Ad
ほら、キッカケってあるじゃないですか。
あの時ああしたから、今の自分がある……みたいな。
私にも、そんなキッカケがありました。
ほんのわずかな、些細な一言だったんですけれど。
「あーあ、仕事行くの面倒だなぁ」
いつものように身支度しつつ、そうぼやき。
仕事がつまらない、とかじゃなくて。
かと言ってやりがいがあってどうこうってほどでもなくて。
本気で言ったわけじゃなかったんですけど、ね。
「ゾロ?」
「あら、ゾロアーク。起きたの?」
気がついたら、一緒に暮らしているゾロアークが後ろでこっちを見つめていて。
少し前に進化したばかりで、まだゾロアのように甘えん坊な所が有って。
その日もそんな感じで、会社に行く前の私に甘えたいのかなー? くらいに思っていたんです。
「ゾロ、ゾロぉ!」
「なになに、どうしたの? なでなでして欲しいのかしら?」
まだ出社には早い時間。少しくらいなら余裕があるわね、と近づいて。
手を伸ばして、頭を撫でてあげようとした時だったんです。
ゾロアークの目がきらっと光って、なんだか急に眩暈がしちゃって……
すぐにおさまったんですよ? それ自体は。
でも、そうしたらですね、とんでもないものが見えたんです!
「うふふ、うまく行っちゃった! アキコ、今日はお休みしていいよ!」
私……に似た、誰かが目の前に!
よくよく見ると、なんかちょっと違うような、気のせいのような。
もちろん、誰かわからないから聞こうとしました。するとですねぇ、
「ゾロぉ、ゾロぉ! ……ゾロぉ!?」
鳴き声しか出ないんです、声。
どれだけ喋ろうとしてもゾロゾロ、それこそゾロアークみたいに。
「あはは、ダメダメ! アキコ、今はポケモンさんなんだよぉ? ほら、鏡みてみてよ!」
私のような誰かに言われた通りにしてみたら……びっくり!
向こうから、ゾロアークが私を見つめているんです。
「ゾロぉ!?」
びっくりして大声を出したら、あっちも同時におんなじ動きをしてきて。
「ぞ、ぞろぉ、ぉお!?」
恐る恐る手を伸ばして鏡を触ると……冷たい感触の向こう側に、ゾロアークの手。
えっ、どうして私、ゾロアークに!?
びっくりしてると、私のような誰かがまた喋り始めました。
「えっへん! どう、アキコ? ボクのイリュージョンで、アキコをゾロアークの姿にしちゃったんだよ! えへへ、安心してね! 代わりにボクがアキコとして、会社に行ってあげるからね!」
え? って感じ。
なに、何を言ってるんだろう? 何が起こっているのか分からないから、説明されても全然納得いかないっていうか。
「あはは、信じられない? じゃあ、見ててね〜? バァ!」
いないいないばぁの要領で顔を隠して、手を退けた途端。
首から下は私なのに、どう見ても顔はゾロアークに!
「ゾロぉ!?」
「あっははは、びっくりしちゃった? まあ、今日はボクがお仕事行ってきちゃうから、アキコはボクの代わりにお家でお留守番ね!」
いやいや、何を言ってるの!? と言おうとしても喋れないわけで。
「鳴き声じゃ、何言ってるか分からないよーだ!」
からかうように指でツン! とつついてきて、私がびっくりしている間にドアから出て行っちゃって。
追いかけよう、とも思ったんですけど……ほら、ゾロアークの姿でしょ?
下手に飛び出して、ポケモンに襲われたりゲットされそうになったら大変じゃないですか。
しょうがないから、まぁ……ゴロゴロしよっかなって。
自分の部屋に戻りはしたんですけど、ゾロアークになっているわけじゃないですか。
こう、人間用のベッドって……全然、合わないんですよね。
しばらくもぞもぞ色々やってみたんですけど、どうしようもなくって。
体毛が黒いから、なんか目立っちゃうのも嫌だったし。
代わりにリビングに行って、ゾロアーク用のベッドに丸まってみて。
あ、悪くないなって……えへへ。
こう、今、本当にポケモンなんだって感覚って言うのかしら。
人間用じゃない物の方がしっくりきて、ちょっと面白くなっちゃって。
……そういえばゾロアークはオスなんですけど、そこは気を遣ってくれたのか私はメスのゾロアークだったんです。
胸みたいな膨らみがあるのはすぐ気づきましたし、股間も触ってみて何も無かったし。
逆に言うと、ゾロアークはオスのくせに堂々と私になっていたわけなんですけどもぉ。
口調とか変だったし、大丈夫かしら? とか考えていたんですけど、そのうち眠くなってきちゃって。
もしかすると、ベッドに染み付いているゾロアークの臭いに体が安心しちゃったのかも。
優しく抱きしめられているような、そんな感覚に包まれて……そのまま、ガクン。
「わー、ただいまー!」
急に揺すられて、目を覚まして。
え、何、何!? そんな感じ。
「えへへ、アキコ! お仕事終わって、帰ってきたよー!」
ほぼ私の顔なのに、子供のように無邪気に笑っていて。
あ、そういえば私、寝てたんだっけ……と目をこするときに、自分の手がゾロアークでまたびっくりしちゃったり。
「どうだった、ゾロアークの生活? もしかして、ぐっすり寝てた?」
「ぞ、ゾロぉ」
そういえば最近、あれこれ忙しくてちゃんと寝てなかったなぁ。
くわぁ……とあくびをしたら、あれあれ、目の前にゾロアーク。
「え、私、戻ったの?」
声がちゃんと出て、びっくりしちゃって。
「ゾロ、ゾロぉ!」
なんだかやけに嬉しそうなゾロアークがこっちを見ていて、なんか恥ずかしくなっちゃって。
「んもう、ゾロアーク? こんなイタズラ、もうしたらダメよ!」
「ゾロぉ!」
分かっているんだか、いないんだか。
ゾロアークは私を見ながら、ずうっとニコニコしてました。
で、次の日仕事に行って驚いて。
だって、本当にちゃんと仕事していたみたい!
それとなく聞いてみたんですけど、同僚はみんな気づいていなかったようで。
まあ、いつもより元気だったよね、とかやたらといなり寿司食べたがってたよね、とかちょっと有ったみたいだったけど。
……となると、私も甘えたくなっちゃうわけで。
さらに次の日、ゾロアークに聞いてみたんです。
「ね、ねぇ、ゾロアーク? この前みたいに、代わりに仕事行ってくれない?」
「ゾロぉ!」
ゾロアークが飛び掛かるように私の顔を覗き込んできて、目を光らせて。
「えへへ、ボクがアキコだよーだ! アキコはちゃんと、ゾロアークになってるんだよ?」
「ゾロ、ゾロぉ〜!」
二回目だし、私からお願いしたんだし。
ノリノリで手を挙げて、行ってらっしゃいをしてあげて。
改めてゾロアークになってみると、全然違うんですよね。
こう、体の動かしやすさとか……やっぱり、体型とか体つきが違うからかしら?
それで、楽しくなってきちゃって。
ようし、ご主人様がいない間にお掃除をするポケモンになりきろう! なんて。
最近散らかし気味だった、自分の部屋を大片付け。
側から見たら、ゾロアークがお部屋を物色しているようにも見えちゃったかも。
自分の部屋なのに、自分がゾロアークだから、なんだか不思議な気分。
「ゾロぉ、ゾロぉ!」
わざとトレーナーさんの役に立つために、頑張ってるみたいな事もしてみたり。
こう言う時に、鏡に自分が……ゾロアークが映っていると、わあ、私、人間じゃないんだ今……ってなるんですよね。
経験ないかもしれませんけど、面白いんですよ。
自分の使っている化粧品を手に持っていたりすると、これからイタズラしようとしている感じに見えちゃって。
それなのに、ちゃんと丁寧にお片付けしていると……自分がすっごくいい子になった気分がしてきて。
うふふ、自分の部屋をお掃除しているだけなのに、働き者のポケモンになった気分!
明日は土曜日だし、三連休みたいな気分。
何をして遊ぼうかな、なんてウキウキと考えながらあれやって、これやって。
そうしたら、もう夕方に。
「ただいまー!」
私になっているゾロアークが帰ってきて、私が出迎えて。
「ゾロぉ?」
その手には、近くのファーストフードの袋。
「えっへへ、いいでしょ! ボクの夕ご飯だもんねー!」
あれれ、ご飯も食べるつもりなのかしら。
じゃあ、私も頂いちゃおう! と思っていたら……
「ダメダメ、アキコはポケモンなんだよ〜?」
ハンバーガーに手を伸ばそうとしたら止められて、代わりにポケモンフードを出されちゃって。
「ぞ、ぞろ、ゾロぉ!?」
「うふふ、何言ってるか分からないわよ、ゾロアーク? ちゃんとご飯、食べなさい?」
うそ、うそ!? なんで戻してくれないんだろう!?
あ、でも、ご飯の間だけ、かも。
ちょっと抵抗はあったんですけど、一口食べてみて。
あ、美味しい。
「どう、アキコ? 美味しい?」
思わず頷いちゃうほどに!
「えへへ、よかったー! 面白いでしょ、ポケモンの生活も!」
うんうん、確かになかなか面白いのよね。
なぁんだ、からかってきただけだったのね。
私はホッとして、また頷いて。
「ふーん、面白いの? じゃーあ、今日お仕事行ってあげたんだから……明日まで、ボクがアキコのままね!」
えっ!?
「ぞ、ゾロ、ゾロぉ!?」
「だって、ずるいじゃない? ボク、お仕事してきたんだよ? ご褒美で、明日くらいアキコでいてもいいじゃない! そ・れ・に、アキコじゃどうやっても元には戻れないし、えっへへへ!」
わ、わわわ、どうしよう!?
急にすっごく意地悪なことを言ってきた。
けど、先に甘えちゃったのは私。その分のご褒美を要求してくるのは、まあ、当然だけど……
わ、私、私のポケモンとして一日過ごさなきゃいけないの!?
これまではお留守番だけだったのに、そばに私がいるの、ちょっと変な感じ。
まあ、まあ、落ち着きましょ。一緒にゴロゴロして遊ぶとかなら、大した問題もないし。
って、思ってたんです。その日は。
ちょっとお風呂の時間がやけに長いのは気になったけど、慣れてないのかな? くらいで。
そしたら、次の日ですよ。
「ようし、ゾロアーク! 今日はお出かけするわよ!」
えぇ〜!? って感じ。
そんな、私、ゾロアークの姿の人間なのよ!?
文句を言おうにも、ゾロゾロしか言えないわけで。
「ほらほらアキ……じゃ無かった、ゾロアーク、お返事は?」
「ぞ、ゾロぉ……」
おでかけって言ったって、一体どこに行くんだろう?
目の前の私はとっても楽しそうなのに、本当の私は不安で胸がいっぱいで。
「じゃ、行きましょうね〜」
手を繋がれて、外に出て。
あー、やたらといい天気。
「あら、ポケモンちゃんとお出かけかしら?」
あ、お隣さん。
「ええ、ゾロアークもお留守番ばっかりだとつまらないでしょうし、ちょっと」
「うふふ、そうねぇ。ゾロアークちゃん、いっつもいい子にしてるものね!」
「ぞ、ゾロぉ」
お隣さんは本当の私とも知らずに、頭をなでなでしてくれて……
うう、なんというか、こしょばいというか、落ち着かないというか。
私、人間なんですけどぉ!?
「よかったわねぇ、ゾロアークちゃん! じゃあ、失礼します〜」
「はーい、気をつけてね!」
う、うわぁ、気づかれなかった。
気付かれるのも恥ずかしいけど、気付かれないのはこう……人間じゃないって実感が急にしてくるっていうか。
こう、あれじゃないですか。それを楽しんでる時なら、『私、ポケモンだからお仕事なんてしませ〜ん、お家でお留守番でのんびりしま〜す』になるんですよ。
でも、そうじゃないって時は『わ、私、人間のはずなのに、みんな私のこと、ポケモン扱いしてくる、ど、どうしよう、人間なのに!』って不安になっちゃうんですよね。
「あ、ゾロアーク! あそこでご飯食べよっか!」
なんて言われて、お店に入って。
あー、びっくりしちゃったんですよ!
店員さんが小さなキャンディ私に差し出してきて、
「はーい、ポケモンちゃんにサービスです!」
って!
に、人間なのにぃ〜!
私が動揺して、私に化けてるゾロアークに渡そうとしたら
「あら、私ポケモンじゃないわよ、うふふ!」
って言われちゃって。
んもう、嘘つきぃ! ゾロアークが化けてるくせにぃ!
そう思っても、喋れないから誰にも伝えられないんですよね。
いやまあ、キャンディは美味しかったんですけど。
人間としての尊厳に自信が無くなるようなことばっかり色々あって……
ほ、ほら、子供たちが可愛い! とか言いながら私に触ってきたりとか、ね?
人間なんだってばぁ!
な、なんか、ゾロアーク、結構ひどいイジワルしてきてるってちょっと寂しくなっちゃって。
そう、思ってたらですね。
「ほらほら、アキコ、着いたよ! ここ、着たかったんでしょ?」
雑誌とかでチェックしていたけど、なかなか行く機会のなかったショッピングモール!
遠いから、とか疲れてるから、とか色んな理由をつけているうちに、すっかり忘れてて。
「えっへへ……ドッキリ大成功、みたいだね! ね、ね、こっちこっち」
ニヤニヤしているゾロアークが私の手を引っ張って、人目のつかない所へ。
「じゃあ、交代ごっこはおしまーい!」
そう言った瞬間に、私もゾロアークも元通り。
「わ、わぁ……」
自分で来たというか、連れてきてもらったっていうか。
「ありがとう、ゾロアーク!」
「ゾロぉ!」
私、とっても嬉しくって。ゾロアークにもご褒美買ってあげて、更に……
「ねぇねぇ、本当にボクがアキコになって帰っていいの?」
「ゾロぉ、ゾロぉ!」
うふふ、私になってちょっと嬉しそうなのに、どこか困っているのが可愛い。
「よーし、じゃあ、帰るわよ!」
「ゾロぉ!」
なんだか、クセになっちゃいそうで。
ずっと一緒にいるから、全部知っているつもりだったけど。
実はあんまり、ゾロアークのこと、分かっていなかったのかも?
私はゾロアークの姿のままでウキウキして、私になっているゾロアークと楽しく帰って。
それからは……なんか、いい感じ。
ゾロアークが私になりたい時は催促してくるし、私も交代したい時はお願いするし。
でも、ちょっとだけ分からなかったのが……なんで、ゾロアークが私になりたいのかなって事。
例えば人間になりたいなら、私じゃなくてもいいでしょう?
それに、別に私が二人になっても……周りは驚くけど、私は問題ないんですよ。
でも、ゾロアークは必ず私になる時、私をゾロアークに変えちゃって。
別に大した問題じゃないし、ゾロアークでいるのも楽しいんだけど!
そう思ってた時に、結構大変なことになっちゃったんです。
「ゾロアーク、朝ごはんよー!」
天気のいいお休み。
今日は久々に、ちゃんと私のままでお出かけしようかなって。
のんびりと考えていた時。
やってきたゾロアークがやたら低い声を出してて、具合悪そうで……
「どうしたの、調子悪いの?」
顔を見た途端、目がギラリと光って……
「ぞ、ゾロぉ!?」
気がついたら、私はゾロアークになっていて。
でも、変なんですよね。
いつもだったら私になっているはずのゾロアークが、変わっていないんです。
どうしたんだろう、と思った途端……いきなり、押し倒されて。
え、何、何!? って焦っていたら、キスされて。
ちょっとちょっと、どういうこと!?
怖い怖くないの前に、何が起こっているのかさっぱり。
「ゾロっ、ゾロぉ!?」
やめて、どうしたの!? って言おうとするんですけどもちろん鳴き声。
でも、同じゾロアークだからか通じたみたいでハッとしてくれて。
あー、この状態なら会話できるんだ、って状況が状況なのに変に感心しちゃいました。
「ええっと、ボク、アキコのこと、大好きで、大好きで」
「私も、ゾロアークのこと大好きよ?」
あ、ゾロアーク同士で喋ってる感じですよ。戻してもらえてなくて。
「違うんだってば、そんな好きじゃなくて、お嫁さんにしたいの!」
「お、お嫁さん!?」
「うん、うん! ボク、アキコと結婚したいんだよ!」
「ええっと、じゃあ、どうしてあんな事していたの?」
「だって、アキコ、大変そうだもん。たまにボクが変わってあげたら、楽になるのかなって」
「あ、あー、なるほどね……」
「それに、いっつもボクと遊んでくれたり、びっくりさせてくれたりするじゃない? だからボクも、お返しとかしたくって」
もじもじしてる。可愛い。
「分かったわ、それで交代してくれてたのね。最初はひどいイタズラって思った時もあったんだけど、ありがとう」
「え、えっと、お、怒らない?」
「どうして? 私のためにしてくれてたんでしょう?」
「ち、違うの。も、もう一つ理由があって、言ったら、怒られそうで、でも隠したくないから」
なんだか、どんどん目が泳いでいってる。
「うーん、ちゃんと仕事もしてくれていたでしょ? 何かしら、怒らないから言ってみて?」
「う、うん。あ、アキコの姿になってる時、アキコとエッチする想像しながら、あ、あ、アキコの体で、気持ちいいこと、してたの……」
「えぇえええええ!?!?」
「だ、だって、だってぇ! おっぱいも、おまんこも、ボク、ないんだもぉん! もし、もし、アキコとエッチする時、どうやったら気持ち良くなってくれるかなってぇ、気になって、それでぇ……」
「じゃあ、お風呂の時間が長かったのも?」
「う、うん、研究してたら、アキコになったつもりでオナニーするの、クセになっちゃって」
あらあら、顔が真っ赤。
まあ……人前でしてるとかじゃないだけマシなのかも。
「エッチ、したい?」
「あ、えっ、でも、ボク、ポケモンで、アキコ、人間だよ!?」
明らかに動揺しちゃってる。
「あらあら、ゾロアークから見ても、今の私は人間なのかしら?」
「え、えっと、そ、それは、ボクが変えたからだし……」
「じゃあ、いいじゃない? あなたはゾロアーク、そして私も今はゾロアーク。人間だとかポケモンだとか、気にしなくてもいいんじゃないかしら?」
優しく手を取り、胸に当ててやる。
「わ、わ、わ、わ!?」
「ゾロアーク、あなたの研究結果、見せてくれる? そうじゃなきゃ、ただ私になってエッチな遊びしてただけになっちゃうわよ〜?」
からかったら、顔はもう真っ赤っか。
もう、可愛いんだ!
「う、うん、アキコ、好きだよ」
そう言いながら、手がやらしく胸に触れる。
「あっ、んっ♡」
思ったより強い快感が、体に走って……
「い、痛い?」
「大丈夫よ。結構、上手じゃない?」
「え、へへへ、おっぱいだけで絶頂できるくらい、練習したから」
「そ、そういうの、言わないほうが、やぁんっ♡」
「だって、だって、だってだって、好き、好き好き、好きなんだもん、一緒にいたいんだもん、一緒に気持ちよく、なりたいんだもぉん!!!」
ゾロアークの気持ちが一気に爆発して、私に飛び込んでくる。
「うんうん、分かってるわよ。私も愛してるわ、ゾロアーク!」
今度は私から、キスをしてあげる。
「アキコ、アキコ、アキコぉ……♡」
「好きよ、ゾロアーク。好きなだけ、たっぷり、愛してちょうだい」
いくら練習してるとはいえ、一人だとそれはどこまでいってもオナニー。
いざ相手がいるとなると、どこかぎこちなくなっちゃっていて。
「えぇっと、おちんちん……」
「うふふ、我慢できない? 私は、いいわよ?」
「う、うん……」
ゆっくりと、ゾロアークのペニスが入ってきて。
「あっ、あっ、あぁ〜……♡」
愛してくれている実感が、熱となって伝わってくる。
「あ、あ、アキコ、アキコの中、ボク、ボクゥ……」
ゆっくりと進みつつも、ゾロアークの愛の囁きは止まらない。
「んぅ、あっ、我慢、しなくったって、私、平気、よ♡」
「あ、あ、あ、あ、あ!!!」
どんどんケダモノになっていくゾロアーク。
ああ、こうなるくらい、私のことが好きなんだ。
好きで好きで、たまらなくって。
そう思うと、私まで胸が熱くなってくる。
ああ、好き、好き、好き、好き、好き。
そして仲良く絶頂に達して、温かいものが中に注がれていくのを感じて。
「あっ、あっ、いいっ、いいわぁ、ゾロアーク、もっと、私、気持ち良くしてぇ♡」
喘いでいる私にまたがって、ゾロアークが腰を振っている。
胸を鷲掴みにして、長い顔で首を甘噛みして。
荒々しい交尾に、ちゃんと人間の姿をしている私がゾロアークのおちんちんで気持ち良くなっていって。
「んっ、あっ、あぁああ〜〜〜〜ん♡♡♡」
絶頂して、挿入を抜いて。
するとたちまち、私はゾロアークの姿になっていき。
「うふふ、どうだったゾロアーク? 私、オスの射精、クセになってきちゃった♡」
「ぼ、ボクも、アキコになって、アキコのまま、ポケモンとエッチするの、あ、あ、ダメなのに、もう、やめられなくなっちゃった……」
そう、私の姿をしていたのはゾロアーク。
オスのゾロアークは、私がイリュージョンで性別を変えていた結果。
実は、ゾロアークとエッチをした拍子に……私、本当にゾロアークになっちゃったんです。
最初は困っていたけど、ゾロアークに教わってイリュージョンできるようになって。
うまくできるようになると、本来の私以外にもなれるようになっちゃって。
ゾロアークもどんどん私への愛を拗らせちゃって、私の姿で女としてのエッチをする機会も増えてきて。
「うふふ、せっかくだから私も久しぶりに、アキコの姿でエッチしちゃおうかしら?」
「わぁ、ボク、アキコとエッチしたぁい!」
「ねぇねぇ、ゾロアークも私になってくれない? 私同士で、女性同士のエッチしちゃうのよ♡」
「わ、わ、ぼ、ボクが、アキコになって、アキコと、エッチ、しちゃうの!?」
「うふふ、途中でおちんちんつけちゃってもいいからね!」
「え〜、おちんちんがあるアキコ、アキコじゃないもん! そうするなら、アキコがやってよぉ♡」
「あらあら、本当の私にそんなお願い、しちゃうのぉ?」
そう言い合いながらも、私たちは仲良く元々の私の姿になっていき。
「わぁ、ボク、アキコなのに、アキコが目の前に、あっ、あっ♡」
「うふふ、可愛いわねぇ、わ・た・し♡」
「あっ、やぁ、んんんっ♡♡♡」
そう、私たちはゾロアーク。
イリュージョンさえできるなら、誰にでも化けられる。
どちらでもアキコになって会社に行くができるし、二人ともアキコになってもいいし。
というわけで、ちょっとしたぼやきのせいで……私、ゾロアークと化けっこ暮らしをするようになっちゃったってわけなんです。
えぇ、私が本物の私かどうかわからない?
やだなぁ、私でもボクでも……そんなのどっちでもいいでしょう、うふふ!
おしまい
Ad