の女が座り、祈りを捧げていた。

  たった一人で。周りに他の者はいない。

  「あら、お客様ですか」

  女に気づき、振り返る。

  場の雰囲気に合った修道女。

  だが、どこか内側から醸される甘さ。

  女はその感想を内にしまい、事情を話す。

  「すまないが宿を探している。どこか知らないだろうか」

  「宿、ですか。生憎新入りなものでこの村には疎くて」

  少し悩んだ仕草をしたのち、修道女は提案をした。

  「ここに泊まってはいかがでしょうか」

  「それは助かる。宿の代金は」

  「宿賃などとんでもありません。全ては神の御意思です」

  その提案を女は承諾した。

  大金を持っていない女からすれば助かる。

  「では、少し部屋を整理しますね。……ところで、お名前は」

  「ああ。忘れていた。クロディだ」

  「はい、クロディさん、ですね。私はマリスと申します」

  互いに礼をする。

  互いの事情を何も知らぬままに。

  [newpage]

  クロディの弓が鳥の翼を正確に射抜く。

  飛べなくなった鳥はもがくが、逃げるまではできない。

  歩いてきたクロディに絞められる。

  絶命した鳥を持って戻るクロディに村人が拍手をした。

  「いやあ、上手いもんだ」

  「本業は剣だがな」

  その後も頼まれるままに狩りを続けるクロディ。

  ここ数日、クロディはマリスの住む教会に泊まりながら、村人の頼み事を聞いていた。

  いつまでもこの村にいるつもりはないが、持っている情報が乏しい。

  村人と親交を深め、そこから情報を得る魂胆。

  「あの修道女さんよりも上手いかもしれんなあ」

  「……あの人も猟をするのか?」

  「ああ。頼むと日暮れには沢山狩ってくれるだ」

  クロディは納得いかないような顔をする。

  とても彼女が狩りをできるような人物とは思えなかった。

  村人はそれに気づく様子は一切なく、成果を喜ぶばかりであった。

  「狩り、ですか。はい。頼まれたもので」

  夕餉の時、マリスはあっさりと答えた。

  「道具は何を使ったんだ?」

  「ええと、よくある、そう、弓と矢を。あなたと同じように」

  じっとマリスの身体を見る。

  クロディには分かる。

  多くの戦士を見て来た彼女には。

  マリスの肉付きが弓兵のそれではないことを。

  だが、それは些細な問題だった。

  権力者、あるいは実力者。

  クロディが求める人材はそのどちらかである。

  「……事情は問わない。腕利きを探している」

  「それは大事な女王様のためですか?」

  空気が変わった。

  クロディは一瞬で気配が戦場と等しくなった。

  「こんな村にも知れ渡っております。大臣の反乱。女王及びに姫君の幽閉。そして、逃走した近衛騎士の指名手配」

  奪われた王座の奪還。

  誰の命令でもない。彼女の意思。

  それだけクロディは王家に恩義を感じていた。

  「もしそうであれば、どこかに私を突き出すか」

  「いえ、とんでもない。むしろ協力したいくらいです」

  「何だと」

  マリスの言葉に驚くクロディ。

  「我が神を広く知らしめる機会、でしょう。無論、あなたの口添えは必要になりましょうが」

  「……国教にするほどの権力などないぞ」

  「いえ、布教さえ許可を貰えれば後は私たちで行いますので」

  宗教の分野はクロディの専門外。

  女王を救った後、神官なり行政官に存分に悩んでもらえばいい。

  「ああ、いいだろう。」

  「ふふ、では♡」

  マリスの笑みが広がる。

  人では決して広がらない大きさまで。

  メキメキ、と音を立てて。

  マリスの口腔が形を変える。

  口だけではない。

  顔が、身体が、その肉体が。

  獣の耳、獣の口。

  獣の爪、獣の毛並み。

  その背丈は大男と間違えるほど。

  人狼。人の身に狼の獣性を備えた者。

  「まずはあなたに布教をしましょうか♡♡」

  「きさっ」

  クロディが剣を抜くよりも早く。

  マリスの吐息がクロディに吹きかけられる。

  人の吐息よりも熱く、濃い息。

  それだけでクロディの足は力を失い、身体の自由が奪われる。

  「獣くさぁい息の味はどうでしょうか♡♡ 素晴らしいでしょう♡」

  「ふ、ふざけ、る、なっ」

  鼓動が激しくなる。

  クロディは理性が飛びそうになるのを必死に耐える。

  「次はもっとすごい臭いですよ♡♡」

  ぐぐ、と毛並みで隠れていた部位が姿を表す。

  男の象徴、男性器。

  硬く長い、雄の性器がマリスから生えていた。

  「ふぅぅ♡♡ 狼の精液、ですからっ♡♡ 人間のよりも、濃くて、臭くて♡♡ 一瞬でクセになりますよ♡♡ これも、我が神への祈りの賜物、ですっ♡♡♡」

  「あっ、いや、いやっ、だ」

  力が抜けたクロディ。

  魔力のこもった吐息は彼女の全身を巡っていた。

  それでも気力だけで逃げ出そうとする。

  「ふふ、お可愛いですね。もっと、もっと可愛くなりますよ♡」

  逃げ出そうとするクロディ。

  彼女よりも早く、マリスが吐精をしただけ。

  桶をひっくり返したように放たれた精液。

  クロディの全身にぶちまけられる。

  獣と雄の臭い。

  呼吸をすれば、鼻から、そして口からも入り込む臭気。

  「あっ、あ“あ”っ♡♡」

  身体を震わせるクロディ。

  未知の絶頂を理解できない。

  身体はその精の魔力に反応していく。

  うっすらと人ならぬ毛が生え、歯の一部が鋭く。

  「ここ数日の食事にこっそりと唾液を混ぜておいた甲斐がありましたね♡慣らしたおかげで痛みもないでしょう♡♡」

  「うう……くぅぅ……♡」

  クロディの身体が変化していく。

  騎士として鍛えられた身体。

  それが獣の肉体に。

  人の身に獣を宿す。

  その眼光には狂気が満ちる。

  「ふふ、とっても上手に変化できましたね♡」

  「グルルルゥゥ♡」

  そこには先ほどまえいた人間はいない。

  この場には人狼が二匹だけ。

  邪悪なる教えを広める信徒が誕生した。

  [newpage]

  「がぁぁぁ!」

  クロディの腕が大きな猪の身体を持ち上げる。

  足が付かない猪は必死に暴れようとするが、クロディはびくともしない。

  そのまま力ずくで地面に叩きつける。

  その衝撃は命を奪うには十分すぎた。

  木の陰に隠れていた村人たちは驚くばかり。

  「あらまあ、お強いのねえ」

  「……そうだな」

  クロディは軽く答える。

  以前ならば、これほどの猪を簡単に持ちあげるなど不可能。

  剣や弓の技巧を組み合わせ、集団で狩る獲物。

  それが今や武器も使わずに。

  その力の高揚感たるや。

  クロディの内心を知らず、村人たちは猪を解体するべく、運んでいった。

  夜の協会。

  「猪、美味しかったですね。おかげで、こんなに精が♡♡」

  「そ、そうだな♡♡」

  二匹の獣人がいた。

  大きな樽を用意し、その前で自慰をしている。

  人間とは比較にならない獣の巨魔羅。

  それを二人が自分の指で扱いていた。

  協会に満ちる獣の臭い。

  適齢期の女が入ってしまえばたちまち孕んでおかしくない。

  その錯覚できるほどの雄臭さ。

  「そんなにちんぽを勃起させて♡♡」

  「意地悪、言うなっ♡♡ マリス様のくっさい臭いで興奮してるんだから♡♡」

  互いの臭い、互いの姿。

  それに発情し、竿を扱く獣たち。

  獣と雄の混じった臭いは発情を招く。

  硬くなった竿からは限界を迎える。

  「では、本日の分をっ♡♡」

  「おっほ♡ 出す、ち、ちんぽ汁♡♡ 出すっ、出すっ♡♡」

  大きく、下品な射精の音。

  粘ついた白濁は樽の中身を瞬く間に埋めていく。

  「っっ♡♡」

  「おおっ♡♡ ちんぽ汁出すっ、気持ちいいっ♡♡♡」

  そして樽が一杯になるまで吐精は終わらない。

  人間の一生の射精量に匹敵するほど。

  それを二匹であっさりと満たす精剛っぷり。

  中身の満ちた樽をマリスは密閉する。

  これで臭いが漏れる事はない。

  計画の時期が来るまで。

  二匹の獣は準備を続けていった。

  [newpage]

  村の平穏はある日、突然破られた。

  村に襲いかかるは狼の獣人たち。

  村人たちは若い女をある場所に逃がし、必死に抵抗した。

  少し前に来た旅人。

  彼女は村人からも分かるほど強かった。

  彼女が助けに来てくれるはず。

  その僅かな希望にすがり、抗おうとした。

  事実としては。

  助けには誰も来る事はなかった。

  外の争乱に怯える女たち。

  とある村人の娘。

  夫を亡くした若い妻。

  遠方への出稼ぎを家で待つ新婚の女。

  いずれも戦う術を持たない者ばかり。

  「大丈夫です。直ぐに終わりますよ」

  教会の中でシスターマリスの励ましを受け、祈るばかり。

  狼の遠吠えが聞こえる度に身体が反応し、震えてしまう。

  それでも希望を失わず、ただ時間が過ぎるのを耐えていた。

  一時間、あるいはそれ以上か。

  村の音は次第に静かになっていった。

  教会の扉を叩く音。

  怯える女たちをよそに、マリスは側に寄る。

  「クロディだ。開けてくれ」

  「外はどうなっていますか?」

  「……全て終わらせた」

  その言葉に安堵する女たち。

  マリスはその言葉に応じるように、扉を前の物を退け、鍵を開ける。

  数時間ぶりに開かれた扉。

  「「「ガルフフゥゥ♡♡♡」」」

  そして無数の狼獣人たち。

  その数は十数匹ほど。

  いずれも女の身体に雄の魔羅を備えていた。

  村の女たちが悲鳴を上げるよりも早く殺到する。

  そして襲い掛かる。

  獣としての本能。

  それ以上に、雄の性器を持つ者としての欲情。

  色に狂った狼たちが女を蹂躙する。

  「皆さん溜まっていたのでしょうね♡♡」

  その扇動者は痴態を見ながら悦に浸る。

  たっぷりと精を満たした樽。

  それを一つだけ、村の近くに置いておいた。

  狼の特濃熟成精液。

  その臭いを嗅ぎつけ、彼女たちは集まった。

  仲間を迎え入れるために。

  その結果がこれだ。

  「あんたがあのザーメンの主か?」

  人狼たちを率いていたリーダーがマリスに問う。

  他の人狼たちは村の女たちを犯すのに夢中だ。

  「はい。後はそちらのクロディとの混合精液です♡」

  「へっへ♡ あんなくっせぇザーメンであたしたちを招くなんて、いい趣味だぜ♡」

  二人の談笑を背後に人狼の性交は続いていった。

  精液に塗れ、次々とただの女が人狼に変貌していく。

  どこからか樽が運ばれ、中身を飲まされる女もいた。

  一口飲むだけで、その女は時間を置かずに変化していく。

  変化の速度は精液の濃さに比例するようであった。

  「あの樽を今後は量産しようと思っていまして。協力してくれませんか?」

  「へー……その後は?」

  「王の居る地へ、布教を。私、神の信徒ですので」

  荒唐無稽な考え。

  あの樽を量産し、人狼を集めつつ王都へ。

  仮にあの樽を数十個集め、水辺や井戸に放り投げれば。

  面白い事にはなる。

  ひとしきり大きく笑った後、人狼のリーダーはマリスに手を差しだす。

  「グルルゥ♡ マリス様、私も混ざっていいよね♡♡」

  クロディの我慢が効かない事を察し、マリスと人狼のリーダーも乱交の輪に加わる。

  神の教えが清廉だとは限らない。

  人狼の活動範囲は静かに広がっていった。