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丸呑み妊娠モノ1-1

  ウエノは、そこそこ名の知れた女流漫画家だったが、前作を終えて、次回作がなかなか決まらないでいた。

  蓄えは充分あるし、印税も入ってきているが、微かな焦りも感じていたのだ。

  そんな時に見つけたのが、入懐と言う言葉だった。

  これは、都市伝説のようなものだったが、調べてみると、実在しているらしかった。

  ウエノは人脈を総動員して、とあるバブル期以前に建てられた、高級マンションに辿り着いたのだ。

  建物は古く、修繕の箇所が多く見られるものの、遠目で見る限り、相応に住人のレベルを推し量れるものだった。

  茶色いタイル張り、アールデコ風のベランダ柵、駐車場の、車の趣味を見ても、金持ちな年寄りが多そうだなと言うイメージである。

  改装済みの真新しいエレベーターを上がり、八階の五号室のチャイムを鳴らす。

  「予約したウエノです」

  「あら、初めての方ですね」

  こうして新しい扉は開いたのだ。

  入懐とは、己が人の胎内へ戻るという行為である。俄には信じがたいが、ある種の人々にとっては、最高の癒やしなのである。

  出迎えた女性は二人いて、一人はミステリアスな雰囲気を持った女性で、十代ばりの若々しさと、二十代なりのすっきりとした体格、四十代マダムの落ち着きが垣間見える、年齢不詳の女性である。分かりやすく言えば、洋ゲーに出て来る謎の女と行ったところか。名前をタバタと行った。

  薄着を纏って、物腰穏やかに話す人である。

  もう一人は、コマゴメと言う名の、イケメンタイプの女性で、宝塚歌劇団にでもいそうに見えた。概ね無口で、特に必要以上を喋ることはなかった。

  「まずオリエンテーションから始めて、その後、実際に入って貰います」

  入会金、オリエンテーションに二十万円、一回入るのに十万円プラス時間二万円と、その特殊さから言えば、お安い値段にやや不信感があったが、タバタ曰く、これはライフワークであり、自分自身はお金に困ってないからであると言う。尤も、客の選別はしっかりしていて、実際、ウエノが予約して連絡が帰ってくるまで、審査に半年ばかり要したからである。

  「小さい方なのね」

  文字にすれば失礼だが、タバタの口からは「可愛い人」ぐらいの意味で発せられたのだろう。

  実際、ウエノは小柄で幼児体型故に、描く漫画からは、その容姿を想像出来ないと言う評判をよく耳にする。

  「取材も兼ねているのでしょう? でも、ここであった事は他言無用。でも、貴方は口が硬そうだし、知的好奇心を満たしてあげる事ぐらいは出来そうよ」

  そんな何とでも理解出来そうな言葉を吐きつつも、しっかりと内容を説明していく。

  先ず、タバタの子宮の中に"呼吸出来る液体"を注入する。そして、子宮が充分広がった所で、お客さんが中に入ると言う。

  コマゴメが先ず、それを実演するという。

  タバタは、丈の長いスカートをまくし上げると、ダイレクトにパイパンな股間が現れたのだ。

  足を広げ、M字開脚でソファーベッドに横たわった。

  彼女の膣口並びに小陰唇は、モノを食べたがる生き物のように、パクパクと動き、それはエロティックではあるが、同時にヴァギナ・デンタタを連想させる、気持ち悪さと恐ろしさがあった。

  「あそこに入るのか」

  ウエノは少し戸惑いつつも、好奇心を抑えることも出来なかった。

  コマゴメはテキパキと、何やらウォーターサーバーと、医療器具のあいのこような道具から、一本のチューブを取り出す。そして、先を消毒すると、彼女の生殖器に差し込んだ。

  ウエノの予想通り、この装置は、例の液体を彼女の子宮の中に注ぎ込む道具に思えた。

  しかし、それは半分しか当たらなかった。ウエノは、それが機械的に行われると思っていたが、実際は、彼女のヴァギナが、チューブから液体を吸い出していたのである。

  ジュルジュルと音を立てて一気に吸い込んだと思うと、淫らな唇が脈打ち、息を吸うよう中断する。そして、もう一度、はしたない音を立てながら、液体を飲み込むのである。

  タバタは笑顔を絶やさなかったが、言葉数は明らかに少なく、集中しているのは明らかだった。

  彼女が例の液体を吸い出して行くにつれ、腹は膨れ、妊婦のそれに近付いていくのだ。

  「もっと大きくなるからね」

  目を見張るウエノに対して、タバタは悪戯っぽく笑う。その頃には、二つのタンクはすっかりと空になってしまっていた。

  コマゴメは、ウエノがいる目の前で、突然服を脱ぎ始める。

  なるほど、胎内に入ると言うのだから、一糸纏わぬ姿にならざるを得まい。服があったら入りにくいだろう。

  妙に感心しつつ、スレンダーな彼女を見て、少し恥ずかしくなるウエノだった。

  「行きますよ」

  コマゴメが声を掛けると、タバタは消えそうな声で「きてぇ」と答えるのだ。

  コマゴメは、タバタの股間の前に頭を置き、仰向けに寝ると、両手を合わせて、天を貫くようなポーズで、タバタの膣に手を突っ込んだのだ。

  タバタの股間は、骨盤が二分されているのかと思うほどに柔軟に広がっていった。

  タバタは、嬌声を漏らしつつも、コマゴメが腕を伸ばしていくのをさせるがままにしていた。

  肘の手前まで腕を飲み込むと、そこからは、コマゴメは一切力を加えることもなく、吸い込まれていく。

  それはまるで、大蛇が子鹿を飲み込んでいく風景を彷彿とさせる。

  ウエノには、何のどういう力が働いているのか、全く見当が付かなかった。しかし、紛れもなく、タバタは人一人を飲み込もうとしていて、コマゴメはそれを幸福そうな表情で受け容れているのである。

  「ここからは少し息が出来ないけど、リラックスして受け容れてね」

  声も絶え絶えになりながら、タバタは状況を解説する。

  頭を飲み込むところとなると、コマゴメの身体は90度回転し、横向きの状態で飲み込まれていく。

  そして、コマゴメは、口が吸い込まれる前に、明らかに笑い顔を作っていた。

  次に、顎が吸い込まれると、キュっと膣は締まり、相変わらずの柔軟さを見せるのだ。

  首を過ぎれば、肩に差し掛かる。

  その肩幅を利用して、骨盤を広げようとするのか、身体は、同じ方向に270度回転しながらねじ込んでいく。

  股間は再び膨れ上がり、身体の構造が、全く未知なモノに変化していくのが分かった。

  ここが一番の難所なのか、タバタの嬌声は一層大きなものへとなっていった。

  、そうして、胸の位置までやって来ると、一段落付くのか、それとも体力的な問題か、コマゴメは動きを止め、タバタは息を吐いて、呼吸を整え始めた。

  「ここまで来ると、なかの液体で呼吸出来るようになるから、そこで深呼吸して」

  ウエノは、そう言われて、再びコマゴメを見ると、確かに、大きく呼吸をしているのが見える。

  下半身をおっぴろげた女性の股間に、胸をはだけた女性の首から下が突き刺さっていると言うのは、如何にもシュールであったが、現実にそう言うものを見てしまうと、自然と受け容れてしまうものだ。

  「中の人は、声が聞こえるんですか?」

  質問すると、「私の声だけがはっきりと聞こえて、あとは水中にいるみたいね」と、経験があるように答える。

  「ご自身も、入懐をやられたことが?」

  取材ではないが、職業柄、そんな風に聞いてしまう。

  「そう。昔、私はある人の所に入り浸っていたからね。そこで、母胎をやらないかって誘われたの。

  私はまだ経験がないけれど、適性がある人が中に入ると分かるみたい」

  ウエノは、そんな言葉を聞い、「まるで、自分が昔はまともな人間だったと言っているようなものじゃないか」と思ったのだ。それほどまでに、今の様相は人外じみていた。

  「さて続けるね」

  タバタは、再びコマゴメを飲み込み始める。

  柔らかい胸は押しつぶされながらも、仕舞いにはぷるんと飲み込まれた。

  そこからは早い。一気にウェストまで飲み込まれる。

  タバタの腹は、更に膨らみ、そして、人体を飲み込んでいるらしく、歪な球形となっているし、何やら蠢いているのが分かる。

  「ちょっと、動かないで」

  そう笑いながら、胎内のコマゴメを叱りつつ、その表情は穏やかで、余裕があったのだ。

  腰の所に差し掛かると、再びペースは鈍り、息も荒くなる。

  恐らく、コマゴメの骨盤からだろう、ミシミシとヤバそうな音が聞こえる。

  「大丈夫なんですか?」

  「母子共に健康よ?」

  ウエノの焦りに反して、汗水垂らすタバタは、言葉だけすれば、酷く落ち着いている。

  コマゴメは、タバタの言葉を聞いたのか、片足の膝を曲げ伸ばしして、健在をアピールした。

  骨盤を過ぎれば、後はゴールが近い。

  勿体ぶりながら、足を飲み込んでいく。

  「はい、入りました」

  タバタは、澄まし顔を見せたが、額に汗し、それで可愛い表情に変化して笑った。

  「この状態で、一晩過ごす人もいるわ」

  大きくなった腹を慈悲深く撫でながら続けた。

  「中は静かで、誰にも邪魔されずに、完全なリラックスが出来るの。世界で一番のセーフティブランケットよ」

  若干、宣伝文句臭かったが、確かに、それは言い得て妙であった。

  「中で眠るんですか?」

  「そう、眠る人は多いわね。でも、色々考えたり、オナニーしたり、人によるわ」

  タバタは笑うと、腹を軽く叩き「してから出る?」と問いかけた。

  腹はもぞもぞと動きながら、そして、ビクビクとしているのも外から見て取れる。本当にオナニーをしているようだ。

  「変に思えるかも知れないけど、一回体験すれば分かるわ」

  元気のいい胎児に、些かキツそうな顔をしつつ、それでも笑顔を絶やさないタバタであった。

  「出るタイミングは、自分で決めてもいいし、何か異常がわかったら、私の力で出す事も出来るわ」

  オナニーは継続中だが、質疑応答は続いた。

  そして、遂に腹は一度、大きく弾んだ。

  「あぁ、んんんんっ!」

  話の途中で、タバタは突然恍惚の表情へと変化した。

  「ご免なさいね……中の……子が、ん、んんんっ。イクと、私も……ああああ! ちょ、ちょっと!」

  中と外のイキ合いが、そこから十分ほど続いた。

  「もう出る?」

  二人が落ち着いた頃、タバタは越えを掛ける。

  すると、程なくして、手のひらが出てきて、OKの合図を見せると、ズルズルと腕が出て、頭が出る。

  頭が出たコマゴメは、突然、例の液体を吐き出し、嗚咽した。

  暴れる下半身に、タバタは再び「うっ」とした表情を作るが、すぐに落ち着くと、肩から先を、容易く吐き出していくのだ。

  床は一面水浸しになった。

  「大丈夫、床は排水出来るようになってるし、ソファも防水だから」

  ウエノは、それどころじゃないだろうと思いつつ、ねっとりした体液に包まれたコマゴメを見てやる。

  彼女は、横になりながら、息を整えようとしていた。

  「中でそんなに頑張るからよ」

  タバタが笑うと、コマゴメも「ふふっ」と笑い返した。

  もう一つ注目すべきは、タバタの膣口である。

  出産直後は、大きく開いていて、中の液体を自然にまかせて零していたが、それは徐々に小さくなり、そして、身体は人間のそれへと戻っていくのだった。

  ウエノは言葉を失った。

  人間とは、或いは自然とは、どんなことでもあるのだと言う畏れだ。

  そして、それが全く、自分のいるところと地続きであり、あと暫くすれば、そう言った"驚異"に自分も飲み込まれるのだ。

  [[jumpuri:第二話 > https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8459896]]

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