ここは人間が存在せず、ポケモン達だけが暮らす世界。その世界の最も巨大な都の付近の郊外のエリアにある、巨大な農地と一軒の庵が建つ座標にて、今日も雄のエースバーンの狼煙は生業としている農業に精を出していた。
「よいしょっ...と!今日もみんなお疲れ様じゃのう!」
狼煙は畑を耕す為に使った鍬を持ち上げ肩に担ぎ、周囲を見渡し、そこらにいる他のポケモン達に声がけをした。
「はい!狼煙さん、今日もお疲れ様です!」
それに呼応し、狼煙の農作業を手伝う他のポケモン達も狼煙の質問に答えた。
「じゃあ、今日はここまでにするかのう。みんな、気をつけて帰るんじゃよ」
そう狼煙が解散宣言をし、今日の農業は終了した。
大勢のポケモン達が帰る中、残るポケモンの影が一つ。
「狼煙、今日もお疲れだよ!」
「おお!ロッソ!」
まよなかのすがたのルガルガンのロッソである。
「今日もわしの農作業を手伝ってくれてありがとうな」
「こちらこそいつもありがとうね!俺、今日は学校休みだからさ、こうして狼煙の畑仕事手伝えて体力作りにもなるし、何より余った野菜はくれるしで良い事づくめなんだよね〜!」
ロッソは目を輝かせながら狼煙にそう農作業の事を熱く語る。狼煙もそのロッソの熱意に対して目を細め、ロッソの頭を撫でる。
「にしし!ありがとうな!」
狼煙の屈託のない笑みに、ロッソも満面の笑みを浮かべた。
「後さ狼煙、ちょっとお願いがあるんだけど...」
「ん?」
「今日さ、狼煙の家に泊まって行っても良いかな?」
ロッソは少しだけ緊張しながら狼煙にそう伝える。その問いに狼煙は、
「良いぞ!」
と即答した。
「やった!」とロッソは再び満面の笑みを浮かべて嬉しくて尻尾を振る。そして、狼煙とロッソの熱い夜が始まるのであった。
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「いやあ、ロッソの料理も美味しいのぅ!」
「でしょ〜!俺の手にかかれば狼煙の畑で採れた野菜もこんなに美味しくなっちゃうんだからね!」
時計の時刻は午後8時を指していた。狼煙とロッソは狼煙が所有する庵の室内で、今日の農作業で採れた、市場には出せない状態の新鮮な野菜を使い料理を行い、その料理を2人で食べていたのであった。
「うぃ〜、仕事終わりの一杯は良いもんじゃのう」
狼煙はロッソの手料理を食べながら日本酒を飲んでいた。そこにロッソが興味津々で質問する。
「狼煙ってお酒飲むんだ?」
「ああ!飲むぞ!しかしだな、酒は飲んでも呑まれるなという先人の教訓があってだな、わしは酔うまでは飲まんよ」
その台詞を聞いたロッソはこう返した。
「酒飲んだら酔わないでどうするの〜?」
ロッソはニヤニヤとしながら狼煙に少しだけちょっかいをかける。
「こら!まだ高校生で酒が飲めない年齢のお前さんには早すぎる話じゃ!未成年は緑茶とかジュースでも飲んどれ!」
狼煙も上機嫌に笑いながらロッソにそう返した。しかしロッソは更にここから畳み掛ける。
「狼煙ってもしかしてお酒弱いのかな?狼煙も俺も明日休みでしょ?なら酔うまで飲んじゃえ!」
普段の狼煙ならここでストップをかけていただろうが、この時狼煙は珍しくそのロッソの挑発に乗る事にした。
「わしは酒に弱くなんかないわい!むしろ強いんじゃ!それを証明してやる!」
狼煙はロッソの挑発に乗ってしまい、日本酒を追加で瓶ごと持ってきた後、更にガラス製の大きめのコップに日本酒を注ぐ。そしてそれを早めのペースで飲み干していき、あっという間に追加で彼が持ってきた一升瓶の日本酒も無くなってしまった。それから1時間後...
「身体がぽかぽかしてきたのぅ...」
「じゃあ狼煙、もう食事も終わったし寝よっか?ご馳走様だね」
ロッソは酔い潰れた狼煙を布団の敷いてある寝室まで誘導し移動させ、狼煙を布団の上で寝かせた。
「やった...!狼煙は酔い潰れてる。今がチャンスだね」
ロッソは布団の上に仰向けで横たわる狼煙を見て、自分の中に湧き上がるムラムラとした感情を感じた。狼煙が自身の挑発でまんまと酔い潰れてくれたのと、しばらくは狼煙が覚醒しない事を確認した後、ロッソはニヤリと笑い禁断の行動を取る。
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ロッソは静まり返った部屋の中で、ゆっくりと狼煙に近づいた。窓の外には満天の星空が広がり、夜風がゆるやかにカーテンを揺らしている。隣では、農作業で疲れた狼煙が穏やかな寝息を立てていた。
この家に泊まるのはこれが初めてではない。むしろ、時折訪れては、狼煙の作る素朴な料理を楽しみ、のんびりとした時間を過ごしてきた。しかし、今回は…どうしても抑えられない衝動があった。
ロッソはそっと体を起こし、隣に横たわる狼煙の足元に視線を落とす。裸足の足裏が、そこにある。
――昼間、畑で土を踏みしめ、汗をかきながら働いていた足。
――土と草の香り、そして狼煙自身の体温が染みついた足の裏。
「……。」
理性は「やめろ」と警鐘を鳴らす。
けれど、感情は「嗅ぎたい」と囁いていた。
ロッソはゆっくりと狼煙の足元へとにじり寄る。慎重に、慎重に。寝息が乱れないことを確認しながら、顔をそっと近づける。
鼻先が、ほんの数センチ先。
静かに、息を吸い込んだ。
ふわっ…
土の香りがまず鼻腔をくすぐる。畑の湿った土の素朴な匂い、日に照らされた草の青々しい香り。そこに、うっすらと汗の香りが混じる。**けれど、決して嫌な臭いではない。**むしろ、どこか落ち着く、心が安らぐような感覚すら覚えた。
「……ッ。」
思わず、ロッソは喉を鳴らした。
狼煙の足裏の香りは、まさしく彼そのものだった。温かくて、自然で、働き者の香り。
「……。」
もっと嗅ぎたくなって、ほんの少し顔を近づけた、その時だった。
「……んぅ……。」
狼煙の足が、もぞりと動く。
ロッソは心臓が跳ね上がるのを感じた。
「……むにゃ……。」
寝言のようなものを呟きながら、狼煙はまた静かに寝息を立て始める。どうやら起きてはいないらしい。ロッソは胸をなでおろし、そっと元の位置に戻る。
(危なかった……。)
けれど、名残惜しさが胸の奥に残る。狼煙の足の裏の香りを、もう一度嗅げる機会があるだろうか…。
そんなことを考えながら、ロッソは再び布団をかぶった。
布団を被った後もロッソは眠れず、さらにそっと狼煙の身体に自身の身を寄せ、今度は掛け布団を被らず熟睡している狼煙の体から漂う汗の匂いを吸い込む。力強い炎の戦士でありながら、農夫としての温もりも感じさせる香り。
「……ふふ。やっぱり、これが一番落ち着く」
ロッソは満ち足りた表情で布団に戻り、深く息を吐いた。安心感と憧れ、そして少しの秘密を胸に抱えながら、そのままぐっすりと眠りに落ちていった。
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翌朝。ケンホロウの鳴き声とともに、狼煙は目を覚ました。
畑に出る準備をしようと体を起こした時、ふと昨夜のことを思い出す。
寝入りばな、ほんのりとくすぐったい気配を感じたのだ。誰かが自分の足元に近づき、じっとしているような……。
気のせいかと思い、そのまま眠りに落ちたが、今思えばロッソしかいない。
「にしし……あやつめ、わしの足の裏の匂いでも嗅いでおったんじゃろうな」
狼煙は声を出さずに笑った。特に嫌悪感はなく、むしろ「らしい」と思っただけだった。農作業を終えた後の自分の匂いが、若者にとって安心や憧れに結びついているのなら、それも悪くはない。
朝食の席。まだ眠そうにしているロッソに、狼煙は味噌汁をよそいながら言った。
「お前さん、昨夜はよく眠れたか?」
「……う、うん!ぐっすりだった」
ロッソはどこかぎこちなく答える。
狼煙はその様子を見て、にししと笑い、何も追及はしなかった。
気づいているけれど言わない。ロッソの小さな秘密を、そっと守ることもまた年長者の役目だと知っているからだ。
「ならよかった。今日は昨日より畑も忙しいぞ。しっかり働いてもらうからな」
「おう、任せてよ!」
ロッソは元気よく返事をしたが、心臓はどきどきしていた。
昨夜のことに気づかれていないだろうか……? そんな不安を抱えつつも、狼煙の朗らかな笑みを見て、ロッソは少し安心するのだった。