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「お気に召したようで良うございました」
そう言って、微笑む気配の傍仕えに力強く頷いた。
口の中を空にして、茶で落ち着けてから言葉を返す。
「ああ!これは素晴らしく肉に合うソースだ!カルセはどうだ?好みに合ったか?」
「はい。美味しく頂きました。ですが、わたくしとしてはそちらの黄色いものより、こちらの濃い茶色の方が好みですね」
「何?」
そう言う傍仕えの手元を見れば、焦げ茶色のとろりとした液体が満ちた小皿に肉を浸しているではないか。
傍仕えのソースも[[rb:異世界 > あちら]]のものらしい。
当然だが、とても気になる・・
分かりやすく反応する私に、傍仕えは珍しく笑いを堪えるように震えて「アド様もお試しになりますか?」と訊ねた。
「ああ、頼む!」
「では、手前側ではなく奥の列の[[rb:もの > 肉]]をどうぞ。そちらは香草を使用しておりませんので、ソースの風味を邪魔することなく召し上がれます」
「そうか、わかった!」
半精霊の「A」から準備良く差し出された小皿を受け取り、早速新しい皿に並ぶ肉の列のうち、奥の方から箸で摘まみ取る。
そして小皿の茶色のソースへと絡め、パクリと口に運んだ。
「美味い・・」
行儀悪くも、飲み込む前に感嘆の言葉が口の端から零れる。
それほどに美味い。
黄色いソースとは別種の旨さだ。
まず甘い。
だが、これはただ甘いだけではない。
砂糖が使われているのだろうが、甘さの中に熟れた果物を食した時のような奥行きを感じる・・
そして塩気・・そこに旨鳥から溢れる肉汁が加われば、説明の難しい旨味が舌に広がり何時までも口に含んでいたい欲求に駆られる。
あぁそれなのに、何時の間に飲み込んでしまったのか、気付けば肉は消えていた。
ほぅ、と満足からの息を吐き出して、暫し陶然と呆ける。
このソースは素晴らしい・・肉をここまで美味く感じるとは・・
だが、そうだ。この味・・以前彼女から貰った食べ物とどこか似ている。
確か・・ぎ・・「ぎゅーとん」?だったか?
薄く切られた肉を甘辛く味付け、「こめ」に乗せて食すものだった・・筈。
あの甘味と塩気の感じが、このソースにとても似通っていると思った。
もしかしたら、使われた材料が近いのかも知れない。
結局肉だけでは物足りなくて、パンも追加を頼んだ。
お陰で、少しばかり腹が苦しい。
空になった皿が下げられ、2人でまったりと茶を啜っていると「ところで・・」と傍仕えが[[rb:徐 > おもむろ]]に口を開いた。
「如何でしたか?手合わせの方は」
「あぁ。とても有意義な時間だった」
「楽しめたようで何よりです」
「そうだな。ただ・・」
己の行動を冷静に振り返ると、怒りに任せて魔法を使い、これ見よがしに岩を打ち砕いてみせるなど、王族として相応しくない言動ばかりであったと反省と後悔の念が沸き起こる。
「だだ、如何しました?」
「いや・・あまりに幼稚な言動であったと・・今更ながら羞恥が、な・・」
己の醜態を思い出して顔を覆いたくなるが、代わりにカップの取っ手を強く握って耐えた。
だが、意外にも「よろしいではありませんか」と傍仕えが肯定的な反応を見せる。
「今のアド様は冒険者という身分です。状況は[[rb:視 > ・]][[rb:て > ・]]いましたが、特に問題はなかったかと」
「そ、そう・・か?」
「魔法を覚えて間もないのです。誰かに自慢したいお気持ちも理解できますし、あの程度の事でそのようにご自身を律されては、心も体も疲れてしまいますよ?魔法を覚えたての者は誰もが通る道だと気楽に構えるくらいで、丁度良いかと存じます」
そのように言われると、『そういうものか』という気がしてきた・・
我ながら単純だが、あれで良かったのかもしれないと思うと、だいぶ気が楽になる。
しかし・・今の話、もしや傍仕えの経験談、か?
澄ました様子で面布を避け、静かにカップを傾ける傍仕えにちらと視線を向けると「何ですか」と訝し気に問われた。
「いや・・その、カルセも魔法を覚えた時は―「その話はまたの機会にお願いいたします」・・わ、分かった」
唐突に会話を断ち切られ、恐らく彼の幼い頃の出来事であろう話は聞けないまま、「アド様の事を睨んでいた男ですが」と話題を変えられてしまう。
『そんなに話したくない事なのか』
魔法を覚えた時に、どれだけ[[rb:や > ・]][[rb:ら > ・]][[rb:か > ・]][[rb:し > ・]][[rb:た > ・]]のだろう・・
ますます興味が湧くが、今は傍仕えの話に集中したほうが良さそうだと空気を読み、耳を[[rb:欹 > そばだ]]てた。
「あれは「栄光への導き手」に所属している冒険者です。名は「セドリック」仲間からは「リック」と呼ばれている電撃の「魔剣使い」です。等級は3」
つらつらと語られる怪しい男の情報に、暫し腕を組んで考えを巡らせるが・・
やはり何の接点も思い浮かばない。
「・・駄目だ。全く思い出せん。私はあの男に何か失礼な事でもしたのか?」
「さて、こちらが把握している限りでは関係も何も無いのですが・・一方的に恨まれた可能性は否定できないですね・・アド様は目立ってらっしゃいますから」
・・心外だ。
「・・カルセの指示通りに振舞ったつもりだが・・」
「えぇ。頑張ってらっしゃいましたね。ですが、生まれながらの気品というものが立ち振る舞いに現れておりますれば・・」
「やはり、他の冒険者に「貴族崩れ」と認識されているようですよ」と小首を傾げられた。
それは、確かに想定内ではあるのだが・・少々納得が行かない。
行かないが・・別に問題はない、か。
「頷くのは癪だが、まぁ・・行動に障らぬ限り現状維持だな」
「よろしいかと。それと、明日は予定通り国境の関所を通過します。今回はパーガルディア皇国からの要請で訪れる訳ですし、特に問題なく入国出来るかと」
「そうか・・だが、隣国は純人主義が強いと聞く。こちらは人以外の種族や混り者も多いからな。その事でいざこざが起きねば良いが」
「それは元より承知の上ですから、あちらもそれなりに対応するでしょう。出来なければ恥を掻いて損失を被るだけです」
面布で顔が隠れていても、悠然と微笑みを浮かべているであろう事が窺える傍仕えに「それはそうだが」と前置いて続ける。
「考えの足りぬ者等どこにでもいる。とはいえ、互いに無益な争いは避けようと動く筈だが・・時間を浪費する事態は御免蒙る」
「では、念には念を入れまして。両国の代表近くに半精霊を潜ませますか?」
「あぁ。そうだな・・頼む」
「畏まりました」
慇懃に腰を折る事を控え、軽く頷くに留めた傍仕えは早速半精霊に指示を出すべく席を離れた。
『何事も起こらぬのが一番だが・・』
そう思いつつ、「何も起きない」訳が無いであろう事を予感して、青年は瞬く星々に向かって深い溜め息を吐いた。
〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇
さてさて。
何とか原稿も良い感じに進みまして。
どーにかこうにか予定のページに収まりましたの事よ?
はっはっは!褒めてくれても良いんだよ?
でも誰も居ないから自画自賛する~
私、頑張った!偉い!
だからスイーツもりもりでも許されるはず!
まぁ。まだペン入れ途中なので全部終わった訳ではないのだが、もうここまで来たら後は作業だからね。
頭を使わないから少しは作業効率も上がるっしょ~
「んじゃ。そろそろ着替えますか」
そう独り言ちて、作っておいた着物風の衣装を手に取る。
最初は自分で適当にそれっぽい物を作るつもりだったのだが、親友にぽろっと衣装作りの事を話したら「手伝う!てか手伝わせろ!」と大変ノリノリで手を貸してくれた。
手持ちの端切れやレース等の素材なんかも提供してくれて、最初に想像していた物よりかなり豪華な仕上がりになっている。
クーラーを効かせるといっても、何枚も重ねたら暑かろうと用意した着物(浴衣?)に大胆に鋏を入れてカッコよくアレンジしてくれたのには大感謝☆
着るのもすっぽり被って前面を整えて飾り帯を巻くだけの超簡単装着!
これに狐のお面を被れば一丁上がり!
紙で作られているお面にはイイ感じに装飾を施してまして、テラッとした布のヴェールをくっつけて髪も隠す感じに。
そのお面で隠れるのは鼻から上だけなんだけどね。
口元まで全部覆ったら息し辛いしぃ~
まぁ口元も、お面から垂らした透け感のある布で隠すんだけども・・
だって、二重あごを素のまま美人さんの前に晒す勇気は持てなかったんだもんよorz
ま、まぁ。何はともあれこれにて準備完了!
何時でも来訪おっけーですぜ[[rb:お姉さま > 美人さん]]っ!
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