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バースデー小説

  [newpage]

  バイトが終わって風呂上り、カレンダーを見ると、明日は6月15日だった。

  オレの誕生日だ。そして、誕生日ぐらい遊びたいなと思い親友の皐月(さつき)に電話を掛けてみる。

  「もしもしー、ん?芝吉かぁー、元気かぁ?」

  「あー、うん元気、いきなりだけど、明日あいてる?」

  「ん?……明日なんかあったっけ?」

  「じ、実はさ、オレの誕生……」

  「あ、明日は予定入ってるわ、すまん、仕事場の仲間とさぁ……」

  言い切る前に皐月は、申し訳無さそうに謝った。

  「ん……分かった。じゃ、……」

  誕生日、誰かに祝ってもらいたかった。といってもその誰か=友人

  友人は、殆ど居なかった今電話した皐月を除くと

  それ以外の友人に祝われても嬉しくない気がした。

  「あ、待て、家いるか?」

  「ん……居るけど、どうして?」

  もしかして、来てくれるとか?少し淡い期待をするが

  「いや、居るなら良いんだ、そだなぁ、明々後日昼ならあいてる、オマエも仕事休みだよな」

  「うん……」

  明日じゃなきゃ意味が無いのに、

  「因みに今はなにしてんだ?」

  「家でゆっくりしてるけど……仕事終わったから」

  「そかそか」

  「どしたの?」

  「……いや、なんでもない」

  どうも様子が変だった。しかし、それよりも明日祝ってもらえないというのが凄くショックだった。

  「明日、オレの誕生日なんだけど」そういったら、予定潰して祝ってくれるだろうか

  「明日、オレの誕生……」

  「あ、わりぃ、明日の打ち合わせみたいだ。じゃ、明々後日な」

  「あ、うん……」

  ツーツー

  皐月は、返事すら待たずに、電話を切った。

  携帯の待ち受け画面は、皐月と一緒にピースしたツーショット

  どっちも笑顔で凄く楽しそうだ。しかし、今は、見ていると虚しくなってきた。

  「はぁ……」

  心はどんより、少し早いけど寝るかな……

  

  そして、数時間後

  心地よい夢を見ていた気がする。

  家のドアを叩く音で起こされる。

  「むぅぅ……誰だよ、こんな時間に」

  ベッドをまさぐり、手に携帯の感触が走る。

  掴んで、開いて時間を確認する。

  6月15日2時13分

  虚しい誕生日のハジマリだ。

  「ハイハイ……ったく……誰だよ」

  ふらつきながらも、ドアの前にたどり着く。

  「誰ですかぁ……ふぁぁ……」

  ドアを開けると、そこには見慣れた体格の人物がいた。

  「よっ!、ハッピーバースデー、オマエが生まれてちょーど21歳だよな」

  皐月だった。

  「へっ?」

  「いやぁー、わざわざ、オマエの母ちゃんに聞いちゃった。一番最初に祝いたかったからなぁー」

  そういえば、深夜に生まれたと親から聴いたことがあった、

  「俺ら親友だろ?、忘れるわけないさ」

  その言葉にじわり、涙腺を刺激された。

  「ぐぅ……だって……用事入ってるって……」

  ゆっくりと皐月に抱かれた、そして耳元で呟やかれた。

  「めんこいなぁ……」

  「ぐっ……バカ」

  「なぁ?うすうす気づいてたんだけど、オマエホモだろ?」

  「…………な、何……」

  思いもしない急な発言に、オレは息を呑んだ。

  「オレはホモじゃねーけどな……こー触られるのも好きか?」

  触れられた場所は、自分で触ったことはあっても誰かに触られるのは初めてだった。

  くすぐったく心地よかった。

  「んー……んんっ……」

  普通なら拒むのに、体が言うことを利かなかった、それともオレは皐月にそうされたかったのであろうか?

  「なぁーんだ?いやがらねぇーの?」

  さげすむような皐月の目、ソレすらも心地よかった。

  そして手がやんだ。

  「……ぅ?」

  オレは、つい求めるかのような甘い声を出してしまう。

  すると、勝ち誇った目で見下しながら皐月は言った。

  「ベッドまで案内しな、そのほうがいいだろ?」

  渋々と頷き、オレは、ベッドへと案内した。

  ベッドの横に腰を掛け、モジモジする気持をなんとか落ち着けようと頑張った。

  しかし、これから何をされるのか考えるとドキドキした。

  ああいうことをされたんだ、結果的にセックスをすることになるであろう。

  「……ん……」

  オレは、ゴクリと生唾を飲んだ。

  落ち着いたのを察してか、皐月は、オレを見て言う。

  「全部脱げ、続きはそれからだ」

  コクリと頷き、言われるがままに、全裸になった。

  触られた刺激により、雄の逸物は、天を見上げる形となっていた。

  「滑稽な姿だなぁ」

  「……ん……」

  侮辱されているのに胸がキュンとする。

  皐月は、心のそこから侮辱しているわけじゃない。

  ただ、からかおうとしていっている。

  

  そいえば、二人の時はよくからかわれていたっけ。

  皐月がSでこっちがMで

  よく困らせられることもあった。

  でもその後、必ず、にっこりした顔でいつもこういうんだ。

  「バーカ、嘘だよ ほんっと弄りやすいな芝吉」

  

  全裸になりベッドに腰を掛けようとすると

  急に、皐月に押し倒され、乗っかられた。

  股間を扱かれ、声を漏らした。

  「んっ、んんっ……」

  「オレのこといつからそういう目で見てたんだ? あぁ?言うてみ」

  「ぇぁ……み、見てない」

  「嘘だろ、そんなすんなりオレを受け入れてさ、なぁ? いつからだ?」

  皐月の強引な攻め、それに胸がキュンと締め付けられる。ドキドキする、そして心地よい

  「み、みてないよぉ……」

  本当のことを言ってるつもりだ。確かに、皐月がしてもいいならされてもいいって思ったかもしれない。

  

  「いいから……認めろよ……」

  皐月のいやらしい声が耳を通る。

  何故かそんな声に感じて、喘ぎ声を漏らすのだった。

  どう答えればいいのかは、なんとなく分かった。

  ただ、そう呟くのは恥ずかしかった。

  「……は、…・・・はぃ……」

  振り絞る声で返事をした。

  「で、でも……オマエのことは、(獣)人として、友達として……凄く好きで……」

  誤解は生みたくなかった、だからありのままの気持をさらけ出した。

  「ほー、そうかそうか、でも感じてるんだよな、逝きそうだよな?」

  扱かれ、快楽は、頂点に差し掛かろうとした。

  「……で、……出るっ……」

  そして、じわりとオレは、射精をした。

  

  [newpage]

  「んっ……んぁ……」

  真っ暗な部屋の中、一人目が覚めた。

  夢精後の虚無感、それは、虚しく、寂しいものだった。

  「夢……か……」

  夢であんなことされて気づいた、そして、今まで彼女を作らなかった理由もなんとなく分かった。

  オレは、……皐月のことが大好きで……皐月の傍にいることが幸せだったんだ。

  でも、皐月ってそっちの毛あるのかな……

  

  というか誕生日か……今何時だろう

  携帯の時間を確認するつもりで、枕元に置いていた、携帯電話を開いた。

  携帯のディスプレーには、6月15日1時47分と書かれていた。

  皐月まだ起きてるかな?

  「……3コールだけ……」

  そう決めた、3コールで出なかったら諦めよう、そして、リダイヤルから、そいつの名前を見つけ、発信した。

  

  ……

  

  ……

  

  ……

  

  3コールが経った、流石に寝ていたのだ。起こしちゃ悪いと思い電話を切った。

  

  せめて、電話越しでいいから、皐月にオメデトウって言われたかったな……

  

  なんで、大抵暇なのに、なんでこういうときに限って皐月は、予定いれてるんだろう。

  皐月のことを嫌いになろうと思った、でもそう簡単に嫌いに離れなかった。

  そもそも、前日に誕生日なんだ、なんていうほうがおかしい、

  皐月は正しいのだ、オレが急にそんなことを言ったからいけないのだ。

  そして、電源ボタンに指をあてていたため、画面には 『see you』の文字が表示され次に、画面が真っ暗になった。

  

  そして、夢の中での行為がじわりじわりと、脳裏に蘇ってきた。

  好きなんだと分かると、胸がキュッと締め付けられた。

  「……好き」

  かすれるような声でそう呟く。

  「……好き……好き……好き……好き…好き…好き…好き、好き、好き好き好き…」

  気が付けば、月明かりに照らされた、透明な雫が頬を伝っていた。

  抑えられない気持、大声で『好き』といいたかった、だから、枕を口に押し付け、オレは叫んだ。

  「ふ、ふ、ふふぃふぁあああああ(す、す、好きだああああああっ)!!」

  そして、そのまま枕に涙を流していた。

  

  どれぐらいが経っただろう、少しは気持ちが落ち着いた。

  

  

  

  恋しい、会いたい。

  夢を思い出せば思い出すほど、皐月のことが好きになっていく。

  今まで皐月でエッチなことは想像したことはなかった。

  普通のエロ本を貸してもらったことはあったり、

  そいえば、エロ本についた、シミで、こういうのが好きなんだ、こういうので抜いてるんだとか意識したら

  胸の中がドキドキしたことってあるっけ、

  恋しさを紛らわすため、枕をギュっと胸元で抱きしめる。

  (オレじゃだめなんかなぁ……)

  好きだという気持ちは、何故か自分を幸せにしてくれた。

  今後遊ぶことがあったら、今までよりずっと幸せに感じさせてくれるんだろうな。

  「皐月ぃ……」

  名前を呼ぶだけでどうしてこんなにもこころが暖かくなれるのだろう。

  今までコンナ気持なかったのに……

  「皐月ぃ……」

  そう名前を呼んだ時だった。

  『コンコンッ』

  ノックの音が聞こえた、誰だろう?皐月は寝ているだろうし……

  今は、皐月以外には会いたくなかった。

  万が一、電話で起きたとしてもこんな直に、来るはずは無いだろう

  確かに家は近いが……

  ノックは、暫らく続いた、1,2分だろうか、そしてノックは止んだ。

  ……

  1分が経った、来客は帰っただろうか、ひょっとしたら皐月だっただろうか

  オレは、重い体を起こし、ドアの鍵をあけ、ドアを開けた。

  『ガツッ』

  とドアが何かにつっかえた。

  何だろうとおもい、再び力をいれドアを開けた。

  『ガツッ』

  「痛っ、お、起きたか?芝吉」

  どうやら、ドアの前に皐月が居たらしい。

  「皐月ぃ?……」

  不思議な気持だった。手の力が抜けた。

  そして、ドアが閉まる。

  そして、再びドアが開いた。どうやら外に居た皐月が開けたようだ。

  「よっ、ハッピーバースデー、芝吉」

  ……

  オレは嬉しく言葉を失った。目元がかぁーっと熱くなるのを感じた。

  「皐月ぃ……」

  名前を呼んでみる。反応に期待しているわけではないのだがドキドキした。

  「どした? あ、というかそれは俺の方だな、電話ありがとさん、お陰で助かったよ」

  「へっ?」

  [newpage]

  時間は遡り……皐月視点

  

  

  

  

  何故だ?何故追われている?、捕まれば死ぬ?……

  俺は、走っていた。後ろには、巨大な鎌を持った黒いカーテンクロスの実体の無さそうな化け物が居た。

  俺は、もっと早く走れる、なのに、体がふわふわして言うことを利かない、

  し、死にたくない……怖い……誰か……助け……

  まるで、必然的なことのように、俺は、何かに躓き、転んだ。

  そして、直そこまで、鎌をもった化け物は着ていた。

  『キキキッ……』

  化け物の声、体に見合わず、高い声だった。

  笑っていた、殺意に満ちていた。それは、とても怖かった。

  「た、助け……」

  と……その時だった。

  

  ~~♪

  聴きなれたメロディーが流れ始める。辺りの風景が闇の中に消えた。

  

  ~~♪

  化け物と鎌が消えた。

  

  ~~♪

  まっくら闇に一人取り残された。

  

  何が起きたか自分にはさっぱりだった。

  そして、目が覚めた。

  どうやら俺は……携帯の着信で起きたようだ。

  「夢……か」

  しっかし、こんな時間に誰だろう。

  携帯の着信履歴を開くと、そこには、『芝吉』と表示されていた。

  「アイッツ……」

  今日は、芝吉の誕生日であった。ちょっと驚かせるために昨日の電話時には、予定が入ったと誤魔化してはいたが

  しかし、プレゼントって何を買えば良いんだろうな、

  さっぱり案が浮かばなかった、そして、こういうときは、自分がプレゼントされて嬉しいものという相場もあった。

  「嬉しいもの……ねっ」

  真剣に考えているせいか、独り言をもらした。

  「……」

  ……

  

  ……

  

  ……

  

  「だーめだ、わかんね」

  そいえば、電話って何のようだったんだろう、こっちからかけてみる。

  

  ……

  

  ……

  

  『お掛けになった電話番号は、電波の入らないところにあるか、電源がはいってないためかかりません』

  

  ……

  「起きてるってことだよな?、近いし、行くか……」

  酒とか飲むかな?そう考えるとワクワクし始めた。芝吉と飲む酒は最高に上手かった。

  が、最近、芝吉にプレゼント代をキープしているせいで、金欠だということを思い出した。

  「そいえば、冷蔵庫になんかあったけ」

  オレは冷蔵庫に入っていた買い置きのチューハイをバッグにいれ、財布と携帯をポケットにいれると

  芝吉の家へ走った。

  [newpage]時間は戻って、芝吉視点へ

  

  オレは、ぽかんとしていた、皐月は、改めて話題を出した。

  「ん?とりあえず、ハッピーバースデーな?」

  「あ、う、うん、ありがとう」

  何故だろう、今は会話してるのでさえむず痒い。

  今まで二人っきりになることはしょっちゅうあったのに、何故かオレは緊張していた。

  「あがっていいよな?彼女とか連れ込んでないよな?」

  「か、か、彼女!?」

  「っぶ、連れ込んでるのか、じゃ邪魔したかな」

  「い、いやいやいや!居ない、居ないっから!上がって上がって」

  「そか、良かった、じゃあ、邪魔するな」

  オレは、緊張していた、コクコクと頷き、皐月を招き入れた。

  

  皐月と飲むチューハイは好きだった。

  でも、何故か喉を通らず、ほんの数口しか飲んでなかった。

  「オマエも21かぁー、オメットオメット」

  早くも酔っているのか、皐月は、完全に上機嫌であった。

  「あ、ありがと」

  場つなぎで、オレはちびちびとチューハイを啜った。

  「そいえば、芝吉、何が欲しい?」

  「え?」

  「いやー、誕生日って言ったらプレゼントだろぉ?、予算それなりにあるから何でも買ってやる」

  「え、いいよ」

  当然遠慮した、高価なものを買ってもらうのは忍びないし、何より、真っ先に祝いに来てくれたことが嬉しかった。

  「しょんなこたああああーねぇーだろ?俺の気持ち受け取れねってかぁ?じゃぁ、願い、願い言えよぉー、俺にできることならやってやる」

  願い、何故かそういわれた時、恋人になってほしい、真っ先にそう思ってしまった。

  でも流石にそうそう簡単に言えるものではなかった。

  「あ、皐月ってさ彼女いる?」

  「んーぅ?なんで俺のこと?えーーーまぁー、今は居ないかな、つかオンナってめんどいよ、わがままだし」

  「そかぁ、ゴメン、悪いこと聞いちゃったね」

  「そなこたぁーねぇーよぉー、つか、オンナと比べると、芝吉はめんこいなぁー♪」

  上機嫌の皐月、酔いのせいなのは分かっている。

  分かっているつもりなのだが

  「お、オレのこと好き?」

  「んぁ?でぇーーーー好きだよぉーぉー♪芝吉ぃー」

  何故か、おでこを擦り付けられる。皐月のマズルから漏れる酒の匂いがほんわか鼻を刺す。

  何故だろう、唇がむずむずする、してもいいのだろうか………

  

  キ……キスを……

  

  「皐月ぃぃ……プレゼントいらないからさ……一瞬だけ、目瞑っててくれない?」

  「ふへっ?プレゼントはやるからなぁ………んー、どうぞぉ~♪」

  皐月は、目を閉じた。オレは恐る恐る…

  マズルを近づけた。

  「はい、終わりぃーっ、一瞬でよかったんだよなぁ?へへへっ………」

  やろうとした行動に静止は利かなかった。だからオレはそのまま……

  皐月の口先にオレのマズルをくっ付けた。

  「んっっ……」

  「ふへっ?芝吉ぃ?何やってんだぁ?……ちゅぅーの練習かぁ?」

  背中にむずむずした感覚が走った。かきむしりたいぐらいむずがゆかった。

  「……う、うん……」

  相手は酔っ払っている、だから素直な気持で答えられた。どうせ記憶には残らないだろう。

  皐月は酒癖が悪く酒に弱いのだ。

  「もぅ気ぃ……すんだかぁ?……」

  そういわれるとまだ足りない、そいえば、舌を絡ませるとか聞いたことがある、

  そう意識すると舌がウズウズしてきた。

  「ま、まだっ……」

  オレは、我を忘れたように、皐月の口に舌を捻じ込んだ。

  皐月は何もしなかった。我に返り、まずいと思い。行為をやめた。

  「ご、ゴメン……皐月……」

  「ん……構わん、……ところで、芝吉」

  気のせいか声のトーンがいつもの皐月に戻っていた。

  「オマエは、ホモか?……」

  「……ぁ……」

  相手も我に返ったらしい。どうすればいい?完全に嫌われた?

  「芝吉?オレきいてるんだが?」

  「あ……えっと……」

  もう逃げれない、だから正直に言うことにした。

  「ホモかは分からない、普通に女の裸でも興奮するし、でも、今は、皐月が好きなんだ」

  「……ふーん……」

  皐月はゆっくりと相槌を打った。そして

  「奇遇だな、オレも芝吉、オマエが好きだ、オマエが望むなら、えっちぃこととかでもしたいなぁーっとか……」

  「うっ……」

  「っへへ、キスありがとな、オマエの誕生日なのに、俺がプレゼントされてやんの、ははっ」

  「う、う……」

  申し訳なく感じてオレは、首を左右に振った。

  「オレからもしていい?」

  「ん……」

  体中がドキドキする。心臓の脈が速くなっているのが分かる。

  オレは、小さく頷いた。

  「ハッピーバースデー……芝っ……」

  そして、オレは初めて、皐月から、長い長い、口付けをもらった。………

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