気がつくと私は周りが鏡に覆われた部屋にいた。
「ん・・・ 私・・・」
『気がつかれましたか?』
部屋の上に設置されたスピーカーから、医者の声が聞こえた。
「この部屋は何? 私は元に戻れたの?」
その問いに、医者は答えた。
『人間に戻れるかという質問でしたら、あなたはもう戻ることはできません』
両手で顔を覆おうとするも自分の手を見て血の気が引く。
無造作に拭き取った跡はあるが血痕と肉片がその手にはこびり付いていた。
「まさか、私また人を・・・」
『看護師を5人ほど。 いや~中々に凄惨な光景でした。 隠蔽するの結構大変だったんですよ?』
「うそ・・・ どうして・・・」
脱力感が体を走り、その場に私は倒れ込んだ。
『あなたが、人を食べた理由は分かりますか?』
「・・・・・・」
『まぁ、一つは食欲ですけど。 もう一つの本能に従うためです』
「本能・・・ 私、この先もずっとまたあんな姿になって人を襲って生きていくんですか・・・?」
『あなたはもう人ではなくエイリアンですから』
「そんな・・・ そんなのいや!」
私は悲鳴を上げた。
「私を元の体に戻して! お願いだから、元に!!」
『もう、遅いですよ。 でも、きっと貴方は人間を辞めた事に喜びを得られると思いますよ?』
そう言って、医者は通話を切った。
私は絶望に打ちひしがれ、膝をつき涙を流していた。
(こんなの嘘だ・・・ 私が何をしたっていうの? 何で私がこんな目に・・・)
私は、ただ泣くしかなかった。
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30分ほど立っただろうか。
部屋の扉が開き体格のいい男が二人出てきた。
「本当にこの女を襲っちゃってもいいんですか?」
男達が私を見下ろしてそういった。
『構いませんよ、そう言う実験ですから。 レイプしようが生きたまま体を切り刻もうが好きにしてください』
私は男達の視線に恐怖を感じて後ずさる。
『怖がる必要は無い。 相手は人間だ』
「いや・・・ 来ないで・・・」
「すまねぇな、可哀相だけど命令でな。 ちょっとだけ遊んでくれや」
あの時と同じ。
私はこの後・・・
私の体が熱を帯びる。
「お願い、逃げて・・・」
「はぁ? 逃げる? 俺たちがか?」
「何言ってるんだいお嬢ちゃん」
男達はゲラゲラと笑っている。
「いいから逃げて!! じゃないと私───」
言い終わる前に部屋に医者の声が響く。
『さぁ、沢山食べて沢山栄養を取るんだ』
その声に、私の何かが反応した。
『理由は分かるだろ?』
(そうだ、食べなきゃ・・・ 私、沢山栄養をつけないといけないんだ・・・)
口からあふれ出るヨダレを押さえきれずダラダラと垂れ流す。
「チッ、この女薬チュウかよ」
私は、ムクッと起きあがり男達を見て体に力を込める。
バキッ、ボキボキ・・・ 始まった。
全身の皮膚が裂け赤紫色の肉組織に覆われていく。
「おい・・・ 何なんだよ、こいつ・・・」
男達は目の前で起こっている出来事が信じられないでいるようだ。
その表情と鏡に映る自分の変身中の姿に、私は興奮を覚える。
(食べなきゃ。 いっぱい食べないといっぱい産めない・・・)
ググググッという音とともに首が伸び顔が前に突き出されると口から無数の触手が溢れ出す。
そして、後頭部が後ろへズルッと伸び突起物がビッシリと突き出した。
「グウェェー!」
人間の言葉を忘れ、私は・・・ 私だったモノは地球外生命体の遺伝子を持ったエイリアンへと成り果てた。
「うわぁー!」
「助けてくれぇ!」
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「ギシャーッ!」
異常なまでの空腹感に一人目の男に飛びかかる。男の腹に手を入れ引き裂くと顔を埋めて貪り食べ始めた。
逃げようとするもう一人の男を私の複数の目が捕らえ片腕を男に向け腕を伸ばして腹を貫く。
バキッと音を上げて男は血を吹き出しながら床に倒れる。
(おいしい・・・ おいしい)
それは、間違いなく自分の感情だ。自我もきちんとある。
私は体のみならず心までエイリアンとなっていた。
私は、男達の残骸を貪る。
栄養を取らないと沢山産卵できない。
変わり果てたこの体でするエイリアンの性行はどれだけ気持ちが良いのだろうか。
沢山の卵を産むのはどんな感じなのだろうか。
ボリボリと顔を男の体に埋め骨を食べながら、ひたすらこれから行う交尾の事だけを考える。
秘所に備わった外骨格を左右にバクバクと開き、白い液体を吹き出す。
交尾相手を興奮させる臭いをまき散らしながら。
扉が開き白衣姿の医者が凄惨な光景が広がる部屋へと入ってきた。
「そんな激しい誘われ方をされたら我慢できないじゃないか」
彼の姿が変わっていく。
着衣がビリビリと引き裂かれ中からおぞましい・・・ いやとても素敵な体が現れる。
メキメキと音を上げ首が伸び顔面の肉をボタボタと落としながら本来の顔へと変化する。
「ギシャー!!」
目の前には私と同じような姿へと変わったエイリアンが立っていた。
私には分かる。
今の雄叫びは歓喜に満ち溢れた声。
この辺境の星で同じ遺伝子を持つものと本来の姿で心が通じた喜びの声だ。
私は秘所にある外骨格を限界まで開き彼を迎え入れる準備が出来ている合図を送った。
彼の股間からは角のような突起部が伸びてくる。
ヌメる液体がじわりと溢れ出すその光景を前に、私は我慢できず彼へ飛びついた。
そして、凶暴な生殖器を自分の秘所へ自ら突き刺す。
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彼の生殖器から湧き出す液体が私の体へと染み込んでくる。
全身に強烈な快感が駆け巡り、人であれば子宮であろう臓器が激しく動き出す。
交尾によって彼の子種を取り込む準備が出来た合図だ。
私は夢中で彼の生殖器から溢れる液体を体内へ吸収する。
もっと・・・ もっとこの体に子種を入れないと。
そして、いっぱい産まないと。
私は口を開いて奥から無数の触手を出すと、それを彼の口に押し込んでいった。
本能で分かる。
どうすれば彼をもっと興奮させ、より多くの子種を作り出すのかが。
「キシャーッ!」
私は奇声を発し力を込めて彼の生殖器から染み出す体液を一滴も逃さないように肉壁で締め上げ吸収していく。
体内に取り込んだ子種を含む液体は私の体を駆け巡り排卵を促し始めた。
感じる・・・
腹部が徐々に盛り上がり私の体の中に沢山の卵が作られていくのを・・・
もっと作りたい。
そのために沢山の人間を食べて栄養を取ったのだから。
ボコボコと盛り上がる腹部はついに限界を迎え、産卵管から膨大な量の卵を垂れ流した。
ビチャビチャという音を上げて産み落とされた卵は赤黒い飴玉のような大きさ。
ドロッとした液体に覆われた卵は、なおも産卵管から排出され床を覆い尽くしていく。
人間だった私がここまで構造が変わってしまったのかと一瞬思った。
同時に、どうしてさっきまで人間である事に固着していたのに疑問を抱く。
だって、こんなに凄いオーガズムを味わえるのに・・・
こんなに沢山の子供達を生み出せるのに・・・
こんなに素敵な体になれるのに・・・
「シャー!」
可愛い声が聞こえる。
卵から子供が孵化した。
孵化が早いのは優秀な母体だった証。
「シャー シャーー!」
至る所から子供達の声が聞こえ始める。
次に私がすることは・・・
「ギシャー!!」
私は彼の体内に挿入したままの触手管で心臓を噛みちった。
性行を終え不要となった彼をこの子達の餌とするために。
子供達が彼を食い尽くしたら次は私。
それが私達の繁殖行動。
・・・そういえば彼がどうして地球に来たの聞くのを忘れた。
でも、多分目的は達成されるであろう。
本来この星にいるはずのないエイリアンがこれから大繁殖する。
そして、人間が支配する星から私達が支配する星に生まれ変わる。
私から生み出されたエイリアンによって。
「ギシャーッ!」