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模範

  新しい学期が始まると、校門の前は生徒たちの活気で溢れていた。空は澄み渡り、柔らかい朝の光が学校の時計塔を照らしている。

  生徒たちは友達と談笑したり、クラブ活動のポスターを配ったりと、いつもと変わらない光景だ。

  ここはセントルイス女学院。ミッション系の女子校で、トップクラスの偏差値を誇っている。生徒たちは清楚な制服に身を包み、寄宿舎で規則正しい生活を送る。そんな同校も新年度を迎え、チャペルでは始業式が行われていた。始業式では、生徒会長のセリーナ=アルヴィオラが壇上で挨拶をしていた。長身の彼女がマイクの前に立つと、生徒たちはざわめいた。黒曜石のような瞳と長い黒髪を持ち、堂々とした態度で話す彼女は凛とした美しさがあった。

  「皆さんおはようございます」

  生徒会長の声がチャペルに響き渡る。生徒たちは拍手をして応えた。

  「新しい学期が始まりました。私たちはこの学校で多くのことを学ぶでしょう。友情、勉強、そして信仰についてです」

  彼女は落ち着いた口調で続けた。

  「皆さん、私たちには使命があります。この学校の生徒たちとして、その使命を果たしていくためにも、日々の生活を大切にしましょう」

  生徒たちは真剣な面持ちで聞いている。セリーナのカリスマ性とリーダーシップは、生徒たちの心を掴んでいた。

  「では最後に、女神様に向かって祈りを捧げましょう」

  彼女はそう言うと、生徒たちと共に手を組んで祈りを捧げた。

  「女神様、私たちに知恵と愛をお与えください」

  その瞬間、チャペルの中に美しい光が溢れた。それはまるで女神からの祝福のようであった。生徒たちは感動して涙を流している者もいた。セリーナは微笑を浮かべると、静かに壇上から降りて行った。

  「ねえ、セリーナ様って本当に美しい方だよね」

  一人の女子生徒が友達に話しかけた。彼女は目を輝かせながら話を続けた。

  「私、セリーナ様に憧れているんだ」

  「分かる!私もあんな風な女性になりたい!」

  セリーナは自分に向けられる拍手や歓声に少し戸惑いながらも、その期待に応えることができたことに満足していた。始業式が終わった後、セリーナはチャペルの中で考えていた。この学校に入ってから、彼女は生

  徒会長として多くのことを成し遂げてきた。しかしまだ自分の使命が何かを見つけられていないでいた。

  「女神様、私はどのようにしてあなたのお役に立てるのでしょうか?」

  チャペルの女神像に向かって彼女はそう呟いた。するとその時、女神像が淡く光り始めた。セリーナは驚いて女神像を見上げた。

  「女神様、これは?」

  彼女は恐る恐る女神像に近づいた。すると突然、女神像から声が聞こえてきた。

  「セリーナよ、聞こえますか」

  その声は穏やかながら荘厳な響きを持っていた。セリーナはその神々しさに圧倒されて言葉を失った。

  「私はあなたの使命をお教えしに来ました」

  女神の声は続けた。

  「あなたはこの学校で多くのことを成し遂げました。それは素晴らしいことです」

  セリーナは突然のことに戸惑いながらも、静かに聞いていた。

  「ですがまだあなたの使命は終わっていません。それは、あなたが生徒の模範となって、生徒を導くことです」

  女神の声が響き渡る中、チャペルに静寂が訪れた。セリーナはその言葉に息を飲んだ。

  「模範ですか?」

  「そうです」

  女神は答えた。

  「それはどういうことですか?私はどうすれば良いのでしょうか?」

  セリーナが尋ねると、女神は優しく微笑み、チャペルから光が放たれた。その光はまるで天使の翼のように広がり、セリーナを包み込んだ。彼女は思わず目を閉じたが、やがてゆっくりと目を開けた。するとそこには美しい女神の姿があった。

  「セリーナよ、あなたは生徒たちとともに毎朝祈りを捧げなさい。それがあなたの使命です」

  女神はそう言うと消え、再びチャペルに静寂が訪れた。セリーナはしばらく呆然としていたが、やがて我に返ったように立ち上がった。

  「分かりました、女神様」

  彼女はそう呟くと、チャペルから立ち去った。

  次の日から、毎朝、彼女はチャペルで女神像の前に座り、祈りを捧げるようになった。生徒たちもその姿を見て感化されたのか、同じように祈りを捧げた。

  「セリーナ様、どうして毎朝お祈りするの?」

  一人の女子生徒が尋ねた。セリーナは微笑みながら答えた。

  「私はこの学校の生徒会長です。皆さんを導くために、こうして毎日祈っているのですよ」

  彼女は生徒たちに向かって言った。

  「皆さんも朝起きてお祈りをしてみましょう。そうすればきっと素敵な一日が過ごせますよ」

  その言葉を聞いた生徒たちは、皆一斉にうなずいた。それ以来、チャペルで祈る生徒が増えたという。

  ある日、セリーナがいつものようにチャペルで祈りを捧げていると、突然女神像が輝き始めた。その光は彼女を包み込み、やがて彼女の意識を奪っていった。

  気がつくと、セリーナは見知らぬ場所に立っていた。そこはまるで天国のような美しい場所であった。目の前には輝く光の塊があった。セリーナが恐る恐る近づくと、それは徐々に形を変えていった。そして光が収まると、そこには美しい女性が立っていた。女性は微笑みながら言った。

  「ようこそ、セリーナ」

  その女性は女神であった。彼女は優しい表情でセリーナを見つめ、こう言った。

  「あなたの祈りのおかげで、この学校は大きな変化を遂げました。あなたこそが生徒たちの模範となってくれたのです」

  セリーナは驚きながらも答えた。

  「本当ですか?私はただ、生徒たちに良い影響を与えたいと思っただけです」

  「それがあなたの使命なのです。あなたは生徒を導く存在として選ばれたのです」

  女神はそう言うと、セリーナに向かって手を差し伸べた。

  「さあ、私と一緒に参りましょう」

  セリーナはその手を握り返した。

  「はい、喜んで!」

  こうして二人は手をつなぎながら、光の中に包まれて消えていった。

  セリーナは気付いたらいつものようにチャペルで祈りを捧げていた。顔を上げると、その目はいつもと違い、明らかに細くなっていた。涼しげな二重の瞳は、上瞼と下瞼の間が狭まった上距離が離れ、腫れぼったい細い一重の瞳となっていた。

  「セリーナ様?」

  生徒が尋ねた。彼女は戸惑った顔で答えた。

  「私はどう見えますか?何かおかしいでしょうか」

  すると生徒たちはクスクスと笑った。そして一人の女子生徒がこう言った。

  「ねえ、セリーナ様って本当に美しい方よね」

  他の生徒たちもそれに続いて言った。

  「私もそう思うわ!」

  セリーナはその言葉に戸惑いながらも微笑んだ。セリーナは自身の変化に気付かず、生徒たちはその細い目を美しいと感じていた。

  翌日もいつものようにセリーナたちは祈りを捧げた。すると、セリーナの美しく、まっすぐで小さく、顔全体に優雅な印象を与えていた鼻は、潰れて肥大化し豚鼻になった。生徒たちはそれを当たり前のように受け入れていた。

  「セリーナ様、今日もお祈りしているのね」

  「本当に素晴らしい方だわ!」

  生徒たちは口々に言った。そして自然とセリーナのことを「豚女」と呼ぶようになった。しかし彼女らはそれが素敵な愛称だと信じ込んでいた。

  次の日もセリーナたちは祈りを捧げた。すると、セリーナの長くまっすぐな上唇が横に広がって唇は厚くなり、歯が突き出るようになった。相変わらず生徒たちはその姿を称賛した。

  数日後、セリーナの変化はさらに進んでいた。彼女の顎や首回りには贅肉が付き始め、二重顎が形成されていた。そして体全体が大きくなり、制服がパンパンに張り詰めていた。

  「素晴らしいわ、あの丸々とした体型!」

  「私もあんな風になりたい!」

  「豚女様、素敵!」

  生徒たちは口々に言った。セリーナは体の変化に気づくことなく、今日も祈りを捧げていた。

  数か月後、セリーナの変化はさらに進んだ。全身には毛が生え、歩く度に豚のような臭いを振り撒いていた。そして生徒たちの前での立ち振る舞いにも変化が現れた。彼女は前屈みになって歩くようになり、猫背になった。また、手の動きも緩慢となり、物を掴むことが苦手になっていた。しかしそれでも生徒たちはその容貌を褒め称えた。

  「豚女様、今日も美しいわ!」「本当に素晴らしい体型ね!」

  セリーナも自身の肉体に誇りを持っていた。彼女は毎日の祈りを欠かさず、生徒たちの模範となるよう努力した。そして今日もチャペルで祈りを捧げるのだった。

  そんな日々を繰り返し、とうとう卒業式を迎えた。セリーナはいつものように壇上に立った。生徒たちは拍手で彼女を迎え入れた。

  「豚女様、おめでとうございます!」

  セリーナは微笑みながら頭を下げた。その姿は以前の凛々しさはなく、今にも倒れそうなほど贅肉がついていた。制服もパツパツでボタンが弾け飛びそうだった。彼女の体は汗で光り輝き、全身から悪臭が漂っていた。しかし彼女は気にすることなくスピーチを続けた。

  「皆さん、この学校で学んだことを胸に刻んでください」

  「もちろんです!」

  と生徒たちは叫んだ。

  「豚女様のような素敵な女性になるよう頑張りますわ」

  セリーナはその言葉に感動し、涙を流した。そんな彼女を生徒たちは温かく迎え入れた。

  「では皆さん、最後に皆で祈りを捧げましょう」

  セリーナはそう言うと、生徒たちと共に女神像に向かって祈りを捧げた。

  「女神様、私たちを導いてください」

  その瞬間、チャペルが光に包まれた。

  そして気が付くとセリーナはかつて女神と会った場所に立っていた。そこは以前と同じ景色であった。目の前には女神が立っていた。

  「セリーナよ、よく頑張りましたね」

  女神は優しく微笑んだ。

  「あなたは生徒たちを導き、正しい道に導くことができました」

  セリーナは感激し、涙を流した。

  「ありがとうございます、女神様」

  すると女神は彼女に向かって手を差し出した。

  「セリーナよ、あなたに最後の使命を与えます」

  その言葉にセリーナは驚いた。しかし同時に喜びを感じた。

  「はい、喜んで!」

  彼女はそう言うと、女神の手を取り、光に包まれた。そして気が付くとチャペルに戻っていた。生徒たちの拍手が彼女を包み込んだ。

  「豚女様!素晴らしいスピーチでしたわ!」「本当に感動しました!」

  生徒たちは口々にセリーナを称えた。彼女たちは感激のあまり涙を流していた。対してセリーナは自身の姿に対して激しく困惑していた。

  「私はどうなってしまったのでしょうか?」

  彼女は恐る恐る自分の体を触った。その体は贅肉に覆われ、制服はパンパンに膨れ上がっている。そして体臭はとても臭い。生徒たちはそんな彼女を気にすることなく、祝福の言葉を投げかけた。

  「あなたは本当に素晴らしいわ!」

  セリーナはその言葉を受けて困惑しながらも、彼女の体はさらに変化を始めた。ボンレスハムのような手足は縮み始めると、四足歩行を余儀なくされた。立派な腹はさらに膨張し、制服を引き裂いた。首周りはさらには脂肪で覆われ、鼻は肥大化し豚の鼻と口吻を形成した。そして頭部に残っていた綺麗な黒髪は全て抜け落ちた。彼女は人間の姿からただの豚へと変貌を遂げた。

  「プギャア!!フゴフゴ!」

  豚となったセリーナは驚きと絶望で悲鳴を上げた。しかし、その口からは汚い豚の鳴き声しか出てこなかった。

  「プギィー!ブヒィーン!」

  セリーナは泣き叫んだ。しかし、生徒たちはそれを気にすることなく彼女を褒め称えた。

  「素晴らしいわ!豚女様!」「本当に美しい姿だわ!」

  セリーナは涙を流した。その姿はとても醜く、見るに堪えないものだった。彼女は自分が人間から豚へと変えられたことに絶望した。しかし、周りの生徒たちはその姿を称賛した。すると、彼女たちも豚に変わり始めた。

  まずはメガネが似合う知的な副会長、ソフィアだ。彼女は聡明で凛々しい顔立ちは、豚のような鼻と上唇の肥大化によって見るも無惨な姿となった。

  「わたくしも豚女様のように素晴らしい豚に成れるのですね………ブギャア!ブヒヒーン!」

  次に、綺麗なポニーテールと引き締まった体が特徴の陸上部の元エース、アリシア。彼女の体は贅肉まみれで、制服も破れかけていた。

  「私も豚女様のようになれるんだ!………ブヒヒヒィーン!」

  着物がよく似合う華道部の部長、クロエ。全身に剛毛を生やしながら獣臭を振りまきながら肥大化を続けた。

  「私も豚女様のように美しくなれるのですね……ブヒィィィーン!」

  そして、モデルをしているエリカ。彼女の細くスラリとした体は縮んで肥大化し、美しかった顔も豚に成り果てた。

  「美しい私が、もっと美しくなりますわ………ブヒョオオーン!」

  生徒たちは次々に変化していき、やがてチャペルの中は巨大な豚たちで埋め尽くされた。そして彼女らはセリーナに向かって集まってきた。

  「プギイィ!!フゴオオオ!!」

  セリーナはその迫力に怯えて悲鳴を上げたが、豚になった彼女たちには届かなかった。その光景をどこからか女神は眺めていた。

  「よくやってくれました、セリーナ。あなたは皆の模範となり、見事皆を導いたのです。おかげで、あなたたちの美しさのエナジーを頂くことができました。その功績を称え、あなたを苦痛から解放してあげましょう」

  女神はそう言うと、セリーナに向かって手を掲げた。するとセリーナの体から光が放たれた。そして、彼女は自分が人であったことを忘れ、ただの豚になった。

  「ブヒィーン!」

  チャペルにはいつまでも豚の鳴き声が響き渡っていた。女神はその姿を見て満足気に微笑むと、その場から姿を消した。

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