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今日の学校は代わり映えのしない退屈な日々から一線を画していた。立ち並ぶ出店屋台から漂ういい匂い、縦横無尽に張り巡らされた飾り付けに、活気付いた声があっちこっちから聞こえてくる。
平坦な学生生活から隔絶されたイベントの中でも随一の盛り上がりを見せるもの…そう、文化祭の開幕である。
俺たちのクラスは広めの講堂に陣取ってお客さま…否、ご主人様をお迎えするお仕事に就いていた。そうだ、俺はメイド…ご主人様にお仕えするメイドなんだ…羞恥心を捨てろ……
「なんだよハルちゃんー。もう始まっちまったんだし腹ぁ括れよー。」
「邪魔するな…俺は今メイドになりきろうと必死なんだ。」
「んな固くなんなくたって適当にやっててもウケるぜコレ。」
そう言うタケルがくるんと回るとミニスカがふわっと持ち上がる。
このアホ猪はミニスカメイド服に袖を通してすぐに順応していた。アホさもたまには得するもんなんだな…逆に羨ましい。
周りの男子も半ば諦めかヤケクソでご主人様お嬢様方のお世話をしている。
さて…あまり解説はしたくないのだが今の俺の姿をアホ猪を使って説明しよう。
まず頭は定番のホワイトプリムで可愛く着飾って。黒の半袖ミニスカワンピースの上にフリル付きの白エプロンは逞しい胸板で盛り上がっている。そんな胸元には可愛らしいリボンタイがワンポイント。ネームプレートは今日明日限定の源氏名。こいつはアイちゃん、俺はハルちゃん。
バレーシューズにぶっとい足には白ニーソをガーターベルトで吊り下げて絶対領域も忘れない。そして…
女子どもよ。なぜ下着まで女性物にしやがった…!一応隠れはするけど人によっては結構その…いやダメだろこれは!プリンとしたケツとか股間の盛り上がりとか見えてるから!というか生徒会仕事してくれ!!あとタケルお前はくるくる回るなマジで中見えてっから!見えちゃダメなの見えそうだから!
と、講堂の入り口が僅かにざわめいて入ってくるヤツがいた。
「やぁ、メイドさんの指名はできるかな?」
「生憎と手隙のものはおりませんクソご主人様。」
「おや、暇そうなのが2人ほど見えるのだけどね。可愛らしいお嬢さん方、お相手してもらえるかい?」
「いやぁそんな…可愛いだなんて…!」
仕事をしていない生徒会の方がいらっしゃいましたよコノヤロウ。
こいつ絶対わかってて言ってんだろキャプテンテメェ…裏方の女子がすげー顔で凝視してんぞ。あとタケルお前はときめいちゃダメだろキャプテンだぞ。気持ちはわかるけどさ!
からかって遊びにきたのがありありと分かるので早々に食って帰ってもらおうかキャプテンよ。
「かしこまりましたー。」
「あ、そうそう連れもいるんだが。」
「こ、こんにちはハルトくん……」
…俺、今日はもうダメかも知んない。
……………
丸テーブルを囲んで座る俺、タケル、キャプテン…そしてナツキの4人。ウェイターの女子に爽やかに注文を告げたキャプテンがさて、と向き直った。
「ちょうどそこで会ってな。ハルトの事探してたから案内ついでってところか。」
「あー…そうですか……」
「え?ってかナツキちゃんうちの学校だったの!?偶然ー!」
「おや、言葉遣いがなってないぞアイちゃん?」
「あ、申し訳ございやせんご主人様ー。」
賑やかなものである。そしてノリはいつもとあまり変わらない。そう言えば俺ら三人とナツキが揃って顔を合わせるのは練習試合の時以来かもしれない。
いやそれはともかくとして…うん。見られている。さっきからばっちり見られている。ナツキに。なんかこう…上目遣いなところは可愛いんだけど、妙にキラキラしてるというか…例えるならこう、宝物を見つけた子供みたいな…いやもうちょっと……
「え…と、ナツ……い、如何致しましたか、お嬢様?」
「はうっ!?」
彼女の中の何かに直撃した。いや多分そうだろうなって比喩なんだが、なんかその…どうしようちょっと知らない一面知っちゃったかもしんない…
いや、でも考えてみたら彼女も俺の前では女の子だし、今日はちょっとだけ逆転してると思えば…
「は…ははハルトくん…かわいい……」
「ほらハルちゃん、お嬢様のご要望ですわよぉ?」
あの…ナツキさん…?ちょっと浮かべちゃいけない表情でスマホのカメラ向けて何を…おいアホ猪。肩を抱いてピースするな。チーク寄せるな。キャプテンも止めてくれ。
「メイドさんの撮影はOKだと聞いたが?なぁ?」
「ではここで撮影会タイム入りまーす!ハルちゃんアイちゃんよろしくね?」
どこまでもムカつくなぁこのイケメンめ!!そして女子!便乗すんな!って周りのご主人様方まで来ちゃったんですけど!?
…ちくしょうわかったよやればいいんでしょ!わかりましたよ!!あとで覚えてやがれ!
こうして俺はアホ猪と二人でメイドさん撮影会される羽目になった。新聞部の腕章つけてる奴とかも見えたんだけど…これ載るの?マジで…ははは…
そしてナツキさん…鬼気迫る表情でスマホを構えているキミは間違いなくあの番長の顔をしていたと思いました。
あとキスは断固拒否しました。おいアホ、なんで残念そうな顔してんだ。
……………
「はぁ…散々な目にあった……」
「お疲れ様です。でも可愛かったですよハルトくん……」
「うう…複雑……」
俺にとっては波乱の時間が終わり、シフト交代で自由の身となったところでただいまナツキと一緒に校内の散策中。彼女はといえば俺の勇姿?を実に堪能してくれたらしく、いつもよりすごいウキウキしているようだった。嬉しいような恥ずかしいような複雑な気分…ぐぬぬ…
キャプテンは冷やかすだけ冷やかしたあと彼女と合流するとか言ってどこかに行った。タケルの奴はすっかりノリノリで「もっと客引っ張ってくる!」とか言って宣伝用看板持って飛び出していった。女子にちやほやされるのがよっぽど嬉しかったか……
「…そういえば、ナツキのクラスは何かやってんのか?」
「はい、お外の方で幾つか出店を…でも僕、番長なので担当は無くて…」
そう言ったナツキはちょっとだけ寂しそうな顔をしていた。そうだ、教室ではいっつも番長として振る舞っている彼女の本当の姿を知ってる奴はいないんだ。
だから、クラスの中では孤立しているのかも知れない。
そう考えているのを知ってか知らずか、彼女がふわりと笑いかける。
「でも、おかげで自由に歩き回れますし、その分…ハルトくんと一緒にいられるから…大丈夫です。」
……可愛い。強がりなのはそうなんだろうけど、強がり方がそういう事言っちゃうあたりちょっと天然なのかしらこの子…あ、まだちょっと女の子残ってた。
でもそっか…それなら、校舎内回った方がいいかな?
「そうだな…じゃあどこに行きたい?」
「あ…それならえっと…お、お化け屋敷、どうですか?」
お化け屋敷…まさかの旧校舎まるっと使った文化祭一大アトラクションか…面白そうだな…ふふふ、探索者魂が震える…いやしかしこんなんどこが担当してるんだよ…なに?オカルト研究会?そんなんあったのかうちの学校。
しかしこれはチャンスなのでは?もしナツキがちょっと怖がりだったらもしかすると…いやいかんいかん。それに高校の文化祭のやつならそこまででも無いだろ、うん。
「よし決まりだな…さ、行こう!」
「はいっ!」
ぎゅ、と手を握りあって。俺たちは今日一日を楽しむために歩き出したのだった。
……………
文化祭、学園祭…まあ呼び方は何でも良かったりするのだけど、今日明日はほんの少し、いつもより忙しくなる。ま、たまには気分転換になって良いんじゃないかしら?
「はい、おしまい。火と包丁の扱いには気をつけなきゃダメよ?」
そんなわけで普段やらないことで怪我する子も居る。例えばこの子みたいに慣れない包丁使って指切っちゃったり、どこかにぶつけて内出血作っちゃったりした子もいたし。そうよねー、普段あんまりお料理しない男の子なんかは特にね。ふふ、消毒液沁みるの我慢してる顔もかんわいいわよねぇ…眼福眼福。
だけど今日は良いとして、明日はまた大忙しなのよね。なんせ一般開放だから。保健室だけでキャパ足りるかしら?
「先生ー!予備の備品ここに置いときますねー!」
「はいありがと!そろそろ交代の子呼んできなさいな。」
「はいっ!」
アタシの声に、委員の子がぱっと外に出ていく。
そうよねー、保健委員ってそういうものなのよ。文化祭でもローテーションで待機命令出ちゃうのよね…何かあれば召集だし。内申でも普通…うーん、損してるわよね。
とはいえ、ここはひと段落。幸い大怪我なんかは無いし、平和なのは良いことだわ。そんなことを思いながら、ティーカップから冷めた紅茶を一口。窓の外に目を向ける。
賑やかな出店屋台にスピーカーから流れ続ける流行りの歌。静かな保健室までほんの少し届いてくる喧騒は、この時期だけの学生特権。
「青春ねぇ……」
なんて言葉も溢れるような歳になっちゃったわよね、アタシも。
そんなことを思いながら、今朝ここから送り出した「女の子」のことを考える。きっと今頃、大好きな彼と一緒にこのお祭りを楽しんでいるのかしら。
そうだったら、良いのだけど。ふふふ。
そう思ったのも束の間、保健室の扉が開いた。
……………
…ナメてた。正直ナメてたよオカ研。何だあれ。マジで何なんだアレは。どうなってんの?いまだに頭の整理が追いついてないんだが。宇宙猫ならぬ宇宙犬状態。俺、なんか見ちゃいけないものとか見たのかな。頭とかすげーフワフワしてんだけど。
「ハルトくん?大丈夫です?」
「ウン。ダイジョウブ。」
心配そうにナツキが覗き込んでくる。あ、可愛い。でも心配かけてごめん。
「…ちょっと休んでてください。お飲み物、買ってきますね?」
ああ、優しい子だよなぁ。ホント心配かけでごめん。多分もうちょっとしたら治ると思うから、お言葉に甘えて休ませてもらおう。しかしアレはなんなだったんだ…恐怖?いやもっと根源的に…意味がわからないというか。そもそも俺はあの時何を見たんだ…?ダメだ、何も思い出せない。
頭を抱えて唸っていた所で、旧校舎から飛び出してきたヤツがひとり。そいつがゼェゼェ息切らしてたかと思うと俺の目の前でぐらりと傾いた。
「あっ…ぶねぇ!!」
慌てて身体を支えて頭をぶつけるのは防いだ。小柄な柴犬獣人らしいが…大丈夫かコイツ?息は荒いしゼェゼェしてるしちょっと目の焦点が合ってないというか。やばいな、保健室連れてくか…?
「い、いらねぇ…俺…ッ…こんなん、怖くねぇ…こわくっ…ねえぞ……!」
「いやそういう問題じゃねえだろお前…フラフラじゃねえか。」
「マサー!大丈夫ー!?」
そう言えばコイツ…もしかして舎弟A(仮称)か?そう思ってたら旧校舎からいっつもセットの舎弟Bが駆け出してきた。なるほど一緒に入ってたのか仲良いな。じゃないわ!
正直具合悪いんならほっとく訳にもいかねえ。意を決した俺はついてきた舎弟Bに伝言を託す事にした。
「おい舎弟B。俺はとりあえずコイツを保健室に連れて行く。もしここに熊獣人の女の子…ナツキが来たらそこにいるって伝えてくれ。」
「B…いえ、分かりました。マサをお願いします。」
こうして急遽、俺は舎弟Aを抱えながら保健室に向かう事になるのだった。
ナツキごめん…後で埋め合わせはする!!
……………
飲み物を買って戻ってきた時、そこにハルトくんは居なかった。代わりに舎弟…って言いたくはないんだけどヒロくん。ちょっと驚いた顔して…こっちに向かってぺこりとお辞儀してくれた。あ、ご丁寧にどうも……
「…ナツキ先輩、で良いですか?」
「えっ…は、はいっ!その…何か…?」
「友達が倒れたので、ここでハスキーの先輩に運んで貰いました。デート中ご迷惑おかけしてすいません…」
一瞬名前呼ばれてドキッとしたけど…そこから先を聞いて思わず気が引き締まった。ヒロくんの友達…って事はマサヒロくんが…それで運んでくれたのがハスキーってことは…ハルトくん…
「今頃保健室にいるはずなので…良ければご一緒にお願いします。」
「…はい。分かりました。」
そうして、僕はヒロくんと並んで歩く。急ぎたいとはいっても走るわけにもいかないのがもどかしい。なんと言っても、僕はこの二人にとっての「番長」なのだから、慕ってくれる「舎弟」の事が心配なのは当たり前で…
でも…それとは別にちょっとだけ嬉しい。ハルトくんが、僕との…その、デート、まで中断して困ってる人を助けようとしてくれている事が。
…きっと彼のそういうところも…好き…、なのかも。
ヒロくんも、黙ってついてきてくれる。
…ごめんね。こんな時に、僕が頼りになる「番長」で居られなくて。
それと、ハルトくんにもごめんなさい。貴方と一緒に居る時なのに、こんな事を思ってしまって。
保健室は、もうすぐそこに。
……………
ベッドに寝かせた舎弟A改めてマサの傍に座った九条先生が、軽くため息つきながら額に濡れタオルを乗せている。
その傍では舎弟Bことヒロの奴が先生に状況を聞かれて淡々と答えていた。
「過呼吸、加えて軽度の熱中症と脱水症状よ。少し眠ってるから安心なさい。しかし何やったのこの子…」
「…旧校舎のお化け屋敷のコースをほぼ全力疾走したみたいなんです。」
「なんでそんな事を…」
「たぶん…仕掛けに驚いて。」
何ともしょうもない理由だなコイツ…いや、一概にそうは言えんか。あそこは確かに怖かった。俺きっと怖すぎて記憶に蓋したんだと思う。それでも恐怖の感覚は残ってるあたり…たぶんコイツ見たもの覚えてたんだろな…気の毒に。
……いや、あそこ営業して大丈夫なのか?
とりあえず俺とナツキは先生とヒロの様子を眺めつつ保健室でお茶をいただいている。勝手知ったるテリトリー、先生が隠しておいたお菓子を彼女が見つけ出してご馳走になっていた。あ、美味しいなこれ。
ナツキもひとまず舎弟の一人が無事と聞いてホッとしたようだ。まあ、突発的な休憩と思って少しのんびりしておこう。
やがて聴取が終わったらしい。先生と一緒にこっちにきたヒロが俺たちの前で頭を下げる。
「ハルト先輩、ナツキ先輩、今回はありがとうございました。それと…申し訳ありませんでした。」
深々と。本当に申し訳なさそうに。まあ、コイツとしちゃ俺たちの邪魔になった事が堪えているようだが…正直、俺としてはそこまで気にはしていない。それに、ちゃんと感謝と謝罪を言える奴は好きだ。
それなら…微笑むナツキと目を合わせる。うん、そうだよな。
ポン、とヒロの頭に手を乗せて。
「…何謝ってんだ。誰かが困ってたら助ける、当たり前だろ?な?」
「…ええ。そういう事です。僕たちは大丈夫ですから……」
「それに、お前の友達が無事で良かったんだし!」
そのまんまわしわし、と撫でてやった…けど、そういえばこれ体育会系のノリだよな。ついやっちまった…
それでも顔を上げたヒロは、もう一度深くお辞儀をしてくれた。
……………
柴犬のマサヒロくんが寝込んでるベッドの脇で、僕はそっと様子を見ている。隣にはハルトくん。せっかくの文化祭なのに…それでも、付き合ってくれるのはとてもありがたいし…凄く、嬉しい。
ヒロくんはお昼を買ってくる、って出ていっちゃって、先生は所用で離席中。保健室には僕ら三人だけ。
「…そういえば、こいつら二人はなんでナツキのこと慕ってんだ?」
「…そうですね。成り行き、というか…」
そう聞かれて、思い出すのはあの夜のこと。
遅くなって、番長の姿での帰り道についていた時だった。まだ中学生だった頃の二人が、高校生達にカツアゲされているところを見てしまった事。
もちろん警察への通報もしたんけど…きっとこのままじゃ間に合わない。そう思ったらもう体が動いていた。
幸い格好が格好で…向こうもうまく怯んでくれて、あとは…この体に感謝、かなぁ。
もちろんその時は知らなかったんだけど、後日会ってからから開口一番「舎弟にしてください!」なんて言われて…ふふ、思い出すなぁ。
「それから、ハルトくんに会うまで一緒にいてくれていたので……」
「なるほどなぁ……」
そう思うと、この子達がいてくれたから僕は「番長」でいられたのかもしれない。ただ自分を守る為にしていた格好に意味をくれた子達。そういう意味でも…いつか、番長を「卒業」しなければならない事を痛感させられる。
その時には、きちんとケジメをつけてあげたい。
「あ…あにき…あに…き……」
マサヒロくんが声を上げる。「番長」を呼んでいる。うなされているのか、うわごとのような声。
今はこの姿でも…まだ、僕が彼にとっての番長なんだ。だからせめて。
そっと、手を握る。
「…少し、寝てろ…大丈夫だ……」
「…はい……」
番長の声で、語りかける。大丈夫。君の「番長」は、まだここに居る。
そうしてもう一度眠りについたマサヒロくんを見下ろして。心の中でもう一度、ごめんなさい。
きっと、「番長」は…もうすぐ君たちの前から居なくなってしまうから。
……………
外は夕焼け、ザワザワして片付けに追われている奴らの声が聞こえてくる。
そして俺はと言えば…今の今まで保健室のベッドで眠りこけていたわけで…
「面目ねえ……」
ただその一言に尽きる。お化け屋敷でビビって逃げ出した挙句ぶっ倒れて保健室行きとか俺どんだけカッコ悪いんだよぉ…ヒロ、ごめん。あと先生も。
「うん、大丈夫そうじゃない?」
「マサが目を覚さなかったから先輩たち先に帰るって。今度お礼言おうね?」
「マジか…うーん、受けた恩は返さねーと…それに先輩だし…」
おまけに、恩人の先輩たちはもう帰ってしまったらしい。うう…俺とした事が!黙ったままじゃ男が廃る!兄貴とおんなじように俺を助けてくれた先輩たち…今度会ったら全力でお礼させていただきやす!!
あれ…そういえば…
「兄貴は?なんか寝てる間…ちょっとだけ声聞いた気がしたんだけど…」
周りを見回しても、兄貴の姿は無かった。おかしいな…ホントに聞いたと思ったのに。
「キミが倒れてすぐ来てくれたのよ。無事だって言ったら凄く安心してたわ。」
先生の言葉を聞いて、俺は胸が熱くなる。同時に心配かけて、みっともないとこ見せた自分がすげー情けなかった。
「あー……もうっ!俺まだまだだぁ……」
「それなら、兄貴に心配かけないようにちゃんとしよう?」
「おう……」
ヒロの言葉にぐうの音も出ない。
そうだ、兄貴に頼ってばっかりじゃダメなんだ。俺も…俺も兄貴…それと、助けてくれた先輩に誇れるような、立派な男になる。
この日、この時…俺の中にもう一人のヒーローが出来た。
つづく?
おまけ
「よっ、おかえりハルト!」
「おータケル。客寄せはどうだったんだ?」
「繁盛繁盛大繁盛よ!やっぱ美味しいネタだなコレ!」
「回るな踊るな汚ねえもん見せんな。」
「なら見なきゃいいだろー?何ハルトくんスカート中興味津々?アイちゃんの悩殺パンチラ見る?それともノーパン?」
「絶妙に嫌な手つきでスカートたくし上げんなアホ。見ねえよんな粗末なモン。」
「そこまで粗末じゃねえし!ちぇー。コレでもっと客寄せ行けると思ったのにー。」
「それで集まるんなら相当の特殊性癖持ち集団だろうよ。」
「ちげーねーわ!あ、あと明日のミスコンもコレで出るから応援よろしく!」
「うわマジか。死人が出なきゃいいな…」
「お前いちいちナチュラルに酷いこと言うよね!」
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