ブルーが牛獣人に肉体的にも精神的にもボコボコにされ、それをイエローが必死に助けるお話

  追ってくるヒーローから逃げ続けて廃墟ビルの一番上まで来た狼獣人だったが、袋小路になってしまい壁に背をつけて向かってくるヒーローを忌々しそうに睨み付ける。

  「もう鬼ごっこは終わりか?」

  「くっ…!」

  走って追いかけて来た青いスーツを着た鮫獣人が言うと、息があがっている狼獣人が余裕そうな青いスーツを着た鮫獣人を苛ついた様子で見つめる。

  「俺は絶対に捕まる訳にはいかねぇんだ!」

  「面倒臭ぇな…」

  狼獣人がリング状の物を構えながら叫ぶと、青いスーツを着た鮫獣人が口を大きく開けて水を吐き出そうとする。

  「喰ら…っ!」

  青いスーツを着た鮫獣人が能力を使って攻撃をしようとした時、急に目の前の景色が変わったので驚きの表情のまま固まってしまった。

  「後ろががら空きだぞ」

  青いスーツを着た鮫獣人の視界が急に変わったのは後ろに現れた牛獣人の仕業だった。牛獣人が持っているリング状の物は狼獣人が空間転移に使う物で、そこから狼獣人の手とリング状の物を転移させてそれを青いスーツを着た鮫獣人の頭に被せて顔だけを別の場所に移動させていた。

  「上手くいったな」

  牛獣人が青いスーツを着た鮫獣人の体を触り、狼獣人の側に一瞬で移動してニヤァと笑いながら言った。瞬間移動を使いこなす男は上半身も下半身も分厚い筋肉がついた大柄な牛獣人で、頭に生えた立派な角の片方が欠けているのが特徴的だった。

  「まさかこんなに簡単に捕まえられるとは…流石牛さん」

  「戦闘経験の無いガキだと思っていたが、ここまで不用意だとは思わなかったなあ」

  狼獣人が素早く青いスーツを着た鮫獣人の手足も転移させてから言うと、牛獣人が転移させられた青いスーツを着た鮫獣人の顔を見てニヤァと笑いながら言った。

  「この…っ!」

  「おっと、攻撃したらテメエの両手足がちょん切れるぞ?」

  馬鹿にされた青いスーツを着た鮫獣人が再び口を開いて水を牛獣人に吐き出そうとすると、牛獣人が両手両足を転移させているリング状の物を持ちながら言った。青いスーツを着た鮫獣人が口を閉じて能力を止める。

  「ゼェ…ハァ…ブルー…はん…待っ…」

  絶体絶命な青いスーツを着た鮫獣人の元にもう一人のヒーローがやって来た。黄色いスーツを着たぽっちゃりした狸獣人で、部屋の入口で四つん這いになり荒い息を整える。

  「誰だあ?イエロー…か…?」

  「カヒュー…ヒュー…」

  牛獣人が部屋の入口を見ながら言うと、黄色いスーツを着た狸獣人が床に倒れて危険な呼吸をしていた。

  「…大丈夫か?」

  「ハヒュー…フュー…だい…じょうぶ…」

  牛獣人が一瞬で扉の方に移動して黄色いスーツを着た狸獣人を見下ろしながら言うと、黄色いスーツを着た狸獣人が仰向けになりながら言った。

  「んー?…牛さん…誰や?」

  「マイペースな奴だなあ」

  少しだけ落ち着いた黄色いスーツを着た狸獣人が首を傾げながら言うと、牛獣人がハァと溜め息をつきながら言った。

  「ヒーローからしたら…ヴィランだな」

  「ヴィランやて!?あ、あかん…!」

  牛獣人が不敵に微笑みながら言うと、黄色いスーツを着た狸獣人が必死に体を起こしながら言った。しかし起き上がっても牛獣人はおらず、キョロキョロとあたりを見回して牛獣人を探す。

  「こっちだ」

  「…っ!」

  黄色いスーツを着た狸獣人が牛獣人の声がした方を見た瞬間、思わず固まってしまった。何故なら両手両足と首が無くなった青いスーツを着た鮫獣人が牛獣人の隣に居る追ってきた狼獣人に抱えられていたからだ。

  「安心しな。ま だ ちょん切れていねえよ」

  「まだ…って事は、いつでも切れるいうことやな」

  牛獣人がニヤァと微笑みながら言うと、黄色いスーツを着た狸獣人が身構えながら言った。

  「そういう事だ。テメエもヒーローになってからそんなに経ってねえが、落ち着いてんな」

  「年の功ってやつやな。何が目的か聞いてもええか?」

  牛獣人が腕を組みながら言うと、黄色いスーツを着た狸獣人がアハハと苦笑しながら聞いた。

  「コイツに復讐するつもりだ。邪魔すんなよ」

  「復讐…えらい物騒やなぁ…」

  牛獣人が親指で青いスーツを着た鮫獣人を指差しながら言うと、黄色いスーツを着た狸獣人が柔らかそうな顎を撫でながら言った。

  「取り敢えずスーツ解除させた方がいいんじゃないか?」

  「そうだな。おい、解除しろよ」

  狼獣人が牛獣人の方を向きながら言うと、牛獣人が頷いた後に黄色いスーツを着た狸獣人を顎で指しながら言った。

  「えっと…その前に頼みがあるんやけど」

  「なんだ?」

  黄色いスーツを着た狸獣人が遠慮がちに聞くと、牛獣人が顔を顰めながら言った。

  「おじちゃん汗まみれやから、体乾燥させたいんやけど…ええか?」

  「変な事するつもりじゃねえだろうな?」

  黄色いスーツを着た狸獣人が手で自分を扇ぎながら言うと、牛獣人が訝しげに言った。

  「しないしない!今のままでスーツを解除すると、おじちゃんの汗の匂いが部屋に充満しそうでな…寧ろそっちの方が悪い思て」

  「…分かった。早くしろ」

  黄色いスーツを着た狸獣人が頭を掻きながらアハハと苦笑すると、牛獣人が仕方なさそうに言った。

  ―――ブシュウウウウウゥゥッッ!

  「はああぁぁ…生き返る」

  「お、お前…どんだけ汗かいてんだよ…」

  スーツから勢いよく風が出る程乾燥している黄色いスーツを着た狸獣人が気持ち良さそうに言うと、狼獣人が若干引きながら言った。

  「おじちゃんちぃと体が大きいからな」

  「ぽっちゃりって言い張るデブかよ。体見てやるから解除しろよ」

  黄色いスーツを着た狸獣人が太鼓腹をぽんと叩きながら言うと、牛獣人が呆れながら言った。

  「おじちゃんの体見たいだなんて物好きな子やな…ほいっと」

  黄色いスーツを着た狸獣人がスーツを解除すると、アンダーシャツのみの四十近いぽっちゃりした狸獣人が現れた。人の良さそうな顔をしており、狸獣人特有の太鼓腹が特徴的だった。

  「おっさんの体なんて見たくねぇよ…って、デブじゃん」

  「酷い人やなー狸獣人なんやから、腹が出ているのは仕方ないんや」

  狼獣人が狸獣人を指差して可笑しそうに笑うと、狸獣人がムーっと頬を膨らませて太鼓腹を撫でながら言った。

  「ギリギリぽっちゃりだな。おら、テメエも解除しろよ」

  「くっ…!」

  狸獣人が素直にスーツ解除したので牛獣人が青いスーツを着た鮫獣人に言うと、青いスーツを着た鮫獣人が悔しそうにスーツを解除した。未だ幼さが抜けていないアンダーシャツのみの逆三角形の鮫獣人が現れる。

  「ほぅ…?若い割には良い体しているな」

  「見るなよ角欠けおっさん」

  牛獣人が鮫獣人の体を見て感嘆の声をあげると、首が戻ってきた鮫獣人が顔を背けながら言った。

  「角欠け…おっさん…?」

  「う、牛さん!俺、準備するからイエローと待っていてくれ」

  牛獣人が額に青筋を立てながら言うと、狼獣人が慌てて鮫獣人を引っ張って狸獣人に必死にアイコンタクトしながら言った。狸獣人が牛獣人の手を引っ張る。

  「牛さんはおじちゃんと待ってような」

  「…子供扱いすんじゃねえ」

  狸獣人が少し離れた所まで牛獣人の手を引きながら言うと、牛獣人がパシッと狸獣人の手を払い除けながら言った。

  「まーまーそないに怒らんといてや。さっき復讐って言うとったけど、何があったんや?」

  「アイツ…組同士の抗争中に乱入してきて真剣勝負を邪魔した上にオレの角を折りやがったんだ!それなのに、オレの事を覚えてすらいねえ…あーくそっ!腹が立つ」

  狸獣人が微笑みながらよっこらしょと座りながら言うと、牛獣人が狸獣人の隣にドカッと座って頭をガリガリ掻きながら酷く苛立った様子で言った。

  「角を…成程な。おじちゃんみたいな角の無い種族には分からんけど、角のある種族にとって角は性器くらい大事なんやろ?」

  「あぁ…良く知っているな。角の折れた奴は角無しとか不能とか馬鹿にされるんだよ」

  ヒーロー稼業をやる前は医者だった狸獣人が角のある患者に聞いた事を言ってみると、牛獣人が意外そうな顔で驚いた後に未だ怒りがおさまっていない様子で言った。

  「そっか…ブルーは強い能力に目覚めて天狗になっとるんや。だから…申し訳ない。おじちゃんが変わりに謝る」

  「…テメエの謝罪なんかいらねえよ。オレはアイツにしっかりと反省させたいだけだ」

  狸獣人が深々と頭を下げながら言うと、牛獣人が狸獣人の上半身をグイッとあげさせながら言った。牛獣人の顔は先程のような憤怒の顔ではなく、少し和らいだように見える。

  「牛さん、準備出来たぜ」

  「おう、ありがとな」

  準備が終わった狼獣人が牛獣人を呼びに来ると、牛獣人が嬉しそうに言った。

  「狼もやるか?」

  「俺は…遠慮しとくよ。恨みのある牛さんの邪魔したくねぇからな」

  牛獣人が拳を握り締めながら言うと、狼獣人が苦笑しながら言った。本当は参加したい気持ちもあるが、激昂している牛獣人に譲ったのだろう。

  「そっか。悪いな、譲ってもらってよ」

  「良いって良いって。牛さんが一番怒っているのは分かっているからさ」

  牛獣人がニカッと笑いながら言うと、狼獣人が両手を横に振って微笑みながら言った。

  「ありがとな」

  「牛さんには沢山借りがあるから、本当に気にしないでくれ」

  牛獣人が立ち上がって狼獣人の肩を抱きながら言うと、狼獣人が照れ笑いしながら言った。

  暫くハグをしてから牛獣人は鮫獣人の元へ向かい、狼獣人は狸獣人の隣に座る。

  「よお?待たせたな」

  「待ってねえよ」

  大きめなブルーシートが地面に敷かれた上で天井に吊るされた鮫獣人に近付きながら牛獣人が不敵に微笑むと、鮫獣人が吐き捨てるように言った。

  「オレはずーっと待っていたんだよ。テメエを分からせる時をなあ」

  「はぁ?俺様は角欠けおっさんなんか知らねぇよ」

  牛獣人が指の関節をポキポキ鳴らしながら言うと、鮫獣人が牛獣人が露骨に反応したあだ名を再び煽るように言った。それが鮫獣人のこれからの運命を決める事も知らずに―――

  「よーし、分かった。素直に謝れば半殺しくらいにしようかと思ったが、ボコボコにしてやるよ」

  「ケッ!拘束されてなきゃイキれねえ癖に」

  牛獣人が眉間に皺を寄せて怒りを顕にしながら言うと、鮫獣人が状況を理解せずに生意気な口を叩く。

  「果たしてそうか…なっ!」

  「おぐぅうっ!?」

  牛獣人が拳を握り締めて鮫獣人の腹に打ち込むと、腹筋に力を入れていた鮫獣人が苦しそうな声をあげる。

  「その体は見せかけか?おらあっ!」

  「げはあっ!?」

  牛獣人が続けざまに拳を同じ場所に叩き込むと、未だダメージが残っている腹筋に先程よりも強い一撃を喰らわされた鮫獣人が唾を飛ばす。

  「オラオラアッ!さっきの態度はどうしたんだ?ああん?」

  「ごぼぉっ…んげぇ…」

  牛獣人が同じ場所に何度も何度も拳を叩き込むと、連続で来る強い痛みに鮫獣人が呻き声しかあげられなくなって最後には胃液を吐き出した。

  「いつもみてえに勢いよく水出せよっ!」

  「ぎあぁっ…!?」

  牛獣人が腕を引いて力を入れて拳を叩き込むと、鮫獣人が痛そうに呻いた。メキメキという嫌な音が響く。

  「骨までいったか?」

  「いぁ…っ!やめ…げぁ…」

  牛獣人が叩き込んだ拳をグリグリとめり込ませながら言うと、あまりの痛みに鮫獣人が弱音と血を吐き出した。

  「チッ…もう血吐きやがったか。ヒーローの癖によええなあ?おいイエロー、回復頼むって…何目隠ししてんだよ」

  「お、おじちゃんこういうの慣れてなくてな…」

  牛獣人が舌打ちしてから後ろを向いて怯えている狸獣人を見て溜め息をつくと、両手で目を隠していた狸獣人が恐る恐る手を退かしながら言った。

  「ヒーローの癖に何言ってんだよ」

  「おじちゃんは衛生兵メインやから、戦闘はあんまし得意じゃないんよ」

  牛獣人が狸獣人に近付いて肩を落としながら言うと、狸獣人が目を伏せながら言った。

  「…そうか。なら、今がその時だ」

  「…っ!」

  牛獣人が右手を狸獣人の手に差し伸べながら言うと、鮫獣人の腹と同じで傷だらけの拳を見た狸獣人が固まってしまった。

  「牛さん…」

  「オレは良いから、早くブルーを治療してやれ。あのままじゃ死ぬぜ」

  狸獣人が能力を使って牛獣人の手を治療すると、牛獣人が左手で鮫獣人を指差しながら言った。鮫獣人の体はプルプルと震え、口からは血が流れている。

  「ブルーはんっ!」

  鮫獣人の様態を見た狸獣人が慌てて鮫獣人に駆け寄って治療を施した。震えていた鮫獣人の体が少しずつ落ち着いていき、血を吐くことは無くなった。

  「流石だな。これでまた出来る」

  「…ヒッ!」

  治療が終わった鮫獣人を見た牛獣人がニヤァと笑いながら言うと、鮫獣人が体をビクンと震わせた。またあの痛みが続くのかと思うと体がガタガタ震える。

  「牛…さん…」

  「止めるつもりはねえ。コイツが始めたことだ」

  狸獣人が縋るような目で言おうとすると、牛獣人が治療してもらった手で制止しながら言った。

  「…でもな…」

  「それ以上言うな。テメエに怒りを向けたくねえ」

  狸獣人がそれでもと食い下がろうとすると、牛獣人が狸獣人の肩に手を置いてジィッと狸獣人を見つめながら言った。

  「…ごめんな、ブルー」

  「ま…待っ…!」

  「おっとお!テメエはオレと続き…だろ?」

  狸獣人が申し訳無さそうに謝ると、鮫獣人が引き留めようとした。しかし、牛獣人が二人の間に入って不敵に微笑むと鮫獣人の顔が一気に恐怖に変わる。

  「ぎぁ…っ!たす…っ!んげえ…」

  「…っ!」

  狸獣人が歩き始めると、後ろから鮫獣人の悲痛な悲鳴が聞こえてきた。狸獣人が耳を塞ぐがその声は部屋の中に響き渡る。

  「うるせえよ。黙れ」

  「…っ!」

  牛獣人が冷酷に鮫獣人を見下しながら頭を力を込めて掴むと、頭からメキメキと嫌な音がした鮫獣人が必死に歯を食い縛って悲鳴を抑えた。

  「…こっち来いよ」

  「…すまんな」

  狼獣人が狸獣人に駆け寄って体を抱きながら言うと、狸獣人が身を任せて歩き始めた。重い足取りで座っていた場所に戻る。

  「前は見るな」

  「狼さん優しいんやね…」

  「そんなんじゃねぇよ」

  狼獣人が狸獣人を座らせると、狸獣人が必死に微笑みながら言った。その痛々しい笑みを見た狼獣人が辛そうな顔で言う。

  「話でもしようぜ。何か聞きてぇ事あるか?」

  「…牛さんの角が折れた時の事を聞かせて欲しいな」

  狼獣人が何か気分転換にと話を振ると、狸獣人が気になっていた事を聞いてみた。

  「分かった。あの時は啀み合っていた組との抗争があってな…組の中で一番強い者同士能力を使わない正々堂々の勝負をしていたんだ。だが途中にヒーローが乱入してきちまって、牛さんはブルーに…」

  「文字通り水をさされた訳やな…しかも大事な角も折られて…」

  狼獣人が説明すると、狸獣人が目を伏せながら状況を理解した。狼獣人がいたたまれずに狸獣人の肩を抱き締める。

  「(こんな時どうすればええんやろ…回復しか出来ないおじちゃんに…)」

  「おいおい、ヒーローが失禁するなんて恥ずかしいなあ?そんなにオレの拳はいてえか?」

  狸獣人が必死に悩んでいると、後ろから牛獣人の煽るような声と共に鮫獣人のくぐもった呻き声が聞こえた。

  「イエロー、お呼びだぜ」

  「…分かったで」

  狼獣人がとんとんと狸獣人の肩を叩きながら言うと、狸獣人が立ち上がって後ろを振り向いた。そこにはスリットから尿を垂れ流して腹が内出血で紫色に染まり、口からは歯を食い縛り過ぎて口の中を切った血と内蔵を傷つけられた血が垂れているサンドバック状態のブルーが居た。

  「ブルー…」

  「もう…やめ…」

  狸獣人が治療をしようと鮫獣人の体に触れると、焦点のあっていない目で鮫獣人が小さく呟いた。それは狸獣人の治療が終わったら牛獣人の腹パンがまた始まるからやめて欲しいのか、狸獣人の治療をせずにそのまま楽にして欲しいのかどちらか分からなかった。

  「牛…さん…もう、やめてくれへんか?」

  「ああん?」

  狸獣人が勇気を出して牛獣人の方を向いて言うと、牛獣人がピクッと眉を動かしながら言った。その怒気を含んだ声に狸獣人の体がすくみそうになる。

  「お願いします。おじちゃん体は治せるけども、心は治せないんや」

  「…」

  狸獣人が頭を深々と下げながら言うと、牛獣人が黙って狸獣人を見つめた。

  「良いだろう。イエローに感謝しろよ?」

  「…あり…がとう…」

  牛獣人が項垂れている鮫獣人の顔を起こさせながら言うと、鮫獣人が途切れ途切れに言った。

  「ありがとうな。直ぐ治療するで」

  「だからオレは良いって」

  狸獣人が牛獣人の傷ついている手を両手で包み込んで治療すると、牛獣人が苦笑しながら言った。

  「これはおじちゃんの気持ちや。本当にありがとうな」

  「…そうか」

  狸獣人がニッコリと微笑みながら言うと、牛獣人もフッと微笑みながら言った。

  「ブルー、もう大丈夫やで」

  「…ううぅ…」

  狸獣人が微笑みながら鮫獣人を治療すると、やっと地獄が終わった鮫獣人が涙を流しながら嗚咽を漏らした。こんなに弱った鮫獣人を見たことが無い狸獣人がギュッと抱き締めてから、治療と失禁してしまったスリットの中をウェットティッシュで綺麗に掃除する。

  「治療と掃除が終わったことだし、次にいこうか」

  「…っ!」

  牛獣人がニヤァと笑いながら言うと、鮫獣人の体がビクッと震えてガタガタと震え始めた。

  「つ、次って…なんや?」

  「安心しな、もう殴りはしねえよ」

  狸獣人も怯えながら聞くと、牛獣人がニヤァと微笑みながら言った。

  「も…もう…やめ…」

  「ああん?まだ腹に喰らいてえか?」

  「違います…ごめんなさい…ごめんなさい…」

  鮫獣人が涙ながらに懇願するが、牛獣人が握り拳を作りながら言うと鮫獣人が何度も謝って許しを請う。

  「まずはこれを飲め」

  「…っ!や、薬物やないやろな?」

  牛獣人がガサゴソと荷物を漁ってペットボトルを取り出しながら言うと、狸獣人が慌てて言った。

  「危険なヤクじゃねえよ。ほら、飲めよ」

  「…(プルプル)」

  牛獣人がペットボトルの蓋を開けて鮫獣人の口に近づけながら言うと、鮫獣人が固く口を閉ざしながら首を横に振った。

  「まだ抵抗するつもりか?ゲロまみれなんだから、一度口を濯げよ」

  「…(コクリ)」

  牛獣人がピクッと眉を動かして脅すような低い声で言ってからもう一度ペットボトルを口に近づけると、鮫獣人が頷いてから水を口に含んで濯いでから吐き捨てる。

  「よし、良い子だ」

  「「…っ!?」」

  牛獣人が上機嫌で言ってからペットボトルの水を口に含んで鮫獣人にキスすると、鮫獣人と狸獣人が目を見開いて驚く。

  「…ングッ…」

  牛獣人が水を鮫獣人の中に押し込んで逃げないように頭を抱いていたので、逃げ場のない鮫獣人が水を渋々飲み込んだ。

  ―――ドクンッ!

  何の薬が入っているか分からない水を飲んでしまったと鮫獣人が後悔していると、急に心臓がドクンと跳ねるように動いたように感じた。鮫獣人の呼吸が荒くなり、スリットがヒクヒクと動いてしまう。

  「初めてだと効きやすいなあ?」

  「な、何を飲ませたん?」

  鮫獣人の反応を見た牛獣人が満足気に口元をペロリと舐めながら言うと、傍から見ている狸獣人は何も分からずに聞いた。

  「媚薬だよび や く」

  「媚薬やて!?そ、そんなエッチなもんあるんやな…」

  牛獣人がウインクしながら言うと、狸獣人がエッチな本やビデオでしか聞いた事が無い物が本当にあるんやとドギマギしながら言った。

  「陵辱には一番良いからな。あー…オレも飲んじまったから勃ってきたぜ」

  「…大き過ぎやろ…」

  牛獣人がズボンの上からでもくっきり見える勃起したモノを擦りながら言うと、狸獣人がゴクリと唾を飲み込みながらボソリと言った。そんな狸獣人を見た牛獣人の目がギラリと光る。

  「ハァ…ハァ…」

  「ちょっと待ってろよ」

  初めて媚薬を飲んだ鮫獣人が興奮しすぎて息を荒げていると、牛獣人が吊るされている鮫獣人を降ろして下に敷いてある吐瀉物や血等で汚れたブルーシートに触れた。すると、ブルーシートが消えて建物の近くのゴミ置き場にドサッと音をたてながら転送させる。

  「さあ、楽しもうぜ」

  「やぁ…っ!」

  最後に鮫獣人を寝かせた牛獣人がグチョグチョに濡れているスリットに指を突っ込みながら言うと、酷く興奮している状態で敏感な所を弄られた鮫獣人が身を捩りながら言う。

  「随分とエロい声出すじゃねえか。誘ってんのかあ?」

  「違…んぅ…っ!」

  ぐちゃぐちゃとわざと大きな音を立てて指を動かしながら牛獣人が舌舐めずりすると、鮫獣人が必死に違うと言おうとするが喘ぎ声に消されてしまう。

  「お、おじちゃんには刺激が強すぎるで…」

  「なんなら混ざっても良いんだぜ?」

  両手で目を隠した狸獣人がもじもじしながら言うと、牛獣人がニヤァと笑いながら言った。

  「え、遠慮させてもらいます!」

  「…?」

  狸獣人が顔を真っ赤にして狼獣人の居る所まで走って行くと、狼獣人が何があったんだと不思議そうに首を傾げた。

  「つまらねえな…まあ、テメエで楽しむかな」

  「ひぁ…っ!」

  牛獣人が指を捩じ込んで奥の方を突くと、鮫獣人が目を見開いて驚きながら甲高い喘ぎ声をあげた。

  「此処か。分かりやすいなあ?テメエは」

  「ひう…」

  前立腺を見つけた牛獣人がグリグリと指で弄りながらニヤァと笑うと、先程は痛みで泣いていた鮫獣人が今度は快感の涙を流しながら身を捩る。

  「お?出てきたな。随分可愛らしいオチンチンじゃねえか」

  「う゛う゛ぅ゛…」

  スリットからひょっこりと出てきた皮の覆われていない小さめな二本の肉の槍のようなモノを牛獣人が左手でグリグリ弄ると、鮫獣人が敏感なモノをグリグリ弄られた喘ぎとオチンチンと馬鹿にされた悔しさの入り混じった声をあげる。

  「ガキだと思っていたが、此処もガキだとはなあ?」

  「ぐずっ…」

  牛獣人が小さなモノをグイグイ引っ張りながら言うと、ずっと隠してきた自分の小さなモノがよりにもよってヴィランにバレてしまった鮫獣人が遂に泣き出してしまった。

  「いつもの威勢はどうしたんだよ?これから幾らでも成長するくらい言えよ。まあいい、本物の雄ってもんを見せてやるよ」

  泣き出した鮫獣人を見た牛獣人がつまらなそうに言ってからカチャカチャとズボンと下着を脱ぐと、ブルンと勃起したモノが現れた。

  「…っ!!」

  長さも太さも平均以上の重量感のある綺麗に剥けた赤黒い牛獣人のモノを見た鮫獣人が目を見開いて驚いていた。初めて見る哺乳類の性器で、しかも自分のモノより一回り以上大きいので羨望の眼差しを向けてしまう。

  「見惚れてんじゃねえよ。ほら、咥えな」

  「…ぅ…」

  牛獣人が鮫獣人の上半身に跨って勃起したモノを鮫獣人の口元に近づけると、鮫獣人が固まってしまった。

  「(臭いくさいクサイ…嫌だ汚い気持ち悪い…っ!)」

  散々腹パンされて体は従順になっているが、嗅いだことのない濃縮された獣臭さを感じた鮫獣人が心の中で必死に抵抗していた。

  「…」

  「ヒッ!」

  まだ腹に足りねえかと言いたげな牛獣人の冷酷な眼差しを受けた鮫獣人が小さく悲鳴をあげた。固く閉じていた口を震えながら開ける。

  「最初から素直に開けろよ。先に言っておくが、噛んだりしたら…分かっているよな?テメエのオチンチン引き千切って雌にしてやっからな」

  「(コクコクコク)」

  牛獣人がガッと鮫獣人の口をこじ開けて睨みつけながら言うと、鮫獣人が必死に頷いた。

  「ちゃーんと濡らしとけよ?これからテメエの中に入れるんだからな」

  「レロ…う゛ぅ゛…」

  牛獣人がスリットの中に指を入れて此処に入れるからなと言いたげに弄ると、鮫獣人が牛獣人のモノに舌を這わせた。牛獣人は綺麗好きなようなので汚れは無いが、濃縮された汗の味と尿や獣臭さが鼻一杯に広がって辛そうに涙を流す。

  「へったくそな舌使いだなあ。こう…やんだよ!」

  「んぶっ!?」

  牛獣人が鮫獣人の頭を掴んで無理矢理奥に突っ込むと、喉まで入ってきたモノに鮫獣人が苦しそうな声をあげた。

  「あー気持ちいいぜ。喉マンは中々じゃねえか」

  「うぶ…ごぉ…」

  牛獣人がゆっくりと腰を動かしつつ指で前立腺をグリグリ弄りながら言うと、鮫獣人が上は地獄だが下は強すぎる快感に頭がおかしくなりそうになる。

  「そろそろ良いか。本番いくぞ」

  サンプル版はここまでです。続きはBoothからどうぞ