<1/6>~プロローグ~虎王国と王室、虎王子~

  獣人達の世界、今回の舞台となる虎獣人の王国は、隣の龍獣人の王国と数世代に及ぶ敵対関係であった。

  敵対関係の理由は、虎王国の伝統工芸品であり主要輸出品でもあるディルドと龍王国の伝統工芸品であり主要輸出品であるディルドを、入れたり出したりする輸出入を巡る貿易摩擦であった。

  敵対していた両王国は、獣人騎士同士が相手を屈服させて犯し合って勝負をつける犯し合いの戦を度々繰り広げており、20歳で成人した若者が騎士として犯し合いの戦に出陣することはとんでもない名誉であった。

  

  しかし、ついに三年前に両王国は和平を結び交流や王国民同士の出入りが活発化しはじめた。今では虎王国と龍王国の王国民同士が酒場で出くわせば、互いを打ち倒して犯し合う夢を語り合い酒を飲むのが恒例となる程であった。

  

  虎王国では王子お付きの騎士であるパラディンを選任する叙勲式を翌日に控えていた。

  パラディンとは、犯し合いの合戦時に、国王や王子が一般騎士と犯し合うことなく、階級の高い騎士や王族との犯し合い一騎打ちをできるように、代わりに犯し合いを行い守護する役割を持ち、国王や王子にとっては相棒となる存在でもある。

  騎士達にとってはとんでもない栄誉ある役割であり、パラディンを描いた騎士道物語や演劇も多く、騎士以外の庶民にも憧れの的だ。

  王族の者が20歳を過ぎて戦に出陣できるようになった時に叙勲されるのだ。

  虎王国の王子、虎丸は今日も城を抜け出して城下町の発展場にお忍びで訪れていた。虎丸は王子三兄弟の三男であり、23歳の男性虎獣人で、王家の血を継ぐ黄色と黒の縞模様は芸術作品のように美しく身体中を巡っている。

  フサフサの毛並みで、鍛えた身体は縞模様に合わせて腹筋が割れており、猫耳は癖っ毛ならぬ癖耳のせいでいつも前に折れており、王国民の間では密かなブームとして真似する若者も多い。

  そして三男である彼は、王位継承から程遠いと思われていた。現国王と虎王国の総大将である旦那の間には王子の三兄弟が産まれた。

  長男である37歳の第一王子は優れた将軍として戦で活躍し、王国民から尊敬を集めていた。彼が次の国王だと虎丸も含めて誰もが思っていた。しかし、戦が終わると第一王子は庶民である農家の男との結婚を望んだ。農家の男は騎士として戦に従軍しており、戦場で身分の差に関係なく助け合ったことから始まった恋が身を結んだのだ。

  第一王子は、王子としての役割は戦で果たした、これからは相手と共に畑を耕していきたいとのことから執務を離れることを決めた。王室も王国民も英雄と名高い王子の第二の人生のロマンスを熱烈に歓迎し、第一王子は王位継承権を捨て去り王室を去っていった。

  

  三兄弟の次男、二番目の王位継承権を持つ第二王子は31歳、戦では勇猛果敢な最強の騎士として名を馳せていた。長男がいなくなった後、本来なら第二王子が王位を継ぐはずだったが、そうはいかなかった。何故なら第二王子は、敵国である龍王国の王子と婚約して王室へ婿入りすることになっていたのだ。

  虎王国と龍王国の王子同士は戦の中で戦い、お互いを犯し合った二人は敵味方の立場を越えて恋に落ち、長年の虎王国と龍王国の因縁を終わらせるため尽力したのだ。

  二つの王国は、お互いの結びつきを強めるため王子同士の婚姻を結ぶことにし、第二王子は龍王国の王室へ迎えられることになったのだ。虎王国としては龍王国の王子が虎王国へ来ることを望んでいたが、虎王国の王子が三兄弟なのに対し、龍王国の王子は一人っ子なことから、第二王子が婿入りすることとなった。

  戦が終わり、愛しい人とようやく一緒に一緒にいられるようになった第二王子を止める者は王室にも王国にも誰もいなかった。こうして、第二王子は虎王国を離れたのだ。

  そして三男である虎丸、彼が次期王位継承権の第一候補として期待を一身に集めていた。23歳の虎丸は20歳になって戦に出る前に、戦が終わってしまい、優れた将軍や騎士である長男次男と比べて目立った活躍もなかった。

  一回り年が若い虎丸は、王国民にとっては成長を見守る甥っ子のような存在として愛されていた。長男次男が優れた英雄として扱われ勇猛果敢な肖像画に値打ちが出る一方で、虎丸は幼少期から今日にいたるまでのプロマイドや写真集が大人気でアイドル的な人気を誇っていた。

  虎丸は子供時代は暴れん坊のやんちゃ坊主として育ち、成長してからは外交や経済などの諸分野で王子としての執務でめざましく活躍していたものの、どれも庶民には地味で分かりづらく、戦で華々しく活躍したりロマンスが話題となった兄達に比べると、王子としての役割はあまり注目されていなかった。

  そんな王子への注目は、パラディン叙勲式が近づくたびに高まっていくのだった。