ケーキと石

  「ん、なかなか美味いな。」

  一人暮らしの自宅にてケーキを食べる20歳の青年、このケーキはバイトからの帰りに知らない人物から声をかけられ貰ったものである。

  いらないと言おうとしたのだが受け取った途端にその人物の姿は見えなくなっており、とりあえず自宅に持ち帰り食べる事とした。

  だが余れば翌日にと思っていたのだがこれが実に美味であり青年は思わずパクパク、

  「ふ~、美味かった。」

  見事に完食しては満足そうな表情を浮かべた。

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  しかしその時、青年の身体がグンッと縮みだした。

  「おっ!?」

  突然の事に思わず声を上げる青年。

  そんな青年の身体はまるで若返っていくかのように、子供の頃へと戻っていくかのようにグングングングンと小さくなっていくがそれだけに留まらず手足を始めとして身体の至る所がトロリトロリ蕩けだすとともに髪の毛も含めて全ての肉体の色が白に淡いピンクを混じらせ変色していく。

  「ど、どうなってんだこれぇ・・・?」

  高く変化し口から出てくる声、丸っこく可愛くなっていく顔に合わせるように瞳が赤くなると髪は自然にまとまりを作りトップやサイドなどに塊を形成、そんな髪に隠された耳は小さな山のように柔らかく尖っては赤く色を変えながらプツプツ粒を浮かべ髪の塊の中より姿を出す。

  そして、

  マホォ?

  口から出る声が人間のそれでなくなると青年は滑らかなクリームで出来たスライム娘を想起させる姿に変身、と同時に鏡にて自分の姿を確認するとそれがポケットモンスターに出てくるポケモンの一匹・クリームポケモンのマホイップである事に気がつき・・・

  マホォォォ!?

  驚愕の声を上げた。

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  『申し訳ございません、急な用が出来てしまったので明日から一週間ほど休ませてもらえませんでしょうか?』

  『分かりました、大丈夫ですよ。』

  バイト先で使っているメッセージアプリにより送られてくる伺いへの了承メッセージ、それを見ると青年は一週間の猶予が出来たとホーッと安堵の息を漏らす。

  だが逆を返せばその一週間ほどの間に現状をどうにかしなければマズい、のだがどうしてもいい案が浮かばない。

  ただ子供になっただけなら大変な事には変わりないがまだ大丈夫、話が通じるから幾分かの猶予はあるのだが言葉が通じないポケモン姿でどうしろというのか。

  (このままじゃおれ・・・。)

  不安に苛まれながら考えるが一向にいい考えが浮かばず時間が経過、気がつくと猶予である一週間後を迎えバイト先から明日のシフト時間打診のメッセージが来てしまう。

  このままじゃどうしようもない、そう考えうーんうーんと考える青年。

  するとケーキをくれたあの謎の人物から、ケーキとともに謎の意志を貰った事を思い出した。

  見た感じただの石だったからクローゼットにしまっていたのだがまさかと思いながら引っ張り出して身体に密着させてみるとクリームの身体がしっかりとした硬さをもつ人間の身体となっていたではないか。

  しかしその髪はホイップクリームのように白い上に肌も純白でスベスベ滑らか、腕脚は短く手足も小さい。

  おまけに瞳は赤色のままであり顔は少し面影を残した可愛い顔、低いままの背丈も相まって身体のあちらこちらは明らかにかつての頃とは明らかに違う。

  そう、青年は人間へと戻ったのだが女の子・・・それも10歳ほどの女の子となっていた。

  「うっそだろ!?女の子のままかよ!?」

  マホイップはメスだけであるが故に不安に感じてたが大丈夫だろうと青年は思っていた。

  だがいざ戻ってみたら女の子、それもかつての二分の一ほどの年齢の女の子になってしまった事に青年は愕然とする。

  だがかといって石を放してみると身体はマホイップへと戻ってしまう、マホイップのままでいるか女の子の姿を受け入れるか・・・青年は悩みに悩み意を決した。

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  それからしばし経ちバイトの休日、

  「まほちゃん、よく似合ってるよ~。」

  「う、うぅ・・・。」

  顔を赤くしてはモジモジ恥じらう、リボンやフリルがあしらわれたワンピースに身を包んでいる青年。

  その身体はワンピースに見合った女の子の身体であり、結局女の子の身体を受け入れて人間に戻る事を決めたようだ。

  もちろんバイト先には信じてもらう事が出来ず、親友たちからは冗談を言うなと笑われた。

  だが必死の弁解の甲斐あって誰からも信用してもらう事が出来バイト先からお客の呼び込みを任され、親友たちからは今のように色んな恰好をされたりと色々弄られたりした

  もちろん人前に出る時はあの石を髪留めに加工し肌身離さず身に着けており、それ以外の時にはマホイップとなってリラックスしている。

  青年がかつての姿に戻れるかは分からない、分からないが・・・

  「さ、次はこっちこっち。美味しいパフェを食べようねぇ。」

  「あ、ああ。」

  今はひとまずこの時を頑張りながら楽しもう、青年はそう考えるのだった。