ふたりのケモノは人間社会で生きていけるのか

  学校に着くと違和感を感じた。

  いつもの学校のニオイに混ざって動物のニオイ、それも雄の発情臭がしたからだ。それが野生動物のものか、それとも僕と同族のものかはわからないが、この学校の中にそのニオイのもとがいることは確かだった。

  『…同族がいるかもしれない…』

  キューが緊張した様子でそう呟く。

  「で、でもこの前も近所のワンちゃんからもこういうニオイしたし、学校の中に動物が紛れ込んでるだけかも」

  『こんなに濃いニオイ、今までなかっただろう?それに…』

  「それに…?」

  『このニオイ知っているような気がする…いつも近くで嗅いでいたような…』

  「もしかして、僕のフェロモンを嗅いでここにたどり着いたのかな…」

  『そうだろうな…私たちも相当クサイからな』

  クサイってキューに言われるのは腹が立つ。好きでこんなニオイを振り撒いている訳ではないし…。

  「もし、同族に出会ったら、どうしたらいい?」

  『…友好的なら情報交換だな、もしかしたら私の居た『研究所』のことを知っているかもしれない。』

  「友好的じゃなかったら…どうするの?」

  『…』

  キューは黙り込んでしまった。

  「と、とりあえず警戒して行くね」

  『頼む』

  僕は教室に向かった。

  『待て』

  「なに、キュー」

  『気づいているか…ニオイは私たちの向かっている教室に続いている。』

  「えっ…スンスン…ホントだ…」

  『行くか?それとも…』

  確認するようにキューはそう言った。

  「行く…」

  決心をして教室の扉を開いた。

  教室に入ると生徒が数人座っていた。

  (この中に同族がいる…)

  しかしそんな緊張は一瞬にして驚きに変わった。

  ニオイの先に居たのはなんとタケシだったのだ。

  『やっぱり…タケシからニオイが出ていたのか…嗅いだことがあるニオイだと思ったよ』

  「え、で、でも人間の姿だよ…?」

  『一時的に人の姿に戻っているのか…それか、もしかしたら…私と同じ力を…』

  「おはよう!おっくん!」

  タケシがこちらに気づいたようで近寄って挨拶してきた。

  「おっ、おはよっ!」

  「ハハ、なんでそんなに驚いてるんだよ」

  「い、いや…ニオイが…」

  タケシが近づいた瞬間、ニオイが目に見えそうなくらい濃くなり、思わず口が滑ってしまった。

  「ん?何て?ニオイ?」

  タケシは不気味なくらいいつも通りだった。

  「…キューどういうこと!?」

  『わからんが…やはりニオイはタケシから出ている』

  「なにブツブツ言ってるんだよ、そろそろ授業始まるぞ?」

  そう言うとタケシは席に座った。

  『とりあえず様子を見よう…』

  「わかった…」

  タケシの席の隣に座る。

  タケシのニオイがより一層濃くなるように感じた。

  (す、すごいニオイ…ホントにタケシなのかな…)

  「どうしたんだ?鼻を抑えて?」

  タケシが僕が鼻を抑える様子を見て不思議そうに尋ねてきた。

  「朝から鼻が痒くってさ…ハハ」

  タケシのニオイを直接嗅いでいると頭がおかしくなりそうだった。

  「花粉症?今って花粉飛んでるっけ?」

  「さ、さぁ~?」

  『…あまりこいつのニオイを嗅ぎすぎるな…もしかしたらこいつも私と同じ…』

  「…おっくん、さっきから何独り言喋ってるの?」

  「いや、気のせいだよ!」

  キューが喋らないよう口元を抑えると、キューがまだ話したそうにモゴモゴとしていた。

  「ふーん、まぁいいや。あ、先生きた」

  …

  俺はケモノになってから変わってしまったのだろう、肉体だけでなく精神も。

  目の前に親友がいるって言うのに、オイラのチンポはビンビンになって、フェロモン出しっぱなしだ。こんなに濃いフェロモンが出てれば、オイラがタヌキには見えないだろ。ま、ニオイでどうせバレてるけど。

  でも、そんなことどうでもいいんだぁ。オイラ、おっくんと同じバケモノになれたんだぁ。うれしくて…イグッ…ビュルル

  おっくんのニオイのおかげで、オイラこんな変態タヌキになっちまった。もう、おっくんのニオイがないと生きていけねぇ。オイラを許してくれぇ。

  でも、オイラ思ったんだ。おっくんにも、そうなってほしいって…おっくんもオイラのニオイ気に入ってほしいって…、んでオイラとおっくんはツガイになって幸せにベロチュッチュするんだぁ。

  ごめんよぉ…おっくん…。もう、おっくんの知るタケシはいないんだぁ。ここにいるのはジュウゾウと同化した変態タヌキなんだぁ。スンスン…あぁ…いいニオイだぁ。おっくんのニオイだけでオイラ…アッ、また、イクッ…ビュルル

  …

  授業中だからか、それともお互い牽制しているからかはわからないが、僕とタケシはしばらく静かに授業を受けていた。

  『…タケシは動かないな…』

  キューが小声で話しかけてきた。

  「もしかして…気のせいとか?」

  『そんなわけないだろ…このニオイ…昨日と違いすぎる…』

  「そ、そうだよね…」

  横目でタケシを見るが今のところ不自然なところはない。

  『同族ならこんなに長時間人間の形態を保つのは難しいはずだ。何か予兆があるはず…』

  「でも今のところタケシは何もしてないよ…」

  『もしかしたらタケシは…10号機と同化したのかも…』

  「10号機…?」

  『そうだ…9号機の私と同じようにフェロモンでヒトを惑わす能力が備わっている。もしかしたら…』

  「フェロモンって同族に効果あるの…?」

  『そこなんだ…引っ掛かるのは…ましてや狐の私たちを騙すだけどフェロモンを出すなんて、そんじょそこらの興奮じゃ難しい…常に絶頂してるとしか考えられない…』

  「えぇ…そんなの無理だよ…いくら獣化が気持ちいいからって…」

  『も、もし…仮にだが、発情しているのだとしたら…目の前の相手に、例えばコウタに…そう考えたら可能かもしれない…』

  「僕に発情?どういう意味…?」

  質問しようとしたとき、キューは話を断ち切るように言った。

  『コウタ…一回獣化するぞ…フェロモンが薄れてきてる…』

  「わ、わかった…!」

  僕とキューはいつものように獣化の準備に入った。

  タケシに悟られないように声を殺して、人の姿になる。

  フェロモンが効いているとは言え、友達の隣で全裸でちんこを勃起させているのは恥ずかしい。

  「いくよ…」

  僕は早々に獣化を始める。

  メキメキと音を立てて、僕の骨格が変わり始める。すると、快感が全身に響いて僕のチンチンは自分勝手に射精しまくる。そして、全身の穴と言う穴から獣のニオイが立ち上った。

  「もうちょっと…」

  獣化完了まで後少しのところで、タケシのノートを書く手が止まった。

  (バレたか?)

  「スンスン…くぅはぁ…やっぱり…おっくんのニオイはすごいなぁ…」

  「えっ…」

  「俺のぉ…オイラのニオイもすごいぞぉ」

  その瞬間、タケシの股ぐらから強烈なニオイが放たれた。

  「くっ!?」

  『やはり…!』

  鼻が曲がりそうな精液のニオイに慌てて鼻を手で覆った。しかし、あまりに強烈なニオイに僕の思考力は削がれていく。

  「おっくぅん…オイラぁ…おっくんのニオイのせいでこんなになっちまったんだぁ」

  タケシの口調は変わり、ニヤニヤしながら股ぐらを見せびらかすように開く。そこには到底人間のものとは思えないほど大きく膨れたキンタマとドクドクと射精を繰り返す太いチンポがあった。

  「タケシなの!?すごい…ニオイ…」

  『コウタ…!これ以上やつのニオイを吸うな…!』

  「へへ、今さら気づいても遅いぞぉ~?キュー?」

  『キサマ…やはりジュウゾウか』

  「うーん、ジュウゾウと言われればそうかもしれないなぁ~?でもタケシでもある、まぁどっちでもいいじゃないかぁ、オイラはオイラさ~!」

  そういうとタケシの身体が途端に膨れ始めた。

  「グオオオオオオ…!!」

  タケシの着ていた服はお腹きら裂けると、お腹がボンッと飛び出した。脂肪がついたそのお腹と胸には白髪混じりの胸毛と腹毛がびっしりと生えていた。そして力むように身体を丸めると腰の辺りから突き抜けるように尻尾が飛び出した。

  「グアアア!!イクゾぉおおおっくん!!イグウウウウウウ」

  タケシは雄叫びをあげながら、皮の被った太いタヌキチンポで射精した。

  タケシが雄叫びを上げても周りの生徒には聞こえていない。きっとタケシのフェロモンで僕たちはここには居ないと暗示させられているのだろう。

  「た、タケシ!!」

  『逃げるぞ…これ以上フェロモンを浴びていると私たちも危険だ…』

  「へへ、もう遅いぞぉ?」

  僕はタケシから逃げようとするが、身体が動かない。

  「な、なんで!?身体が動かない!?」

  「へへぇ~当然だぁ。オイラのフェロモンでおっくんは『逃げられない』って暗示をかけたんだぁ~」

  そういうとタケシは僕の前に立ち、狸チンポを差し出した。狸のチンポは精液と恥垢でグヂュグチュに汚れており、酸味がかった刺激的なニオイがした。

  「どうだぁ?オイラのニオイ、気に入ってくれたかぁ?」

  「や、やめてよタケシ!く、クサイ!!」

  「グヘヘ、臭いよなぁ、オイラのニオイ…すごいよなぁ?」

  クサイというとタケシのチンポは嬉しそうにビクンと跳ねて射精し、僕の顔に精液をかけた。

  「どうだぁオイラの雄汁ぅ、おっくんのニオイ嗅いでたら止まらなくなっちまった。おっくんもオイラのニオイの虜になっただろぉ?」

  『ま、まずい…こいつ完全に我々に発情してる…このままではタケシのフェロモンに操られてしまう…』

  「んんんッ!キューたすけて!」

  『コウタもタケシ以上にフェロモンを出すんだ!!』

  「な、なんで?」

  『こいつよりも強いフェロモンで暗示を上書きするんだ!!』

  「でもどうやって!」

  「なぁにブツブツ言ってるんだぁ?ほらおっくん、オイラのチンポあ~んしてしゃぶれぇ~」

  タケシが僕の頭を片手で掴むと僕のマズルにチンポを近かづけてきた。

  『獣化だ!それしかない!』

  「獣化!?それはもうしてるよぉ!!」

  タケシのチンポがすぐ目の前にきた。もう鼻先が触れそうだ。

  『獣化にはさらにその先の完全な獣化があるんだ!反動はあるが…やるしかない!』

  キューの言う通り、僕は目を瞑り自分の中にある獣を呼び覚まそうとした。

  (もっと…もっと獣に…!!)

  ドクンッ!

  大きな心臓の鼓動と共に、僕の身体はタケシのフェロモンの支配下から外れた。

  「か、身体が動く!やった!」

  僕は急いでタケシの手を払うと後ろに下がった。

  「な、なんだぁ!?」

  突然フェロモンが効かなくなりタケシは驚いた様子だった。

  「キュー!獣化できたよ!今すぐ逃げよう!」

  『あぁ…そうだな…獣化が『始まった』な…』

  「始まった?」

  ドクンッ!!

  安堵していると、再び心臓が大きく鼓動した。その鼓動は痛みを伴って、更に大きくなる。

  「くっ!?な、なにこれ…!?」

  『もうこうなってしまったら、私はコウタを守れない…』

  「グゥ…どう…いう…こと…」

  痛みは全身の伝播していく。あまりの痛さで立ち上がれなくなくなり、地面に四つん這いにうずくまった。

  『コウタ…理性を…保つ…んだ…』

  「キュー…グゥ…グルルル…なんだ…これ…力が…ミナギル…!!!」

  僕の中から何かが溢れようとしていた。

  「グヘヘ、おっくんもしかしてぇ…」

  「キュー…?ボク…グゥ…ボクノ…カラダガ…アツイ…!」

  キューの返事がない。だが、今はそれどころではなかった。全身の細胞が喜ぶのを感じる。目の奥が熱くなって五感が冴えてきた。全身の筋肉に熱い血液がドクドクと流れ心地よい。

  「アフレソウ…!ガマン…デキナイ…!!」

  僕の中で何かが飛び出そうとしていた。これを外に放ってしまうと僕が僕でなくなるような、そんな気がした。

  僕は前足と後ろ足で必死に身体を支え、漏れ出てしまいそうなそれを食い止める。しかし、それは鼓動と共にさらに大きくなる。

  「ゲンカイ、ダ…!!漏レ、ルッ!!グオオオオオ!!」

  抱えきれなくなった獣性を一気に解放する。その瞬間、漏れ出した獣性が濁流のように全身に広がった。

  「デル!シッポデルウウウ!!」

  尻尾の根元の辺りが熱くなり、爆発するように新たな尻尾が生えてきた。しかもそれは1本だけではなかった。

  「グアアアアア!!」

  ポンッと1本、また1本と勢い良く尻尾はドンドン生えていく。そしてそれと共鳴するように僕の身体はより獣らしい肉体へと変わっていった。手足はより太くそして大きくなった。身体はさらに伸び、よりすらりとした身体になった。全身の毛穴が広がり、獣毛がさらに生えていった。

  「ジュウカ、トマラナイィイイイ!!イグウウウウウウ!!!」

  ビュルルルルルルル!!!

  僕の身体が獣性で満たされる度に、それは快感となってが全身に駆け抜けた。溢れかけた獣性は僕のシッポの先からチンポの先に集まり、僕に残された人間性を押し出すように何度も射精を促した。

  「す、すごいぃ!!おっくんのニオイがドンドン濃くなってぇ…オイラぁ…オイラぁ!!」

  タケシは僕の獣化を見て涙を流し、だらしなく射精していた。

  「オイラももっとぉ!雄になってやる!!」

  そういうと、タケシは大きなお腹を太鼓代わりにしてお腹を叩き始めた。

  「オイラもおっくんみたいにぃ!もっと強くなりてぇ!!」

  ぽんぽこ♪

  「も、もう人間になんて戻れなくていい!!もっともっと!ケモノに…!ケダモノになるんだあああ!!」

  ぽんぽこ♪ぽんぽこ♪

  タケシの腹太鼓は更に激しくなっていく。その太鼓の響きがタケシの身体を駆け巡る度に、タケシに残された人間性が抜け落ちて行くようだった。

  「グオオオオオオ!オイラモ!!モッドオオオオオオ!!!」

  ぽんぽこ♪ぽんぽこ♪ぽんぽこ♪

  タケシの腹が更に膨れ、お腹から伝播するように身体が大きくなっていった。腕や太ももが更に太くなり、筋肉が盛上がると、太鼓の音は更に大きくなっていった。さらに、タケシの顔は、髭や髪が白くなっていく。どうやら老化しているようだ。

  「グオオオオオオ!!!」

  タケシの変身が進む毎に、太鼓の音は小太鼓のような軽快な音から、重低音の銅鑼のような重たい音に変わった。

  ボオオオン♪ドォオオオン♪

  「腹太鼓ギモヂイイイゾオオオオオ!!!」

  ビュルルルルルルル!!

  腹太鼓に押し出されるようにタケシは一気に射精すると、タケシのお腹に妖印のようなものが浮き出てきた。その姿はまさに絵本で読んだ化けダヌキそのものだった。

  「グゥオオオ…ミナギル…おっぐん…おっぐんをフェロモンでシハイするぅ!!おっぐんはワシのモノダアアアアアア!」

  タケシがそう言いながらお腹を激しく叩くと、お腹の妖印がぼんやりと光始めた。

  それと同時に、僕の頭に強烈な衝撃が流れ込み、頭の中ぎ真っ白になっていく。

  『…コ…ウタ…逃げ…ろ…』

  かすかに残っていたキューの意識がが最後の力を振り絞り、僕にそう言った。

  しかし、もう遅かった。キューの声は僕には届いていなかった。

  「グオオオオオオおおおおおお!!」

  オレは我を忘れてタケシにぶつかった。

  (オレサマの方がツヨイ!オレサマの妖術ヲクラエ!!)

  「グオオオオオオ!!!」

  オレはしなやかな身体を化けダヌキに巻き付けるように身体を絡ませると首筋に噛みついた。そしてそこからフェロモンを流し込んでいく。

  「ガアアアアアアアアア!!」

  (キサマハ、オレサマのモノダ!)

  オレサマのフェロモンを流し込まれた化けタヌキは、苦しそうに身体をビクつかせビュビュッと射精をした。

  「グゥッ!ガアアアアアアアアア!!ワシもぉ負ケンゾオオオオオオ!!!」

  一度は勢いを失った化けダヌキだが、化けキツネに負けじと再び腹太鼓を始める。太鼓の振動が化けギツネに伝わると快感で身体をよじらせ、ビュルルッとフェロモンを漏らしてしまった。

  「グオオオオオオ!!」

  「オオオオオオオ!!」

  両者一歩も譲らない雄同士の戦い。

  勝負はなかなか決まらず、両者は兜合わせのようにチンポを擦り会わせ始めた。

  「タヌキィ!!キサマガ先二イケエエ!!」

  「キツネェ!ワシノホウガ我慢強イ二キマッテル!」

  お互い、相手を先に射精させようと必死に腰を押し当てた。先に射精した方が負け、負ければ永遠の雌になることを誓う、負けられない戦いが始まった。

  「コレナラドウダァ!!」

  タヌキが仕掛けた。タヌキは自らの包茎チンポを使い、キツネのチンポを包み込むように性器同士を繋げた。

  「グオオオオオオ!?」

  タヌキの包茎の中は、我慢汁とタヌキの熱い竿で至高のオナホと化していた。

  「ほらぁ!イケ!イケェ!!」

  キツネも負けじとタヌキの口にキスをすると、キツネの長い舌を捩じ込んだ。

  「ンンンンン!?」

  口とチンポを同時に責められたタヌキはすぐに発射体制になってしまう。タヌキは腰をビクつかせ必死に耐える。

  それはキツネも同様だった。お互い限界だった。

  「ガッ…ゲンカイダ!!イグッ!イグウウウウウウ!!」

  「オレサマモ…!!デルッ!グオオオオオオ!!!」

  お互いが求め合うように身体を抱き締めると、チンポをドッキングさせたまま同時に射精をした。

  お互いにぶつけ合ったフェロモンは更に強くなり、お互いの身体を更なる獣化へ促していく。

  「グオオオオオオハジマル!!!」

  「コォオオオオオン!!!」

  抱き締め合っていたお互いの手足は、更に大きくそして鋭くなっていった。身体は射精と共に一回り、二回り巨大化し、教室の天井に頭がぶつかった。

  「キモチイイイ!モット強クウウウ!」

  「キモチイイガトマンネェエエ!!」

  それから、カイブツになった2人は日が暮れるまで抱き締め合っていた。

  …

  目が覚めると、そこは誰もいない教室だった。

  僕は、ゆっくり起き上がるといつもより視線が低いと思った。気になって自分の姿を確かめると、四足のキツネそのものになった自分の姿があった。

  「コォーン!?な、なにこれぇ!?」

  「んん…なんだよ…人がせっかく気持ち良く寝てたのに…」

  僕の背後から声が聞こえた。そこには一匹の大きなタヌキがいた。

  「ってあれ、ワシの身体…なんだこれ!?」

  タヌキは自分の身体を見てビックリしていた。

  『やっと目を覚ましたみたいだね…』

  キューの声が聞こえた。キューはなぜか疲れ果てていた。

  「コォーン!キュー!どうしよう!立てなくなっちゃった!!」

  『落ち着いてコウタ…』

  「コウタ…?え、おっくん!?」

  タヌキが僕の姿を見て驚いている。

  「おっくん…なのか?」

  タヌキの喋り方に覚えがあった。

  「もしかして…タケシ…?」

  『ガハハ!やっと気づいたか!』

  タヌキの喋り方が変わる。

  『ジュウゾウ…だな!』

  『ガハハ、その喋り方、やはりキューだな?久しぶりだな、研究所以来か?いやいや中間に合えてうれしいぞぉ』

  『よくも…あんなことをしておいて…のんきなことを言えるな!!』

  「キュー?」

  『暴走のことかぁ?それについてワシはなぁんもしとらんぞぉ?こやつが、タケシが自分の意思でやったことだぁ』

  「キュー…なんのこと?」

  「ジュウゾウ…俺、いままでなにをしていたんだ…」

  『ガハハ…当の本人たちは何も覚えてないようじゃなぁ』

  『…どうするつもりだ…ここまで獣化が進んだら…』

  「ねぇキュー、人型に戻れないんだ…助けて」

  「ジュウゾウ!俺もだ、立ち上がれない…助けてくれ」

  『…』

  『ガハハ、これから楽しくなるなぁ?』

  それからしばらく2匹のケモノは後ろ足で立ち上がろうとしたが、上手くいくことはなかった。

  …

  『スバル…?』

  「…ミツケタ…!グルルルル…」

  俺は溢れてしまいそうな獣欲を押し殺し、真夜中の大学へと向かった。

  獣の身体はすっかり馴染んでいて、軽々と建物から建物へと飛び移っていく。

  「カナラズ…ミツケル…グルル…アオオーン!!!」

  必ずニンゲンに戻る方法を見つけてみせる。薄れていく理性の中で俺はそう誓った。

  つづく