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黒豹執事がお怒りです

  「…おや、随分遅かったですね。」

  全身に擦過傷。普段身に着けている上質な服はすべて剥ぎ取られほぼ全裸の状態。

  首輪に鎖。毛並みを濡らし、寝かせるほどに張り付いた精液。口を開けば雄の臭いが立ち込める。

  拡がった雄穴から溢れ出す精液が太腿を濡らす。

  そのような状況でありながら、狼はしかしいつもと同じ余裕のある口調で目の前の影に話しかけた。

  薄暗い牢屋。消えかけた松明がぱちぱちと爆ぜると影―深紅に汚れた黒豹を映し出す。

  黒豹は憤怒に目を煌々と光らせ肩で息をしながら深々と頭を下げる。

  「大変お待たせいたしました、ご主人様。」

  「貴方にしては随分時間がかかったのでは?もう少し早く来ていただいても良かったのですよ。」

  「申し訳ございません。…我を忘れてしまっていたようです。」

  そう言うと黒豹は牢に手をかける。ひんやりとした感触の鉄。

  …めきりめきり、と力を込める。腕の筋肉を隆起させると黒豹はその鉄を一気にひしゃげさせた。

  ふむ、と狼は感心したように頷き、ゆっくりと立ち上がる。

  「流石。まぁ遅かった分、私は愉しませてもらいましたよ。久しぶりの奴隷扱い。もう少し派手に犯してくれても良かったのですが。」

  狼の言葉に黒豹は何も言わず、牢屋の中に踏み入る。

  狼に近付くと首輪に指をかけ、引き千切った。ぶぢんっ、と凄まじい轟音。

  解放された狼はこきこき、と首を鳴らしながら一歩踏み出す。

  [newpage]

  「ここまで手荒いお迎えをされたのは久しぶりです。ご気分はどうですか?さぞ嬉しいでしょうねぇ。」

  全身を縄で縛られ、周囲を屈強な雄に囲まれながらそれでも狼はひょうひょうと目の前のでっぷりと太った商人風の雄に話しかける。

  「そりゃあもう嬉しいなぁ。これからあんたを、あんたの執事たちも、商品も。全部俺のモノにするんだからな。」

  「それは良かった。まぁ貴方のモノになるかは私、そして貴方次第ですが。恐らく無理でしょう。貴方の命がいくつあっても対価にあたりません。」

  狼の言葉に商人は手をすっと上げた。

  狼の周囲の雄。その一人が狼の目の前に立つとその腕を狼の腹に勢いよくのめり込ませた。

  「がぐっ…っはぁっ…!」

  腹部の衝撃に狼は目を見開き、苦悶の声を上げゲホゲホと咳込む。

  吐瀉物。それに僅かに血が混ざった液体が地面に落ちていく。商人は歪で下品な笑みを浮かべた。

  「あまり減らず口は叩かん方がいいぞ。別にあんたを殺しちまってもいいんだ。後でゆっくり品定めさせてもらうからな。」

  「げほっ、げほっ…だから貴方には無理だ、と言っているのですよ。殺せるときに殺す。それをしないのが貴方の温い所…ッグァッ!」

  ごつっ、と鈍い音が狼の頭蓋から響き渡る。腹だけでなく、今度は頭に拳。

  ぐわんぐわんと頭が廻る。

  「黙れ。俺に散ッ々恥かかせやがって…!」

  「二流、三流の商人が用意した奴隷の品定めをしただけでしょう。私なら彼らの資質を引き出せガハァッ!」

  顔を真っ赤にしながら声を荒げる商人に対し狼はただ淡々と言葉を繋げる。

  それが商人の怒りに火を注ぐ。がごん、がごん、と数度腕や肩を殴り飛ばされ…狼はばたん、と地面に倒れ込んだ。

  「…やれ。好きに使っていいぞ。クスリもいい。廃人にならん程度にな。」

  商人の合図と共に狼は雄によって持ち上げられると、商人の部屋から運び出される。

  狼は口の端から血を零し、しかしにやりと笑った。

  「今ここで私を殺さない事。あぁ、いや、違いましたね。私と出逢ってしまった事。貴方は絶対に後悔しますよ。あぁ、その時の貴方の顔…愉しみにしていますよ。」

  扉をくぐり…狼の姿が見えなくなると商人は冷や汗をかきながら、だが邪な笑みを浮かべる。

  [newpage]

  「お…っと。」

  一歩踏み出した狼だったがその足元がぐらり、と揺れ狼は前のめりに倒れていく。

  黒豹はそれを見逃すことなく肉体で受け止めた。

  びちゃり、と液体の音。生暖かい、鉄の香り。そして豊満で屈強な肉が狼を迎え入れる。

  「おやおや、すみません。思っていたより消耗していたみたいですね。しばらくこのままでいいですか?」

  「…いえ。」

  黒豹は狼の問いに首を横に振ると狼の体を持ち上げた。

  ギラギラとした瞳。そこには怒り。そして雄の欲望と嫉妬が入り交ざる。

  「これ以上、我慢できません。…私に使わせろ。」

  狼の顎を掴み、黒豹は上を向かせるとそのまま狼の口に自らの口を宛がった。

  「んっ…ぶふぅっ…」

  交わされる舌。粘膜。血の味。雄の味。狼は拒絶することなくその舌を受け入れ、絡ませる。

  ぐちゅ、ぐちゅとわざと大きな音を立てながら互いを貪る。

  唾液が滴り落ち狼の腹を濡らした。はぁ、はぁ、と互いの呼気が荒くなったところで唇を離す。

  「戻るまでは我慢しようと思ったが…無理だ。」

  「執事…長…」

  「蛆虫どもの出した液体に塗れたままでいさせてたまるものか。汚らわしい。」

  黒豹の言葉に混ざる殺意と憎悪。そして独占欲と嗜虐の色に狼はぞくりぞくりと背筋を震わせた。

  耳が畳まれ、尻尾がゆらりゆらりと揺れる。

  「あぁ、執事長…貴方はやはり…んっ…」

  言葉を遮り、狼のマズルに黒豹は噛みつく。

  甘く、強く。牙の痕を刻み込む様に。数度噛み付き、黒豹はゆっくりと座り込むと狼を地面に寝かせた。

  「何度イった。」

  「ふふっ…何度、でしたかね。覚えていません。」

  「そうか。いい。これから気絶するまでイかせてやる。」

  そう言うと黒豹は狼へのしかかる。ずん、と全身を強く圧迫され、狼は嬉しそうに頬を吊り上げた。

  [newpage]

  「んぶぅぅっ!んぐっ、あぐぁっ!」

  狼の頭をがっしりと掴み、拡げた口に無理矢理逸物を挿入するのは二匹の雄。

  腰を乱雑に振り、快楽を貪る。既に何度か射精しているのだろう、唾液と精液にコーティングされた逸物がぬらりと妖しく光った。

  「おらっ、しっかり締めろや!早くイかせろ!後がつっかえてんだよ!」

  「はぶぅ!んぐっ、おぐぉっ…!」

  ズゴンズゴンと腰を振り、狼の雄穴を蹂躙するのは見た目からして粗雑な、筋肉質なヒトの雄。

  抽送を繰り返すたび雄穴と逸物の隙間から泡立った粘液が零れ、いくつもの横棒と縦線の引かれた太腿を濡らす。

  逸物に狼の尻尾を絡め、にちゅにちゅと扱く雄もいる。

  両手に逸物を掴まされ、びゅるびゅると背中に、全身に。精液を降りかけられ。

  「射精すぞっ!…ぉぉ”っ!」

  「んぶぅぅぅっ!!!」

  喉奥深くに逸物を突きこまれ、狼は射精される精液をごぐ、ごぐ、と飲み干していく。

  ごぐん、と残滓まで飲み込み…ぷはぁ、と息を吐くと。

  「…少々薄いですね。量もそこまでではない。商品価値はなっ…ぐぁっ!」

  値踏みするような、小馬鹿にしたような口調で嘲る狼に、雄は苛立ったように血管を額に浮かび上がらせ、力任せに狼を殴り上げる。

  「減らず口をッ…!いいぜ、そう言う生意気な所ッ!お望みならもっとチンポぶち込んでやるッ!」

  殴り上げられ、体の反射だろう、雄穴がより一層強く締まった。

  「うぉ”っ、ぉぉ”っ!!」

  びゅぐっ、びゅるるっ、びゅぅぅっ!

  狼の雄穴を犯していた雄も絶頂に達し、満足そうに息を吐く。

  にゅぽん、と僅かに萎えた逸物を抜き取り、縦線を追加する。

  ごぼ、ごぼ、と精液が零れだし…しかしすぐさま塞ぐよう、別の雄が逸物を捻じ込んだ。

  「ぐっ…ぁ”っ…ぉ”ぉ”っ…いいですねっ、少しっ、ですがっ…ぁ”っ…」

  愉悦の色を混ぜ。狼は嗤う。確かに、嗤う。

  無理矢理される行為に、交尾に。狼は興じる。

  両手で扱き上げる手つきは繊細で、下手な男娼の手付きよりも、いや、下手をすれば雄穴よりも細やかに性感帯をなぞり上げる。

  「うぉ”っ?!ぉ”ぉ”っ!」

  「おいおい、もう手コキだけでもうイったのかよ。早過ぎんだろ。」

  雄穴へ逸物の抽送を繰り返しながら雄の一人が狼の手によって絶頂へ達した雄を嘲笑う。

  びちゃびちゃと背中に精液を浴び、狼は僅かに上ずらせた声を上げる。

  「んっ…あぁ、いいですね、今の精液は…ふふっ、滾ってしまいますよ。」

  「何くっちゃべってんだ!口もちゃんと使えよ!」

  恥垢と汗と雄の臭いが入り混じった逸物でマズルをはたかれ。

  狼はだが大きく口を開き、その逸物を咥え込む。唾液と精液が混ざっているおかげか、潤滑が尚更よくなっていく。

  逸物を捻じ込んだ雄は咥え込まれただけで、腰を震わせた。

  じゅるじゅると吸いながら視線を上げる。ぐぱ、と口を開くと酷く精液の臭い。

  「フフッ、もう少し耐えて下さいね。他の雄に比べて大きな逸物。たっぷり射精してください?」

  頬擦りし、口づけを裏筋に落として…もう一度咥え込む。

  狼への陵辱。彼らは、狼は。宴に耽る。

  [newpage]

  狼の尻を撫で回し、唇を貪る。狼は全身の力を抜くと全てを委ねるように黒豹へゆるりと抱き着いた。

  尻を撫で回し、雄穴へ指を挿入する。多数の雄に犯されたであろう雄穴は容易に黒豹の指を受け入れなお余裕があるようだ。

  もう一本指を挿入し、ぐぱと拡げると…ごぼり、と大量の精液が溢れ出した。

  唇を離すと黒豹は不機嫌そうに鼻の頭へしわを寄せ牙をかちりかちりと数度鳴らす。

  「執事長…ぁ”っ…」

  「黙れ。」

  有無を言わさず、黒豹は狼の雄穴へ挿入した指をぐりぐりと捻り、腸内に射精されていた精液を掻きだし始めた。

  狼の体がびくっ、びくっ、と黒豹の指の動きに合わせ跳ねる。その量は筆舌し難く。掻きだせども掻きだせども終わりが見えない。

  「私の主人を、私の雌犬を、よくぞここまで乱雑に扱ってくれたものだ。」

  「ぁ”っ、んぁ”っ…!しつじっ…んぶっ…!」

  空いた手を狼のマズルに近付け、指をねじ入れる。

  「黙れと言っただろう。蛆虫共に犯されて脳まで融けたか?」

  嫉妬と欲望と。それらに塗れた黒豹の言葉に狼はそれ以上の言葉は紡がない。

  ただ頬を吊り上げ、ねじ入れられた指をしゃぶり、耳を動かす。

  押し付けられた尻尾が僅かに揺れ、黒豹の怒張した逸物へ近付いていく。

  まだ精液が残っているようにも思える狼の雄穴から指を引き抜き…黒豹は腰をずらした。

  「分かるか?」

  「ぶはっ…はぁっ…はぁぁぁっ…♥」

  狼はただ、一心に黒豹の股間を見つめ、熱い吐息を漏らす。

  そこに普段見せているような余裕などは欠片も無く…

  「さぁ、始めようか。私の雌犬。」

  「ぁ”ぁ”っ…♥」

  黒豹は欲望のまま。自らの思うまま。狼の雄穴へ逸物を宛がうと…一気に挿入する。

  「ぁ”ぁ”はぁ”ぁ”っ♥」

  挿入される圧倒的な密度を持つ肉の塊。それに狼は大きく口を開けると嬌声を漏らした。

  目尻が下がり、逸物からびゅるびゅると断続的に先走りが漏れ、黒豹の腹を濡らす。

  緩んでいた狼の雄穴が、黒豹の逸物を咥え込もうと必死に締まる。腸壁が蠢き亀頭を、竿を撫で回し吸い上げる。

  その感触に黒豹はふぅぅっ、と深く息を漏らし、腰を震わせた。

  「あ”ぁ”っ…ぁ”っ…んぁ”っ…♥」

  身悶えし、黒豹の背中に腕を回し、肩に軽く噛み付く。

  「気持ちいいか?気持ちいいよな。今からたっぷり注いでやる。お前の孔を、腹を一杯にしてやる。嬉しいか?嬉しいよな。」

  狼の蕩け始める表情に、黒豹は凄絶な笑みを浮かべ、狼の口に指を突き入れ、口角を無理矢理上げる。

  そんな事せずとも。黒豹の言う通り、狼は快楽に、支配される愉悦に、酔いしれているというのに。表情すら支配したがる。

  黒豹の劣情に感情は昂るばかりだ。狼はこくりこくりと頷き、黒豹の指に舌を這わせた。

  「はひぃっ…♥いっひゃい、いっひゃいにひへぇっ…あ”はぁ”っ♥」

  ずごっ、ずごんっ、と肉同士がぶつかり合う音が牢に響き渡る。

  体を激しく押し付けたまま。腰だけを浮かせ、叩きつける。狼の宙に浮いた足がびくっ、びくんっ、と痙攣を繰り返す。

  全身を肉と地面に挟み込まれ、押し付けられ。プレス機にかけられたようで。苦しいはずだろうに。

  狼はだが、上ずった嬌声を上げる。

  「ぁ”っ、ぉ”っ、ォ”ォ”ォ”ォ”ンッ♥」

  口腔内の粘膜を指先でこそがれ。黒豹はそれでも足りないと狼の頭にマズルを近付ける。

  耳に舌を突き入れ、聴覚を奪う。にちゃにちゃと粘液質な音が脳に直接響き渡り、思考が緩んでいく。

  「くっ…ククッ…!あぁ、いいぞ…俺の雌犬ッ…!もっとだ、もっとイけ…!」

  黒豹の言葉に、狼は何度も壊れた人形のように首を縦に振る。

  抱き寄せる力を強め、宙に浮かせた脚を黒豹の腰に絡める。

  黒豹の肩に甘く噛みつき、くぐもった嬌声を上げる。その声を聞き取れるのは、黒豹だけ。

  血液を通して、狼の嬌声が脳に響いてくるようだ。心の奥底から。腹の底から。腰の奥深くから。

  悦びが満ちていく。黒豹は狼の耳を舐りながら、口腔内を陵辱しながら。

  腰を動かし、胸や腹を押し付ける。

  二人の―いや、二匹のケダモノの嬌声と唸り声がマリアージュする。蕩けてしまいそうなほど、甘く。

  脳をパンクさせるほど激しく。快楽のままに。衝動に身を委ね。

  「グゥゥゥゥッ…!ゥゥゥッ!!!!」

  やがて黒豹の様子が切羽詰まった物へと変わっていく。腰の動きが緩慢に、しかし大きくなり。狼の前立腺を的確に抉る。

  逸物がパンパンに張り詰め、睾丸がせり上がり狼の尻を叩く。先走りが量を増し、狼の腸を洗い流していく。

  「ぁ”っ、ぁ”っ…はやくっ…そそいでっ…はぁ”ぁ”っ…んぁ”っ…はぁぁんぁぁっ…♥♥」

  狼はねだる様にか細く囁くと、雄穴を一層強く締め付けた。腸壁が蠢き、黒豹の逸物を一気に吸い上げる。

  それがトリガーとなり。黒豹は一気に腰を引き抜き、そして。

  「ぐぉっ…!!ォォォォッ!!!!」

  数度腰を叩きつけると。大きく吼える。逸物がびぐんっ、と大きく跳ねれば。

  …ぼびゅぅっ!びゅううっ、ぼびゅっ、ぼびゅぶぐりゅぅっ♥♥びゅぐびゅぐびゅるぅっ!ぼびゅぅぅっ♥♥

  「ぁ”っ…ぉ”っ…ォ”ォ”ォ”ンッ…あ”っ、ァ”ォ”ォ”ォ”ォ”ンッ♥♥」

  注ぎ込まれる種の熱さに。欲望の濃さに。狼も蕩けた声を。遠吠えを上げながら、全身をがくがくと激しく痙攣させた。

  彼を犯していた雄達がちっぽけな存在に思える程。圧倒的な雄の強さ。濃さに。狼は酔いしれる。

  精液を注ぎ込んでいる間も黒豹は無我夢中で狼を貪り。腰を振り。耳を舐る。

  狼の絶え間ない嬌声に酔いしれながら。腹を充たし。心を蹂躙していく。

  「…執事長。これは少々やり過ぎではないですか?」

  ぽっこりと膨れた下腹部を撫で回しながら狼は館の惨状に顔をしかめる。

  陽が落ちて昇って、また落ちて昇って。それを恐らく数度迎えた頃。黒豹と狼はようやく交尾を止めたのだ。

  狼の言葉に黒豹は神妙な面持ちで頭を下げる。

  そこら中に転がる肉片は既に腐りかけているのか酷い臭いを発している。

  壁に飛び散りこびりついた紅黒い液体は渇き、まるで壁画の様だ。

  「頭に血が昇ってしまい…申し訳ありません。どんな処罰も受ける所存でございます。」

  肉片を蹴り飛ばす狼に、黒豹はただただ頭を下げ続ける。

  ふぅ、とため息を吐き、狼は館の中を進む。

  恐らくここに居た雄、全て。黒豹がその手で屠ったのだろう。それであれば救出の際に血塗れであったことの説明が付く。

  狼の向かう先。そこはひときわ大きな部屋だ。この様子だ。見ずとも分かるが念のために確認をしておく。

  がちゃりとドアを開ける。

  壁。窓。床。天井。そこいら中に散らばる紅黒い華。真ん中に転がる肉片はそれが元々生き物であったことが判別不可能なほど細かく裁断されており。

  「まぁ、そうですね。残念。執事長、最期はどんな声を上げていましたか?」

  「醜い、豚以下の奇声でした。」

  「それは是非聞きたかったものです。」

  軽い会話の後、狼は肉片を踏みつけ。

  窓を開いた。

  鉄の臭いがこびりついた部屋に爽やかな風が入り込む。

  「さぁ、帰りましょう。仕事が溜まっていることですし。」

  「ご主人様、私は…」

  「ふふ、たまにはいいでしょう。今回はお咎めなし、という事で。…私も久しぶりに燃え上がってしまいましたから。」

  愛おしそうに、腹を撫でながら。妖艶に。余裕に。微笑み。

  「これからもしっかり、頼みますよ、執事長。」

  「…はっ…」

  深々と下げる頭。頬に張り付く笑み。

  彼らの日々は、まだ。まだ、続いていく。

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