獣人の性処理義務が法律化されてはや数年。獣人たちの社会は驚くほど改善されていった。
そもそも獣人の性欲は掃いて捨てるほどあり、定期的に処置をしないとトラブルに発展する恐れがある。その為に考案されたのが獣人の性処理義務。それは満18歳以上の獣人を対象に、一週間に5回以上の射精が義務付けられる法律。それら諸々の問題を管理する為に、獣人種の日本国民に1日にどれだけ射精をしたかを計測する為に専用の小型のアクセサリーをつける、それらを紐づけるアプリの開発など、法整備等は筒がなく進行して行った。
このおかげで獣人社会は順調満帆であった…がしかし、その裏でこの法律を陰で悪用してる者がいるのもまた事実であった…。
俺の名前は鮫川 滝夫。今日から社会人となるごく普通の鮫獣人だ。鏡の前でスーツを着た自分に一種の緊張を覚え、尻尾が忙しなく動いている。その光景は自身の鮫獣人特有の強面と相まって至極滑稽に見える。
けれどそれには理由がある。なにせ就職活動中に数少ない手応えと内定があった場所へ赴くのだから。プレッシャーを覚えるのも無理はない。
「よし…」
俺が応募したのは新進気鋭の企業馬狸太刀(ばりたち)商事。この会社では近年雄獣人の性欲のトラブルがゼロと言う実績を持つ。と言うのも、雄獣人の持つ性欲は掃いて捨てるほどあり、処置を怠るとトラブルに発展する恐れがある。それらを事前に防止、対処するのが社会的、人道的にも望ましいとされ、それら全てクリアしている馬狸太刀商事は時の企業だった。俺は学生時代発情期が人一倍辛かったこともあって、獣人の発情期のケアを大事にしてくれている点はありがたかった。
「今日からみんなと働いてくれることになった、鮫川さんです。皆さんどうか彼を一人前の社員にしてくれたまえ」
「鮫川 滝夫です。皆さんどうぞよろしくお願いします」
俺の自己紹介を終えると室内に拍手の嵐が巻き起こる。ふとよく見ると全社員は皆大型獣人と小型獣人ではっきり分かれていた。初めて見た鮫川はこの意味を特に気にしなかったが、後にこの馬狸太刀商事の実態を知ることになる。
「それじゃあ鮫川さんはここ営業部で1年間、向こうの牛獣人の彼、牛沢の元で仕事してくれ」
「本社の方針でな、入社して1年以内は試用期間ということで、ここ営業部でこの会社の社風に馴染みつつ、君の得意分野を見極める。よろしいかね?」
「はい!」
「営業部係長の牛沢です。鮫川さん、1年間よろしくお願いしますね…」
和やかな笑顔と声色で握手を求める牛沢。営業職で培われたその仕草は、まだ何も知らない鮫川の緊張と警戒を剥がすのには十分だった。同時に鮫川は左手を突き出し、牛沢の握手に応じる。暖かく、決して相手には無理をさせない、ヤリ手の手法だ。
「それじゃあよろしく。1年後、君の結果次第で所属部署を伝える。どうなるかは…その時のお楽しみだ…」
そう言って虎獣人の虎郷社長は営業署を出て行った。
[newpage]
鮫川が馬狸太刀商事に入社してから半年後。鮫川は地頭は良くないものの、持ち前の負けず嫌いな生来でここまで喰らい付いてきた。しかしそんな鮫川に、獣人故の抗い難い衝動が襲ってくる。
「(あっやっべ、ムラムラしてきた…)」
発情期。雄獣人に年に4、5回は来る性衝動であり、ご先祖様の種を存続させるためのメカニズム。種の存続が安定化した現代社会であっても、発情期の衝動には基本逆らえない。
今日までは仕事や社会人のマナー覚えたりで忙しく、発情期の兆候はなかったものの、本能が鮫川の体を安全地帯にいると認識し、本気の子作りモードへ移行させた。
「すんません牛沢先輩、俺発情期休暇午後取ります…」
「む、今の時期にかい?まあ君はここのところ頑張ってたからね。しかし丁度良かった、私も発情期休暇を取ることにしたよ」
「先輩もっすか?じゃあ一緒にツレオナでも行きましょうよ」
「そうだね。それじゃあついてきてね、君は今回が初めての発休だからね…」
牛沢はどこか妖しい笑みを浮かべながら、営業部署を後にする。鮫川も牛沢の一風変わった様子を疑問に思いながらも、心の中で燃え始めて本能には逆らえず牛沢の後に続いていく。
二人はエレベーターに乗り、牛沢は迷いなく一階へのボタンを押す。扉が閉まり駆動音の後、二人の雄獣人を乗せた小さな箱は静かに目的の階まで降りていく。
「あの、結構厳重な場所にあるんすね。俺が通ってた高校なんて法律ができたばっかだったから仮設テントに搾精マシンがドン、ですよ。おかげでテント周りはすげぇ雄臭いのなんのって…」
「そう言えば鮫川さんは、この会社の発情期厚生に惹かれて志望したんでしたよね」
「へ?まあそうっすね。俺は発情期の間隔が短いらしくて2,3ヶ月に一回は搾精機使ってましたね」
「そうか。鮫川さんは性欲が強いのか。ならきっと気にいると思うよ。我が社が誇る合理的な発情期厚生をね…」
エレベーターの扉が開き、馬狸太刀商事が誇る性処理課の真の顔が現れた。
鮫川がかつて嗅いだことのある、グラウンドの隅に急遽建てられた仮設搾精室。そこは防音機能はおろか、仕切りで区切られただけの最低限の設備。耳を傾ければ性欲旺盛な男子高校生の喘ぎ声、鼻を動かせばむせかえるほどの汗と精液の匂いが漂っていた。
馬狸太刀商事の性処理課は、そんな苦い思い出を一瞬で吹き飛ばす程の衝撃的な光景だった。
そこは馬狸太刀商事があるビルの空き部屋に用意された場所。本来ならば行政指定の搾精機を防音壁で個室として仕切り、定期的に清潔を保つことが必要とされる。
そこは…搾精機の代わりに手術台のような台に屈強な雄獣人が四つん這いで拘束され、その尻穴に発情期に罹った雄獣人が性処理をしている光景だった。
鮫川は言葉を失った。今自分は見ているものは現実にものなのか。
「どうかな、馬狸太刀商事の性処理課は…」
「性処理課…?」
課と言うからには立派な部署でもあるのだろう。だがこれは…人権をはなから無視した構造。獣人を性処理機器として扱い、そこに本人の意思など、ない。
「これ、大丈夫なんすか…。だったあれ…無理矢理なんじゃ…」
「安心して。ここ性処理課の社員は、雄同士の交尾のエキスパート揃いばかりだから」
「それに、無理矢理なんかじゃないよ。みんな望んでここにいるんだから、ね」
淡々と当たり前のことのように説明をする牛沢の顔は、どこか艶かしい妖しい雰囲気を醸し出していた。それを見た鮫川は、言おうとしていたことを言い出せず、この異様な空間に立ち仰るしか無かった。
「鮫川さんは今回が初めての利用だからな。4番の熊野にしようか…」
牛沢は鮫川の背中に手を添えて、自分についてくるよう促す。連れて行かれたのは目隠しと拘束具を嵌められ、事前に何人もの社員に犯されたのか息は荒く、時折痙攣し、そして毛皮や後ろの穴周りに青臭い白濁の液体が飛び散っていた。
牛沢は熊野と呼んでいた中年の大男の側まで寄ると。
「んごぉぉぉん!」
ぽっかりと空いた尻穴に容赦なく人差し指と中指を二本同時に突き入れる。すると熊野は大きく体を反らせ、耳につんざく喘ぎ声を挙げた。
鮫川は狼狽した。眼前にいる存在はよく出来た玩具などではなく、本当に生きた獣人が搾精機の代わりにここに横たわっているのだと。
「熊野さんはここ性処理課の中でも本当に優秀な社員なんですよ。彼のケツマンコは病みつき必然です。それにぞんざいに扱っても…案外壊れませんからねぇ…ふふふ」
「そうだぁ!もっと俺を使ってくれぇ、ガンガン突いてこいよ〜♡!」
鮫川は牛沢と熊野両名の言葉に理性と倫理観が削られていく。目の前で行われている光景は人権無視も甚だしい、然るべき機関に報告して罰を与えるべき、だが…。
あの熊野の目隠しの上からでもはっきりと分かる恍惚とした表情。発情期の沸騰寸前の熱った体、思考能力。そしてあの、黒ずんで開発され切った、後ろの入り口。物欲しそうにそこに埋めてくれる存在を、今か今かと待っていた。
そんな光景に我慢という二文字は今の鮫川の脳裏に存在しなかった。スーツ、ネクタイ、パンツを脱ぎ去って、鮫獣人のスリットから屹立したモノがニョキリと姿を現した。
「ほう、これが海洋獣人のチンポか。しかも、鮫は二本あるのだな…」
「はい、へへへ…♡」
牛沢は鮫川の二本ある逸物を一瞥し、クスリと笑った。地上の獣人たちとは違い、円錐形の形状、そして通常時は体内に収納されていたお陰か全体がテラテラと光に当てられて光沢を放っており、そして普通の獣人のものよりも磯と青臭さが混ざった匂いを発していた。
「さあ遠慮することはない。今君は発情期の影響で仕事が手につかない状態なんだ。思いっきり発散させても、誰も咎めない。そうだろう?」
「はい…牛沢先輩、熊野さん…俺、思いっきりヤります…♡」
鮫川は熊野の足の方へ移動し、そのぽっかりと空いた尻穴に、右の逸物を容赦なく挿入した。
「んごぉぉぉおぉんっ!」
熊野と呼ばれた存在は、待ち焦がれていた存在を体内に突き入れられた悦びと快楽の咆哮を挙げた。
「おぉ♡すっげ、これ…こんなんマジもんの、マンコじゃねぇか!」
熊野の尻穴は、幾多の雄獣人たちに犯されたことによって、慣らさなくとも指の3本なら余裕で入るほど広がりきっていた。しかも腸内に異物が入ってくるたびに、腸壁を締め上げて快楽へ導こうとする被虐精神まで備えていた。
「熊野さん、ホントに…搾精機とは比べモンに…♡!」
もたらされる快楽はご覧の有り様。ましてや作り物の淫唇であるあの搾精機など、目の前の本物の肉便器と比べれば月とスッポンであった。
鮫川は本格的に我を忘れて腰を振り続けた。生きている人間、ましてや同じ会社の社員を搾精機の代わりにするなど、人道に反すると考えていた男は、ただ発情期の衝動に身を任せたオナ猿同然だった。
「いいですねぇ、素晴らしい腰つきですよ鮫川さん。やっぱり若いっていいですね」
牛沢はその傍らで後輩の成長ぶりを見守る姿は人のできた先輩であろう。しかしこんな状況下では人間を誘惑し、堕落へ導く悪魔でしかない。
「私もそろそろ本格的に滾って来ました♡熊野さん、お口ちょっと借りますね…♡」
牛沢もスーツにスウェット、パンツを脱ぎ去って生まれたままの姿になった。屹立した逸物は鮫川より全長は短いが500mlペットボトル並みの太さを誇り、いかに獣人であってもそれを咥えるのは困難なモノであった。
「ほぉら、あなたのだ〜いすきなおチンポですよぉ♡」
「あがっ、おごっ、チンポ♡チンポ♡もっとチンポ恵んでくれぇ〜♡」
牛沢は自身の肉棒を熊野の鼻先にちょんと乗せる。すると熊野の鼻がふごふごと動き、豚のように鳴く。そんな無様な様を牛沢は歪に微笑むと。
そのまま空いた熊野の口の中へ容赦なく入れた。
「っはぁ♡相変わらずこっちの口もいい感じですねぇ。貴方のような社員が性の捌け口になってくれているおかげでっ、うちの業績は鰻登りですっ、全く画期的なシステムを考えてくれますよっ、ウチの社長もっ!」
極太な牛の肉棒が容赦なく出し入れされる。熊野は嗚咽反応を起こすも牛沢は意にも介さず責めを続ける。
熊野は前後からの責めに、ただただ…快感に震える…生きた搾精機に過ぎなかった…。
発情期の雄獣人たちにとって、効果的な性処理ができるのなら、機械で済まそうが、同じ獣人で済まそうが、関係なかった。
「はは、はっ♡これ、もう一本挿れても、いいよなぁ⁉︎」
「構いませんっ、熊野さんはっ、二輪刺しもお手のものっ、ですから…ふっ、ふっ、ふっ!」
鮫川は空いた左の方の逸物を熊野の後孔に強引に捩じ込む。
「んぐっ!んうぐっ!んぐーーーっ!」
「おや、熊野さん、一層イイ顔になりましたねっ。鮫川さん、あなたは…こっちの方も頑張り屋、ですねっ…!」
「あざっす!でもすんませんっ、俺二本挿れたの初めてだからっ、もう…!」
「いいですよっ、そのままナカへ出しなさい。ここの社員は…生きた搾精機なのですから…♡!」
「ああイクイクイク!あぁ!出ちまうーーーっ♡!」
鮫の二本の肉棒から夥しい量の白濁液が熊野の腸内にみるみる満たされる。今まで発情期が下火だったからか、その量や濃度は幾分か高い。
「ははは、流石は海洋獣人。雄として羨ましいザーメンです♡では私も後輩に負けないように…。射精る、射精ますよ…♡!」
牛沢の草食動物特有の濃厚子沢山汁が熊野の口内を一瞬で満たし、食道、胃にまで白濁液を届ける。雌にはなったら妊娠確定だろう。
「はぁ…すごかった…♡これが、性処理課…」
「気に入っていただけて光栄です。ですが、一発程度では満足してないようですね?」
「当然だぜ♡なあ先輩〜、もっと他にケツの締まった雄はいねぇのかぁ?」
「おやおやまあ…♡でしたら私なんかどうでしょう?こう見えて私、性処理課の教育係も兼任しているので…鮫川さんをたっぷりとご奉仕させてあげます♡」
「ひゃはは、楽しみだぜ♡じゃあな熊野のおっさん、また今度使わせてもらうぜ…」
「………っ♡」
そうして鮫川と牛沢は空いた台まで移動し、第二ラウンドを始めた。もう鮫川の中に、この性処理課の光景や実態の異常性への違和感は…完全に消えた。今は、ケダモノに成り下がった、雄だ。
[newpage]
鮫川が馬狸太刀商事に入社して、一年が過ぎた。あれから、鮫川はすっかりこの会社の社員として、馴染んでいた。それはもう、完璧に。
そんな折、今日から新人が入るとの話が…営業署内に持ちきりだった。
「後藤犬治です!よろしくお願いします」
人当たりが良さそうな、ボーダーコリー種の犬獣人。社会に出て右も左も分からなそうな、純真無垢さが離れていてもわかる。
鮫川も、かつては後藤と同じような顔をしていた。
ふと、背後から牛沢が小声で呼びかけてくる。
「あの子…なかなか可愛いと思わない?もし性処理課に置いたらさ、きっと人気者になれるよ」
牛沢はそうこぼすと、不敵に笑った。この会社の異常性が明るみに出るのは…まだ先のことだった。
[newpage]
おまけ
結局没になったページ
鮫川君が性処理課に異動になることを告げるシーン
「それでは伝えよう。この1年の君の働きから見て最も相応しい部署は…」
「性処理課だ…」
「聞こえなかったのかね?君が来期に所属する部署は性処理課だ。ニャフフ…」
「ちょ、ちょっと待ってください!俺…この1年間、頭悪いなりに色々頑張ってきたんです!それなのにあの性処理課ってのはどういう了見なんですか!」
「君がエロい雄なのがいけないんだ…そんなエロい体を毎日うちの古株の前に晒して、我が社の業績が落ちたらどう責任を取ってくれるんだい?んん?」
「んなこと、ガキの屁理屈じゃ…!」
「鮫川さ〜ん?」
ふと、鮫川の右肩に茶色の毛皮で覆われたゴツゴツとした大きな手が置かれる、振り向くと牛沢係長が背後に立っていた。それも、まるで狩りを娯楽としている肉食獣のような笑みで。
「君が居るべき場所はここじゃないだろ〜、さあ僕についてくるんだ…」
虎郷は鮫川を一瞥し、その場を後にする。そして半ば放心状態の鮫川の手を牛沢が引いていく。行き先はもちろん、これからの鮫川の所属先である、性処理課。
鮫川はようやく悟った、この会社の性処理課の存在の異常性が。だがそれは…何もかもがとっくに遅かった…。