風船ワンコ ユキちゃん危機一髪!?

  「う、ここは?」

  ユキが目を覚ますと、そこは薄暗い小さな部屋だった。

  一般的なワンルームより少し大きいくらいの空間だが、家具どころか物自体が無い。薄暗さもあって、まるで牢屋のようだった。

  じゃらっ……

  「えっ!? 何これ、どうゆうこと?」

  そんな何もない部屋の真ん中で、ユキは天井からぶら下がっている鎖に繋がれていた。

  

  「ようやくお目覚めか」

  「だれ!? ここはどこ!」

  気が付いたら両手を拘束された上で小さな部屋に拘束され、パニックに陥るユキ。すると、正面の天井付近に掛けられたモニターに、男性と思われるシルエットが映し出される。

  

  「取って食いはしないから安心したまえ。まぁ確かに誘拐したのは事実だが。キミにはちょっとした実験に付き合ってほしい」

  「実験?」

  実験という言葉に雲行きが一気に怪しくなり、露骨に警戒心を露わにするユキ。しかし、両手を縛られて身動きが出来ないユキには選択肢などなく、男の話を聞くしかない。

  「なぁに、君にとっても悪い話じゃない。実はある方に少し特殊な薬を作るのを頼まれてね。キミにはその治験を頼みたいんだ」

  「な、なんなんですか薬って!? そんなのイヤです!」

  「普通はそう言うだろうね。まぁキミがどう思おうと、実験は既に始まっているのだがね」

  「それってどういう……」

  男が不敵に笑い、ユキは一気に不安になる。

  今まで意識を失ってこの部屋に拘束されていたのだから、その間に何かを仕込まれていても不思議ではない。

  「そのままの意味だ。もう薬は飲ませてある。そろそろ効果が出るんじゃないか?」

  「!? いったい何の薬を飲ませたんですか!?」

  「だからそんなに警戒し無くてもいいと言っているだろ? きっとキミも喜んでくれる」

  得体の知らない薬を飲まされたと聞かされて、食いつく様に男に問いただすユキ。男は不安そうなユキの姿を嬲る様にたっぷり溜めを作り……

  「キミに飲ませたのは『お腹が膨らむ薬』だよ」

  ぷくぅぅ……

  「え! えぇぁ!?」

  男がそう言うのと同時に、ユキはお腹が内側から張り詰める奇妙な感覚を感じた。

  慌てて下を見ると、普段は平らなはずのユキのお腹が盛り上がって足元が見えなくなっていた。そしてそのお腹の盛り上がりは、時間と共に膨らんでユキの着ている紺色のシャツを押し上げていく。

  「お腹が!? イヤ、こんなの嘘だ! 服の中に風船か何かを入れてるんでしょ?」

  「ふむ、これを見ても同じことが言えるかな?」

  パチンッ

  「っ!?l」

  男がそう言って指を鳴らすと、ユキの目の前の壁が一面鏡張りになった。そこには両腕を拘束されたユキの姿と、シャツを捲り上げて顔を出す茶色い球体が映っていた。その茶色い球体は間違いなくユキ自身のお腹で……。

  「うそ、ボクのお腹、本当に!? お腹を膨らませる薬だなんて……」

  目の前で起きていることに信じられないといったように声を上げるユキ。体に何かホースのような物が繋がれている訳ではないが、ユキのお腹は『しゅー』っという空気の流れる音を立てながら風船のように膨らんでいく。

  「でもなんでボクを?」

  「そんなのキミがが一番よく分かっているんじゃないか? だってキミは膨腹フェチなんだろ?」

  「!? な、なんですか膨腹フェチって!? そんなの知らないです!」

  「シラを切っても無駄だよ、ユキ君。私はキミのことを十分に把握している」

  「!? なんでボクの名前を? と、とにかく膨腹なんて知らないです! ボクのお腹を元に戻してください!」

  男の『膨腹』という単語に、露骨に反応して言葉を詰まらせてしまうユキ。言葉尻も強くなってしまっていて、明らかに何かありそうな空気だが、認めようとはしない。そうしている内にもユキのお腹は膨らみ続け、もう臨月の妊婦のように大きくなっていた。

  「ふむ。やっぱりこう呼んだ方がよかったかな?風船ワンコ、ユキちゃん?」

  「っっ!?」

  モニターに映し出されたのは、とあるSNSのタイムラインだった。

  そこには今のユキと同じように、いやそれでは収まらない、両手では抱えきれない程に大きくお腹を膨らませた獣人の画像が投稿されていた。それも一枚や二枚ではなく、ほぼ毎週のように大きく膨らんだお腹が投稿されている。よく見ると、その肌や服装は今のユキと同じ色をしていて……。

  「依頼者が、君が適任だと言うから連れてきたという訳だ。私には分かりかねるが、こうやって他人にお腹を膨らまされるのがイイんだろ? 自分で『風船ワンコ』って名乗っているくせに、いつも『風船じゃないもん』って言って、みんなに膨らまされたがっていたじゃないか?」

  「ち、ちが……!」

  ユキが膨腹フェチであることは最初から裏が取れていたというわけだ。それなのに必死に言い訳をしていて、男からすれば滑稽この上ない。一方、ユキからすれば羞恥心は相当なもので、事実、ユキの顔は火が出そうなほど真っ赤になっていた。

  だが飛び出すのは火ではなかった。

  ぷっしゅーー!!

  「ひ! 何!? またお腹がぁ!?」

  「薬が本格的に効いてきたようだな」

  「っ! こんなに膨らむなんて聞いてないよぉ!」

  今までとは比べ物にならない勢いで膨らんで行くユキのお腹。先ほどまでは双子の妊婦程度だったお腹が、まるでボンベに繋がれた風船のようにみるみる膨らんで行き、シャツは完全にまくれ上がり、あっという間にバランスボールのようになってしまった。丁度、先ほど男が見せた、SNSに投稿されたユキのお腹と同じくらいの大きさだ。しかし、それでもユキのお腹は膨らみ続けて……

  

  「イヤぁ! こんなに膨らませたこと無いのに!」

  「はは! 安心したまえ、薬の効果でお腹がより膨らみやすくなってるから、そうそう破裂しないさ」

  「でもこんな……あひゃぁ!!」

  ぷくぅぅぅぅ!

  さらにボンとお腹が膨らみ、ユキのお腹の大きさはとうとうバランスボールすらも超え、抱えるどころか、地面付きそうなほどに膨らんでいた。上も、お腹と胸が一体化してユキの顔に迫っていた。

  「順調だ。では次の薬を投与するとしよう」

  「まだあるんですか!? もう、こんなにお腹が膨らんでるのに……。ボクを解放して下さい!」

  「お腹を膨らまされて嬉しいくせに。まぁ無事に帰れるかはキミ次第だ」

  「う……。分かりました」

  どちらにせよ、身動きが取れないユキに拒否権はなく、言われた通りにするしかない。ユキの首筋に注射器が刺され、中の液体が注入される。

  「なにこれ、体が……あつい!?」

  薬が入れられた途端、ユキは背中からジワジワと身体が火照るのを感じた。すると……

  

  ぷっくぅぅぅ

  

  「うわぁ! なんでぇぇ!?」

  またユキのお腹が膨らむ速度が加速した。

  「ただ膨らむだけではなく、気持ちよくなりたいという要望でね。違法すれすれの媚薬だ、効くだろ? 複数の薬を同時に投与した場合の影響を調査するためだったが、どうやら作用してしまうようだね」

  「いやぁ、どんどんお腹膨らんじゃうぅぅ!!」

  二回目の薬の投与によってユキのお腹は更に一回り膨らみ、水平線のようにお腹が視界の下半分を埋め尽くしていた。そして残った上半分には、お腹の横幅は元の4倍くらいに膨らみ、頬を上気させながら熱い吐息を漏らすユキの姿が鏡越しに映し出されていた。ユキ自身には分からないが、正面から見ると足はおろか、抱えている手も見えず、顔も半分くらいしか見えていない。普通の人が見れば、人間と同じくらいに巨大な風船の後ろにユキが立っているようにしか見えないが、その巨大風船は間違いなくユキのお腹だった。

  

  ぷっっくぅぅぅぅ!!

  

  「ひゃぁぁ! また膨らんじゃうぅ!」!

  「ははは、お腹を膨らまされて喜ぶだなんて、とんだ変態だな!」

  「っ!?

  自分のお腹を膨らませるのが好きなのは本当ですけど、コレはあなたが気持ちよくなる薬を飲まされたせいで、ボクは興奮なんてしてません!」

  「イヤ、してるね。なにせ最初に飲ませたのはただお腹を膨らませるのではなく、『興奮するとお腹が膨らむ薬』だからね」

  「え?……」

  男が言った、薬の正体に固まってしまうユキ。男は続ける。

  「だから、そもそも興奮しなければお腹が膨らむことはない。それに二回目に飲ませたのも、ただのビタミン剤だ。多少血流がよくなるかもしれないが、私がキミを興奮させて膨らませる要素は何一つない」

  「え、えぇっ……?」

  「君のお腹が膨らんだタイミングを思い出して欲しい。

  お腹を膨らませる実験だと聞いた時、SNSに自分のお腹を膨らませている姿を載せている重度の膨腹フェチだとバレた時、薬の効果でお腹がもっと膨らむと聞かされた時、そして媚薬だと言われたビタミン剤を飲まされた時。

  ユキ君。君はそういった時に興奮するマゾなんだろ?」

  「あ、あぁ……」

  男に矢継ぎ早にけしかけられ、頭の中がぐちゃぐちゃになってしまうユキ。

  お腹を膨らまされるのも、それを揶揄われるのも大好きで、でも正直に言うのは恥ずかしくて、しかしそれはユキを興奮させてしまう。

  結果、

  ぷっくぅぅぅぅ!!

  「はは!、分かりやすく膨らんだね。そんなに自分の変態的な趣向がバレて、恥ずかしいのが興奮するのか?」

  「ちがう、ちがうのぉぉ!」

  ぷしゅぅぅぅぅ!!

  ユキがいくら否定しても、そのお腹は『自分は膨らまされることやその姿を見られることが好きな変態マゾ風船です』と告白するように膨らみ続ける。そうして膨らみ続けたユキのお腹はとうとう地面に到達し、ユキの上体をのけぞらせる。

  「こんなセリフを実際に使うことになるとは思わなかったがあえて言おう、『口ではなんと言っても身体は正直』だね」

  「だからちがっ!」

  ぷっしゅぅぅぅぅ!!

  「あぁぁぁぁ!!」

  違い違うと言いながらも、男に見透かされる度にユキのお腹は面白いように膨らむ。

  「正直なユキ君にはプレゼントをあげるとしよう。さぁ、これが本当の気持ちよくなる薬だ」

  「へ?」

  ゴクリ

  自分の羞恥に悶えていたユキが、男の言っていることを聞き取れずに顔を上げると、そのぽっかりと開いた口にカプセルが放り込まれる。ユキはとっさのことで反応できずにそれを飲み込んでしまう。

  「あ、うそ……。なにこれ、だめぇ!」

  薬を飲み込んで数秒後、、胃の中でカプセルが弾けたのがわかる。さっきのビタミン剤なんてこれっぽっちも媚薬じゃない、それくらいに身体の中から広がる感覚は段違いだった。

  膨らまされることによる性的興奮とは全く違う、純粋な快楽。

  その感覚がお腹の中から全身にまで広がっていき、ユキのお腹と同じようにパンパンに張り詰める。

  「楽しんでくれたまえ」

  しかしその快感風船はユキのお腹のように丈夫ではないようで、すぐに弾けてしまった。

  「あひゅあああっっ!!」

  ぶっくぅぅぅぅ!l

  お腹を膨らまされて興奮はしていても抑えていた絶頂。

  それを媚薬の快楽で突破され、あっけなく絶頂してしまうユキ。興奮すれば膨らむという薬は、その興奮の最高点とも言える絶頂に合わせて効果を最大限に発揮し、ユキのお腹は、ボンベを何本も接続されてしまったのではないかと思う程、急激に膨張する。ユキの身長と同じくらいに大きな巨大風船が、目に見えて膨らんで行く。

  「もう無理ィ!! ボクのお腹、パンクしちゃう! 膨らませるの止めてぇ!」

  「何を言っているんだ。興奮して自分のお腹を膨らませているのはキミ自信だろ? 止めたければ、興奮しなければいいだけの事だ」

  「そんなこと言ったって……」

  ぷくぅぅぅぅ!

  「ひゃぁぁ! また膨らんじゃうぅぅ!」

  自分が興奮していることでお腹が膨らむということを改めて言葉にされることで、ユキはまた興奮して自分のお腹を膨らませてしまう。

  ついにユキは急膨張したお腹に持ち上げられ、足が浮き上がってしまう。

  「まぁ十分なデータはとれた、君みたいなマゾにはこの薬は併用しないほうがよさそうだね。さて、それでは約束通りい君を解放するとしよう」

  ユキの両腕を縛っていた鎖が解かれ、部屋の扉が開く。

  しかし

  「こんなお腹でどうやって帰れって言うんですか!」

  ユキのお腹は、既に直径2メートルに迫ろうとしていた。

  既に手足が地面には到底届かない上体で、自力では動くことすらできない。仮に歩くことが出来たとしても、この膨らみ過ぎたアドバルーンのようなお腹ではドアを通り抜けることは出来ない。そしてそのお腹は今も止まらず膨らみ続けている。

  ぷくぅぅぅぅ!

  「いやぁ、コレとめてぇ、パンクしちゃうぅ!! 無事に返してくれるって言ったのにぃ!」

  「キミ次第とも言っただろ? まさか私達も、こんなにぷぅぷぅ膨らむド変態マゾ風船だとは思わないじゃないか」

  ぷっくぅぅぅぅ!!

  「ふ、風船じゃないもん!」

  「失敬。風船はここまで膨らまないね。ド変態マゾアドバルーンの方が良かったかな?」

  「アドバルーンも違っ」

  ぷくぅぅぅぅぅぅっっ!!

  「んんんん!!」

  

  変態風船と言われる度に、より大きく膨らむユキ。ついにはお腹が顔に押し付けられる。ユキのお腹は天井にすら届きそうになっていた。

  「キミは本当にどうしようもないね。こうして軽く話しているだけで、勝手に興奮してどんどん膨らんでしまうんだから。

  まぁ、これ以上私がいても、君を余計に膨らませるだけだろうし、次の予定もあるからね。私はこれで失礼するよ」

  「待って! その前にこの薬を止めてください!」

  「試作品だからね。解毒剤のようなものはないよ。

  なぁに、薬の効果は一時間くらいだ、あと50分、これ以上興奮せずにおとなしくしていればいいだけだ」

  「50分!? そんなの絶対、お腹がパンクしちゃいます!」

  たった10分で部屋の半分以上を埋め尽くすほど膨らんでしまうユキが、これから50分も耐えられるとは到底思えない。しかもお腹が膨らんで張り詰めていくのに余計に興奮してしまっているせいで、膨張の速度は秒毎に上がっていく。

  ぷっくぅぅぅぅ!

  「いやぁ! 膨らみたくないのにぃ!」

  「おいおい、自分で言っていて興奮して膨らむなよ。こりゃ確かにもちそうもないね。でもまぁ、それはそれで自分を膨らませ過ぎて破裂してしまうなんて、変態風船らしくていいんじゃないか?」

  ぷくぅぅぅぅ!!!!

  「あぁぁぁぁ!、言わないでぇ。また膨らんじゃうぅぅ!」

  男の言うことは正にユキの本心そのもので、それを他人から聞かされる、他人にバレてしまうという羞恥心が、ユキを更に膨らませる。一気にボボンと膨らんだユキのお腹は天井にまで到達し、上下に膨らめないお腹は前後左右の残されたわずかなスペースを埋め尽くしていく。

  

  「はは、満足頂けたようで良かったよ。それじゃあ今度こそ失礼するよ」

  「まってぇ、実験も何でも協力するから、このままにしないでぇ!」

  もうすでにディスプレイの電源は切れており、助けを求めるユキに対して応えるものはない。

  ぷっくぅぅぅぅ!!

  「いやぁ! ダメなのに、興奮したら膨らんじゃうのにぃ!!」

  気持ちの昂りを抑えなくてはいけないのに、自分一人にされてこのままでは破裂してしまうというシチュエーションに興奮してしまって、またお腹が膨張する。そうでなくても、これだけお腹が大きく膨らんでいるという事実や、先ほど飲まされた媚薬の快楽がユキを興奮させ続ける。

  ぷくぅぅぅぅ!

  膨張は止まるどころかどんどん加速していって、最初に正面の鏡に接地すると、続いて左右の壁、そして背後にまで到達し、とうとう部屋全体をユキのお腹が埋め尽くしてしまう。

  ぷっくぅぅぅぅ!!

  その事実が、またユキを興奮させて、お腹を膨らませる。

  

  ぐぐぐぅぅ……

  ミチ!

  しかしここで無尽蔵に膨らみ続けていたユキのお腹が、限界を知らせる悲鳴を上げる。

  無理もない。ユキのお腹は既に直径2メートルを軽く超え、もはや人間としての輪郭は完全に失われて巨大なアドバルーンとなっている。人間の身体がここまで膨らむこと自体、奇跡のようなものだ。

  「あぁぁ! もうダメぇ、興奮しないなんて無理だよぉぉ! ボク、ボク……もう!」

  その限界を知らせる音さえ、ユキを興奮させてしまう。ユキのお腹は急激に張り詰めながらも膨らみ続け、部屋の四隅のわずかなスペースを埋め尽くしていく。

  ミチミチィィ!!

  膨張は止まらない。薬の効果はあと49分はある。