Ad
「グェーェーッ」
巨大な怪鳥の声が刻一刻と近づいてくる。
「はぁはぁ……はぁっ、はぁっ、ん、うぁああっ!!」
獣道をかき分けて全力で走っていると、茂っていた草に隠れていた岩に足をひっかけてしまった。
勢い良く地面にすっころび、ボクは草の茂る地面にダイブした。
やがて、辺りが薄暗くなる。
「グェーッッ!!」
そう、巨大な怪鳥の影だ。
死を覚悟した。
どうして、こんなことに……。
遡るのは1時間前、図書室の本の整理を手伝っていた時に、
薄暗く地味な緑色の本が目に入った。
何故か無意識にその本を手に取り、開こうとしたその時だった。
勝手に勢い良く開き、ボクの胸の辺り宙に浮遊した。
「ぇっ!?」
驚くまもなく、ボクの体も浮遊した、ジタバタしても、あたかも重力の中心がその本でアルかのように
ボクは本に吸い込まれた。
それから、気がつけば、森の開けたところにいた。
不思議な事に、いかにも旅人っぽい服装としっかりした靴を履いていた。
夢でも見ているかと思ったが、しっかりと考えたり、リアルに五感が働くので
これは現実なんだなと分かった。
そして、なんやかんやで今に至る。
因みに怪鳥は本当に大きく、4メートルぐらいある。翼を広げれば横幅が8mぐらいになりそうだ。
転んだ痛みを感じる。
夢のようで夢じゃない、
よくわからない世界に飛ばされ、よくわからないバケモノにこれから殺されるのか……
ズシッ!!
「う”ぅ……」
巨大な怪鳥の足がボクを踏んだかと思うと、ギュッと握り始めた。
「ぁ"はっ! えほっ……!」
肺が圧迫され苦しく咳き込む、その時だった。
『ピューッ! ピュゥーッ!!』
笛のような音……指笛だろうか?
「グェ!?」
怪鳥のボクを掴んでいた明日緩む。
恐らく音のした方向を警戒しているのだろう。
反射的に大きく息を吸う。
「はぁーーっ…… はぁ……はぁ……」
そして、誰かが近づいてくる気配と音を感じた。
ガサッ、ガサガサッ……
音の方を見ようとしても草が茂っていて、また、木が邪魔で声の主は見えなかった。
「助けてやっても良い、礼の約束してくれるンなら」
「お、お礼?……し、します、おねっ、お願いします! ボクを助けて下さい」
「うむっ承る、確認するが耳は塞げるか?」
「耳? あっ、はい」
「じゃ、塞いどくンだ、行くぞっ」
両手を使い耳をふさぐ。
辺りの音が遮られ、代わりに、手の血流の音が聞こえて間もなくだった。
バァッン!!
両手を塞いでいても凄い音だった。
「グェッ!!……」
怪鳥は、思わずたじろいだのか、押さえつけられていた体が開放される。
ボクは無我夢中で、わずかに歩伏前進をして、そのまま立ち上がり、声がする方へ走った。
「行くぞ、相手にしないほうが吉だ」
そう言われ、木の影から、声の主の手がニュッと現れた。
「あっ、はい」
ファンタジーの世界では、中級冒険者が倒していそうな相手だが、やはり、普通の人間や一般冒険者一人が戦うには、ちょっと辛い相手なのだろうか?
そう言われ、伸びてきた手に腕を掴まれた時違和感を覚えた。
ザラザラしているように感じた。
手袋をしているならもう少しふわっとしていて、していない素手であれば、違和感も何もないはずなのだが……。
腕を引っ張られながら、助けてくれた人の姿を見た時、ボクは思わず立ち止まってしまった。
「ぇっ……ぁっ?……」
「ン? 足でも捻ったンか? おぶるか?」
心配そうにボクを見てくれているが、助けてくれたのは、防具を着たトカゲ人間みたいな姿をした人物だった。
目も口もしっかり動いている、着ぐるみではなさそうだ。
トカゲ……?
ふと、冷静に考えた。 そうかここは、トカゲや鳥人、獣人などがいる世界なのかもしれない。
口ごもっていると、そのトカゲ人間は、オレの前にかがんで、おぶさるよう促した。
「ったくよぉー、やっぱヒュムは弱っちぃーなぁ…… 種族違うンじゃ仕方ないンだろうけどよぉー……」
「ヒュム……?」
小声で疑問を漏らしながら、ボクは促されるまま背中に乗った。
がっちりしているが、ほんのり体温があり暖かかった。
「ンひ……きぃつけろよ、しっかり掴まってろ?」
「ぁ……はい……」
助けてくれたトカゲの人間は、中級冒険者ではなさそうだった。
腰にかけてある剣は、よくわからないが、銅の剣などのレベルだろうか?
つまり、命をかけて助けてくれたのだろう。
お礼を求められることになるだろうけど、自分の命が助かったことが嬉しく。
そして、温かい体温が凄く安らぎを与えてくれた。
「ありがとう……」
「……ンひ……無事でよかった、あ、足捻ってンだっけ?……」
「ぁ……」
一瞬反射的に捻ってないと言おうとしたが、頼りたく、お願いすることにした。
「ン? どしたンだ?」
「ぃぇ、何でも、安全な所までお願いできますか? すいません」
「おぅ、任せろや! ンひ」
トカゲ人間は、少し照れながらも嬉しそうに笑っていた。
『ンひ』ってのは口癖なのかもしれない。
必死にボクを担いで、躓くことなくあるく、トカゲ人間はカッコ良かった。
ボクはのちに知った、 ヒュムというのは僕達人間を指す言葉、そして、このトカゲ人間の種族はバンガと言うらしかった。
15:51 2015/11/11
十五分ぐらいおぶさったままボクは、その人の優しさと温もりを感じ森の入口まで送ってもらった。
「おっし……ンじゃ礼の話……だな」
「ぁっ、はい……ぁ……実は」
「音玉(おとだま)が……ンっ? どしたンだ?」
「実は、自分全然持ってなくて」
「はっ?……」
それから、ボクは、自らの全身をパタパタはたきながら金品を持っていないことをアピールしつつ、地球という別世界から来たということを説明した。
「地球? ンだぁそれ? 助けてもらって踏み倒そうってのはいい度胸だな、服装だって一般的なヒュムの旅衣装じゃねぇーか」
「いえ…………その、これは本当で……だからその、貴方みたいな、トカゲだかワニだか、ドラゴンだか……みたいな人を見……」
ふと気づくと殴られそうになっていた、しかし、あくまで寸止めで殴られることはなかった。
「トカッ……はぁ……『トカゲ』は俺らを馬鹿にする言葉なんだ、絶対2度とバんガ族に対して口にするな!」
「バンガ……族?……」
「ぁー……わかった別世界ってのはひとまず信用してやる」
それから、呆れた様子でバンガ族?に説明された。
ボクら人間をヒュムと言い、目の前にいるトカ……竜っぽい人間をバンガ族というらしい。
他にもモーグリ族やン・モゥ族、シーク族なんていうのがいるらしい。
それから、少しだけ地球のことを聞かれた。少し怪訝そうに訪ねてきたが
偽りなくありのままの地球について話すといつの間にか、興味深そうに聞いていた。
「へぇ……地球って世界なぁ……。 まぁ、言い難いけどよぉ、オレも最近冒険者になったもんで……」
それから少し気まずそうにバンガ族は話を続けた。
「大音量でビビらせたやつあったろう?あれが240ギルするンだわ、本当いざって時のための備えだったンだわ、分かるか?」
ふと脳裏によぎるのは、助けてもらう寸前、お礼を確認したことだった。
それだけ使うのに躊躇したということは、240ギルはこの人にとって高価な額なのだろう。
「まぁ……礼なくても目の前で弱い者がやられてたら助けたかもしれねぇーけどな」
「あ、えっと、戦闘するのは暫く無理かもしれませんが、身の回りの世話や炊事洗濯を手伝うというのでは……?」
趣味で料理をすることはあった、お菓子作りも出来る、問題は材料が売っているか……だが。
「身の回りの世話ねぇ……、そういえば、初めて会うんならオレのこと怖くないの?」
「ん…怖くないです、救世主な訳ですし、背中におぶってくれましたし」
「ふむ……やれることなんでもするんだよな?」
「ぁ、はい、痛いことでなければ」
「だったら、お前の口でオレのマスかくの手伝ってくれよ、手使わずにさ」
「マス……?……あ……えっ、えっと……貴方様のペニスを舐めろとそれで……」
「ちゃらにしてくれると?」と言いかけて言葉を飲み込んだ。
それだけで命の危機の償いが出来るのであれば安いかもしれない、あくまで雇う前の試験としてそういってるのかもしれない。
実を言うと、獣人や鰐や蜥蜴人は好きだ。 絵を書いたこと、ネットの趣味の友達と語り合ったこともあった。
ただ、性的に異種族の同性を好きかと言われると、すぐには答えられない。
命を助けてくれたのだからそれぐらいは安いことなのかもしれないが
「ンぁ?…… やれることなんでもするンじゃなかったのか?」
今そういうことをすることで、壊れやすい関係になるのが怖かった。
それでも何か答えないといけなかったボクは恐る恐る答えた。
「命の恩人である貴方のお役に立てるならやっても構わないですが、自分は男ですが良いですか?」
自分自身、やりたいのかやりたくないのか正直分からなかった。
ただ高価なものを使ってまで見ず知らずの自分を助けてくれたバンガ族の人情の厚さにボクは惹かれていた。
そもそも、冷静に考えると今この世界でボクは一人ぼっちなわけだ。
無賃でも良いから、同伴させてもらえないか頼むのが良いと思う。
多分、信じて良い人だと思う、今変な問をかけられているが……。
「ン……ぁーぁーうむ、まぁ、女でも男でも舌の感触が変わるわけではないンだろ?」
そういって、バンガ族がズボンの紐を解こうとした。
「ぇ……ぁぁ……まぁ、多分……?」
デタラメを応えるわけにも行かなそうな空気だった、ズボンの紐を解くしぐさが、ボクの胸になんとも言えない悶々としたものを感じさせた。
直視できず、ボクは、そっぽを向いて、改めてこれからのことを考えようと思った。
とはいえ、今から、バンガ族の逸物を舐めないといけないのは少し気が重……。
はっと気付かされる。
バンガ族が立ってるであろう位置に振り向き思ったことを声に出す。
「あのっ! ここでするんで……」
「ここでするんですか?」という言葉を言い切る前に
視界には何も写ってなく、代わりに、背後からギュッと抱きしめられた。
「んっ……何っ……?」
振り向くと、バンガ族の顔がすぐそこに、半尺先にあった。
「俺ァ、お前みたいなヒュム、好きだぞ。 種族差別しないってンと言葉に責任を持つ、少なくともその2つは今ン様子で分かったぞ」
背中で感じる、バンガ族さんの優しさと温もり、また、人肌とはちょっと違う、軟硬い感じの肌の弾力。
後ろからのハグで落ちる人がいるというのは、あながち嘘じゃなさそうだった。
顔が紅潮するのを感じた、そして、キュンと胸が心地よくチクリとするのを感じた。
「ぇ……と……あの、大変恐縮ですがやるなら、人の目につかない、森の奥とか……宿とか、バンガ族さんの家とか……」
「ぉっ……ン? やりてぇーの? しゃぶってくれるンか?」
「ぃぁ……えっとやって欲しいって言ってたから」
少し前の躊躇いは、半減していた、場所を変えてくれるなら、見世物にしないのであれば
体を捧げていいとさえ思い始めていた。
多分、高額なものを使ってまで見ず知らずの人を助けたのだから、人を無碍に扱うということはないと思う。
「ンじゃぁ、触ってみっか?俺のペニス」
そう言われそっと手を握られ、ズボンの股間の部分近くまでボクの手は誘われた。
そして、半尺のさらに半分のところでそっと手は開放された。
一瞬、ほんの数センチだけ降下したが、残りはは自分の意思で触れなきゃいけないのかと思うと
緊張からか小刻みに腕が震えた。
「ンひっ……怖がんなくていいぞ」
そう言われ、今度は急に腕を押され、逆らうことなく、ズボンの股間のところに触れた。
「まぁ、今の俺にその気は無いけどな……がはは……んっ……」
手をどけられてからつい、重力による反動でボクの手はバンガ族の股間を撫でてしまった。
それにより、バンガ族の口から甘い声が漏れた。
「ぁ……すいません、そういえば、トカ……じゃなくて、ドラゴンや恐竜は、普段ペニスは収納されてるんでしたよね。 少しドキドキしちゃいましたけど、自分も今はしたくなかったので、お気遣い感謝します」
トカゲ人間という方が本当にしっくりくるのでついついトカゲと言いそうになったが、慌てて言い直した、しかし、じゃなくて……なんてあたかも今 トカ○○って言い間違えをしそうになったと認める発言だよね。
流石に怒ったかな……?
そう思ったのだが、バンガ族は少し様子が変だった。
「あの……?」
「ンっ?嗚呼、うン……まぁ、なンだ、言葉に対する責任感あるって所を試すテストだったンだ、驚かせてすまねぇーな…にしてもヒュムってバンガ族より抱き心地良いな、ンひ」
ぎこちなさそうにも、ニコッと笑うバンガ族、それが少し愛らしく感じた。
命の恩人であるのには変わりないが、ほんのちょっとだけ親近感を覚えた。
つられてボクも笑った。
突然異世界に飛ばされましたが、良いお友達が出来ました。
第2話 契約?(仮) 乞うご期待 といいつつ執筆はちょっと未定
Ad