目覚めた獣はツガイを求める

  いつもの夢。

  僕は青い毛の大きな化け物になって、人間を貪るように食べている。それがとても心地よくて、滴る血や肉が腹に下るのが快感で仕方なった。ひとり喰い終わると僕は山を駆け抜け、満月がよく見える崖の上で胸いっぱい空気を吸い込んで吠えるんだ。月に照らされると僕の身体は力がみなぎって、満たされていく。そして最後、沸き上がる力を遠吠えとともに一気に解放すると、僕は…

  「ん…あっ!?」

  僕は慌てて布団をめくると、僕のズボンは夢精でぐしょぐしょになっていた。

  「まただ…」

  いままでも何度か夢精したことがあった。それも決まって僕が化け物になる夢を見たときだった。

  僕はベットの脇に置いてあるティッシュを使って精液をふき取った。

  「ぐしょぐしょだ…くさい…」

  精液のついたティッシュを嗅ぐと濃いにおいがした。不思議とそれを嗅ぐと気持ちが昂るような感じがした。

  「ふぅ…って何してるんだろ、僕。はぁ…」

  ここ毎晩、僕は夢精をしている。それはどう考えても異常なことだった。

  以前、友達にやんわりと夢精の頻度について聞いてみたことがあった。そしたら、みんなしたことがないか、あっても数回ぐらいらしい。ところが僕は、幼いころから夢精を繰り返していた。それでも、月に1,2度程度であったが、ここ最近毎日のように夢精してる。そして夢精する日は決まってあの夢をみるんだ。

  「病院行った方がいいのかな…」

  僕はベットから起き上がると、家族にばれないように洗面所に向かった。

  僕はぐしょぐしょになったパンツを脱ぐと手洗いした。家族に夢精がばれるのが嫌だったからだ。

  「うわ、今日は上半身も汚れちゃってる…着替えるしかないか」

  僕は渋々、裸になると服を手洗いした。

  洗面所には、大きな鏡があり嫌でも目に映る。

  最近、その鏡を見るのが嫌になっていた。

  「また…毛深くなってる…」

  ここ最近、僕の身体はどんどん毛深くなっているのだ。

  背中を見ると、産毛のような毛が背中にもっさりと生えてきていた。

  今度は正面を見る、お腹や胸からも背中と同じような産毛が生えていた。しかも、ところどころ濃い色も混ざっている。

  「うう、なんで…」

  僕は親が使っているシェーバーで手で届く範囲の毛を剃った。

  これも毎日の日課になりつつある。

  除毛をしているとあることに気づいた。剃られた毛の中に青っぽい毛が混ざっていたのだ。

  「なんだこの毛。色がついてる」

  僕は慌てて体の隅々を確認する、しかしどこにもそんな色をした毛は生えていない。僕は安心して胸をなでおろした。

  「人間にこんな毛が生えるわけないよね。」

  僕は剃った毛を片付けた。

  プルルプルル

  携帯が鳴った。友達のケイタからだ。

  「もしもし、」

  「もしもし、ユウスケ?今日の約束覚えてる?」

  「約束?あっ!」

  「やっぱりな。最近ぼーっとしてるから、もしかしてと思って電話したけど、ほんとに忘れてるとはな」

  「ごめんごめん、今すぐいくよ~」

  約束というのは今日発売のカードゲーム懺悔王の新弾を一緒に買いに行くことだ。すぐに売り切れるから朝から並ぼうと僕から約束していたのに忘れてしまっていた。

  僕は寝ぐせも直さないまま、慌てて服を着替えるとお店に走っていった。

  到着すると行列にいるケイタが手を振ってくれた。

  「なに忘れてんだよ~」

  「ごめん、遅れてハア…ハア…」

  「ユウスケ汗すごすぎ、」

  「ハア…久々に走ったよ…インドアにはきつい…」

  「ユウスケは家で引きこもって贅肉育ててるだけだもんな~」

  「そんなこといわないでよ~」

  ケイタは笑いながら俺に紙を渡した。

  「ほらよ、お前の分の整理券。並んだんだぞ~今日は昼めしおごれよな」

  「えーおごるの~…でもありがと…」

  僕がお礼を言うとケイタは少し照れくさそうにしていた。

  ケイタと僕は昔からの親友だ。どんくさい僕は小学校の頃からよくいじめられていた。そんな時、助けてくれていたのはケイタだった。ケイタはないつも僕に優しくしてくれる。ケイタのことは本当に尊敬しているし、いつかケイタみたいな強くて優しい人になりたいと思ってる。

  「買えて良かったな」

  「うん、ケイタのおかげだよ。ありがとう!」

  「んん、うん…いいってことよ!」

  2人で路地裏を歩いていると、

  正面から柄の悪い男が数人こっちに歩いてきた。

  (うわー怖いなぁ…絡まれたくない)

  「おい、そこのオタクくーん」

  (げっ…)

  「それ今日発売の懺悔王じゃーん。ちょっとみせてよ」

  「いや、急いでるんでちょっと」

  僕はその場から逃げようとするが、もう一人の男に肩を組まれた。ケイタも他のやつに絡まている。

  「俺らさーそれ買えなかったんだよね~、オタクくんちょっとみせてよ」

  「い、いや…」

  「なんだよケチだな~まあ勝手に見るんだけどさ」

  男はそういうと僕の袋を奪うとカードの入った箱を開け始めた。

  「ちょ、やめてよ」

  「お、これレアカードじゃーん、もーらい」

  「返してください…警察呼びますよ」

  「あぁ?うるせえなデブが」

  男は突然血相を変えて僕のお腹を蹴った。

  ボコッと音がして僕が倒れるとケイタは怒りに満ちた表情で男に飛びかかった。

  「おい、何やってんだよ!」

  ケイタは男に向かって大きく振りかぶった拳をぶつける。

  「ぐはぁっ!?」

  「ケイタ!!」

  「いってーな、ぶっころしてやるよ!」

  ケイタと男たちは殴り合いに発展してしまった。

  しかし、数的不利のケイタが勝てるわけもなく抵抗したケイタはリンチにされてしまった。

  「やめて!やめて!!」

  僕は怖くて動くことができなかった。殴られるケイタを前に抵抗することも助けを呼ぶこともできなかった。

  僕は自らの無力さを呪った。

  しばらくして男たちは満足したのか、ケイタは解放された。僕は急いでケイタに駆け寄る。全身痣まみれになったケイタは力なくうなだれていた。

  「ごめん、ごめん、僕のせいだ…僕が今日買い物に行こうっていったから…僕が無力でなにもできなかったから…ケイタが…」

  「ユウスケ…」

  「ケイタ、いま救急車を呼ぶから」

  「ユウスケ…怪我はないよな…」

  「僕は大丈夫、ケイタが庇ってくれたから…そんなことよりケイタの方が…」

  「よかった、ユウスケが無事で…」

  ケイタはそういうとガクッと脱力してしまった。

  「ケイタ!ケイタ!」

  それからしばらくしてケイタは救急車に運ばれていった。

  ケイタを見送ると僕はひとりで泣いた。

  ケイタをあんな風にしたのは僕だ。いつもそうだ。僕は守られてばっかりだ。

  「ごめん、ごめん、ごめん」

  「僕がもっと強ければ、あいつらを圧倒する力があれば」

  「強くなりたい…今度は僕がケイタを守るんだ…!」

  僕は涙を拭いて空を見上げた。するとそこには少し欠けた月が輝いていた。

  月の光を見ていると、なんだか力が湧いてくるようだった。すると思わず僕は…

  「あ…アウオオオオオオオオオン!!んん!?」

  僕は自分がしたことに驚いて慌てて口を両手でふさいだ。

  あまりにも自然に遠吠えをしてしまったことに驚いてしまった。

  「な、なんだ…僕はなにをしてるんだ…」

  周りの人が僕の遠吠えを聞いて驚いていた。

  「ご、ごめんなさい!」

  僕は恥ずかしくなって走ってその場から逃げた。

  走りながら、自分の中で確かになにかが目覚めたように感じた。

  …

  その日の夜、僕はまたあの夢をみた。

  でもいままでと何かが違っていた。

  夢の中で僕はいつものように人間に襲い掛かった。

  その人間はケイタをリンチしたあいつらだった。

  そいつらの顔を見た瞬間、僕の身体は怒りに支配された。

  僕は自分の意思であいつらを八つ裂きにすると腸を嚙み千切った。その間、僕は圧倒的な快感と優越感を感じ絶頂していた。

  「僕は…俺は…オレ様が最強だ。オレ様に逆らうやつは食い殺してやる!アオオオオオオオン!!」

  快感とともに俺の身体の内側から力が漲り、俺の身体が筋肉が成長していくのを感じた。

  「グオオオ…グオオオ…」

  呼吸をする度に肺が膨らみ、心臓が全身に血液をグングンを送る。その度に全身に纏う筋肉が太くそして鉄のように固くなり全身が重たくなるのを感じた。それに従って手や足は支えるように太く強く、そして鋭利になっていった。

  「グアア!!ガオオオオ!」

  俺は漲る力の流れに耐えるように、四つん這いになると体を反らし口を開いた。

  すると、俺の口が裂けるように大きく開き、鋭い犬歯が元の歯の下から生え始めた。

  さらには、鼻先が顔の内側から突き破るようにまっすぐ伸びていった。

  「ガッ!アアアアア!!」

  暴走する身体を何とか抑え込みグッと堪えると、足と手を地面に突き立て肺いっぱいに空気を吸い込んだ。この姿勢で、これから何をするのか本能的にわかっていた。

  俺は下腹部に力を込めて、身体を反らせると己を示すように遠吠えを轟かせた。

  「アウオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!」

  弱かった過去の自分と決別するように遠吠えは鳴り響いた。遠吠えと同時に全身に力が漲り、俺の身体は最強の身体になっていく。

  溢れんばかりの力の流れは、俺の身体の末端に快感として伝わっていく。逃げ場のなくなった快感は、俺のチンポに流れ込み射精してしまう。しかし、力の流れは止まることなくむしろ流れを強めていく。

  「グオオオオオオオ!!!」

  吐精は途切れることなく壊れた蛇口のように吐き出し続けた。精液を吐き出す度、陰茎の皮が引っ張られるように前に前に伸び、包茎だったはずのチンポは赤黒い雄の象徴に変ってしまった。あまりの痛みと快感に俺は前足でチンポを抑えるが変化はおさまるどころかさらに強まっていく。チンポの根元にとてつもない圧を感じると、そのあたりからコブのようなものが膨らみ始めた。

  俺のチンポは犬のそれに完全に変態してしまった。大きさも大人の腕くらいまで成長した。その形状はどんな動物だろうが一撃で孕ませてしまいそうな凶器に見えた。

  チンポの変化が終えようとしたとき今後は尾てい骨の辺りに激痛が走った。俺はその痛みに従うように力むと尻尾がズルリと伸びた。その刺激とトリガーに全身が濃い青の獣毛に包まれていった。

  「アオオオオオオオオオン!!…」

  目を覚ますと僕はベットの上で立ち上がり大声で吠えていた。

  「あ、あれ、僕」

  身体を見ると人間の姿だった。それを見て大きくため息をついたが、それが安堵からなのか残念だったからなのか自分でもわからない。案の定ズボンを夢精はしていて汚れていた。僕はいつものように汚れた衣類を洗うために洗面所に向かう。

  夢の影響なのか、なんだか意識がボーっとして人間の身体はとても重たく感じた。

  「なんだ…この身体…弱っちいな…」

  ぶよぶよのお腹に筋肉のない腕、いつも通りのハズの自分の身体は居心地が悪く感じた。

  僕は服を脱ぐと鏡の前に立った。

  「な、なんだこれ!?」

  鏡をみて思わず声を荒げてしまった。僕の胸とお腹に毛が生えていたのだ。それも青い毛。

  恐る恐る片手でそれをつまむと引っ張ってみる確かに僕の肌から生えているようだ。

  「まさか!」

  背中を鏡に向けると、そこにはびっしりと青い毛が生えていた。

  パンツを下ろしお尻も見るがそこにも青い毛が生えていた。

  よく見るとモミアゲや、手の甲にも青い毛が混ざっていた。

  「夢じゃなかった…ど、どどうしよう」

  プルルプルル

  携帯がなった。

  「もしもし…」

  「ユウスケ…?」

  「ケイタ…その、ケガは大丈夫?」

  「おう、明日の検査結果によっては明日の夜で退院していいって」

  「そうなんだ…あした迎えに行くよ」

  「ありがとよ。それよりどうしたんだ?なんかあったのか?」

  「え!?なんにも~?」

  「なんか元気なさそうな声だったからさ。なにかあったら相談しろよ?」

  「うん…」

  (この毛のことを相談してケイタは信じてくれるのだろうか)

  「それとさ。昨日のこと、ごめんな。俺弱いから…ユウスケのこと守れなかった」

  マイク越しにケイタのすすり泣く声が聞こえる。

  「ち、ちがう!ケイタは悪くない!悪いのは僕なんだ!僕が弱くていつもケイタを頼っていたから…」

  「ちがう…俺がユウスケを…。ユウスケを守れなかった俺が悪いんだ…」

  「ううん、今度は僕が…俺がケイタを守る。」

  「…なんだよ急に俺なんて、、でも、ちょっとかっこいいよ」

  「な、なんだよそれ」

  「そうだな、まずユウスケは筋トレからかな。そのダルダルの身体を引き締めないと…」

  「うん。トレーニングして強くなって、今度あいつらに会ったら馬乗りになってぶん殴って、それから噛みついてやるんだ。」

  「へー、いいね!」

  「それで首を噛み千切って、息の根を止めたら腸から喰ってやる。俺は最強なんだ。オレ様をコケにしたあの人間共は絶対に許さない…」

  「ユウスケ…?」

  「ん?」

  「い、いやなんでもない…今日はもう切るよ。明日の20時に病院で待ってるから。」

  ケイタは少し驚いたような口調でそういうと電話を切った。

  「ケイタ明日退院か、早く退院できてよかった」

  その日の晩、僕はお風呂場で体に生えた青い毛を剃っていた。

  いつのまにか青い毛は全身いたるところに生えていて全部剃るのは不可能だった。

  「やっぱり明日ケイタに相談しようかな…」

  夢のこと、青い毛のこと、一人で抱えているのは正直つらかった。でも誰かに知られるのはもっと怖かった。でもケイタならこんな自分を受け入れてくれるはず。

  「ケイタ…ケイタ…ケイタに本当のオレ様をみせつけるんだ…グルル…」

  その日の夜、僕は夢を見なかった。

  朝目が覚めるといつもの癖でズボンの中を触った。朝立ちはしているものの夢精はしていなかった。

  「あれ?」

  不思議と全身に力がみなぎるようで、気分がいい。身体が軽く感じる、一方で来ている服が少し窮屈に感じた。

  僕は起き上がると洗面所に向かった。そこに写っていたのは…

  「な、なんだこれ…」

  顔を見て絶望した。僕の顔は青い毛でさらに覆われていたからだ。極めつけはパツパツになった服だ。

  服の間からはふさふさした青い毛がはみ出ていた。僕は慌てて服を引き裂くように両手で引きちぎった。するとそこにはもじゃもじゃとした獣毛が胸から生えていた。まるで体毛の濃い外国人のようだった。

  僕は目に見える範囲だけでもと、シェーバーを使い毛を剃るが一剃りで毛が詰まってしまいなかなか捗らない。僕は手や顔の見える範囲だけを剃りあとは長袖のパーカーで隠した。

  ケイタとの約束の時間になった。

  僕はケイタの病院に向かった。その日は綺麗な満月が輝いていた。

  病院の前につくと松葉杖を持ったケイタが立っていた。

  「へへ、みっともないだろ」

  ケイタは全身に包帯やガーゼが巻かれていて痛々しい姿ぢった。僕は胸が引き裂かれるような気持ちになり、思わずうつ向いてしまった。

  「…そんな顔するなよ。そうだ、この前飯奢ってくれるって約束しただろ?いまからラーメンでも食べに行こうぜ!」

  「う、うん…そうだね…」

  ケイタはそう言うと僕の前を歩いた。松葉杖で歩きにくそうなケイタを見ていると自分の不甲斐なさに怒りが沸いてきた。

  「…ごめん」

  「…もう、いいって」

  ラーメン屋まであと少しのところで、正面から見覚えのある男たちが歩いてきた。

  「あいつらって…この前の」

  その男たちはまさしくケイタをリンチしたやつらだった。

  「くそ…ユウスケ逃げよう…」

  ケイタは悔しいな表情で来た道を戻ろうとした。

  「お、おいユウスケ…いくぞ…?」

  今思えばあの時から僕の耳にはケイタの声は届いていなかったのかもしれない。

  「…ろす」

  「え?」

  「殺シテヤル…」

  僕は目の奥が熱くなるのを感じた。

  そしてゆっくりと男たちのほうに近づいていった。

  「ユウスケ!おい!」

  男たちもケイタの声で気づいたようで、僕のほうを見ていた。

  「なんだ、お前」

  「…ない…」

  「聞こえねぇよ!なんなんだよ、文句でもあるのか」

  「おい、見ろよこいつこの間ボコしたオタクじゃね?」

  「あ、ほんとだ…なんだ?またリンチされに来たのか?」

  「許さない…」

  僕の顔を見て男たちは笑っている。

  「ハハッ、許さないって、もしかして俺らにケンカ売ってるの?」

  「喰い殺してやる…」

  「いーよ、またリンチしてあげるよ」

  そう言うとひとりが僕の顔に向かって腕を振りかぶった。

  「ユウスケ!!」

  ボカッと僕の顔から音がなった。拳は僕の顔の真ん中に綺麗に入った。しかし、痛みを感じなかった。それどころか、僕の内側からドンドンと怒りが沸き上がっていった。

  「な、なんだこいつ…動かねぇ…」

  「気絶してるんじゃないの~ハハ」

  僕の中で沸き上がる怒りは遂に我慢の限界を迎えた。

  「お前ら全員…喰ってやる!!アオオオオオオン!!」

  怒りを解き放つように遠吠えを轟かすと、僕の意識は完全に怒りに飲み込まれた。

  僕は勢いに任せてひとりに飛びかかった。そして馬乗りになると、両手で思いっきりそいつの頭に振り下ろした。

  「ぎゃあああああ」

  「な、なんだこいつ…」

  「ユウスケ…なのか?」

  ケイタが驚いた表情でこちらを見ている。ケイタが僕を見ていてくれる、それだけで気持ちが更に昂った。

  「ケイタ…ケイタ!見テテクレ!!強クナッタ俺ヲ!!アオオオオオオ!!!」

  今度は空に輝く満月に向かって吠える。そして、沸き上がる力に身を任せて男たちに襲いかかった。

  振りかぶった僕の右腕は、ミシミシと音を立てながら太く大きくなっていく。飛びかかろうと力を込めた下半身も筋肉が発達していく。

  「な、なんだこいつ!!」

  「身体が膨らんでる!」

  「グルルル…」

  身体が内側から成長するように僕の身体は膨らみ、あっという間に巨漢レスラーのような体格へと変わった。それでも変身は止まらない。沸き上がる力は変身と共に更に強まっていく。

  「グオオオオオオオオオオオオ!!!」

  男たちのほうを睨み付けると、怯えた様子で狼狽えていた。

  「や、やばい!逃げよう…」

  「ヒッ…ばけものだ…殺される!」

  すでに理性は無くなっていた。怯える男たちを見て最初に感じたのは食欲だった。

  俺は物色するように男たちを見る。筋肉質な男を見つけた。俺は舌なめずりをするとその男に飛びかかった。

  「くるなああ!!やめろおおおおおお」

  俺の腕の中で男は元気に動き回っている。

  俺はゆっくりと男を締め上げると柔らかそうな首筋を舐めた。

  「ヒッ…や…いやあああああああ」

  グチャ…

  滴る血を楽しむように俺は噛み付いた。血味を感じた瞬間、毛が逆立ち強烈な快感と優越感を感じた。

  「グルルル…」

  そしてゆっくりと男の首を噛みちぎった。弾力のある肉が喉を通り腹に下ると全身が痺れるような快感を感じた。

  食べれば食べるほど俺の身体はどんどん熱くなり汗が吹き出した。同時に快感で俺の下腹部へと血流が集まり始めた。いきり立ったそれは心臓が脈打つ毎に太く長く成長し気づけば大人の腕程まで伸びていた。

  「グオォ…アオオオオオオオオン!!!」

  絶頂するように放った雄叫びは俺のバケモノとしての最初の声だった。

  同時に俺の身体に再び変化が始まった。

  広がった胸や背中から青く美しい獣毛がブワッと覆い始めた。次は顔だ、鼻先や首からゴキッメキッと音がなると伸びるように変化した。歯がポロポロと抜けると下から鋭い歯が伸び始めた。

  歯が生え揃うと早速獲物にかぶり付いた。人間の歯とは違い、バケモノの牙は獲物の皮膚を簡単に突き破った。

  (ウマイ…ウマイ…モット…)

  グチャリクチャリと獲物を食べれば食べるほど、俺は興奮と優越感は更に昂っていった。いつのまにか生えていた尻尾は嬉しそうにユラユラと揺れながら更に長く伸びた。気づけば変身と肉を食べる感覚で、俺の肉棒からはゼリー状濃い精液がドピュッドピュと漏れていた。

  ひとしきり獲物から旨い部位だけを選別し食べると、その肉塊を捨てて次の獲物を求めた。男たちの内半分はすでに逃げてしまっていたが、腰を抜かしたのか数人がまだ近くに居た。

  俺は首を上にしてスンスンと空気を吸った。すると逃げている獲物のニオイがはっきりとわかった。

  これならすぐ見つかるだろう。

  「次ダ…」

  俺は近くにいた獲物を片手で掴むと頭からかぶり付いた。

  「グチャ…グチャ…グルルル…ウマイ…」

  その様子はまさに弱肉強食と言うのだろう。俺はたった今、食物連鎖の頂点に立ったのだ。

  「ユウスケなのか…」

  ケイタが震えた声で立っていた。

  「ケイタ…ドウダ…オレはコノ世デイチバン強イ生物にナッタ!!」

  俺はケイタに自らの身体を見せつける。広い胸に力を込めて強さをアピールした。

  「ち、ちがう…こんなの…ユウスケじゃない…」

  「コノ身体…サイコウダ!!見ろヨ、このチンポ」

  俺はコブのついた竿を掴んでケイタに見せつけた。しかしケイタは困惑しているようだった。

  「ケイタ…?」

  「ユウスケを…返せ!!」

  ケイタは俺に向かって松葉杖を投げた。

  「ケイタ…なんデ…」

  「ユウスケ…ユウスケはどこだ!!」

  「オレだよユウスケはオレダ!!」

  「ちがう!!ユウスケはお前みたいなバケモノじゃない!!」

  「ケイタ…オレ…ツヨクナッタ…」

  オレはケイタに近づこうとする。しかしケイタはそれを拒絶するように離れてしまった。

  「ちがう…ちがう!!俺の知ってるユウスケは…太っててどんくさくて…でも優しくて…かわいくて!!」

  「ケイタ?」

  「俺の大好きな人だったんだ…」

  ケイタは涙を流していた。だけどオレにはその意味がわからなかった。

  「…ケイタ…なんで泣いてる?」

  「…」

  「オレ、強くなった…」

  「そんなの…ちがう…ユウスケじゃない…」

  「ナ、ナンデ…アオオオオオオオオン…」

  オレは悲しくなって遠吠えをした。

  ケイタを守りたくて強くなったのに…

  ケイタをもう泣かせたくなかったのに…

  ケイタはどうして泣いてるんだ。

  ケイタ…ケイタ…ケイタ…ケイタ…

  「ソッカ…」

  「ユウスケ…?」

  「ワカッタヨ…」

  「オレガ、モット、強クナレバ、イインダ」

  「え……」

  「グオオオオオオオオオオオオオ…」

  オレはもっと強くなりたいと願った。その為には、弱い人間性なんて全部いらない。オレはオレの中に眠っていた獣の本能を呼び覚ませることにした。

  オレは身体にまとわりついていた破けた服を引きちぎると全身で満月の光を浴びた。そして、思いっきり雄叫びを上げた。

  「グオオオオオオオオオ!!」

  全身が震えるようなその響きはオレの身体を更なる覚醒に導いた。

  オレの身体は沸騰したように熱くなり、血液が全身に駆け巡るのを感じた。そして、オレの内側から獣の本能が沸き上がってきた。

  グギュルルルルルルル!!

  腹から大きな音がなると、急激な空腹を感じた。

  (アア…肉…ウマイ肉が食べたい…)

  抗いようのないその欲望にオレの身体は素直だった。

  すぐさま近くにいた男を掴むとお腹から噛みちぎった。

  「ぎゃあああああああ!!…」

  肉が腹を通ると全身が満たされた。

  (ウマイ…ウマイウマイ…キモチイイイ…ウマイ…)

  食事で気持ちが昂りチンポはギンギンになった。

  同時に俺の身体が脈打つように膨らみ、さらに大きくなっていった。

  (ウマイ…キモチイイ…キモチイイ…キモチイイ!!)

  「アオオオオオオオオン!!!!」

  ビュルルルルル!!

  遠吠えと共にオレのチンポから精液が勢いよく吐き出した。精液は火山の噴火のようき辺りに飛び散り、オレの美しい青い毛並みを白く汚した。

  (アア…サイコウだ…)

  「だめだ!…ユウスケ!正気に戻れ!ユウスケ!!」

  (人間ガ吠エテる…アレ…誰ダッタッケ?)

  (誰かワカラナイが…カワイイ…オレ様の「ツガイ」にシヨウ)

  「ユウスケ!ユウス…ケ?」

  オレが近づくと人間は怖いのか震えていた。

  「キサマハ…今日カラ、オレ様ノ「ツガイ」ダ!!」

  オレは人間を優しく掴むとそのままジャンプして満月がよく見えるビルの上に登った。

  「や、やめろ!!目を覚ませ!ユウスケ!!」

  ビルの屋上につくと、早速人間の服を引きちぎった。

  「なにをする気だ…まさか親友を…食べるきなのか…」

  オレは人間に顔を近づけてニオイを嗅いだ。なぜかそのニオイは昔から知っているような安心できるニオイだった。

  「グルルルル…」

  「よだれが…くそ…俺はユウスケに喰われて死ぬのか…へへ、それも悪くないか…」

  「グルルル…ジュルリ…」

  (アア…いいニオイダ…今スグ犯シタイ…!!)

  「ユウスケ…俺、男だけどお前のことが…んんん!?」

  オレは人間にキスをした。オレの長い舌を人間の口に入れると人間は暴れるのを辞めた。

  オレは人間の口内を啜るように舌を入れると、人間は気持ちよかったのかオレの舌を吸い始めた。

  「んん、はぁ…す、すごい…喰われたかと思った…」

  よく見ると人間の股関も大きくなっていた。

  オレは人間のそれに鼻を近づける。

  「そ、そんなとこ…や、やめ…はぁ…」

  この人間のニオイで頭の中いっぱいになるとオレの中で生殖本能が沸き上がってきた。

  (コノ人間ヲ、犯シタイ)

  「グルルルルル…」

  オレは我慢できず、人間にマウントすると、自らのチンポを人間の腰にあてがった。

  「ま、まさか!無理だ!ユウスケ!!だめだ!!無理だって!!やめろ!!死んじまう!!」

  「アオオオオオオオオン!!!」

  オレは人間の叫びなどお構い無しに一気に挿入した。

  「クゥン、グルルルルル」

  「ぐあああ!があっ…!」

  人間はとても苦しそうだった。

  人間の穴は狼男には小さく締まりすぎて竿はなかなか入らない。

  ズプズプ…

  (アアアアキモチイイイ!!モット!モットモットモット)

  オレは人間を押さえつけると腰を落として無理やり押し込んだ。するとゆっくりだがズブズブと竿が沈んでいった。

  「かぁっ…はっ…ぐあ…」

  「ガルルルルル…」

  ついにはチンポのコブの手前まで入った。しかし、コブがなかなか入らない。

  「ガルルルルル…!!」

  苛立ったオレは腰を引くと体重をかけて一気に人間を貫いた。

  グポンッ

  「ぐああああああああ!!!!」

  人間の叫び声と共にコブ付きのチンポは人間の中にすべて入った。人間の中はチンポが溶けそうなほど温かく気持ちがよかった。

  「アオオオオオオオオン!!!」

  オレは昂りに身を任せて、本能のまま人間を突いた。

  腰を引く度に人間のケツ穴は捲れ上がり、今度は奥に突くと人間のチンポは壊れたように潮を吹いていた。

  (キモチイイイ!!!キモチイイ!!イキソウダ!!)

  「グオオオオオオ!!イグゥ!!イグウウウ!!グオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

  オレは人間を背中から抱き締めると腰を打ち付け人間の一番深いところで果てた。

  ビュルルルルル…

  「グルルル…」

  しばらくオレのチンポはしゃくるように何度も人間に種を吐き出した。吐精中、俺のチンポには血流が集まりチンポのコブが膨らみ人間から抜けなくなってしまった。

  「…くぅ…うぉ…」

  人間は喘ぎ声の混じった唸り声を出し、最初は抜こうと抵抗していたが、抜けないと分かると力無くオレの種を受け入れていた。

  オレは人間の顔を舐めて綺麗にすると、人間は少し安心したのかオレの胸に顔を埋めた。

  「ユウスケ…」

  「…アォォォォォォン」

  ドクンッ

  突然、人間の胸の中で心臓が大きく鼓動した。

  「な、なんだ…これ…」

  人間は戸惑っているようだった。

  しかし、それはすぐに始まった。

  「身体が…熱い…なんだ…これ…何かが沸き上がって…」

  オレはそれが何か本能的にわかった。

  (ツガイになるんだ!嬉しい!!嬉しい!!)

  「アオオオオオオオオン!!アオオオオオオオオン!!」

  オレは嬉しくなって吐精中のチンポを無理やり引き抜いた。

  「ぐああ!!」

  「アオオオオオオオオン!!」

  オレは人間を抱き締めると、人間の首に噛み付いた。

  しかし、今度は噛みちぎらないように優しく噛んだ。

  「い、痛い!!」

  「グルルル…」

  オレは首噛んだまま、引き抜いたチンポを再び人間の中にゆっくりと挿入した。

  「あ、ああああ!!!!」

  (この人間はオレ様の物だ。誰にも渡さない…オレ様だけのツガイだ。オレ様意外じゃ満足出来なく出来なくなるまで注いでやるからな)

  「グルルルルル…!!」

  オレは再び人間に腰を振った。今度は人間のケツの形を自分専用に広げるようにゆっくりと、それでいて押し潰すように何度も挿入を繰り返した。

  「ああ!!当たる!!だめだ!出る!!漏れる!!」

  人間は触ってもないのに簡単に射精してしまった。そしてその射精と同時に人間の変化は始まった。

  「ぐ、ぐああああああああ!!!」

  まず始めに起きたのは身体の変化だった。人間の身体は今よりも一回り大きくなっていった。そして体重も徐々に重たくなっていく。

  「お、俺も…バケモノになってるのか…!?い、いやだ…キモチイイ…くそぉ…俺は!人間だ!人間なんだ!!あああキモチイイ!!キモチイイ!!モット!!モットぉ!!」

  その声で答えるようにオレは人間の首を更に強く噛む。

  すると人間のケツが更に締まりオレの射精を促した。

  「グオオオオオオ!!」

  「ぐあああ!!でてる!!俺のなかに…いっぱい…キモチイイ!!キモチイイ!!」

  メキッメキ

  人間の身体に黒い獣毛が生え始めた。更に顔は前に伸び始めマズルが形成され始めた。人間のお尻を触るとかわいらしい小さな尻尾がピョコッと生えてきていた。

  「ぐおおおおお!!!」

  オレは嬉しくなって更に激しく人間を犯した。人間の身体が狼に作り替えられているせいなのか、人間の穴の中は脈打っていてオレのチンポを搾るように動いている。

  腰を打ち付ける度に、人間から人間性が欠落していくのがわかった。

  「アオオオオオオオオン!!!」

  「あ、あアア…」

  「アオオオオオオオオオオオン!!!!」

  「あオ…」

  人間の口から遠吠え漏れそうになっている。もう少しでオレの物になる。最後のとどめを刺すように俺は深く深く腰を打ち付けた。

  「アオオオオオオオオオオオオオオン!!!」

  「ア、あぁ、アオオオオオオオオオオオオオオン!!!」

  「アオオオオオオオオン!!!」

  「アオオオオオオオオン!!!!」

  人間のしたその遠吠えは仲間入りの証だった、そしてツガイとして永遠に生きるという誓いの遠吠えだった。

  オレたちは遠吠えと共に果てた。

  「はぁ…はぁ…ユウ…スケ…」

  「グルルル…その声は…ケイタ…?」

  「やっと気づいたか…くそ…グルルル」

  「ケイタ!ケイタ!!」

  「は、はしゃぐな…動くとお前のコブが当たって…クゥン…」

  ケイタの竿からドプッと白いものが漏れた。

  「ふふ、ケイタかわいくなったね」

  オレはケイタの頭をポンポンと叩いた。まるで子犬みたいだ。実際は人間の頃より大きくなっているけど…

  「くぅ…お前がデカクなりすぎなんだ!!」

  「そ、それより…、、なんだ…その、ユウスケの…もっとくれないか…」

  ケイタは恥ずかしそうに顔を背けた。

  「くれって何を?」

  オレは意地悪くケイタに聞き返す。

  「知ってるくせに…腹が減って仕方がないんだ…ユウスケの…精子を喰わせてくれ…!ユウスケの精子で俺の中いっぱいにしてくれよ!!」

  「グルルル…ケイタ、さっきいっぱいあげたのにもう我慢できないの?」

  「あぁ…ユウスケぇ…俺が孕むまで犯してくれ…ユウスケの子供を孕ませてくれええ!!」

  ケイタは完全にメスの顔をしていた。

  「グルルル、わかった。オレ様が責任を持ってお前を孕ませてやるからな。だが、その前に腹ごしらえだ!交尾の前に栄養を取っておかないとバテちまうからな」

  「クゥン…わかった…言う通りにする」

  「じゃあさっきの連中、喰いに行くか」

  「グルルル…腹が減ってきた…はやく…肉が食べたい…」

  「よし、狩にイクゾ!!アオオオオオオオオオオン!!」

  「アオオオオオオオオオオオン!!」

  オレたちは満月に向かって遠吠えをした。

  オレたちの新しい人生の始まりだ。

  翌朝…

  オレたちは町外れのゴミ置場に人間の姿で寝ていた。

  どうやら狼でいられるのは夜だけのようだ。

  「ふぅ…裸でどうやって帰ろう…」

  「うーん、夜までここで待つ?」

  「えー暇じゃん」

  「じゃあ夜までこの姿で…」

  「へへ、いいよ」

  オレたちはキスをした。ほんのり生肉の香りがしたけど、まぁいっか。