第六章 青き毒の招待状 ―夜の神殿の生贄たち― 2
「「「あ……っ、が、あぁあああああああああッ!!!」」」
アニスと手をつないでいた三人の娘たちが、同時に地面へ崩れ落ちる。
「なに、これぇぇえっ! だめっ! 何かが、何かが入ってくるぅぅっ! いいいいっ!」
白目をむき、涎を垂らしながらもだえるベラ。
「ひぐっ! いぎぃっ! んふぐぅぅぅっ!」
苦痛とも嬌声ともとれる声を上げながらのたうち回るルナ。
「あ……あ、あ、あ……あ」
流れ込んできた大量の魔力によって気を失ったミリー。
手をつなぎあう三人の脳内では、カイルの冷徹な指先が全身を這い回り、皮膚の奥底までを掻き回すような、暴力的で圧倒的な愛撫が、繰り返し、繰り返し再生されていた。
「アニス……っ! なに、これ……っ! 熱い! 体の中が、焼けるみたいに熱いよ……っ! あっ! だめっ! いああぁぁぁぁっ!」
もだえ苦しむベラの身体に刻まれていた橙色の紋章が、カイルの魔力に徐々に汚染され、どす黒い色へと変色していく。それを見たアニスはかつてないほどの快感に酔いしれていた。
「あぁ、見てくださいご主人様。いつもあんなに澄ましていたベラが、今はもうあんなにもだらだらと涎を垂らして、ご主人様の魔力に酔っています……あはは! 気持ちいい……! ご主人様の力で私が嫌いだった女たちが壊されていく。あはっ! 最高です。最高の気分です……っ! ご主人様!」
アニスの紋章もまた、友人たちを蹂躙し主人に捧げる悦びによって、より深く、より不気味な黒紫色へと輝きを増していた。
「カイル様……カイル様ぁッ! 私、私を……もっと、もっと壊してください……っ!」
「んいぃぃ! ご主人様に、忠誠をぉぉぉ、忠誠を誓いますぅぅ! んいぎぃ!」
他の二人もベラ同様、身体に刻まれていた紋章の色が変化していく。
恐怖を絶頂へと変換され、ルナの純白の紋章は真っ赤に染まっていく。
ミリーの深紅の紋章は熱に焼かれたように、黒ずんだ赤紫色へと変色しいく。
「ふふ、ふふふふ、ふふふふふふ……っ」
かつての友人たちが涎を垂らし、自我を失って主人を乞う姿を見て、アニスは心の底から込み上げる「選民的優越感」に酔いしれていた。
「……あは! あはははは! 見てくださいご主人様! この子たち、さっきまであんなに澄ましていたのに、今はもう、ただの肉の塊ですよ! 自分が特別になれると思っていたなんて、身の程を知りなさい! いい? ご主人様の特別は私だけ、私だけなの。あなたたちは所詮、私の模造品、私の劣化版でしかない……みんな、私がご主人様の特別に近づくための『踏み台』でしかないんだから……みんな私のために、これから精一杯、働かせてあげる! あははははっ!」
狂ったようなアニスの笑い声が、誰もいない廃墟に響いていた。