ダスト

  「僕、ヒーローやめます。

  こんな状況じゃ、なにも・・・・・・・。

  なにも救えない・・・・!!!」

  泣き崩れ、ひざをついてバーナビーは嗚咽している。

  

  俺もやめたい。チカラがなくなってくから。

  そんなこと言えない。

  自分のは、自己満足なんじゃないかと思った。

  

  せっかく、相棒としていた。

  秘密もお互いかかえている。

  だけど・・・。

  

  「怖いのか?自分の内側が」

  

  そう問うと、さらにバニーの背が丸くなった。

  

  ハッ・・・あ・・・。

  と小刻みに震える。

  「過呼吸じゃないか?待ってろ」

  ちょうどマヨネーズを買ったときのビニル袋があった。

  すう、はく、すう。

  そう、ゆっくりカウントしてやると、なだらかになる間隔に呼吸が落ち着いた。

  

  「こんな僕が、ヒーローなんておかしいですよね」

  

  それは、虎徹の胸にも刺さる。

  

  言ったら、たぶん戻れないから。

  言ったら、別離が待っているから。

  

  お前のこと好きだよ。

  相棒という意味で。

  

  そう言いたいけれど、なぜか声が出ない。

  これからのパートナーにはお互いなれないかもしれない。

  今までも線引きをして、付き合っていたわけではないけれど、ヒーローであるべき若者であり、これ以上、自分に絡ませすぎてはいけない。

  重荷にしてはいけない。

  

  おじさんになると重いんだよ。うさぎちゃん。

  そう思考して、片づけなければならない。

  去るものとしての認識は、早く伝えなくてはいけない。

  だけど、ここまで苦しんでいるバニーにチョイきついよな。

  

  

  残酷ですよ・・。

  それは・・・・俺だって思うよ。

  見捨てるんですか?

  大丈夫、おまえさんはまた愛されるよ。

  

  そう頭でレクチャーはするけれど、実際に納得するのかどうかはバーナビーしだいだ。

  それに俺自身だって追いつめられている。

  俺のチカラがなくなったら、お前もホッとするかい?

  おじさんにかまわなくていい、って言ってくれたら楽だけれど、心配をする付き合いにしてしまったな。

  

  ゴメン。

  虎徹は、そう胸中でつぶやいた。

  だんだんと呼吸が落ち着いていく。

  

  ああ、大丈夫か。

  そう思いながら、切り出すはずの唇を噛んだ。