届いた。ついに届いてしまった。最近ネットで話題のVRヘッドセットが届いてしまったのだ。自分は年頃にもなく、少しワクワクする気持ちを抑えきれず、勢いよくその箱を開ける。
舞い上がる気持ちを抑え、一度状況を整理しよう。最近、動物と触れ合う疑似体験ができる、VRヘッドセットがネットで話題になっていたのだ。それをつけることで、間近で好きな動物を視覚的に堪能できるだけでなく、なんと毛皮を撫でた心地を味わうことができるんだとか。現在は試用期間ではあるものの、それがあまりにもリアルだと話題になっていた。触覚を感じることができるヘッドセットなど聞いたことがないため、自分も試してみることにしたのだ。
送付されてきた箱を開封したが、ヘッドセットとおまけの酔い止めのみしか入っておらず、一見その触覚を感じるためのデバイスが見当たらない。これでどうやって触覚を感じ取れるのだろうと疑問に思うが、とは言え嘘か真かは使ってみないと分からぬだろう。自分はサービスの酔い止めの薬を飲み、早速頭にヘッドセットをつけてスイッチを入れた。
すると、なにやら洞窟の景色が眼前に映された。辺りを見渡すと、やはりどこを見ても洞窟が継ぎ目なく描かれており、VR世界であることを実感する。画質も申し分なく、描画レートもとても良好。この時点でこのデバイスにつぎ込まれた技術に感心していた。
そうやってこの世界を堪能していると、背後からのそ、のそと歩み寄る音が聞こえる。このVR製品の主人公がやってきたのだ。その方向を見ると、白と黒の縞縞模様を携えた、ホワイトタイガーがこちらを見つめていた。購入段階でどの動物にするかを選べ、他にもライオン、ヒョウ、オオカミなどが選べるのだが、自分はこのホワイトタイガーにしたのだ。理由は特になく、ただぱーっとラインナップを見た時にピンときたとしか言えない。
しかし、こうジーッと見てみるとホワイトタイガーとはかっこいいではなく、存外可愛いと思うのだな、と一人感心しながら、彼の頬に触れてみようとする。すると、フワッとした感触が手に伝わる。触れた。実際に触感を感じられると思っておらず、思わず手を引いてしまった。だが、とても触り心地が良く、まるで新品の毛布のように、フカフカとしたものであった。なるほど、危険な肉食獣ともこうやってスキンシップが取れるような体験ができるから、斯様に人気になっているのだなと、このデバイスの人気に納得しながら、両手でゆっくりと白虎を撫でる。頭、首、胴回り。どこを撫でても気持ちがいい、フワフワした感触を感じられるし、撫でられている虎も嬉しそうな顔をしているもんだから、もっと撫でてやってもいいか、というような気分にさせられていた。
そうやってこの白虎の毛皮を堪能していると、不意に彼の股間に目が行ってしまった。その時何を考えていた訳でもなく、ただすっとそちらの方に自然と視線が向かった、と言うだけなのだが、そこには白虎のモノがあった。学術的なものや精巧に作られたものであればそこまで描写されているのはさほど珍しくないと一瞬は納得しかけたが。それの異常な点を挙げるなら、何故か勃起していることだ。いや、もう一つ。それを見て、自分も高揚した気分になっていること、自分のモノも少しずつ興奮で大きくなっていること、そしてそれを受け入れてる自分がいることだ。自分は動物が嫌いではないが、彼らを性的に見るような趣味は持ち合わせていない。だが、何処からか心の中に現れたこの興奮は偽れるものでもなく、自分のこの心情を整理できず、混乱することしかできない。
触りたい。
その高揚感は止まることを知らず、ムクムクとその感情が産まれてくる。頭の中が支配されていくような、心情を書き換えられていく状況に恐怖を覚えるが、それすらも頭の中から追いやられていく。ついには我慢することができず、自分は彼のソレに触れてしまった。ネコ科特有の、小さな、棘のあるソレは脈打っており、少し先端にはしっとりとした感触を感じられる。小さいながらも、その匂いと手触りは本当にそこにあるかのようで……いや、そこにあるのだと確信させられる。少し手で刺激を与えると、グルル、と気持ちよさそうに彼は喉を鳴らした。
そのまま、自分は顔を彼のソレ……チンポに近づけて、先端をハムッと咥える。チュパ、チュパとチンポに口づけを交わすように、優しく唇で触れる。少し舌で先端を舐めると、塩辛い先走りが溢れて、それをなめとる事になる。それにうっと一瞬忌避感を抱いたが、よく味わうと中々癖になる味わいで悪くない、と感じる。
……いや、そんなファーストインプレッションをすぐに覆せるものか?それに加え、不味いと思っても躊躇うことなくそのまま咥え続けている異常性に気がつく。だが、それでも行動を止めることができない。こうしたいと思う感情を、衝動を止めることができない。例えこのように違和感を覚えても、自分にはこれを口から離すという選択肢を、脳から消し去られていたのだ。そのまま、自分はそのチンポを咥え込んだ。
食べてしまえるかのような大きさで可愛らしいそれから生じる先走りを飲むたび、もっと出して欲しい、と言う思いが強まる。そして、それを欲してまたしゃぶる勢いを強めてしまう。その口による愛撫に、彼もまた息を切らしながら感じている。そして、ちゅうと少し強く吸ったとき、彼にその時が訪れた。
ドクン。
口の中で生まれた溢流は、自分の舌の上をねっとりと覆い尽くす。粘着質なそれは、苦い味わいを感じるが、それ以上に美味である、と脳は解釈する。美味しくて仕方ないそれが、とめどなく注がれることに、自分は喜びを感じながら、それを飲み下した。
むぐっ、むぐっ……ゴクリ。
飲み下しながら彼のチンポから口を離す。それを飲んだ時、また一回り頭がふわふわした気分になる。そんな浮ついた気分でいる自分に反して、彼はまだ足りないと言わんばかりにうずうずさせながら、自分の背後に回る。何をするつもりなのだろうか。自分には分からなかったが、身体は何かを理解し、自分の尻を持ち上げている。
グルルルル……
彼は唸り声を上げながら、自分の身体に乗り上げる。ずしり、とかかる重量感。それと同時に自分に生じる欲望。来て欲しい、来て欲しい。いや、どこに?何を?その欲望の正体が分からず、疑問を覚えると同時に少し思考がクリアになり、していたことを思い出して嫌悪感を覚えた。ここで漸く、この状況がおかしいことを完全に自覚する。そも、触覚がヘッドマウントディスプレイだけで生じることがおかしい。いや、仮に脳に直接刺激を与えて、触っている感覚を感じさせてるとしたら。とするなら、まさか、このヘッドセットが脳波によってマインドコントロールをしているのでは……?そう考えつき、ヘッドセットを急いで取り外そうとした、その時だった。
ずぷ、ずぷぷ。
何かが、自分の股座に突き刺さるのを感じると、それが強力な快感を生じさせる。その感覚に、自分は混乱する。まるで、女性器に入れられたようなその感覚は、また自分を拘束した。モノがあるはずの部分に生じたメスの快楽は、自分を混乱と快楽の渦に再度苛ませたのであった。
一度、二度、彼が動く度、自分の思考がまた蕩けていくのが分かる。嫌だ、と思えどそう感じていることすらも上書きするように、この刺激が気持ちいいと認識させられ、身体から力を抜けさせられる。しかし、先程まではまだゆったりとした彼の動きが、今度は勢いよく腰を動かす。
ズパン!ヌポッ、ジュポッ!
チンポをマンコの最奥まで届かせんと放たれ、棘の部分が中をより刺激するその一撃は、かろうじて持っていた自我を陥落させるには容易な一撃であった。それほど、生じた快感は素晴らしいものであった。
あぁ、こうして欲しかったのだ。分からなかったことをついに理解した。自分はこのマンコにチンポを入れられたかったのだ。彼に犯されているのが幸せなのだ。そう結論づけると、叩き込まれる快感に客観的にこの事象について考えることも、この事態が異常であると考えることもやめてしまった。そう考え方を「正して」しまったのだ。そして、そうすることで自分は後腐れなくこの快感に浸れるのであった。
「ガウッ、クルル……」
自分からあげられる嬌声も、いつしか獰猛な獣の様になるが、その変化なぞ彼から与えられる快感と比べたらどうでも良い。自分はこの快感を堪能すること、それが至上の幸福であるのだから。
グルッ、グルルッ!
彼の腰の動きが早くなり、奥へ、奥へ届かせようと抉るように押し込まれる。彼が限界を迎えつつあることを悟り、自分は入り口をキュッと締める。こい、こい、こい。出して、出して、出して。そう心の中で言いながら、彼が果てる時を待つ。そして、その時はまもなくであった。
グオウッ!グウッ、ガウッ!!!
雄叫びを上げながら、自分の中にどく、どくと注がれる。熱い、でもその熱がとてつもなく愛おしい。キュンキュンとする自分の股からじゅわ、と染み出す感覚がし、自分も果てたのを理解する。あぁ、彼との交尾はなんで心地がいいんだ。そう考えていると、疲れ果てたのか意識が朦朧としていく。背後で扉が開く音が聞こえたが、閉じていく瞼に自分の意識は手放すことしか出来なかった。
「これで、ツイートっと」
誰か、声が聞こえる。ピクピク、と耳を跳ねさせながら、自分は周囲を見渡す。今まで生きてきた中で全く見たことがないような、檻のような部屋で自分は横たわっていた。何が起こったのか把握できないまま、鼻をヒクとさせる。
「しかし、些か非人道的じゃないすか?商品を買ってくれた人間を洗脳、遺伝子操作して珍しい動物に作り変えるなんて」
「別にいいだろ。うじ虫のようにうじゃうじゃいる同類の姿を変えるだけだぜ」
どういうことだ。檻越しに見えた白衣を着た男たちの、自分に向けて言っていることに理解できない。いや、自分の身体に何が起きてしまったのかは察することは出来る。ただ、人間の様に自分の手足を動かせないことを認めたくないだけなのだ。その認めたくない気持ちが、ふつふつと怒りに置き換えられ、爪を立てさせる。どうにか一矢報いようと檻の柱に駆け寄ろうとしたその時。自分の怒りはお尻と同時に舐め取られてしまう。にゃっ、と猫の様な鳴き声をあげると、背後には彼がいた。そう、本物の彼が。少し毛皮はゴワゴワとしているけど、匂い一つで分かってしまった。彼に顔を向けてはダメだ、と思ってももう遅い。既に、自分の心は、彼に首ったけなのだから。
「それに、この通り。ソイツは番にご執心だ。俺たちより幸せそうだぜ」
「それもそうっすね。じゃあ次のターゲットにまた『アレ』を送る準備しておきますよ」
彼と目を合わせて、自分は身体を発情させ、彼にねだる声をあげてしまう。そのままなすがままに、彼にマウンティングされるも、自分は彼の身体の温もりと匂いに、マンコを疼かせることしかできない。この感情と、疼く雌の身体を、自分は認めざるを得なかった。もう彼の雌に作り替えられ、雌として生きるしかないのだと。そして、それを必死に否定し、元に戻れる可能性にしがみつこうとする自分ですらも、これから消されていくのだ。その事実に恐怖を覚える自分はもう存在せず、ただ歪んだ笑みを浮かべ、彼のチンポをねだる。かくして、自分は雌虎へと堕ちたのであった。