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石の花嫁2-女戦士の秘めた憂いー

  『霧の森』。

  そこは霧に覆われ一寸先も見えず、時折美しい女性がその付近で忽然と消す事件が起きる魔の森として知られており、領主の手により何度も傭兵や軍隊が送られたがいずれも元来た道に戻されるかそのまま行方不明となるかの結末を迎え、何時しか誰も近寄らない場所となっていた。

  そんな森に一人の女剣士がやって来ていた。彼女の名前はミシア。

  自由を勝ち取り数多の戦に身を投じてきた歴戦の戦士であり、様々な魔物を討伐してきた彼女は『霧の森』の森に消え、周辺地域で花嫁に嫁いだといわれる女性達を救うためにやって来ていた。

  「噂通り、森の中は霧で何も見えねぇな……。」

  少しでも助けになるかと思い、持ち込んだランプや方位磁石も役に立たず、結局様々な探索を潜り抜けた経験と戦などで磨かれた直感を頼りに進んでいた。

  「この森に入った奴は帰ってこないか元の入り口に戻されるかの二択とは聞いているが、仮にこのままたどり着けないとシャレに……ちっ!!」

  ブオン!

  慎重に歩を進めていたミシアは気配を察知して霧の中から飛び込んできたもの、ガーゴイルの攻撃を紙一重でかわした。それと同時にミシアはカウンターを攻撃してきたガーゴイルに拳を当てた。

  「グァァ!?」

  ミシアの強烈なカウンターを受けたガーゴイルは苦悶の声をあげながら、再び霧の中へ消えた。

  (チッ!一発ではいかねぇか!だが、ヒビは入れた!もう一発入れれば……!)

  ミシアは背中に背負っていたガーゴイル用に用意した戦槌へ手をかけ、次に来る攻撃に備えようとした、その矢先だった。

  ガッ!バサッ!

  それはミシアが一撃を与えたガーゴイルとは別の個体で、彼女の不意を突くように上空から急降下して両手で肩を掴んできたのだ。

  「!!?もう一体だと!?」

  両肩を掴まれ、吊り上げられたミシアは空高く持ち上げられまいともがいたが、それを察したか否か先ほど腹部にヒビをいれたガーゴイルが高速で飛び込み、ミシアの腹部に強烈な頭突きをかました。

  「グフォ……!」

  ミシアは内臓がひっくり返りそうな衝撃を受けつつも、突撃したガーゴイルをつかみ取った。ミシアに加えて仲間のガーゴイルの重さも加わり限界を迎えたのか、ミシアの肩を掴んだガーゴイルは手を離し、地上へ落下した。

  「グ……!ハァ、ハァ……。」

  ボロボロになり、今にも腹部が砕けそうなガーゴイルを押し除けたミシアが戦槌を構えると先ほどミシアを掴んだガーゴイルが呼んだからか森の奥から無数のガーゴイルがこちらへやってくる声が聞こえてきた。

  「ガーゴイルの大群、大層なお出迎えじゃなぇか……!」

  霧の向こうから聞こえるガーゴイル達の声に、決意を改めてミシアは強く戦槌を握りしめたが直後、視界がゆがむ感覚に襲われた。

  (衝撃を受け過ぎた……?いや、こ、れは……。)

  戦闘の後遺症ではなく、何かしらの魔術だと気づいたミシアだったが時すでに遅くそのままミシアは意識をはるか遠くへ飛ばしたのだった。

  [newpage]

  目を覚ますとミシアは見知らぬ部屋のベッドに寝かされていた。

  古めかしい装飾に反して、隅々まで清掃が行き渡っておりミシアが今まで泊ってきた宿の中でも最上と呼べる程の品質だった。

  「なんだ、何処だここは……。」

  「メガサメタヨウダナ、キャクジン。」

  ミシアが飛び起きると部屋の入り口に先ほど相対したガーゴイルよりもひと際大きなガーゴイルが一体こちらを見ていた。

  「ワタシハコノヤシキニスマウガーゴイルノオサダ。ワルイガ、ブキハコチラデアズカラセテモラッタ。ヘタニヤシキヲアラサレタリ、ツマヤカゾクヲコワガラセタクハナイノデナ。」

  「人語を喋るガーゴイルだと……!?あたしに魔術をかけたのもあんたか!」

  ミシアは目の前の片言気味ながらも流ちょうに喋る目の前のガーゴイルに驚愕した。

  ガーゴイルは魔術師によって作られるゴーレムの一種だが、迎撃が主な用途であるため敵味方の区別や簡易な言葉の意味を理解する程度の知能しか与えられていないのが常だからだ。

  「ソウダ。ワレワレノカゾクガヤラレ、キュウヲヨウシタノデ、ヤムナクツカワセテモラッタ。」

  「……そうか。では何故あたしを生かした?お前たちを倒しに来た敵だぞ。」

  眼前の大柄なガーゴイルを睨みつけたミシアだったが、大柄なガーゴイルは意に介さず淡々と答えた。

  「イマハチガエド、ワレラヲタオシニクルモノナドヨクキタモノ。シネバテイチョウニホウムルガ、シンデモナイモノヲミステルイミモナカロウ。」

  「……!」

  「ムスコノヒトリニカナリノキズヲオワセタヨウダガ、シバラクスレバモトニモドル。キニスルコトハナニモナイ。」

  ガーゴイルと思えない程の理性的な判断と寛大な精神にミシアは面を食らった。

  「……く、訳が分からん。言葉をしゃべる上にガーゴイルが家族だ息子などと。」

  大柄なガーゴイルは大きな口を開けて笑った。

  「グハハハ。ワタシモソウオモウ。」

  「ぐ……。」

  ミシアの嫌味ともいえる言葉すら意に介さず笑う大柄なガーゴイルにミシアは唇をかみしめた。

  「ソノヨウスナラタイシタキズデハナサソウダナ。キョウハオソイ、カゾクタチノイコイノジカンモハジマル。アシタノアサニマタウカガウトシヨウ。ソノトキニハヤシキヲアンナイト、チソウヲフルマッテヤルカラ、タノシミニスルトイイ。」

  大柄なガーゴイルは最後に夜の間に部屋から出ない方がいいという忠告を残し、部屋を出ていった。

  [newpage]

  翌朝。

  大柄なガーゴイルに案内されたミシアは居間で彼から料理を振舞われていた。屋敷中で活発に活動するガーゴイルの鳴らす音と“声”が鳴り響いていた結果、眠気にミシアは襲われていた。

  「サクヤハアマリネムレナカッタカ。」

  「……ああ。あんたらの騒がしい乱痴気騒ぎのせいでな。」

  大柄なガーゴイルは少し申し訳なさそうな面持ちをしつつ、未だ料理に手を付けないミシアへ言った。

  「イッテオクガドクハナイ。ショクザイハコノヤシキニツマガツクッタハタケデトッタモノダ。」

  「……そうか、ならいただく。」

  ミシアはスプーンを持ち、食べ始めた。この大柄なガーゴイルは毒などというこざかしい手を使わずとも自分を容易に始末できる。そんな直感に基づくものだった。

  「……。」

  「……。」

  ここへ行く道すがら案内された屋敷の中は森の中にあると思えない程の貴族の建物を思わせる豪華な内装を誇っており、場所が場所でなければ何処かの権力者の休養地として活用されていてもおかしくない様だった。

  「コノヤシキハ、ツネニガーゴイルノテニヨッテ、コマメニセイソウガナサレテイル。ヒトヒトリ、テイチョウニアツカウコトナドタヤスイゾ。」

  何とか間を持たそうと大柄なガーゴイルが懸命に語る話を聞き流しつつ、ミシアは屋敷の至る所にある昨晩の“声”の正体が脳裏によぎっていた。

  「……。」

  それはガーゴイルと共に戯れ、イキ狂う裸婦像達だった。

  ガーゴイルに犯され、体をのけ反らせて快楽に打ち震える様子の裸婦像。

  壁にもたれかかるガーゴイルに覆いかぶさるように体を預け、懸命に愛撫する少女の像。

  二体の小柄なガーゴイルに前と後ろから串刺しにされるような形で犯される女体像。

  非常に精巧に象られたそれが『霧の森』へ消えた女性達である事は明白であり、人としての尊厳を奪われ、屋敷に住み着くガーゴイルの慰み物となっている姿に静かに憤りを覚えていた。

  「……案内するといいながら、私にこんな姿になった犠牲者の姿を見せるとはいい趣味してるな。」

  大柄なガーゴイルは一瞬戸惑った後、ミシアの真意に気づき訂正した。

  「ギセイシャ?ソレハチガウ。カレラハミズカラココヘキタノダ。」

  「自らここへ?」

  「ソウダ、ワタシヲツクッタマホウツカイノノコシタ、キリノマホウヲトオシテ、ワレラハチカクノマチヲミル。トキニソナタノヨウニ、ワレラヲタオシニクルモノガイルユエ、ゲイゲキスルコトハアルガ、ケシテヒトノイトナミカラヒキサクコトハシナイ。」

  大柄なガーゴイルは憐れむような、慈しむ様な目で石像達を見つめた。

  「カレラハヒトノヨカラニゲ、アルイハシュウエンヲノゾンデココヘキタノダ。」

  大柄なガーゴイルは居間にある窓の外を見つめた。

  「ワズカダガ、モトノバショヘカエルモノモイル。カノジョタチガムスコタチト、ツガイトナッテクレタノハ、カノジョタチノイシダ。」

  「……そうか、そりゃすまなかった。」

  ミシアは昨今の世情の不安定さについて思い出していた。

  この『霧の森』に傭兵や軍が送られなくなって久しく、公には強力さ故に奪還を諦めたとされるが実際は大本の国が腐敗し、自らの欲を満たす為に国の財を乱用している影響という噂が立っていた。

  「ワタシノツマモ、モトハカゾクトノアラソイニマキコマレテ、ココヘキタトイウ。ヒトハソコマデシテ、ナニヲモトメテイルトイウノダ?」

  「さあな、あたしにも分かんないわ。そういう事に明け暮れている連中の事は。」

  ミシアは人の世界を捨て、ここでガーゴイルの花嫁として石像となっている女性達を思い返した。

  「悪かった。あんたをただの人攫いを繰り返す悪辣な魔物としてしか見てなかった。」

  「カマワナイトモ。ハタカラミレバソウトラレテモオカシクハナイ。」

  ミシアはスプーンを置いた。盛られた料理は空となっていた。

  「ごちそうさま。……そういえば言い忘れていたが、あんたの料理、美味かったぞ。」

  大柄なガーゴイルはミシアの言葉に喜色に満ちた声をあげた。

  「グフ、ソウダロウ。ソレモツマヨリオソワッタリョウリナノダ。ミカクノナイワレラダガ、ドウシテモヒトノツクルリョウリトイウモノガシリタクテナ。ツマニオソワリ、ツクレルヨウニナッタノダ。」

  先ほどまでの緊張感とは打って変わって子供のように喜ぶ大柄なガーゴイルの姿にミシアは毒気が抜かれるようだった。

  「はあ……変な魔物だ。」

  [newpage]

  それからミシアはこの屋敷に住むようになった。

  屋敷の清掃や畑の管理など慣れない作業を始め、ガーゴイル達の手伝いを行うようになり、時には訓練を施すようにもなっていた。

  外の世界で荒んでいたミシアの心も次第にほぐれていき、ガーゴイル達の事も次第に友愛かそれ以上の感情を持つようになっていた。

  食堂。

  ガーゴイル達や石の花嫁となった女性達は人間の食事というものを必要としない為、使われていなかった部屋だったが、ミシアの手により清掃されて今では一人ここで畑から取った作物で食事を取る場所となっていた。

  「ヤハリココニイタカ、ミシアヨ。」

  そんな食堂に大柄なガーゴイルが顔を出してきた。

  「珍しいな、あんたが訪ねてくるなんて。」

  大柄なガーゴイルは最初の日以来、妻との時間を第一にしているのか直接顔を合わせる機会が他のガーゴイルと比べて少なかった。

  「イヤ、ナニ。タズネタイコトガアッテナ。チョクニュウニイウガ、ミシアハコンゴハドウスルツモリダ。」

  「どうする、だと?」

  「ソウダ、ココニハヒトハイナイ。ワレワレガーゴイルト、ワレワレノ、ノロイニヨッテイキタセキゾウトナッタハナヨメタチダケダ。」

  ミシアは木のスプーンを持ったまま、考えた。

  「ムロン、ムリニオイダスコトハシナイ。タダオボエテイテホシイ。ヒトトワレワレハチガウジカンデイキテイルコトヲ。」

  「……分かった。考えておく。」

  大柄なガーゴイルは頷くと食堂を後にした。

  [newpage]

  その夜、ミシアは貸し与えられた部屋のベッドの上で一人考えていた。

  確かに人である自分とガーゴイル達は生物としてはおろか、在り方そのものが違う存在だ。ガーゴイルはあくまで人によって作られた石造りの魔物なのだ。

  「……それは分かっている。でも……ん。」

  ミシアは貸し与えられた洋服のスカートの下に手を伸ばし、小さな声をあげた。

  ガーゴイル達との屋敷での生活はミシアに穏やかで満ち足りた心と共にどうしようもない歪みを与えていた。

  「体が疼いて仕方ない……!相手は魔物、いや石像なのに……ん!」

  ガーゴイル達と石の花嫁達は主に夜行性で、大柄なガーゴイルや大柄なガーゴイルに命じられてミシアと共に屋敷の作業を手伝うガーゴイルを除いて日が昇っている内は動く事は無い。その事もあってミシアは清掃の一環として日中に情事に耽ったガーゴイル達と石の花嫁達の清掃をする事があった。

  「!!相変わらず、なんちゅー状態なんだよ……!!」

  ガーゴイルや石の花嫁達の体液は彼らと共に固まって石となる為、匂いや染みとなる事は無いのだがそれでも恥じらいなく乱れるガーゴイルや石の花嫁達の艶姿や屋敷中に飛び散り固まった体液は凄まじいものだった。

  「毎回スケベな石像の掃除をする身にもなってほしいね……!」

  ミシアが慣れた手つきで掃除用具の角を使って、へばりつき固まった体液を屋敷に傷をつけないようにこそぎ落としていると、視線の片隅にガーゴイルと戯れ嬌声をあげて石となった女性の姿が入った。

  「……。」

  奴隷として売られ、剣闘士として活躍して自ら自由を勝ち取り戦士となった自分には最早届かない在り様。全身が筋肉に覆われ傷跡だらけとなってしまい最早女性としても見られない自分には届かない未来だった。

  「……。」

  「……。」

  「……うわぁ!?」

  思索にふけり、しゃがみこんでいたミシアの目の前に共にかつてはその腹にヒビを入れた事も有る若手のガーゴイルである彼のそそり立った一物が現れ、ミシアの視界を独占した。

  「ドウシタ?ナニカアッタカ?」

  「どうしたも、何もいきなりそんなたちまくった一物をアップで近づけんな!!」

  慌てふためくミシアに既に過去の事など意識していない若手のガーゴイルは不思議そうな顔をした。

  「イチモツトハコウイウモノデハナイノカ?」

  「普通はそんな訳が……いや、なんでもない。ぼーっとしてた。」

  「ソウカ、タイチョウガワルケレバヤスメヨ。オヤジハトモカク、オレハニンゲンノカラダヤ、マホウニクワシクナイカラナ。」

  若手のガーゴイルはそういうとミシアの下を離れ、別の場所へ掃除をしに行った。

  「あれからあたしはおかしくなっちまった……!石像を見る度、鼓動は止まらねぇしガーゴイルの一物を見る度濡れちまう……んぁ!」

  小さく絶頂したミシアはびくんと体を震わせた。

  「はぁ、はぁ……どうすれば……。」

  ミシアが悶々としていると、寝室の扉の向こうから嬌声が響き始めた。ガーゴイルと石の花嫁達の夜伽が始まったのだ。

  「ア、ア、ア、ア!!」

  「イイ、イイ!!」

  カチン、カチン、カチン!

  無機質ながらも扇情的な喘ぎ声は、屋敷中から響き渡り日中の静けさとは比べ物にならない騒々しさとなっていた。ここに来た当初はうるささに怒りが込みあがり眠れない日もあったが、今となっては別の感情が一番となっていた。

  「……。」

  ミシアは無言で衣服を脱ぐと、扉の前に立った。

  女性らしくない筋肉質で傷だらけとなった体とは裏腹に、ミシアの股からは先ほどまでの自慰の影響もあってか大量の愛液が流れ落ちていた。

  「この扉の先へ行けば……。」

  大柄なガーゴイルには夜伽が盛んに行われる夜間には出歩かないように言われていた。

  夜伽の最中の魔物としての本能が働くガーゴイルに襲われ、精を受けてしまえば生きた石像となってしまうからだ。

  「……。」

  しかしミシアはドアノブに手をかけた。

  最早ガーゴイルは敵ではなかった。共に過ごす家族であり愛する存在だった。

  最早石の花嫁達は哀れな犠牲者ではなかった。共にガーゴイルを愛し、憧れる存在だった。

  ミシアは人としての一線を自ら踏み越えた。

  [newpage]

  「あ!あ!ああ!」

  ミシアはすぐに受け入れられた。

  荒々しいガーゴイル達と激しい交わりを何度も繰り返し、精を何度も受け入れた。

  体の端々が石へ変わり始めていたが、今のミシアにとっては嬉しい変化でしかなかった。

  ンジュ、ジュル、ジュル。

  石の花嫁達とも言葉を交わした。

  初めて会話するミシアに対して彼女たちは優しく接し、手ほどきを受けながら体を貪りあった。肉体が魔物に近付いたせいか、石の重さは感じず硬い体に心地よさすら感じていた。

  ハァ、ハァ、ハァ……。

  そんなミシアの前に一匹のガーゴイルが姿を現した。

  それは最初にミシアと戦い、そしてその後の生活で関係を深めた若手のガーゴイルだった。その興奮度合いは他のガーゴイル達とは別格で明らかにミシアに執着していた。

  「……きて。」

  「イインダナ。オレノモノニシチマウゾ。」

  ミシアは股を開き、既に他のガーゴイルの精でドロドロになった秘所を見せつけた。

  「他のガーゴイルの精を押し流すぐらい、犯して。……そして皆に負けないぐらい素敵でエッチな石の花嫁にして。」

  若手のガーゴイルのそそり立った石の性器がミシアの中へ突き刺さった。

  「あああ!!」

  挿入の瞬間、ミシアの体内に一本の電流が脳天まで走り、思わず嬌声をあげた。

  その声は戦士としてではなく女としての声であり、かつてミシアが自ら諦めて捨てていた在り方があった。

  「あ、あ、ああ!!」

  バチュン、バチュン、バチュン!

  挿入した若手のガーゴイルはミシアの体に自らのモノを何度も打ち付けた。

  若手故か他のガーゴイルと比べても比較的非力な部類ではあったが、それでもミシアの上で懸命に腰を動かす情熱は他のガーゴイルにも勝る勢いだった。

  「いい、いい!!」

  ジュブ、ジュブ、ジュブ!!

  ミシアは悶えながらも、決してガーゴイルを自ら引き剥がしはしなかった。

  一人の女となったミシアは急速に石になっていく自らの体に歓喜の声をあげた。

  「あたしの、からだがどんどん硬くなっていく!!スケベな石像になっちゃう!!」

  「シンパイスルナ!ズットオレガアイシテヤル!!」

  ブジュ、ブジュ!!

  一人の女性として誰かと恋し、言葉を交わし、抱き合い、そして愛し合う。

  ミシアにとって誰かと育みたかったものが今こうして形となり、それはガーゴイルと交わり石像になりかけている状況でも変わらなかった。

  「も、もう駄目!限界!!」

  「アア、オレモダ!!」

  ガチン!ガチン!ガチン!

  ミシアの体は完全に石と同じ質感と硬さに変わり果て、直に石になる寸前まで来ていた。

  「だ、出して!そのまま、中に!」

  「アア、ゼンブダシテヤル!ソシテツガイニシテヤル!!」

  固まる寸前のミシアの懇願を受け取った若手のガーゴイルはグッと一物をミシアの奥まで差し込み、精を解き放った。

  「グオオオオオオオ!!!!」

  「あああああああ!!!」

  ブジュウウウウ!!!ゴポポポポ!!

  若手のガーゴイルから溢れんばかりの体液がミシアの中に注ぎ込まれ、石同然となったミシアの全身に中に注ぎ込まれる感覚が快楽として染み渡っていった。

  「ふあ、あ、あ……。」

  若手のガーゴイルの精を受け入れたミシアは恍惚とした表情を浮かべつつ、残された生身を無機質な灰色へと染め上げて完全に石化してしまった。

  「……。」

  「……。」

  同時に精力が尽き果てたのか若手のガーゴイルも動きを止めており、他のガーゴイルと石の花嫁達が変わらず嬌声をあげる中、二人は荒々しく行為に耽る一対の石像そのままの形で静かに接合部から体液を垂れ流しつつ、ガーゴイルと石の花嫁達の夜伽の背景へ溶け込んでいた。

  そんな二人を大柄なガーゴイルと彼に抱きかかえられたひと際美しい裸婦像が見つめていた。

  「ホントウニ、ツガイニナッタナ。アノフタリ。」

  「エエ、ワタシノオモッタトオリデショウ。」

  最初の石の花嫁として大柄なガーゴイルと愛をはぐくみ共に過ごした裸婦像は懐かしさを感じているような面持ちで動かぬ彫像となった二人を見つめていた。

  「サア、ワタシタチモタガイニウゴカナクナルマデ、アイヲタシカメマショウカ。」

  「……ハハ。カゾクモエテ、チカラモツケタガ、ツマニハカテヌナァ。」

  こうしてミシアは女を捨て戦い続ける孤独な人の生に幕を下ろし、女として仲間であり番であるガーゴイルとまぐわう石の花嫁の生の幕を開けたのだった。

  [newpage]

  それから暫く年月が経ち、『霧の森』は静かにしかし確実に範囲を広げていた。

  情勢の不安定さから『霧の森』を恐れていた人々が周辺の村から去り、廃墟となった村々が森に浸食されていったのだ。

  同時に長年の統治による腐敗で領主が悪政を敷くようになり浮浪者が増加。次々と彼らは憂いからか終焉を求めてか『霧の森』へ消えていくようになっていた。

  そして森の奥にあたる屋敷周辺では呪いを受けた人々が互いに性を貪る淫らな石像となって佇んでおり、屋敷の中では沢山の石の花嫁達が数を増やしたガーゴイルと戯れて喘ぎ声を漏らしていた。そしてその石像達の中にミシアの姿があった。

  「……ア!イイ、イイ!」

  ガーゴイルの番となったミシアは人間だった頃の剣呑さと傷跡は消え失せており、ガーゴイルの上でカツンカツンと無機質な音を鳴らしながら、全身に象られた筋肉の彫刻を見せつけながら他の石の花嫁達と共に享楽を味わっていた。

  治世が乱れ、人々が迷い苦しむ時代。

  そんな中で侵略ともいえる広がりを見せる『霧の森』とガーゴイル達がどうなるかは誰にもわからない。このまま広がりを見せて飲み込んでいくのかそれとも新たな秩序が生まれ、森ごと世界から消える未来となるのか。それは誰にもわからない。

  ただ一つわかるのは霧に覆われた森の中で今も石像達が淫靡な声をあげている事だけである。

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