東の空が白み始めると、霊峰・白虎山の頂は、俗界のあらゆる騒音を拒絶したような静寂に包まれる。
標高二千メートルを超え、万年雪を戴くこの地は、古来より神域として畏れられてきた。人の足など及ばぬ険阻な岩肌と、視界を閉ざす濃霧。その奥深く、苔むした参道を、巨大な影が音もなく進んでいく。
朝霧を割り、姿を現したのは、二メートルを優に超える巨躯だ。身に纏うのは、上質な白練の道着。だが、いかなる厚手の織物であっても、内側に秘められた圧倒的な質量までは隠しきれていない。帯によって締め上げられた腹部は、太鼓のように堂々と張り出し、一歩踏み出すたびに重厚な存在感を放つ。それは単なる肥満ではない。数千年の修行によって練り上げられた気と、鋼のごとく張り詰めた筋肉が、脂肪という柔らかな鎧の下で拮抗し、岩山のような威圧感を形成している。
道着の襟元から覗くのは、人の肌ではない。燃えるような橙色を地色とし、そこに漆黒の縞模様が走る、猛き虎の毛並みだ。首筋を覆う剛毛は朝露を弾き、宝石のごとき輝きを放つ。頭部もまた、完全に虎の相貌そのものであった。理知的な光を宿す碧眼と、長く伸びた純白の髭。下がった目尻には、長い時を生きた老賢者特有の柔和さが滲む。
山の主、名を[[rb:虎禄 > ころく]]。この霊峰に住まう仙人、生ける伝説である。
道端の藪ががさりと揺れた。現れたのは、巨大な猪と数頭の鹿だ。本来であれば、捕食者と遭遇した瞬間に逃げ出すか、牙を剥くはずの野生獣たちが、虎禄の姿を認めるなり、申し合わせたように前足を折った。
平伏。
絶対的な服従と、崇敬の礼である。
「うむ。今日も気脈は穏やかであるな」
虎禄は満足げに頷き、分厚い肉球を備えた手で、軽く空を撫でるような仕草を見せた。
「励めよ」
短く言葉をかけると、獣たちは安堵したように息を吐き、再び森の奥へと姿を消していく。悠然と袂を翻し、再び歩き出す。道着の背面に空けられた穴から伸びる太く長い尻尾が、ゆらりと優雅な弧を描いた。
参道を抜け、断崖にへばりつくように建てられた自身の庵へと戻ると、玄関の引き戸を開け、土間で下駄を脱ぐ。板張りの床が、虎禄の体重を受けてミシリと小気味よい音を立てた。
朝の冷気が残る室内で、虎禄は慣れた手つきで鉄瓶を火鉢にかける。松炭が爆ぜる微かな音と共に、やがてシュンシュンと湯の沸く音が静寂に溶け込んでいく。
急須に茶葉を入れ、熱湯を注ぐ。立ち上る香ばしい湯気。湯呑みを手に縁側へと出ると、眼下には雲海が広がり、切れ間から下界の街並みが豆粒のように見えた。
「……今日も平和じゃな」
ずず、と茶を啜る。熱い液体が喉を通り、腹の底へと落ちていく。五臓六腑に染み渡る感覚を楽しみながら、虎禄はあぐらをかいた膝の上で、ふうと息を吐いた。鳥の囀り。風が木々を揺らす音。仙人として、自然と一体になる至福の時間。しばらくの間、虎禄はただ無心に景色を眺めていたが、やがて湯呑みを盆に戻すと、ゆっくりと腰を上げた。
居間の中央には、坐禅を組むための円座。そして正面の床の間には、この幽玄な空間において異物以外の何物でもない、黒く艶やかな長方形が鎮座している。
五〇インチ、4K有機ELテレビ。最新家電である。
虎禄は円座にどっしりと腰を下ろすと、高僧が法具を扱うかのような厳粛な手つきで、リモコンを手に取った。太い親指が、慎重に電源と記されたボタンへと沈み込む。漆黒の鏡面に鮮烈な光が走った。
『――続いては、全国のお天気です』
画面に映し出されたのは、朝のニュース番組だ。日本列島の気圧配置図の前に、指示棒を持った女性キャスターが立っている。季節は初夏。爽やかな色合いのニットに身を包み、笑顔で解説を始めている。
「ふむ……」
虎禄は腕組みをし、真剣な眼差しを画面に向けた。西から張り出す高気圧。週末の天気崩れ。俗世の気象状況を把握することは、山の主としても無関係ではない。だが、碧色の瞳は、必ずしも地図上の等圧線だけを追っているわけではなかった。
キャスターが腕を上げ、指し棒を動かす。仕草に合わせて、ニットの生地が引っ張られ、あるいは緩む。極めて自然な動作の中に、ふと浮かび上がる柔らかな曲線。人工的な光の中にあって、そこだけが有機的な温かみを主張しているように見える。
(……ほう)
虎禄の視線が、無意識のうちに一点に吸い寄せられる。
あくまで天気を見ている。情報は受け取っている。しかし、彼の仙人としての鋭敏な知覚は、画面の向こう側にある生命の息吹をも敏感に感じ取ってしまっていた。彼女が深く息を吸い、予報を読み上げるたびに、胸元がわずかに上下する。4Kという現代技術の粋を集めた高解像度は、布地越しに伝わる質感を、残酷なまでに鮮明に映し出していた。
(なんと豊かな……。これぞ、大地母神の具現か)
虎禄は心の中で、あくまで学術的な感嘆を漏らす。俗人が見れば、単なる好色な視線と断じるかもしれない。だが、虎禄の中では違う。これは陰陽の理。溢れ出る生命力の奔流を、視覚情報として処理しているに過ぎないのだ。
たわわに実った果実のような重量感。重力に逆らいつつも、柔らかく形を変える弾力性。そこには、宇宙の真理にも似た調和があった。
「……よい気脈じゃ」
重々しく呟く。それは天気図へのコメントのようでもあり、別の何かへの称賛のようでもあった。
理屈は高尚。しかし、肉体は嘘をつけない。虎禄の下腹部、下穿きの奥底で、巨大な何かが、ドクリと脈打った。普段は分厚い皮の中に眠る白虎の陽根。それが、視界からの刺激に呼応し、じわりと熱を帯びて鎌首をもたげ始める。もぞり、と股間の生地が不自然に持ち上がった。
「ぬっ……」
虎禄は眉をひそめ、あえて居住まいを正した。太鼓腹の上に両手を置き、静かに呼吸を整える。己の分身が主張し始めた事実は認識している。だが、それを興奮とは認めない。
(……ふむ、やはり朝は陽の気が満ちやすい。画面越しとはいえ強大な生命力を目にしたことで、わしの気が共鳴してしまったか)
真顔でそう結論づけ、己を納得させる虎禄。
キャスターが画面から消え、次の話題へと移ると、虎禄は静かにテレビの電源を落とした。再び訪れる静寂。だが静けさの中、虎禄の股間だけは未だにテントを張ったままであり、生地の下で燻る熱は行き場を求めて疼いている。
「……修行が足りんのう」
誰に聞かせるでもなく呟き、虎禄は立ち上がった。顔つきは悟りを開いた賢者のそれであったが、瞳の奥にはまだ見ぬ真理への探究心が、怪しく揺らめき始めていた。
草木も眠る丑三つ時。
霊峰を包む闇は深く、物音ひとつしない厳かな空気が庵を支配している。その一室、居間の一角だけが異様な青白い光に満たされていた。光源は文机の上に置かれたノートPCである。人工の光に照らされ浮かび上がるのは、眉間に深い皺を刻み、鬼気迫る表情で画面と対峙する虎禄の姿であった。彼はあぐらをかき、巨体で小さな机を押し潰さんばかりに乗り出している。柔和だった碧色の瞳は、獲物を狙う猛獣のように鋭く細められ、瞬きすら忘れて一点を凝視していた。
「……ぬぅ」
唸り声と共に、虎禄の太い右腕が動く。獣毛に覆われた人差し指が一本だけ突き出され、キーボードの上空を彷徨う。指先は震えていた。恐怖ではない。あまりに小さすぎるキーを、隣り合う文字ごと押し潰してしまわぬよう、極限の集中力を発揮しているが故の震えである。
タン
重厚な打鍵音が響く。画面上の検索バーに『t』の文字が刻まれた。
「次、えーと……これか」
タン、タン
虎禄は脂汗を滲ませながら、一文字ずつ祈りを込めるように打ち込んでいく。
『た わ わ』 『ち ち』 『ど う が』
タァンッ!!
最後だけは勢いよくエンターキーを叩き込む。一瞬の読み込み時間を経て、画面には数多の検索結果が表示された。俗世の欲望が渦巻く、禁断の扉が開かれたのである。
虎禄は「ふむ」と一つ頷き、傍らのマウスに手を伸ばした。彼の掌にかかれば、一般的なマウスなど木の実ほどの大きさにしか感じられない。指先に全神経を集中させ、繊細に、かつ大胆にカーソルを操る。
いかがわしい文字列をクリック。すると、極彩色のページが表示された。画面の左右には、毒々しい色の文字で『このサプリで驚愕の巨根に!』などという文句が踊っている。
「ふん、俗人め」
虎禄は鼻を鳴らした。股間には、既に数千年の時を共に生きてきた相棒が眠っている。薬などに頼らずとも、神代の昔から規格外の大きさだ。彼の興味はそのような卑俗な煽り文句には引かれない。ギラついた視線が向くのは、画面の中央、再生ボタンが待つ一点のみだ。
「……出るぞ。心してかかれ」
サムネイル画像には、布切れのような水着を纏った豊満な女性が映っている。
誰に対する警告か。虎禄は低く呟くと、再生ボタンを押した。安っぽいBGMと共に、止まっていた絵が動き出す。画面の中の女性が、恥じらいつつもハッキリと画面越しに虎禄を見つめ、ゆっくりと四つん這いになった。重力に従い、豊かな胸肉がたぷんと揺れる。
「おお……」
虎禄の喉奥から、重低音の吐息が漏れた。画面の中で揺れる豊満な果実。視覚情報が脳を駆け巡った瞬間、丹田の奥底で休火山が活動を再開するように、熱い血流が渦を巻き始めた。
ぴくんっ……むくむく……
厚手の道着に覆われた下腹部が、内側からむくむくと持ち上がり始める。何層にも重なった布地をものともせず、覚醒した雄の剛直が、岩山のごとくせり上がっていくのだ。
「ぬぅ……きついのう」
虎禄は眉間に深い皺を刻み、自身の股間を見下ろした。道着の下に締めた褌が、急速に膨張する肉塊の圧力に耐えきれず、悲鳴を上げて食い込んでいる。数千年の精力を蓄えたイチモツは、狭苦しい布の檻に閉じ込められていることを不服とし、ドクン、ドクンと血管を脈打たせて暴れている。
(これはいかん。気の巡りが阻害されておる)
虎禄はもっともらしい理屈を心中で呟くと、あぐらをかいた太腿の付け根、道着の下穿きの腰元に分厚い掌をねじ込んだ。ゴムではなく紐で縛られた腰周りは強固だが、手慣れた仕草で緩めると指を潜り込ませ、パンパンに張り詰めた褌の布地を探り当てる。指先に触れたのは、布越しでも分かる高熱と、石のように硬直した己の分身だ。そのまま太い指を器用に褌の脇に引っかけ、強引に横へとずらした。
ボロンッ……!
重たい肉の塊が外気へと弾け出る。太い。あまりにも太い。白練の道着から転がり出たのは、虎の剛毛に埋もれた赤黒い巨根。表面には古木の根のような血管がボコボコと浮き上がり、先端の赤紫色の亀頭は握り拳ほどに膨れ上がり、剥き出しになった尿道口からじわりと透明な蜜を滲ませている。
解放された剛直は、自身の重みで一度ビタンと太腿を叩くと、ふらふらと鎌首をもたげ、画面の獲物を求めるように虚空を指し示した。
(気の循環が滞っておるな……これは、出さねば体に毒となる……!)
[uploadedimage:22933196]
虎禄は心の中で早口に言い訳を並べ立てながら、自らのイチモツを無造作に鷲掴みにした。愛撫の情緒など微塵もない。ただ溢れそうな欲望を物理的に抑え込むために、指が竿に食い込む。分厚い掌と、そこに備わった肉球のざらりとした感触が、敏感な粘膜をダイレクトに包み込んだ。
「……ふぅ」
喉の奥で、重い熱気が漏れる。一擦りしただけで、脳髄を痺れさせる快楽の信号が走る。一度動き始めれば手は止まらない。彼は食い入るように、画面へさらに顔を寄せた。
動画の中の女性が、艶めかしい声を上げるたび、虎禄の鼻翼がヒクヒクと動き、興奮のあまり荒くなった鼻息を噴き出す。本来、雄の虎獣人である彼にとって、人間の雌など異種族もいいところだ。交尾対象として認識すること自体が、古来の価値観からするとナンセンスだ。だが、今の彼には関係ない。理屈ではないのだ。画面から放たれる圧倒的な陰の気――すなわちエロという概念そのものが、体内でくすぶる膨大な陽の気に引火し、爆発させているのだ。
「もっと……もっと近くで、乳を見せぬか……!」
ズリッ、ジュボッ、グチュウ……。
卑猥極まりない水音が、深夜の静寂に重苦しく響き渡る。虎禄の太い腕は、PC操作の時の不器用さが嘘のように、正確かつ執拗に自身の急所を責め立てていた。硬くザラついた肉球が、溢れ出る先走りでヌルついた亀頭を万力のように締め上げ、強烈な摩擦で擦り上げる。往復するたびに、極太の剛直がバチンバチンと腹に当たり、快感が電流となって背筋を駆け上がる。
しかし、足りない。どれほど上下運動を速めようと、画面越しの視覚情報だけでは、数千年の精力を持て余す彼の肉体を満足させるには、決定的に何かが欠けている。
(ぬうぅ、画面越しでは気が返ってこぬ……! 吸い付くような生の温もりが欲しいのう……!)
虎禄の理性が、飢えた獣の本能に食い荒らされていく。目の前の女は触れられない。ならば、もっと激しいものを。もっと脳髄を直接犯すような、濃密な気を。絶頂への焦燥と渇望が、彼の手元を狂わせた。
動画の横に表示されていた、過激な煽り文句のバナー広告――『絶対服従! 禁断の催眠術』――今の虎禄が最も欲している生身を想起させる文言に吸い寄せられ、よりスケベな光景を思い浮かべながら、本能のままクリックしてしまったのだ。
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
突然、耳をつんざくような警告音がPCから爆音で鳴り響いた。
「な、なんじゃあぁ!?」
虎禄は飛び上がらんばかりに驚き、肉棒をシゴいていた手を止めた。
『警告! あなたのPCはウイルスに感染しています!』
『直ちに電話してください!』
『ファイルが削除されます!』
画面上に、いかにもな赤色のウィンドウが次々と重なるように出現していく。
「け、結界が破られたか!?」
虎禄は蒼白になった。魑魅魍魎が蠢くという『ぱそこん』の中に封じられていた妖魔が、ついに牙を剥いたのだと直感した。警告音は鳴り止まない。画面は次々と現れる不吉な文言で埋め尽くされていく。
「ええい、静まれ! 静まらぬかぁ!」
虎禄は慌てて画面上の×ボタンを押そうとするも、焦りとパニックで指先が震え、あろうことか画面そのものを物理的に指で突いてしまった。液晶が波紋のように歪むだけで、音は止まらない。むしろウィンドウは増殖し、あられもない姿の男女が絡み合う画像や、まさしく妖魔といったホラーな形相の画像が大量にポップアップし始めた。
「おのれ妖魔め! わしの修行を邪魔しおって……これでは……これでは……!」
――わしのイチモツが萎えてしまうではないか!
虎禄は半勃ちになった剛直をぶら下げたまま、机の上にあったスマートフォンをひったくった。これもまた、彼にとっては高度な通信法具である。
不慣れな操作で、唯一頼れる『現代の陰陽師』の連絡先を呼び出す。
プルルル、プルルル……
数回の呼び出し音の後、眠そうな、しかし聞き慣れた青年の声が繋がった。
『……ふわぁ……もしもし、じいちゃん? こんな時間に何……』
「緊急事態じゃ、健人ォ!」
虎禄は受話器に向かって吠えた。
「ぱそこんが! ぱそこんが妖魔に乗っ取られた! 今すぐ来い! わしの……わしのぱそこんが死んでしまう!」
§
神代より続く霊峰・白虎山。かつて修験者たちが命がけで挑んだ険しき参道も、令和の世においては無粋なアスファルトによって舗装され、麓から中腹の聖域付近までを繋ぐ観光道路と化している。深夜の静寂を引き裂くように、ワインディングロードを一台の軽自動車が駆け上がってきた。
ブォォォォン……と、お世辞にも勇ましいとは言えないエンジン音が、神域の空気を震わせる。
山の主である虎禄は、数千年の時を生きる仙人であると同時に、麓に住まう特定の一族――かつて虎禄の血を引いた者たち――から、今なお生き神様として崇められ、手厚い支援を受けている存在だ。衣食住の世話から、最新家電の導入まで。一族は彼を畏れ敬い、機嫌を損ねぬよう細心の注意を払っている。だが、崇高な任務を面倒くさい雑用として一手に押し付けられている、現代の生贄が一人だけいた。
キキーッ。車は庵の前の砂利に乱暴に乗り上げ、停止した。
運転席から降りてきたのは、スウェット上下にサンダルというラフな格好をした人間の青年、[[rb:健人 > けんと]]だ。
長い時の流れの中で種族こそ異なるが、虎禄の遠い遠い子孫にあたる。隔世遺伝によって微弱な霊感を持つ彼は、一族の中でも数少ない、虎禄の放つ強烈な気に当てられても平気な特異体質者であった。それ故に現代っ子ながら、この手のかかるお爺ちゃんの世話係を任されているのだ。
「……ったく、またかよ……こんな夜中に呼び出しやがって……」
健人は大きなあくびを噛み殺し、不機嫌そうにドアを閉めた。
時刻は既に深夜三時。そもそも、麓から全速力で飛ばしても虎禄の住まう庵までは数時間を要する。それを就寝直前にいきなり『ぱそこんが死ぬ!』という絶叫電話で呼びつけられたのだ。不貞腐れるのも無理はない。
「おお、健人! 待ちわびたぞ!」
庵の玄関先には、既に虎禄が仁王立ちで待ち構えていた。身長二メートル超の巨躯。暗闇に光る碧眼と、風に揺れる白髭、勇ましき虎の相貌。本来なら威厳に満ちた姿であるはずだが、今の彼は道着の襟を乱し、迷子の子猫のように耳を伏せている。
「急げ! この間にも妖魔は増殖を続けておる!」
「はいはい、わかったから。……で、今度は何したの? 先週PCの設定したばっかでしょ」
「わしは何もしておらん! いきなり壊れたんじゃ!」
悪びれる様子もなく、むしろ被害者面で訴える虎禄。健人はやれやれとため息をつき、ポケットからUSBメモリを取り出した。
「何もしてないのに、ねぇ……。とりあえず見せてみなよ」
「うむ、急げ! ぱそこんが悲鳴を上げておる!」
虎禄に急かされ、健人はサンダルを脱いで上がり框をまたぐ。居間に入ると、そこは地獄絵図だった。けたたましい警告音。画面いっぱいに広がる毒々しいポップアップの嵐。怖い顔に、悲鳴に、裸の女。そしてノートPCの本体や周囲には、虎禄が慌てて貼り付けたのであろう大量のお札がペタペタと。
「……これは?」
「うむ! わしの霊力を込めた最強の封じ手じゃが、てんで効かぬ! この妖魔、相当な手練れぞ!」
「はあぁ……」
健人は呆れてお札をペリペリと剥がし、PCの前に座り込んだ。虎禄は背後に回り込み、心配そうに――というよりは、自分のおもちゃが壊れていないかハラハラしながら、巨大な身を乗り出す。
「健人よ、心してかかれ。わしですら祓えなかった邪悪な呪いじゃぞ……」
「じいちゃんに祓えない呪いが、霊力すっからかんの俺に祓えるわけないだろ……ていうか、呪いとは関係ないってば」
健人は冷たく返し、手慣れた様子でキーボードを叩いた。タスクマネージャーを呼び出し、暴走しているブラウザのプロセスを選択してタスクの終了。
プツン――
耳障りな警告音が唐突に止み、画面から毒々しいウィンドウが消滅した。虎禄がいくら真言を唱えようが、お札を貼ろうがビクともしなかったデジタルの妖魔は、青年の無造作なクリック一つであっけなく霧散したのである。
「……お?」
虎禄が目を丸くした。
「ほら、直った。ただのブラクラだから、画面閉じるだけでいいんだよ」
「な、なんと……!」
虎禄は戦慄した。物理攻撃も霊的攻撃も無効化した妖魔を、指先ひとつで封印してみせたのだ。
「健人よ……お主、いつの間にこれほどの霊力を……。やはり我が血統、恐るべし」
「霊力じゃなくて強制終了ね」
健人は苦笑しつつ、マウスを動かし始めた。
「でも、変なリンク踏んだなら、裏でマルウェアとか入ってるかも。一応スキャンかけとくから、ちょっと待ってて」
「う、うむ……? よく分からんが、頼むぞ」
虎禄は神妙に頷き、健人の背後で巨躯を縮めて正座し直した。画面上のプログレスバーがゆっくりと進み始める。静寂が戻った室内に、PCのファンの音だけが響く。
危機は去った。しかし安堵とともに、虎禄の中で一時的に鳴りを潜めていた別の本能が、鎌首をもたげ始めた。先ほどまでのパニックと、解決した安心感。その落差が、抑圧されていた欲望を倍加させて再燃させる。
(此奴も、大きくなったものじゃなぁ……)
PCの画面から放たれる青白い光が、健人の後ろ姿をぼんやりと照らし出している。短く刈り上げられた黒髪の下、無防備にさらされた首筋。人間特有の、毛皮を持たないツルツルとした肌が、暗闇の中で艶めかしく浮かび上がっていた。
(……む)
虎禄の鼻腔がひくりと動いた。匂う。先ほどの動画の中の女にはなかった、確かな生の香り。風呂上がりの石鹸の残り香と、若者特有の青草のような体臭。そして、急いで駆けつけたことでかいた、ほのかな汗の匂い。それらが混じり合い、強烈なフェロモンとなって虎禄の鋭敏な嗅覚を刺激する。
(なんと清廉な……。画面の幻影などより、よほど濃密な気が満ちておるではないか……)
虎禄の碧眼が、捕食者の色を帯びて細められた。理屈ではない。本能が食いたいと訴えている。
PCの修理という恩がある。そして、深夜に呼びつけたという負い目もある。それら全てが、今の虎禄の中では、これから行う行為への都合の良い免罪符へと変換されていく。
「……健人よ」
虎禄は音もなく膝立ちになり、じり、と距離を詰めた。巨体が健人の背後をすっぽりと覆い隠す影となる。
「夜分にすまなかったな。疲れたであろう?」
「え? あー、まあね。明日は仕事休みだからいいけど……ん?」
健人が気配を感じて振り返ろうとした瞬間、虎禄の太い腕がぬっと伸び、痩せ気味な身体を背後から抱きすくめた。ドサリ。重厚な毛皮の感触と、圧倒的な質量が健人の背中にのしかかる。
「わっ、ちょ、じいちゃん!? 重いって!」
「動くな。……ふむ。肩に俗世の邪気が溜まっておる。かなり凝っておるようじゃな」
虎禄は耳元で低く囁いた。腹の底から響くような重低音。湿った熱い吐息が耳朶にかかり、健人の背筋がゾクリと震える。虎禄は健人の反応を無視し、巨大な手で肩を鷲掴みにした。分厚い肉球が、スウェット越しに僧帽筋へと食い込む。
「いっ……! あ、でも……そこ……あっ……」
「そうじゃろう、そうじゃろう。気が滞っておる。わしが流してやらねばな」
グニリ、グニリと、肉球で円を描くように揉みほぐす。接触点から、仙人特有の濃密な気が、熱流となって健人の体内へと注ぎ込まれていく。健人の抵抗する力や意志は、急速に溶かされていく。
「ふぁ……なんか、熱い……じいちゃん、手が……」
「毒素が出ている証拠じゃ。……邪魔じゃな、この布は」
虎禄の手が、肩から胸元へと這うように移動する。太い指先がスウェットの裾を捉え、躊躇なく捲り上げた。現れたのは、闇夜に白く輝く若者の肌。腹は平坦で薄く、あばら骨が浮き出るほどに華奢だ。虎禄の、筋肉と脂肪が詰まった丸太のような胴体とは比べるべくもない。
「……なんじゃ、この薄っぺらい体は。まるで紙細工じゃな」
「うるさいな……今の時代はこういうのが普通なんだってば……」
「嘆かわしい。雄ならば、もっと肉をつけ、気を練らねば」
言いながら、虎禄は大きく開いた手を健人の腹に這わせた。ザラリとした掌の感触。指先が脇腹の柔らかな肉を愛でるように撫で回す。
「これでは、わしの陽の気を受け止める器として不十分……いや、逆に満たし甲斐があるというものか……」
「え……? 何言ってるの……?」
虎禄の言葉の端々に、隠しきれない粘り気のある欲情が混じり始める。だが、健人の思考は注入された気によって既に霞んでおり、違和感を正しく認識できない。
「案ずるな。足りぬのなら、わしが分け与えてやる。……ほれ、ここもずいぶんと寂しがっておるぞ」
虎禄の太い指先が、スウェットに温められた無防備な乳首をコリリと弾いた。
「ひゃうっ!?」
「ふふ……よい反応じゃ。気が敏感になっておる。これならば、わしのモノも、奥の奥まで馴染むやもしれんのぅ……」
健人の耳元で、虎禄はネットリと舌なめずりをするような声で囁いた。下腹部では、先ほどから燻っていた極太のイチモツが、今度こそ本物の獲物を前にして凶悪な硬度で脈打ち、道着の下穿きを内側から押し上げている。PCの画面上では、ウイルススキャンのプログレスバーが、虎禄の悪戯に加担するかのように、牛歩のごとき遅さで進んでいた。
PC画面から放たれる蒼白い燐光で浮かび上がる健人の背中。風呂上がりの無防備なうなじ。短く刈り上げられた黒髪の下、白磁のように滑らかな皮膚が、だぼついたスウェットの隙間から覗いている。
(……ぬぅ)
背後に音もなく忍び寄った虎禄の鼻腔が、ひくりと蠢いた。嗅覚を刺激するのは、化学香料じみた石鹸の残り香ではない。奥底に潜む、若き雄特有の匂いだ。青草のような瑞々しさと、微かに鼻をつく汗の酸味。それらが混じり合い、発酵した果実のような芳香となって、虎禄の理性をじわりと蝕んでいく。虎獣人の本能が、喉の奥で食いたいと低く唸った。だが、数千年の時を生きる仙人のプライドが、それを高尚な儀式へと脳内変換する。
(なんと澱んだ気配か……。健人の背に、どす黒い疲労の陰が見える。これは……放置すれば命に関わる重篤な詰まりであるな)
虎禄は心中でもっともらしい診断を下すと、獲物を狩る猛獣の慎重さで、巨体を背後へと滑り込ませた。
ドサリ。
圧倒的な質量が健人の背中に覆い被さる。
「わっ、ちょ……じいちゃん!?」
健人が驚いて振り返ろうとするが、叶わない。虎禄の丸太のような両腕が、既に逃げ場を塞ぐようにデスクの端をガシリと掴んでいたからだ。背中に押し付けられるのは、しっかりした生地の道着越しでも分かる、岩盤のように硬い筋肉の鎧と、それを覆う分厚い脂肪の弾力。そして何より、人間とは明らかに異なる、焼けるような体温だった。
「動くでない。……健人よ、お主、背中に邪気が憑いておるぞ」
虎禄が耳元で低く囁く。腹の底から響く重低音は、鼓膜ではなく骨を直接震わせるようだ。湿った熱い吐息が耳朶にねっとりと絡みつき、健人の背筋を悪寒にも似たゾクリとした電流が駆け抜ける。
「は……? 邪気って……ただの肩凝りだって。重いよ、離れて……」
「ならぬ! 凝りこそが邪気の塊、万病の源ぞ。わしが今すぐ散らしてやらねば、ぱそこんのように機能不全に陥るやもしれん」
反論する健人の言葉を遮るように、虎禄の巨大な掌が肩に置かれた。分厚く、ざらりとした肉球の感触が、薄いスウェット生地ごと僧帽筋に食い込む。指先だけで鎖骨まで届きそうなサイズ差だ。虎禄は親指に体重を乗せ、ゴリゴリと骨の隙間を抉るように揉み始めた。
「あ、いっ……! くぅ……っ!」
「ほう、痛むか。やはり気が滞っておる証拠じゃ。……我慢せよ、すぐに楽になる」
虎禄は口角を吊り上げ、愉悦と慈愛が混ざり合った表情で、指先の力を強めた。もちろん、ただのマッサージではない。虎禄の指からは、仙術によって練り上げられた濃密な気が注入されているのだ。それは警戒心を溶かし、思考を泥のように鈍らせる、強制的な安らぎを含んだ麻酔のごとき精気だ。
「ん、ぁ……熱い……じいちゃん、……なんか、変……」
揉まれるたびに、鈍い痛みが熱を帯びた痺れへと変わり、健人の脳髄を甘く麻痺させていく。深夜特有の睡魔と、幼い頃から慣れ親しんだ世話の焼けるじいちゃんの匂い、そして注入される気の効果が混ざり合い、理性に靄がかかる。――これは、じいちゃんが自分のためにしてくれている治療なのだ。そんな都合の良い刷り込みが、心底からの安堵を生み出す。
「毒素が溶け出しておるのじゃ。……む、ここも硬いな。心臓の脈動が乱れておる」
言うが早いか、虎禄の手は肩から滑り落ち、胸板へと這い進んだ。スウェットの上からでも、中の肉体の起伏を弄るように、大きな掌が這いずり回る。やがて太い人差し指が、ふくらみの頂点にある小さな突起を、服越しにピンポイントで捉えた。
「ひゃうっ!?」
「なんと、ここも熱を持っておる。気の出口が塞がれておるようじゃな」
「ちょ、そこ、乳首っ……さわん、な……っ」
「うるさいのう。……硬くなっておるではないか。わしが治療してやろう」
薄い皮膚の下で脈打つ内臓の温かさ。それを守るには、あまりに頼りない腹筋。虎禄の中で、庇護欲という名の独占欲が暴れだす。このか弱き孫を、太く逞しい気で、内側から満たしてやらねばならぬ。そうせねば、壊れてしまうのではないか。そんな極めて身勝手な使命感が、下半身をさらに硬くさせた。
「……邪魔じゃな、この布は」
焦れた虎禄の手が、ついにスウェットの裾を捲り上げた。直に晒された脇腹の皮膚に、獣の体毛に覆われた剛腕が触れる。さわさわと、毛先でくすぐられる感触。人間同士の肌合わせではありえない、異種族との接触だ。
「ひぃっ……! くすぐったいよ、爺ちゃん」
「静かにせよ。……おお、なんという華奢な体躯か。紙細工のようじゃな」
虎禄は感嘆と劣情の入り混じった溜息を漏らし、広げた掌で健人の腹を覆った。ザラリとした皮膚感と、吸盤のような肉球の圧力が、健人の柔肌を蹂躙する。へそ周りを円を描くように撫で回し、そのまま下へ、下へと指先を潜らせていく。ズボンのゴムが限界まで引き伸ばされ、パチンと弾ける音が静寂に響いた。
「ま、待って……」
「何を言うか。ここが一番の要所じゃぞ。丹田の下、気の源泉が枯渇しておる。わしが活を入れてやらねば」
もっともらしい理屈と共に、分厚い手が下着の中に侵入した。仙人の規格外サイズに比べれば可愛らしい性器を、虎禄の手が容赦なく鷲掴みにする。むにゅり。肉球の弾力が、敏感な亀頭を包み込んだ。
「あ、う……っ!? なに、これ……肉球、ぷにぷにするぅ……」
「ほう、気に入ったか。ならば、もっと良いことを教えてやろう」
虎禄はニヤリと笑い、肉球の隙間から、カミソリのように鋭い爪をわずかに出し入れした。チロリ、チロリと、鋭利な爪先が鈴口をくすぐる。快楽と、一歩間違えば切り裂かれるという生物的な恐怖。背反する刺激が、健人の本能を強制的に覚醒させた。
「んくっ、ふあぁ……っ! じいちゃん、それ、爪っ、だめっ……!」
「ふはは、案ずるな。わしの爪は邪気のみを断つ。……ほれ、もうこんなに元気が出てきたぞ」
虎禄の手の中で、健人のモノがビクンビクンと跳ね、透明な我慢汁を滲ませ始めた。それを見た虎禄の理性が、音を立てて決壊する。
(たまらん……! この瑞々しさ、この生命力! ぱそこんの中の女など比べ物にならんわ!)
もはや我慢は不要だった。虎禄は健人の背中にさらに体重を預け、自身の股間をぐい、と押し付けた。下穿きの前が大きく割れ、既に褌をかきわけて露出した巨塔――血管が古木の根のように浮き上がり、あふれ出る先走りで濡れそぼった亀頭が、スウェットの薄い生地越しに、健人の尻の割れ目に食い込む。
「あ……っ、お尻に、なんか、硬いのが……」
「わしの陽根じゃ。……どうじゃ、熱かろう? お前の体が冷えておるから、こうして温めてやっておるのじゃ」
平然と嘘をつきながら、虎禄は腰を下品にくねらせた。ゴリッ、ゴリッ。太すぎる雄の肉棒が尾てい骨を削る感覚。
前からは肉球による巧みな手淫。後ろからは巨根による圧迫。前後からの波状攻撃に、健人の膝から力が抜け落ちる。
「はぁ、はぁ……もう、だめ……足、立たない……」
「ふふふ……気にするでない。すべて吐き出せ。悪いものは全て、わしが受け止めてやるからのう」
虎禄の手の動きが加速する。粘着質な水音が室内に響き渡り、健人はPCデスクの端を白くなるほど強く握りしめたまま、ガクガクと腰を震わせた。PC画面の青白い光が、快楽に歪む青年の顔と、それを背後から貪り食うように見下ろす巨獣の影を、残酷なまでに鮮明に映し出していた。
「あ、ぅ……じいちゃ……もう、力はいらない……」
健人が熱に浮かされたような声を漏らし、ズルズルと崩れ落ちそうになる。だが、身体が冷たい床板に触れることはなかった。虎禄の丸太のような腕が、健人の膝裏と背中に差し込まれたかと思うと、一瞬で身体を宙へとさらい上げたのだ。
「なんと、軽い……。綿毛のような軽さよ」
有無を言わさぬお姫様抱っこ。健人の腕が虎禄の胸板に押し当てられる。抵抗しようと突っ張るが、非力な抵抗は分厚い胸毛の弾力に優しく吸い込まれるだけだ。ドクン、ドクン……耳元で聞こえる心音は、戦太鼓のように力強く重い。ムッとするような獣の体臭と、線香の残り香、そして雄々しいフェロモンが渾然一体となった濃厚な匂いが、健人の嗅覚を麻痺させていく。
「降ろしてよ……恥ずかしいって……」
「暴れるでない。……寝床へ行くぞ」
虎禄はドスドスと重い足音を響かせ、隣の寝室へと踏み込んだ。せんべい布団が敷きっぱなしになった万年床。そこへ、健人を無造作に放り投げる。
ボフッ。
埃とともに舞い上がる、干し草のような乾いた匂い、鼻をつく雄の獣臭、長年染みついた古紙のような加齢臭。さらには、幾度となく撒き散らされたであろう、乾いた精の生臭さ。それらが何層にも重なり合った、『雄の巣』のむせ返るような芳香が、健人の鼻孔を犯した。
「さあ、衣服は邪魔じゃ。全て取り払うぞ」
「待ってよ……寒いってば……」
「気を通すのに、こんな布切れなど一枚たりともあってはならぬ!」
虎禄はもっともらしい理屈を叫ぶと、健人のスウェットのズボンに太い指を引っかけ、力任せに引き下げた。
「わっ……ちょ、無理に引っ張んないで……ゴム伸びちゃう……」
「ええい、ゴチャゴチャとじれったいのう! どうせ安物じゃろ! 遠慮など無用じゃあ!」
健人の所帯染みた悲鳴など意に介さず、虎禄はズボンと下着を一気に足首まで引きずり下ろした。ブチブチッ、という不吉な音が響く。続けてパーカーも頭から引っこ抜かれた。
「あーあ……もう……」
月明かりの下、露わになった健人は、寒さと恥ずかしさに身を縮こまらせながら、恨めしそうに呟く。白磁のように青白い肌。あばらが浮くほど薄い胸板。そして股間には、恐怖と寒さで縮み上がった、あどけない突起が一つきり。
「……ふむ」
虎禄の碧眼が、粘つくような光を帯びて細められた。安物のスウェットを惜しむような、みみっちい日常感。そんな他愛ない観賞も、数千年の精力を蓄えた仙人にとっては、無性に穢してやりたいという嗜虐心を掻き立てるスパイスとなる。
「……うぅ、じろじろ見ないでよ……」
「案ずるな。今、わしの肉布団で温めてやるからの」
健人の足元に仁王立ちになった虎禄は、ニヤリと笑うと、自らの帯をバシュッと解き放った。ドサリと道着が床に落ちる。現れたのは、白銀と黒の縞模様が走る、圧倒的な質量の肉体だ。太鼓のように張り出した腹と、丸太のような手足。全身が筋肉と脂肪の鎧で覆われた姿は、まさに二足歩行する猛虎。
そして、股間には――
ボロンッ
血管の浮き出た赤黒い肉塊が、重力に逆らって弾け出た。股間で茂る獣毛に埋もれんばかりの根元から、凶悪に膨れ上がったカリ首まで。太さは健人の腕ほどもあるだろうか。表面にはミミズのような血管がのたうち回り、どす黒い亀頭は、だらりと垂れたまま粘液を滴らせている。
「……ひッ……」
健人の喉から、言葉にならない悲鳴が漏れる。仰向けの姿勢から見上げるそれは、遠近法を無視した巨大な暴力装置として目に映った。
「ふむ……まずは触診じゃな」
などと口では冷静を装いつつも、鼻翼をヒクつかせてフンスフンスと荒い鼻息を漏らし、のっしのっしと布団の上へ四つん這いになった。
獲物に覆いかぶさる肉食獣の影が、健人をすっぽりと飲み込む。見下ろす顔は仙人の威厳などどこへやら、久方ぶりのご馳走を前に、口元をだらしなく緩ませた好色な老爺そのものだった。
「なんか……く、るしぃ……」
「じっとしておれ。……ほう、ここは随分と汗ばんでおるな」
虎禄の顔が健人の股間に埋まるや否や、ヤスリのようにザラついた舌が、健人の内股から金玉、竿の裏筋までを一息に舐め上げる。
「んぁぁっ!? ぁ、あ……っ!」
「塩辛い。……毒素が出ておるな。全てわしが舐めとってやる」
ジュボ、ベロリ。痛みはない。だが、人間とは異なる剛毛に覆われた顔面の感触と、ザラザラの舌が生み出す摩擦は、健人の許容量を遥かに超えていた。
「ひ、やぁ……っ! くすぐったいっ……変な感じするぅ……!」
「ふふふ、そうじゃ、もっと鳴け。その声が、わしの気をさらに滾らせるのじゃ……!」
虎禄は健人の抗議など聞き流し、両足を太い腕で固定すると、自身のよだれと健人の蜜を混ぜ合わせながら、執拗に舌を這わせた。鼻先で嗅ぐ股間の匂いに、虎禄の鼻息は荒くなり、そのたびに熱風が健人の敏感な部分を直撃する。
もはや治療という建前すら怪しい。そこにあるのは、無力な獲物を前に舌なめずりをする、貪欲な老獣の姿だけだった。
「ふぅ……。表面の毒気は吸い出せたが、やはり根が深いのう」
虎禄は名残惜しそうに健人の股間から顔を離すと、濡れそぼった口元を手の甲で無造作にぬぐった。健人は荒い息を吐きながら、涙目で天井を見上げている。まだ直接触れられてもいないのに、猛獣の舌技だけで腰の芯まで痺れさせられ、思考がまとまらない。
「はぁ、はぁ……じ、じいちゃん……もう、いいでしょ……? 十分、あったまった……し……」
「何を言うか。ここまでは準備運動に過ぎん」
虎禄は健人の脇の下に手を差し入れると、赤子でも扱うような手つきで軽々と持ち上げた。
「わっ、ひゃ……!? 高いって、怖い……っ!」
布団の上にあぐらをかいた虎禄が、広い膝の上に、健人を向かい合わせに乗せる。いわゆる対面座位の抱擁だ。目の前に壁のように立ちはだかるのは、白練の道着を脱ぎ捨てた虎禄の分厚い胸板と、福々しい太鼓腹。健人の体は、圧倒的な弾力の肉布団にしっかりと受け止められた。
「……うぅ……すっごい、圧迫感……」
「安心せよ。わしの身に預ければ、母なる大地に抱かれるも同然」
「だい、ち……っていうか……岩山だよ……これぇ……」
健人は泣き言を漏らしながらも、虎禄の首にすがりつくしかなかった。この巨大な温もりに包まれていると、抗う気力が削がれてしまう。幼い頃、背中で寝かしつけられた記憶がよみがえり、どこか暖かい気持ちにもなる。尻の下に、どす黒い凶器が鎮座していなければの話だが。
「さて、門を開けるには滑りを良くせねばな」
虎禄は枕元に置いてあった小さな壺を取り出した。蓋を開けると、ツンとした薬草の香りと共に、どろりとした半透明の軟膏が顔を覗かせる。
「なに、これ……? 変な匂いするけど……」
「これぞ仙人の秘薬『虎骨膏』じゃ。本来は打ち身や傷に使うものじゃが、こういう使い方もできる優れものじゃ」
虎禄は瓶から掬い取った半透明の軟膏を、分厚い人差し指の腹にたっぷりと乗せた。そして、あぐらの上で不安定に揺れる健人の身体を支えるという名目で、空いている左腕を腰に回し、グイと自分の方へ引き寄せた。
「落ちるでないぞ。……患部はここじゃな」
そう真面目腐った顔で呟くと、軟膏を乗せた右手を無防備な背中へと回した。大きな掌が背骨のラインをなぞるようにして、腰のくびれから下へとズルリと滑り落ちる。健人の柔らかな臀肉を、下からすくい上げるように鷲掴みにした。
「ひゃぅッ!? つ、冷めたッ……!」
「力を抜け。……ふむ、ここも強張っておるな。これでは気が通らぬ」
そのまま親指と中指で桃のような尻肉をむにゅりと押し広げると、露出した無垢な谷間へ、軟膏を塗りたくった指を躊躇なくねじ込んだ。検品と称して果実の熟れ具合を確かめるような、執拗で粘着質な指使いだった。
「あうぅっ……! じ、じいちゃん、ゆび……! 指、太いっ……抜いてぇ……!」
「我慢せよ。この程度で音を上げていては、わしの陽根など到底収まらぬぞ」
「おさめなくて、いい……! ほんと、無理だから……! ねぇっ、聞いてる……!?」
「うむ、締まりが良い。しかし、これは……邪気が逃げまいとして必死に抵抗しておるな」
もっともらしい解釈を加えながら、虎禄は指をさらに奥へとねじ込んだ。大柄な虎獣人である虎禄の中指は、それ一本だけで十分な凶器だ。内壁を強引に押し広げながら、乾いた穴を蹂躙していく。
グチュ、ヌチュウ……
軟膏と腸液が混ざり合い、卑猥な水音が響き始める。虎禄は健人を抱きかかえる左手に力を込め、逃げられないように背中を圧迫すると、右手の指先を鉤爪のように曲げ、内側の壁をガリリと引っ掻いた。
「あっ、ぎ……!? そこ、やばいっ……!」
「ここか? ここに邪気が溜まっておるのか?」
「ちが、うっ! そこ……押しちゃ、ダメ……ああぁっ!」
「嘘をつくでない。正直な体は、もっと突いてくれとヒクついておるぞ」
虎禄の口元がだらしなく緩んだ。本人は名医の顔を作っているつもりなのだろうが、紅潮した頬と、荒い鼻息が全てを物語っている。初々しい肉壺をいじり回す愉悦に耐えきれず、顔面の筋肉が締まりをなくしているのだ。
グポッ、ズチュッ
節くれだった指で容赦なく前立腺を抉られた健人の腰が、意思とは無関係に跳ね上がる。
「あ、あぁっ……! じいちゃん……も、イくぅ……っ!」
「おお、出せ出せ。悪いものはわしが全て絞り出してやる」
虎禄は興奮にフンスフンスと息を荒げながら、指を一本、また一本と増やしていった。二本、三本。指が増えるたびに、健人の穴はありえない形に押し広げられ、悲鳴交じりの嬌声が漏れる。
「むり、三本は……っ! だめ、裂けちゃうぅ……!」
「案ずるな、わしの気と軟膏で柔らかくなっておる。……ほれ、こんなに貪欲に食いついてくるではないか」
健人の耳元で囁きながら、三本の指を開閉させて腸壁を押し広げる虎禄。拡張された空間に空気が巻き込まれ、下品極まりない音が鳴る。虎禄の股間では、張り詰めた極太の肉棒が、早く中に入れろとばかりにビクンビクンと脈打ち、健人の太腿をペチペチと叩いていた。
「ふぅーッ、ふぅーッ……! そろそろ、わしも限界じゃ……!」
先に限界を迎えたのは健人ではなく、虎禄の方だった。指でかき回す感触、鼻孔を満たす秘部の匂い、そして腕の中で震える孫の体温。全ての刺激が、数千年の封印を解かれた仙人の理性を、粉々に粉砕しようとしていた。
「け、健人よ……もう待てぬ。……直接、気を注ぐぞ!」
「えっ……えぇっ!?」
「問答無用ッ!」
虎禄は濡れそぼった指を引き抜くと、ギラギラと充血した目で、健人の腰を自身の剛直の上へと導いた。
「ひっ……む、むり……! じいちゃん、それ……おっきい……! 本当に、無理だってば……!」
自身の尻の下にあてがわれたモノを見下ろし、健人は引きつった声で悲鳴を上げた。目前にそそり立つのは、健人の腕よりも太く、そしてあまりに禍々しい、雄の本性を形にしたような肉の杭だ。
若者のそれとは違う、年季の入ったドス黒い紫色。表面には指ほどの太さがある血管が、ミミズのようにボコボコと浮き上がり、ドクン、ドクンと不気味に脈動している。根元には分厚い皮がたるみ、そこから伸びる竿は岩石のようにゴツゴツといびつ。先端の亀頭は、傘のように大きく張り出し、溢れ出る透明な粘液でテラテラと下品な光沢を放っている。
ただデカいだけではない。雄として使い込まれてきた歴史と、今なお衰えぬ獰猛な精力が、強烈な獣臭となって立ち昇り、健人の鼻をツンと突いた。
「こんなの……入るわけないよ……! 壊れちゃう……!」
「落ち着け、健人。……わしを信じよ」
パニックになり逃げ出そうと暴れる健人を、虎禄は叱りつけるのではなく、優しく、しかし絶対に逃げられない力強さで抱きしめた。分厚い胸毛のクッションに顔を埋めさせ、大きな手で健人の頭を撫でる。
「よしよし、怖くない、怖くないぞ。……わしがお前を傷つけると思うか?」
「うぅ……思わない、けど……でも、物理的に……」
「そんなものは、わしの気の前では無意味じゃ。お前はただ力を抜いて、じいちゃんに身を任せればよいのじゃ。いいな?」
耳元で囁かれる重低音と、背中を撫でる肉球の温かさ。子供の頃、熱を出した時にこうしてあやされた記憶が蘇る。虎禄の放つ圧倒的な父性――いや、もはや暴力的なまでの包容力に、健人の恐怖心が少しずつ信頼へとすり替えられていく。
「……ほんと、に……? 痛く、しない……?」
「ああ、約束しよう。……とびきり気持ちよくしてやるからの」
虎禄は慈愛に満ちた――ように見えるだけで、実のところは性欲全開の――笑みを浮かべると、健人の腰をゆっくりと慎重に引き下げた。健人の抵抗が緩んだ、一瞬の隙を見逃さず。
ぬぷっ……
凶悪なカリ首の先端が、軟膏でぬるついた入り口を押し広げ、侵入を開始する。
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「あ、んぅ……っ! 入って……くるぅ……!」
「そうじゃ、良い子じゃ……。ゆっくり、ゆっくりとな……」
ミチミチミチ……
最初の難関である括約筋が、極太の侵入者を拒もうと悲鳴を上げる。だが、虎禄は焦らない。健人の耳元で相も変わらずフンスフンスと荒い鼻息を吹きかけながら、巧みな腰使いで少しずつ、じわじわと肉壁をこじ開けていく。
「ひぐぅっ……! きつい、苦しぃ……っ!」
「ふふ、きついのは最初だけよ。……ほれ、お前の体も、わしを受け入れようと喜んでおるぞ」
「よろこんで、ない……っ! う、そ……なんか、熱いのが……!」
半分ほど飲み込んだあたりで、感覚が変わった。痛みよりも、体内の空洞が埋め尽くされていく圧倒的な充足感が勝り始めたのだ。巧みな指使いで十分に拡張され開発されていた粘膜が、本命の男根を迎え入れ、とろりと溶解していく。
ずぶぶ……ぬるぅ……っ
乾いた摩擦音は消え、粘着質な水音と共に、虎禄の剛直が滑り込んでいく。健人の内臓が押し上げられ、腹の底から熱い塊に満たされていく感覚。
「あ、はぁ……っ、なんか、すごい……おなか、いっぱいになる……」
「そうじゃ……。丹田の奥まで、わしの気が満ちていくのを感じろ……」
虎禄の額に脂汗が滲む。極上の締め付けに、理性が飛びそうになるのを必死で堪えているのだ。まだだ、まだイくわけにはいかない。完全にハメ込み、我が物とするまでは。
「さあ、あと少しじゃ……。最後の一息、力を抜くのじゃ……」
「う、ん……」
健人がとろんとした目で頷き、ふっと全身の力を抜いた瞬間。虎禄は音もなく、しかし力強く腰を沈めた。
ずぷんっ
根元まで。文字通り、根元まで収まった。剛毛に覆われた股間と、つるんとした尻が隙間なく密着。突き出た太鼓腹が、薄い腹をムニュリと押し潰す。
「ふぅぅぅ……ッ! 収まった……! なんという極上の吸い付きか……!」
「あ、ぁ……入っちゃった……全部、入っちゃったぁ……」
二人の体が、完全に一つになった。健人は虎禄の首にしがみついたまま、呆然と呟く。あんなに巨大なモノが、自分の体の中に納まっている事実が信じられない。だが、腹の底から感じる脈動と、全身を包む虎禄の体温は、紛れもない現実だった。
「どうじゃ、健人。……痛くはなかろう?」
「う、うん……痛くはない、けど……すごい、違和感……」
「それは違和感ではない。充実感と言うのじゃよ」
虎禄はニタリと下卑た笑みを浮かべ、健人の背中を愛おしそうに、それでいて卑しい手付きで撫で回した。
「見よ、お前の穴は、こんなにも正直にわしを咥え込んで離そうとせぬ。……口では嫌がっても、体はわしを求めておったのじゃな」
「そんなこと、ない……っ! じいちゃんが勝手に……!」
「言い訳は無用。……さて、しっかりと気を注いでやらねばな」
言いながら、虎禄は埋め込んだままの腰を、ゆっくりと、ねっとりと回し始めた。グリリ、グチュッ。体内の最奥で、敏感なスポットを巨大なカリ首が容赦なく擦り上げる。
「あッ!? う、動かないでぇ……っ!?」
「治療じゃ、治療。……奥の奥まで、わしの形を刻み込んでやるからのぅ……」
繋がったまま、虎禄の体温と欲望が、健人の芯まで溶かしていく。もはや逃げ場はない。この祭壇の上で、雌は雄の欲望を身一つで受け止めるしかないのだ。
根元まで飲み込まれたまま、動きが止まる。だが、それは休憩ではない。互いの粘膜が密着し、形を記憶するための濃厚な時間だ。
「ぬぅ……、むぅぅ……」
虎禄は、腹の底から絞り出すような重い唸り声を漏らし、結合部の感触を反芻する。極太の肉杭を締め付ける、若く弾力のある肉壁。未開発ゆえの狭さが、今は逆に極上の名器となって虎禄を襲っている。腸壁の無数の襞が、侵入者を異物として排出しようと蠕動するたび、敏感な亀頭が四方八方から甘く吸い上げられる。熱い。そして、柔らかい。数千年の使用に耐えた黒ずんだ剛直が、若々しい腸液と熱気で、ドロドロにふやかされていく。
「あ、ぅ……じいちゃん……うごかないの……?」
健人が苦しげに身じろぎをする。そんな些細な動きだけで、体内の杭がゴリリと角度を変え、内臓を直接押し上げた。
「……動くとも。だがその前に、こうして味わわねば罰が当たる」
虎禄はカッ開いた目で、腕の中の孫を見下ろした。汗に濡れた前髪。涙で潤んだ瞳。快楽と苦痛にだらしなく開かれた口元。華奢な肢体は、虎禄の圧倒的な巨躯の前ではあまりに頼りなく、脆い。だが、だからこそ守ってやらねばならぬ、満たしてやらねばならぬという、歪んだ使命感が鎌首をもたげる。
「めんこいのう……。よしよし、良い子じゃ」
虎禄はあやすように目を細め、ザラつく舌で健人の涙を無造作に舐め取った。表情は慈愛に満ちた祖父のものだ。だが瞳の奥には、愛しい対象を丸ごと自身の体液で汚し、所有したいという、性欲でドロドロにコーティングされた独占欲が渦巻いている。
「ひゃぅっ……舐めないでよぉ……子供扱いしないで……」
「子供ではないか。見よ、このあられもない姿を……」
虎禄はあえて健人の視線を、結合部へと誘導した。剛毛に覆われた太い太腿の上に、白くなめらかな尻が乗っている。谷間には、自身の黒光りする肉棒が深々と突き刺さり、隙間からは白濁した汁が泡を吹いて溢れ出している。
「あ……、うそ……なにこれ……」
「口では生意気を言っても、下はこんなにも正直に甘えておる。……わしの太い楔を、離したくないと泣いておるわ」
「ちが、う……っ! 勝手に、入って……っ、 んああぁ……」
「ふふ、遠慮はいらぬ。可愛い孫には、わしの全てを与えてやらねばな……」
虎禄はあぐらをかいたどっしりとした体勢のまま、腰をゆっくりと、すり潰すように動かし始めた。
グチュ……ズリュゥ……
繋がった一点を支えに、健人の体を前後左右にゆさゆさと大きく揺さぶる。虎禄の剛毛の一本一本が濡れた皮膚を刺激し、互いの体温が摩擦熱でさらに跳ね上がる。
「ふ、ぅ……っ! ん……っ、あ……ッ!」
「くっ……なんという心地よい肉壺じゃ。わしの魔羅を勝手に扱き上げてきよるわ」
虎禄は健人の背中を大きな掌で撫で回し、逃げ場を塞ぐように、暑苦しいほどの包容力で抱きすくめた。揺さぶられるたびに、体内に満ちた極太の異物が、敏感な内壁を広範囲に、ねっとりと蹂躙していく。
グチュッ、ヌチャア……!
結合部から溢れ出した愛液と軟膏が、密着した太腿の間で泡立ち、白く糸を引きながら、卑猥極まりない粘着音を奏でる。
「はぁ、はぁ……っ! じいちゃん……苦しいのに、気持ち良くて……頭おかしくなりそう……!」
「甘えるでない。この虎禄仙人の気を受け止めるのじゃ。男なら耐えてみせよっ……!」
虎禄は諭すような口調で言いながらも、腰の回転をさらに深く、重くした。反り上がったカリ首の段差が、前立腺の核心を逃さず捉え、抉るように擦り上げた。
「んあッ!? じ、じいちゃんのちんぽ……深いとこ、当たってる……!」
健人の腰がビクンと跳ね、内壁が痙攣してイチモツを強烈に締め上げる。虎禄の喉から獣じみた唸り声が漏れた。
「ぬうぅッ……なんという吸い付きか……! わしの魔羅が、卑しい襞に締め上げられておる……! 破廉恥なっ!」
虎禄は苦悶と快楽の入り混じった顔で天を仰いだ。あまりの気持ちよさに、背筋に電流が走り、太い尻尾がバタンバタンと布団を叩く。この温もり、この吸い付き。やはり、この愛孫こそが、わしの溢れる陽気を注ぎ込むべき唯一の器なのだと、身勝手な確信が脳を支配する。
「見事じゃ……! まこと、この肉壺はわしの魔羅と吸い合うようにできておる……!」
「う、あ……っ! じいちゃん、なか、びくびくしてる……!?」
「おう、魔羅も嬉しくて泣き出しそうじゃ……!」
健人の体内で、虎禄のモノがさらに一回り、ドクン!! と膨張した。射精の予兆だ。
亀頭がパンパンに張り詰め、尿道の先から溢れ出した先走りの蜜が、熱湯のように肉壁を濡らす。虎禄の呼吸が過呼吸のように荒くなり、全身の筋肉が岩のように硬直する。
「ぬ、おおッ……! も、はや……これまでか……!」
「あっ、や……俺も、だめ……イっちゃう……ッ!」
「くぅッ、あぁ、わしも、辛抱たまらん……! 種がこみ上げてきよったわい……っ!」
虎禄は健人の体を力いっぱい抱きすくめ、逃げ場を完全に塞ぐと、腰をグググッと深く、限界まで押し付けた。大ぶりの睾丸を内包する毛むくじゃらの玉袋が潰れ、健人の尻肉にめり込むほどの密着。凶悪なまでに赤黒く腫れた亀頭の矛先が、直腸の最奥にピタリと照準を合わせる。
「ああああぁぁッ!?」
「出るぞいッ! もらえぇぇぇぇッ!!」
虎禄の巨体が大きくのけ反った。
ドボォッ! ゴボッ! ドビュルルルッ!
長年にわたって蓄えられた精気の解放。それは射精というより、ダムの放流だった。虎禄の尿道口から、熱湯のように煮えたぎった特濃の精液が、濁流となって噴き出した。
ドクン、ドクン、ドクン。
叩きつけるのではない。注ぎ込むのだ。脈打つたびに、白濁液が健人の腸内を満たし、物理的に膨れ上がらせていく。
「あ、あ、あつい、なか、焼けるぅ……ッ!」
「まだまだじゃぁ! 空っぽの腹を、わしの気で満タンにしてやるぞぉッ!」
一発、二発では止まらない。健人のガクガクと痙攣する腰を抑え込み、さらに強く股座へと押し付ける虎禄。その間もナカで脈動する太魔羅はポンプのように精を噴き出し続ける。健人の薄い腹が、内側に注ぎ込まれた液体の量で、物理的にポッコリと膨らんでいく。密着した腹越しにも膨張は生々しく伝わってくる。
「ん、あ……っ! 熱いのが、いっぱい、来てる……!」
許容量を超えた熱量と充填感。内臓が白濁液で満たされる異物感。同時に、自身のモノからも、触れられてもいないのにピューッと透明な液を噴き出し、絶頂に達する。
「はぁーッ! ぬぅーッ! ……出し、切った……!」
長い長い放出を終え、虎禄は脱力したように健人の肩に顔を埋めた。結合部からは、収まりきらなかった白濁液がゴボリと音を立てて溢れ出し、あぐらをかいた虎禄の太腿と、健人の尻を白く汚しながら、ドロドロ、ボタボタと重たい音を立てて布団へと垂れ落ちていった。
「はぁ、ぅ……、あ……ぁ……」
「ふぅーッ……、ぬぅぅ……ッ」
嵐のような射精が終わっても、二人の体はへばり付いたままだ。狭い布団の上はサウナじみた熱気と、栗の花と獣臭を煮詰めたような濃厚な雄フェロモンで充満している。
虎禄は未だ健人の腸内に埋没している自身の分身に神経を集中させた。ドクン、ドクン……脈動するたびに、柔らかな肉が魔羅にみっちりとまとわりつく。射精直後の過敏な粘膜に、健人の体温と腸液のぬめりが染み渡り、痺れるような余韻をもたらしていた。
「……じい、ちゃん……なか、熱い……」
健人が焦点の定まらない瞳で虎禄を見上げた。意識は半分飛んでいるのだろう。口元からは涎が糸を引き、どこか物欲しげに、だらしなく開かれている。完全に気を許した無防備な顔が、老獣の燻る本能に油を注いだ。
「……なんじゃ、その顔は。もっと欲しいと申すか」
虎禄はニタリと下卑た笑みを浮かべると、口から分厚く、赤い舌をダラリと垂らした。表面がヤスリのように毛羽立った、猛獣の舌だ。
「ん……、ぁ……」
健人が吸い寄せられるように口を開いた瞬間、虎禄は覆いかぶさるように顔を寄せ、肉厚な舌をねじ込んだ。
ジュボォッ! ズリュリュッ!
成されたのは、接吻などという生易しい行為ではない。口内を蹂躙する、舌による交尾だ。
虎禄は口腔の狭さと、逃げ惑う舌の滑らかさを存分に味わった。ザラつく舌先で上顎を擦り上げると、健人の喉が収縮し、虎禄の舌を必死に吸い付こうとしてくる。
「んむ……んぐ、ぅぅ……っ!」
鼻孔を塞ぐ獣の体臭と、口内を満たす肉の味。息継ぎも許されぬ濃厚な口づけに、健人の体がビクンと跳ねる。その拍子、虎禄の敏感な腹毛に、冷たく湿った感触が伝わった。
「む……? 腹が濡れておるな……」
虎禄は強引に唇を離すと、怪訝な顔で二人の腹の隙間を覗き込んだ。そこには、虎禄の剛毛に絡みつくように、健人の萎えたモノから透明な液がダラダラと垂れ流されていた。先ほどのドライオーガズムの名残――失禁にも似た、情けないお漏らしの痕跡。
「……ほう」
虎禄の目がいやらしく細められる。原因は明白だ。己が理不尽なまでに責め立て、許容量を超えた快楽を注ぎ込んだからに他ならない。だが、虎禄は自身の所業を――さっきまで散々いじめ抜いた事実を――綺麗サッパリと棚に上げ、口元を好色に歪ませた。
「なんと……! 弛んでおる! 実に弛んでおるぞ、健人!」
虎禄はわざとらしく声を張り上げたが、表情はニヤニヤと緩みっぱなしだ。
「この程度の気当たりで粗相をするとは……! 我が血筋の男児たるもの、もっと精進せねばならん!」
「あ、ぅ……、ごめ……なさ……」
「謝罪は不要! わしが直々に鍛え直してくれるわ!」
吠えるや否や、虎禄は健人の腰を掴み、繋がったままの結合部から、イチモツをズポォッ!と無造作に引き抜いた。そして唐突な喪失感に健人が声を上げる間もなく、強引に布団と押し倒す。
「じ、じいちゃん……?」
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健人は引きつった顔で頭上を覗く。覆いかぶさる虎禄は、ニタニタとあられもない笑みを浮かべ、口からは分厚い舌をダラリと垂らしている。そして何より、目の前にそそり立つ凶器の存在感が、健人の思考を停止させた
――やっぱり、デカすぎる。
一度吐き出した直後だというのに、虎禄の肉棒は萎えるどころか、さらに血液を集めて赤黒く怒張している。先ほどの射精の残り火か、あるいは新たな興奮によるものか、白濁した液体がトロリと健人の腹に垂れ落ちていた。
あんなものが、さっきまで自分の腹の中に入っていたのか。これからまた、ここに入ってくるのか。物理的な恐怖と、抗えない雄への屈服感が、健人の腹をキュンと疼かせる。
「ほれ、見るがよい。わしの魔羅はまだ食い足りぬと猛り狂っておるぞ」
「じいちゃん、重い……」
「重さに耐え、快楽に耐え、己を律するのが修行じゃ! さあ、歯を食いしばれ!」
虎禄は健人の両足首を掴むと、M字に開脚させるように自身の肩へと担ぎ上げた。露わになった無防備な秘部に、ギラつく亀頭の狙いを定める。
「ひっ……!」
そのまま体重を乗せた腰を、容赦なく振り下ろした。
ヌチュッ、パンッ! ドチュ、パンッ!
「あうぅッ、んッ、 ひ、ぁっ……!?」
「いい声じゃ! もっと鳴け! 腹の底から気を練り上げるのじゃ!」
グチュッ、ベチャッ! ズリュッ、ベチャッ!
先ほどのねっとりとした揺さぶりとは違う。野生剥き出しの、真っ直ぐに突き下ろす豪快なピストン運動。打ち込むたびに魔羅が最奥を小突き、内壁のひだを強引にめくり上げる。雄へのささやかな抵抗は、むしろたまらなく心地よい挿入感を生み出す。中出しされたばかりの精液が潤滑油となり、ぬるぬるとした極上の感触をも生み出している。
「あ、はぁ……っ! じいちゃん、すごい……! おなか、かきまわされ……ッ!」
「そうか! もっと捏ね回してやるわい!」
ジュブッ! パンッパンッパンッパンッ!
もはや理屈などどうでもよかった。目の前で乱れる孫の姿。吸い付く肉穴の温度。そして打ち付けるたびに、自身の太鼓腹に伝わる柔らかい身体の弾力。それら全てが、老いた雄の本能を極限まで昂らせていた。
「ぬおおぉッ! 良いぞ、健人! その締まりじゃ! わしの魔羅を、こんなにも喜ばせおって! けしからん肉壺じゃあっ!」
「んあぁ……! もう、むりぃ……! ゆるし、て……っ!」
「もう少しじゃあ! 肉壺でわしの魔羅を感じ取るのじゃ!」
虎禄は獣の咆哮を上げ、ラストスパートに入った。ズパンズパンという大きなピストン運動を徐々に小刻みに、ただ一点、最奥の突き当たりめがけて、削岩機のように打ち込み続ける。
ズチュズチュズチュズチュズチュズチュッ!!
「ぁ、あ……っ、ふ、あぁ……ッ……!」
健人の口から漏れるのは、もはや悲鳴ですらない。重い一撃が突き刺さるたび、強制的に肺の空気が弾き出されるが、声色は砂糖菓子のように甘く、蕩けきっている。涙で潤んだ瞳は焦点が合わず、口元からは快楽の涎がダラダラとこぼれ落ちていた。苦しいのではない。気持ちよすぎるのだ。脳髄を直接かき混ぜられるような刺激に、自ら腰をくねらせ、もっと奥へと虎禄を招き入れていた。
「ぬおおぉッ! なんという吸い付きじゃ……! 出る、出るぞ! 堪忍できぬ!」
虎禄の全身の毛が逆立ち、健人を覆い隠す背筋が僅かに反る。ごつい尻肉はきゅっと引き締まり、蟻の門渡りがヒクヒクと震え始める。
「我が老根が泣いておるわ! 魂ごと注ぎ込んでやる、受け取れぇぇぇッ!!」
虎禄は健人の腰を砕けよとばかりに掴み、渾身の力で貫いた。根元までせり上がってきた玉袋が潰れ、互いの恥骨が砕けるほどの今日一番の密着。
そして、虎禄の視界が快楽で真っ白に染まった。
ドピュッ! ビュクッ、ビュルルルルルルルッ!
本日二度目、先ほどを遥かに凌駕する爆発。虎禄の尿道口がカッと開き、煮えたぎった特濃の白濁液が、健人の胎内へ暴力的に炸裂した。もはや射精ではなく排泄に近い、圧倒的な雄の性欲発散の瞬間だ。
「ん……っ!? あ、あぁ……ッ、あぁぁぁッ……!!」
健人はあまりの熱さと量に、白目を剥いてあられもなく絶頂した。脈打つたびに、ドロドロとした熱い塊がごっそりと注ぎ込まれ、薄い腹がぽっこりと膨れ上がってしまう。だが、健人はそれを拒むどころか、虎禄の背中に爪を立て、もっとくれとばかりにしがみついた。
ドクン、ドクン、ドクン……。
ポンプのように収縮する魔羅が、最後の一滴まで絞り出そうとねちっこく脈動を続ける。出し切る快感。若き器を我が物で満たす征服感。それが老仙人の脳髄を焼き尽くし、更なる悦楽の淵へと突き落とす。
「はぁーッ! ぬぅーッ! ……ふぅぅぅ……ッ!」
永遠にも感じる長い放出を終え、ようやく虎禄の腰の強張りが解かれた。一方で完全に脱力した健人は、恍惚の表情を浮かべたままピクリとも動かない。
虎禄は名残惜しむように、ゆっくりと剛直を引き抜いた。
ヌポンッ……
間抜けな音と共に栓が抜かれる。ぽっかりと口を開けた肉穴からは、収まりきらなかった白濁液が、堰を切ったようにドロドロと溢れ出し、布団へと垂れ落ちていった。
事後。深夜の庵に穏やかな寝息が響いている。
虎禄は手際よく健人の体を蒸しタオルで拭き清め、自身の体液で汚れた万年床から、新しい清潔な布団へと寝かしつけていた。甲斐甲斐しく布団の襟を直す太い指先は、先ほどまで孫の穴をこじ開け蹂躙していた獣性が嘘のように優しく、慈愛に満ちている。
「やはり実戦に勝る修行なし、じゃな」
虎禄の顔色は極めて艶やかだ。縞模様を描く毛並みは高級な筆のようにしっとりと輝き、全身から溢れんばかりの活力がみなぎっている。若い生気を腸壁から直接、たっぷりと吸収した結果であった。仙人にとってこれ以上の薬はない。
虎禄は、健人の安らかな寝顔を一瞥し、愛おしそうに目を細めた。
「よく励んだな」
言いながら、頬の久々の中出し快楽の余韻でだらしなく緩んでいる。賢者タイムなどというものは、この好色仙人には存在しない。あるのは極上の食事を終えた後の満ち足りた余韻と、さらなる活力のみだ。
ふと、虎禄の碧眼が文机の方を向いた。そこにはスキャンを終え、『脅威は検出されませんでした』という無機質な表示を出しているPCがあった。
「……さて」
ニヤリと口角を吊り上げる虎禄。生身でたっぷりと気を補給した。体調は万全、股間の熱も未だ冷めやらぬ。ならば、次に行うべきは――中断されていた、飽くなき探求の続きである。
「健人が起きる前に、続きを確かめねばな。……生の交わりも格別じゃが、あれもまた捨てがたい……むふふ……」
懲りない仙人は、ぐっすりと眠る孫を放置し、ウキウキとした足取りでPCの前へと戻っていく。深夜の静寂に、卑猥なクリック音と、何かを扱き上げる水音が響き渡った。
§
チュン、チュン……
爽やかな小鳥のさえずりが霊峰の朝を告げている。朝霧が晴れゆく居間には、既に身支度を整えた虎禄の姿があった。彼は山盛りの果物を盆に乗せ、リンゴを豪快に皮ごと噛み砕いている。ガリッ、ゴリッ。咀嚼音すら力強い。毛皮には艶めき、全身からオーラのような湯気が立ち上っているかのようだ。昨晩のPCトラブル時の悲壮感など、微塵も残っていない。
「……ん、うぅ……」
隣室の布団の上で丸まっていた塊がかすかに揺れ動いた。仙人である虎禄は微細な変化をも容易く感じ取り、重そうに瞼を開く健人に歩み寄って声をかける。
「……おはよう、健人。目覚めはどうじゃ?」
虎禄は何食わぬ顔で、リンゴを齧りながら声をかけた。
「……ん、おはよう、じいちゃん」
健人はまだ夢見心地のまま、不思議そうに自分の両手を見つめ、グーパーと握ったり開いたりしている。
「なんか、すっごい体が軽いかも。腰のだるいのも消えてるし……じいちゃん、何かした?」
「……ちと凝りをほぐし、気を注入してやったまでよ。わしの気は万病に効くと言ったであろう?」
虎禄はニカッと笑い、古傷一つない白い歯を見せた。嘘は言っていない。注入した気の種類と注入方法について、あえて言及しないだけだ。健人の記憶が、あまりの刺激に消し飛んでいるのは好都合だった。
「そっか、マッサージしてくれたんだっけ。……ありがと、じいちゃん」
健人はあっさりと納得し、無邪気な笑顔を向けた。尻の奥には、昨晩注ぎ込まれた虎禄の精が、未だたっぷりと残っているとも知らずに。
「うむ。……さて、健人よ。礼を言われた直後で恐縮なんじゃが、飯の前に一つ頼みがある」
「ん? 何?」
虎禄は少し言いにくそうに、しかし瞳を少年のように――いや、欲に塗れた雄の色に輝かせて、部屋の隅にあるPCを指差した。
「ぱそこんがな、また動きが遅いんじゃ。明け方に邪気を取り込んでしまったようでな……」
生身で活力を得た虎禄が、有り余るエネルギーを明け方までどこに向けたのか。それは聞くまでもないことだった。
「……はぁ」
深いため息が朝の霊峰に吸い込まれていく。どうやらこの仙人の修行に終わりはないらしい。健人は諦めたように立ち上がり、すっかり元気になった体で、再びPCの前へと向かうのだった。
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もったいないので使わなかった画像も載せておきます。
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