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「いやぁ……ゴメン、我慢できないんだけど、予定と違うけど良い?」
「んっ? あぁ、好きにしたら? 屈辱与えたいんだろ?」
二人は、番長がいることを知っているのだろうか? 先ほどまでとは違う、小声で会話を交わす。
そして、虎も犬もニヤリと笑う。が、虎が今度は犬の耳元で何かを言った。
「ロープで縛ったのは俺らじゃないってことにしようぜ?」
「あぁ、だね、たまたま拘束されていて、過去の恨みを……みたいな?」
「おっけ、グッド、じゃ、やろっか適当に」
*パンダ視点*
………
「……ぐっ……(あぢぃ……なんでこんなことなってんだろ)」
屋上の隅に、紫の褌一丁にされ、両手胸前で拘束され、口をネクタイ塞がれているパンダの獣人が1人、多少お腹は出ているのだが、柔道の熟練者を思わせるようながっちりした体格であった。
やがて、ツカツカと足音が聞こえ、屋上に二人の獣人が来た。
「……んっ!?……(あいつらだと良いんだが……でもま……あいつらじゃなくても助けてくれるだろう)」
パンダの拘束されている場所は、屋上の出入り口からは見えないにしろ、
屋上の真ん中に行き見渡せば視界に入る場所であった。
「……ふがっ…………ふがっ……」
パンダは声を上げようとするが、その声は、小さすぎた、そして、パンダは、足踏みをする。
タンッ……タンッ
じたばたする……。
ドタドタ…………ドタドタ……
そして、その物音に、屋上へ着た獣人の1人白い犬が気づく、
「んっ?今音聞こえなかったか?」
その問いかけに、ちょっとイジワルそうな顔をした虎が相槌を打つ
「ん? そうか? 誰かいるのか?……」
「……はぁ………はぁ……(あいつらじゃなさそうだが気づいてもらえたみたいだ、助けてもらおう)」
パンダは、口にあてがわれた布越しに、大きく安堵のため息を吐いた。
が……
「あ、売店で焼きそばロール頼んでたわ、一緒行こうぜ」
「おっ、いいな、一口くれよ?」
「おれとオマエの仲だろ、半分やるよ」
「おぉー、サンキュー、まじうめぇーよなぁ売店の焼きそばロール」
「……ふがっ……ふがっ……(待て、待ってくれ、助けてくれ)」
ドタバタ……ドタバタ……ドタバタ……タンッ……タンッ
その必死の音立ては、虚しく、二人の生徒は売店へ向かうため、屋上から去っていった。
「………はぁ……(なんでオレこーなってんだろ……)」
パンダはこうなる前のことを思い出そうとした。
*番長さん視点*
アレは多分、三時間目が終わり、その休み時間の時だった。(この学校は、午前中は四時間の授業、そして昼休み)
「あ、あの番長さんですよね?」
声の主は、女の子のようだ、声の感じから若干控えめな性格だろうか?
「んっ? 確かに番長だが?」
オレは、振り向いて、心を奪われた。
全身真っ黒な猫なのだが、凄く手入れのかかった毛並みで、更に上目遣いで、こっちを見ていた。
「な、な、何の用だ?」
「じっ、実はお話ししたいことがあって、少し屋上で話せませんか?二、三分程で良いので」
「……あ……嗚呼、ち、ちっとなら構わん……(も、もしや、こ、これは告白なのか?)」
だとすると、いつかは、恋人同士の関係になり、オレの息子をこの子の膣に………
更には、この子の喘ぎ声も聞ける訳だよな?
「ニヒヒ(グフフ……たまらんな)」
『ば、番長のおっきぃ、おっきぃっ、はぁっ、はぁあっっ……』
『うん、良いよ出して、番長の遺伝子私に頂戴っ、はぁああああああっっ、嗚呼来てる、来てる』
脳内で果てる、今ココにいる黒猫のことを想像して息が荒くなる。
「はぁ……はぁ……ジュルリ……といかんな、もっと純粋な気持で! コッ、コホンッ」
「あ、あの、先屋上行っててもらえますか? すっ、すぐ行くんで」
「あっ、嗚呼、待ってる、けどな、オレも忙しくてあんま時間ねぇーからな早めに来いよ」
「はい、では、屋上で!」
黒猫は、蔓延の笑みを浮かべた。 その笑みで、少しイヤらしいことを考えた自分が情けなく感じた。
純粋に付き合っていけたらな……オレはそう思い 屋上へ向かった。
……
えっ、アレ……どうしてオレ捕まってんの?あの猫ちゃんからの告白は?……
思い出した拘束される前の出来事、どこをどう考えれば、今の状況に至るのだろうか?
ふと、喉の渇きと、空腹を感じた。
そうこう考えているうちに、また屋上に近づく足音が耳に聞こえた、さっきの二人組みだろうか?
ギィ…… そしてドアが開いたようだ。
喉が渇いた、腹が減った、そして、尿を出したい。
そして、そのどれかも叶わない状況、ソレはオレにとってストレスでしかなかった。
そして、視界に、犬と虎が来ているのが分かった。
「ふがっ…ふがっ……(おーい、助けてくれ)」
オレは必死にじたばたした。
その様子に二人は驚いた
「あ、アレ? あれって番長さんじゃない?」
「まっさか、てあのがっちりした体系は間違いなく番長だな」
「ふぅ……(助かった)」
「大丈夫ですか? 今解きますね」
白い犬の手が、頭上で両手首を縛る縄にかかる。
が……縄が解ける気配はない
「あ、解く前にさ、本当に解いちゃって大丈夫?」
虎が急に問いかける。
何言ってるんだと思うと解こうとしていた犬の手が止まる。
「あぁ、きっと番長のこと大嫌いなやつがきっと5,6人がかりで 作戦練って今こうして縛ってる可能性あるもんな」
「……んっ」
5,6人と言う言葉に流石にドキリとした。5,6人相手なら叶うが、拘束されていは、2人はおろか、1人すら潰せない。
「あぁ……余計なことしたら逆にオレらがその5,6人にやられるかもしれないですしね」
「ふがっ……ふがっ……」
言いたいことを言おうとするが布が邪魔でいえない。
数秒が経ち虎が口を開く
「ん、なにか言いたいらしいぞ、口ぐらい大丈夫なんじゃねぇーか?」
「ん、そうか? 番長さん、騒がないでくださいよ?」
…… 状況にいらだってはいたものの、同意しなければ、口は解放してもらえそうになかった。
なのでオレは渋々クビを縦に振った。
そして、ネクタイが解かれ、地面に落ちる、オレは口を解放された。
「っぷはっ……ありがとな、えっと……なんかあったらオレらで助けるからとりあえず縄……」
「あの、すいません、騒がないでもらえますか?」
「はっ?……」
「いや、だから騒がないでもらえますか? 口塞ぎますよ?」
「……喋っちゃ駄目なのか?……」
「もし、番長を縛った5,6人が今屋上着たらどうなりますか? オレら悪くないのに巻き添えくらいますよね?」
「それはそうかもしれねぇが、すぐ仲間呼ぶからよ、指一本触れさせ……」
「駄目だ、コイツ頭悪いわ、口塞いどこう、つか知らん振りして帰ろう」
「はっ!?なっ、おっ、ちょい……」
こいつらからかっているのか? 縄で縛られてさえなければ、オレはこいつらを殴っているかもしれない。
そして、二人はオレから遠ざかる
「お、おい、待ってお礼とかするから……オレらの仲間でお前ら絶対警護するからよ、つかオレがお前ら……お?……」
二人が戻ってくる。
「口縛っとかないと」
「いや、おぃ、そうじゃねぇーだろ」
話が伝わらないことに苛立ちを覚え、口をふさがれまいとじたばたもがく。
「動くなって、オマエが騒ぐからいけねぇーんだろ……オレら番長らみたいに強くねぇーんだよ、文科系だし……」
「いや、だから助け……」
「なぁなぁ、とりあえず思ったんだけど、絶対絶命を助けてもらう恩人に誠意が感じられなくね?」
「……あーあー確かに」
「……なんだよ……」
ジタバタ動けば、理不尽なことを言われるのはなんとなくわかった、仕方なく言うことに従うことにした。
「えっ?なんですか?」
「……(なんでオレは番長なのにここまでプライドを捨てなきゃいけないんだ……)」
「なぁ、そろそろ、5,6人が来るんじゃね? オレら教室にでも戻って飯食おうか」
「なっ、ちょ……」
「だな、それが安全だし、うらまないでよ、番長さん、騒ぐ番長さんが悪いんだし……」
「とりあえず、口塞がせてくれないし 逃げよっか」
「おぃ、それなら、同じクラスの阪井呼んでくれないか?」
「…………」
どうして、アレもこれも拒まれるのだろう?オレは番長だぞ?
この縄解けたら、ぶん殴ってやる……
オレは、無意識に悔しく歯軋りをしていた。
「さぁーて、焼きそばロール半分こしようか」
「おっ、サンキュー、面倒ごと巻き込まれるなら屋上でなんか食えないよなぁ……」
面倒ごとと言われ、悪寒が走る。タイマンならまだしも一方的に殴られるのは嫌だ。
本当に助けてもらえないのか? 5,6人と言うフレーズが頭を過ぎり、バッドや何かで殴られる自分を想像する。
そう考えると、口が、恐る恐る無意識に動いていた。
「わっ、わ、分かった、なんでもする……だから助けてくれ……」
そういったのは、自己防衛のつもりなのだろうか? 正直、予想外の出来事に何をどうすればいいのかオレには分からなくなってきていた。
そして、戻ってきた二人にいやいやながらネクタイで口をふさいでもらった。
そうしないとこいつらは解いてくれそうにない…… ぶん殴りたい気持ちを一生懸命ごまかすことにした。
……
2,3分が経った、オレは、じっとしてろと言われたので、ただ、飯食う二人を眺めていた。
喉も腹もすいている。 腹音が鳴るのに時間はかからなかった。
『ギュルルッ……』
「ふがっ……ふがっ……」
特に何かを言いたいわけでもないが、適当に弁解だけはしておきたかった。
「へー、腹減ってるんだ、番長さんも食う?」
「むぐっ?……」
思わぬ問いかけ、少し考えた末オレは頷いた。
ネクタイが解かれる。文句を言いたい気持はグッと堪えた、
余計な発言はしないほうが良いだろう、その余計な発言は恐らく、『縄を解け』や『助けて』に関することだと思う。
焼きそばパン、二口分ほどを、手でちぎり、虎が口元に差し出す。
羞恥に耐えながらも、鼻腔を優しく刺激する。甘辛そうなソースの匂いに思わずオレは生唾を飲んだ。
「すまんな」
そういって、ぱくりと食いつこうとした刹那、手を引かれる。
「ぶはっはっ……可愛いなぁ番長」
「っぐっ……おぃ……からかうのはよせ……」
(手足が自由にさえ使えれば、泣こうが喚こうがコイツら血だるまの半殺しにしている)
とオレは思った。
「なんつーか……オレらまでイジメたくなってこない?」
その言葉に悪寒が走る。 こいつらまで敵に回ったらオレは……
「はははっ……冗談やろ?」
あっさり笑って『はい』と答えてくれるのを切に願った。
だが……帰ってきた返事は
「んー、どう思う?」
虎がイジワルそうに犬に問いかける。
「さぁーなぁ、と、あんまからかうのやめてやろう、えっと オレの分も半分どうぞ
今度はすんなり口に運んでくれた、そして、若干大きめの一口をオレはよくかみ締めた。
複雑な状況なのに、売店の焼きそばロールなだけあり、味はクソ美味かった。
「んっ……んっ」
ちょっとだけ笑みもこぼれてきた時だった。こいつらなら助けてくれるだろう、そう思った。
「あ、喉も渇いてるでしょ?」
そして、ペットボトルの天然水をゆっくりと差し出された。
水と一緒に噛み締めていた焼きそばロールを流し込み、喉も潤され、オレは幸せを感じた。
いや、幸せな状況ではないんだが……
そして、虎のほうから、さきほど差し出されかけていた焼きそばロールをもらい、再び噛み締める。
「ってかぁ……番長 めっちゃかわいいなぁ……」
虎のほうがオレを愛おしそうな目で見ていた。
「確かに、強面な番長も今は、身動き取れないデブパンダですしね」
「……ぁあぁ?」
デブと言われカチンときた、デブではない、確かに脂肪はあるが、それと比べると筋肉量だってちゃんとある。
「あ、すいません、冗談ですよ」
「そうっすよ、番長はこんな状況ながらもやっぱかっこいいっす、写メとっていいっすか?」
「良い訳……」
反論しようと思ったが、暫らくは言いなりになろうと我慢することにした。
機嫌を損ねて帰られては、5,6人からリンチされる危険がある。
虎は、ポケットから携帯を取り出し、携帯のレンズをオレに向ける。
流石に直視できず下を向くが
「番長さん、オレも失礼します」
「えっちょ……何故オマエまで……一枚だけだからな……」
カシャッ カシャッ 二人の携帯からシャッター音が聞こえる。
何故だろう、嫌なのだが、変な羞恥が心にチクチクする。そのチクチクは、不快なものもあるが、心地よいものもあった。
オレって……M?……
ぶるぶる、首を振って我に返る。
「番長さん、一枚だけとか言いました? 立場分かってます?」
「……すっ、好きに撮れ……」
結局、5,6枚ずつ写真をとられることになった。
「あっ、先走りでてますよ。 番長、ど変態だったんですね」
「何!?えっ、嘘?……」
「写メろっと」
「おぃ、待て オレも」
確認しようにも腹の脂肪が褌を遮っていた。
そして、数分後、気が付けば、雑談をしていた。
正直一分でも早く縄を解いて欲しかったが、ソレ系の話題を振ると嫌な顔をするのだ。
今まで積み上げてきたものが無残に汚されている気がした。
犬が、懐から、タブレットケースを出す。
「と、栄養補給しとかないと」
「お? オレにもちょーだい」
「あぁ、番長もいる?」
「へっ?……」
そう問いかけられ疑問に思う刹那、タブレットケースからは、2つの紫色のカプセルが出てくる
そして、一つを虎に渡し、もう一つを自らの口に含む。
付き合い上こういうのは断ると印象が悪くなる。
「あぁ、じゃオレも一つ」
「番長、体大きいから2錠がいいかな、どうぞ 口開けて」
「んっ、あ……」
「水いります?」
「嗚呼、いらんがのどか沸いてるからもうちょっと飲ませてもらっていいか?」
「はい、どうぞ」
言われるがままにカプセル剤を飲み、水を飲ましてもらう。
「飲みました?部長……じゃなかった番長」
「っぶっ、オマエほんと変なタイミングでボケはいるな」
「っぷっ、飲んだ、ありがとな、部長かぁ……早くこんな学校おさらばして金に困らない社会人なりたいよな」
ふと、犬の誤爆でうまれた笑い。
仲良くなれるかな、なんてちょっと淡い期待を抱いてしまった。
「ところで何の薬なんだ?」
「あぁ、えっとその前に……っぷっ……」
「えっ?」
犬が飲んだと思ったカプセルを吐き出した。それに続き
「っぷっ……まさか本当に飲むとはな」
「お、オマエら……オレに何を……」
二人がニヤリと笑い、一度顔を合わせてからオレのほうを向いて言った。
「番長さん、ソレ、バイアグラ(精力増強剤)ですよ?……あはははっ」
「だあああっははっ、見事かかってやんの、さぁーて……」
虎は大笑いする。 オレは突然のことで何がなんだか分からない。
虎は続ける。
「いじめられる前の気分はどうですか?」
オレは、冷や汗をかいた。そして、薬のせいなのか、今の状況のせいなのか、状況が特殊すぎて
混乱して、息が上がっていくのを感じた。そして、多分かもしれないが……
オレはこいつらを虐めたことがあるかもしれない……だとしたら……こいつらが仕組んだこと?……
*
「前編終了です、おつっしたぁ~」
「ってなわけで、アイキャッチッス!(アニメの前半後編繋ぎ風に)」
「……えっ、何これ…」
「…ノリ悪いなぁ~、番長さんもやってくださいッス」
「ア、アイキャt……つか縄ほどけぇーっ!!」
*
※ページ切り替え編集などは時間があるときにします。 読んでいただきありがとうございました。
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