デストロン3参謀 SS

  スタースクリーム

  サイバトロンとの戦争が続く中。俺達参謀はメガトロンに呼び出され、会議室にて我らの主人を待っていた。

  サウンドウェーブは俺達に背を向けコンピューターで戦況や物資を確認していて、レーザーウェーブは……いつも何を見てるのかよく知らんが、タブレットを弄っている。

  さっきまで戦闘を指揮していた俺には手持ちが無く、爪や時計の針を見て時間を潰していた。何度見返したか分からない、進まない針に思わず溜息が漏れる。

  「破壊大帝殿くらい高貴なご身分なら、デストロンの中でも二番目に偉い俺がいるこの会議に遅刻しても許されるってのかよ」

  「メガトロン様はお忙しいお方だ。口を慎め、スタースクリーム」

  この言動。他のメガトロン信者と変わらないのに、何故この単眼は参謀になれたのか不思議で仕方ない。舌打ちをしたが無視、つまらん野郎だ。

  「メガトロン様が着いた」

  サウンドウェーブがぽつりと呟き自席に戻った。それを合図に俺達は席から立つ。そしてすぐに、とっくに慣れた張り詰めた空気を、メガトロンが破る。

  「始めるぞ」

  少しも詫びないところが気に食わない。俺達は会議開始の“お決まりのやつ”を揃って唱えた。

  「オールヘイル・メガトロン」

  [newpage]

  サウンドウェーブ

  音波

  「メガトロン様はお元気か」

  地球・セイバートロン星でのお互いの四百万万年分の活動(我々はほぼ寝ていたが)を報告し、会議も終わりかけの頃。レーザーウェーブは誰の目を見るでも無くその言葉を放った。当然ながらスタースクリームは知らん顔でタブレットをつついている。回答権は俺に委ねられたらしい。

  「元気だ」

  「それなら良かった」

  レーザーウェーブは目を細めて言い、またタブレットに顔を戻した。

  地球の基地に帰る時間になった。コンドルを呼ぶ。しかし……戻ってくる様子も無ければ、返事も無い。信号は立っているので探しに行く。

  「あぁ、サウンドウェーブ。すまない、コンドルを借りていたよ」

  すぐ隣の部屋に彼は居た。よく見るとコンピューターにテープの状態で入っていて、音声再生されている。

  「何を聴いていた」

  「私がコンドルに頼んでいたんだ。仲間の声を」

  フレンジーとスカイワープが喧嘩する声。ビルドロン達のふざけ合う声。メガトロン様の怒声とスタースクリームの謝罪。

  「四百万年も私だけで統治していたからな。少しは仲間が居た頃を懐かしみたくもなる」

  レーザーウェーブは窓の外を見つめる。

  「……そうか。コンドル、リターン」

  「もう地球に帰る時間だったか」

  「そうだ」

  彼は俺の胸に手をつき、コンドルに話し掛けた。

  「また録音しておいてくれ」

  「期待しておけ、と言っている」

  彼は少し笑って、間もなく俺に別れを告げた。

  「期待しておけ」なんて俺らしくない言葉だ。しかし今の彼にとって少しは励みになっただろう。

  基地に戻ると、先に着いていたスタースクリームが何か失敗したのかメガトロンに怒られて、いつも通りの情けない謝罪をしていた。……これだ。俺はレーザーウェーブの期待に応える為、録音ボタンを押しておいた。

  [newpage]

  レーザーウェーブ

  突然の雨だった。

  私とスタースクリームは、ある地域の視察に来ていた。そこはセイバートロン星有数のスラム街であり、次にメガトロン様が占領したいと仰っている場所の1つだった。

  しかし少し歩いた所で、雨。当たると錆びてしまう我々トランスフォーマーにとって、雨は大敵だ。自分の力を過信しているスタースクリームもそれは変わらない。軒下のベンチ、彼は脚を組んでずっと爪を見つめていた。

  ひとつ、溜息。スタースクリームは息を吐く。「つまらん」と一言だけ呟き、反対に脚を組み変える。屋根から雫が足に落ちると不機嫌そうに手で払っていた。

  はじめて彼が表情を面白そうにしたのは、外で走るトランスフォーマーを見た時だった。急いでいるのか、程よい屋根が見つからないのか。それが他のトランスフォーマー達にとってはとても滑稽に見える姿だったらしい。

  「錆びて動けなくなるのによ。馬鹿だな」

  「同意見だ」

  我々金属生命体は水分に弱い。稀に降る雨でも舐めてはいけない。関節が錆びて動けなくなくなり、やがて苦痛を叫ぶための部品までが錆びて死に至る。

  「あいつはすぐ死ぬだろうな」

  死。ただの命、有限の命。今は戦時中だ、命の価値は今までの歴史よりもずっと軽いだろう。

  「大事なのは命じゃない。デストロンへの服従心だ」

  スタースクリームが話す。この地域は占領予定であるエネルゴン貯蔵庫への道に通じている事もあり、メガトロン様からの命令で支援をしている場所だった。しかし、実際この地域の所々に落ちているのはデストロンの旗。風で飛ばされた等では無く、故意に落とされている。さっきの通行人もサイバトロンのエンブレムを付けていた。これではこの地域だけ特別扱いしてきた意味が無い。

  「この雨が止んだら本部に報告だ」

  「猶予はこの雨が止むまで、か。待たせるよな」

  スタースクリームは大きな欠伸をし、退屈そうに伸びをした。1時間後、再び彼はこの地域にオルトモードで訪れ、シーカーズを主導して爆撃を開始する。私はまっさらの土地をすぐ進軍できる様に作戦を立て、どれだけの兵力や物資が必要かを見るだろう。それまでは少し退屈だが、束の間の休憩だ。