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春猫2をお持ちの方は、p101まで軽く読んでから読むと一層楽しめます。
そよ風と一緒に、そのメロディーは流れていて、
そのメロディーをオレは、耳を立て探していた。
どっちだ……?
このメロディーの主は、間違いなく、シノブだ。
ずっと、ずっと探してきた。
せめて、もっと大きく、一瞬でも……
そう願った時だった。
北西の方から、その草笛のメロディーは来ていた。
こっちだ、こっちから聞こえる!
数十メートル走った先に
大きな木があって、そこから聞こえていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
木をの当たりを見渡すと、見慣れた存在があった。
カァーッと、目元が熱くなり、涙で視界がぼやけた。
「……シノブ……?」
その問いかけに反応するかのように、シノブらしき人物は、草笛を吹くのをやめた。
「シノブ……シノブ」
少しかすれた声で、オレは名前を呼んだ。
「ご、ごめんなさい……うるさかったかな……?」
昔聞いたシノブの声、会えない不安でいっぱいだった心を、たった一言で満たしてくれた。
「……」
何かを言わなきゃ、そう思うがろれつが回らない。
「誰もいないと思ってたから」
「……」
(何か言わなきゃ、何か言わなきゃ……)
「あれ?……どうしてボクの名前知っているんだ?……それにキミ……どうして泣いているの……?」
「……ぁ」
もしかしたら、そんな予感はしていた、でもそれは、会ってみるまで分からないことで、ひょっとしたら記憶を持っていたかもしれない。オレみたいに
でも、今それは、否定された。やっぱり記憶を失っている。
「なんでもねぇよ!……キレイな音色だったからつい……」
涙を堪え、作り笑顔、シノブの視線を感じるが、今のオレは、伺うことすら、出来ない。
「じゃ、じゃましてゴメンなっ!……」
嗚呼……もう駄目だ、さっきは、出会えて嬉しくて涙が出た。
でも、今は、万に一つの可能性を考えていた自分がバカで、愚かで……。
追いかけた今までは何だったんだろう
(バカやろ…………オレのバカ野郎……こうなることは、はじめから分かってただろ?……)
(分かってたのに……分かってたのに、必死でシノブを探したりして……バカだ!……オレバカだ!)
背を向けて走ろうとした時だった。
少し服を引っ張られた。シノブだろうか?
確認するのがちょっと怖かった。
オレは、どこかで呼びとめてくれるシノブに期待していたんだろう。
「ボクでよければ、相談に乗るよ」
「シ……シノブ?」
生まれ変わってもシノブはシノブなんだろうか?
おおらかで、相手のこと思いやってくれる、優しいシノブ。
恐る恐る振り向いた。
そして、目があった、そして、満面の笑みを浮かべてくれた。
「うん、ボクは、シノブだよ。 キミは?」
「オ、オレは……ハル」
「そっかぁ。 とっても良い名前だね」
「…………」
やっぱり、シノブはシノブだった。
「それで、涙の理由と、ボクの名前しっている訳、聞きたいんだけど、良いかな?」
「シノブ……」
「あっ、大丈夫、無理にとは言わないよ? 話せることだけで構わないし」
そして、シノブは、ゆっくりと掴んでいたオレの服を離した。
少しこそばゆかった。でもシノブなら信じてくれそうな気がした。
「……じゃぁ、信じなくても良いから、聞いてくれるか?」
「大丈夫、信じるよ。 ハルは、嘘つく人じゃないよね?」
そして、昔話を話すみたいに、オレは、シノブとの思い出を話し始めた。
シノブは、一切疑わず、そして、真剣にオレの話を聞いてくれた。
話が終わる頃、辺りはすっかり薄暗くなっていた。
「……ってな訳だ、信じてるか?」
「うん、すっごいね、ボクの好物や、好きなこととか、全部あってるもん」
記憶は無くても、オレの知ってるシノブのまんまだった。
安心すると同時に、何度めだろう、また涙が溢れた。
「シノブ……(信じてくれて)ありがとう……」
「ううん、此方こそ、ボク、今不思議な気分だよ、あっ、真っ暗になっちゃうから今日、家来る?余り広いアパートじゃないけど」
「い、良いのか!?」
また、シノブとの思い出を作れるだろうか?
そう思って改めて気付いた。
そうだ、無ければまた作ればいいんだ。
オレとシノブは、以前仲良く幸せな恋人になれたんだから、またきっとなれる。いや、絶対なって見せる!
でも、それまで……シノブとしたいって気持ち……いつまで我慢出来るかな……。
「うん、じゃ家こっちだから、着いてきて」
久々にシノブと手をつないだ。
そして、シノブの家に向かう中どうしても聞きたいことがあった。
「シノブ……ってさ」
「うん? どうしたの?ハル」
深呼吸して、生唾を飲んで。
「シノブってさ! 恋人いる? 居なきゃオレ立候補したいんだけど!」
驚くかと思った、でもまるで、そう言われるのを知っていたみたいに、シノブは、一言。
「うん、ボクでよければ」
それでもオレは喜びを隠しきれなかった。
「いぃぃ……やったぁーー!!」
そんな大喜びするオレをシノブは優しく見てくれていた。
「じゃ……改めて宜しくな、シノブ」
「うん、こちらこそ」
そして、1人暮らしをするには十分な広さのシノブの住んでるアパートへ案内された。
僅かに香るシノブの匂い。あぁ、シノブが住んでるんだな……。
思わず、鼻で深呼吸をしていた。
「あっ、ハル」
「っ!な、なんだよ、急に、別にシノブの匂い嗅いでた訳じゃ……」
「えっとね、今日、うどんで良いかな?って買い出しは明日行こうと思っててさ」
「おっ!うどん、あ、もし良かったら手伝っても良いか?」
「ん?……悪いよ、ハルは"お客様"なんだし」
「……」
勿論分かっている、別にオレを傷つけようとわざと言った言葉じゃないってこと、それでも、やっぱり『お客様』という言葉は、胸にグサリと突き刺さった。
(やっぱり、こんなもんかな……)
バカみたいにテンションあげたり、喜んでいた自分を急に虚しく感じ始めた。
「……ハル……ハルってば?」
「んっ?ぁぁ、何? シノブ」
「やっぱり、一緒にやる?……ボクら、恋人……だったよね?」
「そ、そうだぞ、シノブ、恋人っていったら共同作業か役割分担なんだからなぁ……ありがと……」
「うん、そうだね。 ん?何か言った?」
(恋人ということを思い出してくれてありがとう。)
ただ純粋にそう思った。
ちょっとだけ、一瞬だけ、シノブを嫌いになりそうだった。
でも、やっぱり、シノブは、シノブだった。
失言をしたとしても、大抵今みたいにすぐ気付く。
そして、久しぶりに、シノブと作ったうどんを食べ
至福の時を過ごす、風呂を一緒に入ろうかと思ったが、
シノブに先に風呂を勧められ、結局別々に入ることになった。
風呂が終わり、布団を敷くシノブを手伝おうとしたときだった。
「あっ!……」
「ど、どうした? ゴキブリか? オレが……」
ゴキブリを叩くのに適したものは無いか当たりを見渡そうとした。
「いや、そうじゃなくて、布団一つしかないから、どうしよう」
「別に、一つで良」
「良いだろう」そう言いきろうととした。
でも、オレらは、ついさっき恋人関係になったばっかりだった。
一緒に寝るのはちょっと早いだろうか?
「……」
それでも、寝たいか寝たくないかで言えば、前者だった。
「えっと……一緒に寝る?」
「お、おぅ!」
そして、数分後、先に布団に入り、横に詰めるシノブに手招きされ
オレは布団へ入る。
「どうぞ」
「お、おぅ」
(あ……あれ……こ、こんな時……勃つなよな)
(まて、慌てるな、感づかれないように布団に入りきってから背を向ければ……)
少しでも近くでシノブの匂いを嗅ぎたいのはあったが。
勃っているのが見つかるのはなんか、恥ずかしかった。
そりゃ、以前はやっていたが、今のシノブは以前の記憶が無い訳だ。
そして、布団に入り込み、シノブにちょっと背中がふれるぐらいの距離でオレは背を向ける。
「……ふぅ(セ、セーフだよな?)」
「おやすみ、ハル」
「お、おぅ、おやすみ、シノブ」
……
……
……
……
が、そんな勃った状態で寝つけるはずもなかった。
(せめて一発抜けたら……トイレ行くふりして、トイレで抜こうか
今、褌の上から掻いて(扱いて)、よく朝、夢精しちゃったってのもありか?)
(やっぱりここは、トイレで抜くか、シノブの匂い嗅ぎながらじゃないのは惜しいが、何よりここだとばれるリスクがある。)
そして、布団から出ようと思った時だった。
「ハル、もうちょっとくっついても良い?」
「あ?嗚呼 構わないけど、でもちょっとトイ……」
言いきるよりも早く、シノブは、オレを抱き枕みたいに、抱きしめてくれた。
「んっ……」
「ハ、ハル?大丈夫?」
「嗚呼、ちょっとトイレ……」
そして、布団を出ようとした時だった。
シノブの手が、事故的にだが、オレの股間を撫でる形になった。
「あ……」
「う……」
気まずい沈黙、こんな経験があった訳ではないが、シノブは、オレの今の『トイレ』=抜くと気づいてしまっただろうか?
顔がカァーッと熱くなる。恥ずかしい。
とりあえずトイレに……。
そう動こうとした時だった。
「そうだよね、前恋人だったんだもんね。セックスも何回もしたんだよね? 興奮しない訳無いよね」
「ぃぁ……そ……その……」
改めて状況をまとめられるが、それは、更に恥ずかしい気持ちにするに他ならなかった。
「良かったら……手伝ってあげようか?」
「へっ?」
思わぬ問いかけ、セックスが出来るのか?
体は、先走り、萎えかけていたモノが一気に膨張した。
…………
…………
「はぁ……」
そりゃ、そうだよなぁ、でもなんか物足りない。
「どうしたの?ハル 気持ち良く無い?」
「い、いや、すっげぇー気持ちいい、 多分もうちょっとかな」
「そっか、良かった。 ごめんね。本当はもっとしてあげたいんだけど」
状況はというと、布団の上の毛布の下で、抱き枕のようにシノブはオレを包み込み、その片手で、褌から露わにしたモノを優しく扱いてくれているのだ。
「いや、気にすんな、シノブにとっちゃオレはさっき知り合ったばっかりのやつなんだから、そんな初対面のやつにここまでやってくれるって十分すぎる、ありがとうな、シノブ」
「うー……ん」
必死に弁解するオレと、オレが満足していないのを感づいているのかシノブは、悩んでいた。
が、扱かれればやはりいつかは、射精が近づくもので。
「あっ……出そう……ありがと、後はトイレで……」
「大丈夫だよ、このまま出して、どうせ、(シーツと毛布)明日洗う予定だし」
そして、天国へ誘うように、シノブは、優しくも早く扱く。
「シノブ…………あっ……あっ……」
「ハル……顔見せて」
そう言われ、一瞬お預けを喰らう。
でも、振り返れば、優しい顔シノブが見ていてくれた。
「じゃ、気持ち良く出してね?」
「う、うん…………あっ……あっ……」
再びシノブがオレのモノを扱く。
シノブなりの優しさ、気遣い、シノブの体温、色んなものが
優しく、心地よくオレを天国へ誘おうとする。
「あっ、で、出る……シ、シノブ……」
「ハル……とっても可愛いよ」
その言葉に、耳を疑う間もなく、絶頂が一刻一刻と近づいて行く。
気持ちいいんだけど、変な気持ち、それは、シノブの体のお預けをくらっているから?
薄く眼を開け、虚ろな目でシノブをみた、優しくも見守るような表情だった。
「あっ……ゴメン……シノブ、ンッ……」
それは、まさに射精の真っ最中の快楽だった。
気がつけば、シノブの唇を求めていた。
舌でシノブの口元を撫でる。
そうする間もなく、シノブの舌とオレの舌が絡み合う。
「んっ……」
「んっんっ……」
射精の快楽は、数秒間続いた。終わると同時に、許可なくキスしたことを申し訳なく思った。
「ご、ごめん……シノブ」
「ううん、ボクもね、ハルの声聞いてたら……」
やがて、顔を赤らめ、シノブがオレの手にそっと触れた。
そして。
「あっ……」
そこには、勃起したシノブのモノがあった。
「セックスは、今度の楽しみにして……今日は……」
もじもじとシノブは恥ずかしそうに言う。
「ハルが良ければ……なんだけど、扱いて欲しい……だ、駄目かな?」
遠慮がちにこっちを見る目に、オレは心を奪われた。
気がつけば、乱暴に唇を奪い、乱暴に局部をまさぐり
「だ、駄目な訳ないだろ!……じゃぁ、シノブも気持ち良く出して?」
「……う、うん……」
オレらの初夜は、もう少しだけ続いた。
そして、改めて、本当の恋人になるまで、余り時間はかからなかった。
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