雪山でクマ獣人にツガイにされる

  (吹雪く音)

  おー痛ぇ…

  あの猟師…このアタシに1発喰らわせるとは…

  さすがはアタシのライバルだな…

  っと、これは…アイツの血の跡か…

  ふふ、この吹雪で足跡は見えづらいが…血は目立つぜ…

  おら!出て来い!出てくりゃ命は助けてやるよ!

  ……へっ、出てくるわけねえか……

  ま、この血の跡を辿ればいい話…すぐ捕まえてやる…

  (雪を踏み締める音)

  ん?なんでここで血が途切れて…

  っ!罠か!

  …?いや、鉄砲の音がしない……

  匂いは近くにある、ということは……

  おやおや、待ち伏せ中にくたばっちまったのか

  まだ息はあるな…ふふ、こりゃあいいや……

  お、ようやく起きたな

  おい、そんなに暴れんなよ 手当が無駄になる

  ここ? ここはアタシの巣穴だ 冬眠用のな

  …何言ってんだオマエ?

  アタシがオマエを食う?んなことするかよ

  獣人ったって、半分ヒトだぜ?人間なんか食わねえよ

  殴ってきただろって?

  オマエが鉄砲担いでアタシのこと付け狙うから1発ぶん殴っちまっただけだよ!

  そうだ、アタシはそれが聞きたかったんだ

  なんでオマエはアタシのことを狙ってんだ?

  は?アタシが人をさらった?

  いやいや、オマエそれは誰かと勘違いしてるんじゃ…

  た、確かにこの辺でそんな特徴のやつはアタシかアタシの…

  あー…なるほど

  それ、アタシの母さんだ

  そ、母さん

  んで、さらわれたのはアタシの父さん

  だから、母さんも食ってねえ…いや、食ってはいるのか?

  とにかく!父さんも母さんも別の山に行っただけで、二人とも生きてるよ!

  嘘じゃねえってば!

  春になったら連れて行ってやってもいいし、確かここに…ほら!手紙!

  な?ちゃんと名前もあんだろ?

  はぁ〜…オマエそんな勘違いでアタシの手に鉄砲かましてくれたのかよ…

  お、おい!そんな怪我で無理に土下座すんな!

  もーいいよ…あんな古い鉄砲じゃ大した怪我にもならねえし…

  なに?償いがしたい?

  ………なんでもする?

  へー…なんでも…ねぇ……

  じゃあさ…オマエ、アタシのツガイになれよ

  いいだろ?なんでもするって言ったんだから

  なに?オマエ嘘ついたの?

  嘘じゃないなら決まりでいいな? オマエとアタシはツガイだ

  命を奪おうとしていた奴が相手でいいのかって?

  だからさぁ、あんな銃じゃ、頭に当たったって痛いくらいのもんなんだよ

  …それによ、オマエ、秋からずっとアタシのこと追っかけて来てくれて…

  楽しかったんだよ、オマエとの鬼ごっこ

  真剣な眼差しでアタシのこと追っかけて来るのが可愛くてさ…

  …水浴び見られたのは、流石に恥ずかしかったけど…

  とにかく、アタシはオマエのことを気に入ってんだ

  時期も丁度良いし、このまま二人で冬眠すんぞ

  食糧も二人分はあるし、オマエとなら退屈しなさそうだ

  怪我が治ったらたっぷり可愛がってやる

  あー…口ごたえするのは良いけどよ…

  そのぶん、アタシのツガイとしてきっちりシツケてやるからな

  はは、急に口つぐんで…オマエ本当に可愛いなあ…

  ぜってー逃さねえ……

  骨の髄までむしゃぶり尽くしてやるからな……